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転生とらぶる

作者:青竹
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ペルソナ3
  1821話

 目の前にある赤い星、火星。
 戦いの星や、軍神の星とも呼ばれ、その名の通り戦いを象徴すると言ってもいい星だ。
 実際、俺が今まで訪れた幾つもの世界で火星が戦いの舞台になった事も少なくない。
 また、影時間との戦いを行っている俺達には、火星は相応しい星と言えるだろう。

「どうだ? 世界で初めて生身で火星までやって来た気分は」
『……』

 尋ねるも、ゆかりからは声も出ないといった感じで沈黙のみが戻ってくる。
 まぁ、人類で初めて火星にやって来たと言っても、公に出来る事じゃないしな。
 そう考えれば、公に火星に最初の人類がやって来るのはいつになる事やら。
 ……ああ、そう考えれば、もしかしたら実は以前に火星にやって来たペルソナ世界の人間がいる可能性もあるんだよな。
 ペルソナの能力を考えれば、それは必ずしも不可能な事ではない……と、思う。
 勿論ゆかりのペルソナのイオは、まだレベルも低く、そこまで強力なペルソナでない。
 だが、それはレベルが低いからという可能性もあるだろうし、そのうちレベルが上がれば宇宙に移動出来るペルソナになってもおかしくはない。
 風の魔法と回復魔法を得意とするのを考えれば、宇宙に出掛けても空気を確保し、推進力とし、傷を回復させられる……そう考えれば、意外と属性的には問題ないような気がする。
 そんな風に考えながら、火星の上で20分程が経つ。
 それだけの時間が経てば、ゆかりも次第に緊張やら感動やらそういうのから我に返るのも当然だった。

「ゆかり」
『何?』
「そろそろいいか?」
『……え? もう帰るの?』
「は?」

 何故か帰るといった言葉が出てきた事に疑問を抱く。

『え?』

 そしてゆかりもそれは同様だったのだろう。
 何故俺が不思議に思っているのか理解出来ないといった様子で、俺の方……正確にはニーズヘッグのコックピットの方に視線を向けてくる。
 取りあえずお互いが色々と誤解をしているというのを理解し、口を開く。

「俺がもういいかって言ったのは、そろそろ火星に降りてもいいかって事なんだが」
『……え? 降りられるの? 火星に?』
「ああ。その辺は全く問題ないな。そもそも、地球から宇宙に転移したのを考えれば、その辺りの心配は必要ないって分かるだろ?」
『それは……そう、なの?』
「そうなる。さて、そんな訳で……ゆかりはこの世界で初めて生身で火星に来ただけじゃなくて、初めて生身で火星に降り立った人物になる訳だ。準備はいいか?」
『え? あ、うん。それは別にいいけど……人類で初めて……私が?』

 未だに実感がないのか、そう呟くゆかりだったが……ここで色々と説明するより、さっさと転移した方が手っ取り早いだろうと判断し、俺は口を開く。

「システムXN、起動。転移座標入力……OK。転移フィールド生成開始」

 そうして三度二ニーズヘッグが転移フィールドに包まれていく。

「転移フィールド、生成完了。転移」

 その言葉と共に、ニーズヘッグの姿は火星の地上に降り立っていた。
 かなり強い風が吹いているが、その辺りはニーズヘッグのEフィールドである程度防ぐ事が可能だ。
 そうしてニーズヘッグの左手を地上に降ろし、ゆかりを火星に立たせる。
 まさに、歴史的な瞬間だ。
 ……もっとも、俺は火星で活動するのはこれまで何度も経験があるので、特に気にした様子もなくコックピットから降りたが。

「どうだ? 人類史上、恐らく初めて火星の大地に生身で立った感想は」
『何て言えばいいのかしら……うん、ちょっと言葉には出来ないわ』

 そう告げるゆかりの言葉に頷き、俺は周囲を見る。
 まさかないと思うけど、ハイヴとか古代火星文明の遺跡とか、そういうのはないよな?
 ペルソナ世界だけにないだろうとは思うのだが、それも確実ではない。
 実はシャドウの正体は火星から送られてきた異星人の先兵! ……とかいう可能性もある訳だし。
 ……ないか。
 ま、まぁ、可能性としては有り得るかもしれないって事で。
 うん、そういう事にしておこう。
 ともあれ、俺とゆかりはこのペルソナ世界の火星を堪能する。
 もっとも、当然この火星に何かがある訳でもないので、堪能するにも特に何かやるべき事がある訳ではないのだが。

「ああ、そうだ。どうせなら……こんな事でもしてみるか?」

 そう告げ、Eフィールドの外にでて、火星にある岩に向かってゲイ・ボルグを何度も振るう。
 結果としてそこに残ったのは、今日の日付と自分の名前。日本に住んでいると書いたメッセージ。

『止めなさい』

 即座にゆかりにそう告げられる。
 どうやら、ゆかりのお気に召さなかったらしい。

「駄目か?」
『駄目に決まってるでしょ。こんなの書いておいて、将来火星に探査機とかが来て見つけたら、どうなると思ってるのよ。日本を滅ぼす気?』
「……幾ら何でも、そこまではいかないと思うが」

 そう言いつつも、もしかしたら……? と思わないでもない。
 苦労し、何億……いや、何兆? 具体的に幾らくらいかかるのか分からないが、ともあれ大金を投入して火星にやって来た無人探査機が映像をNASAに送ると、そこに表示されているのは、日本が既に火星にやってきたという証拠。
 ……うん、大騒動になるのは間違いないな。
 個人的には色々と面白そうな気がするが、本気でそれをやればこの世界の日本に思い切り迷惑を掛ける事になりそうだから、止めておこう。
 桐条グループなら、影時間関係の研究でそんな事を普通に出来そうな気がしないでもないが。

『とにかく、止めておきなさい。いい?』

 重ねて言われ、俺もそれ以上は繰り返さない。
 だが、その代わりに取り出したのはゲートだ。

『……ちょっと、何よこれ』
「ゲートといって、ホワイトスター……俺が拠点としている、次元の狭間にある場所と繋げる事が可能な装置だ。もっとも、多分無駄だと想うけど……」
『なら、何で取り出したの?』
「一応念の為というか、もしかしたら……といった感じでだな。地球では無理だったけど、地球から離れた火星なら可能かもしれないし」

 そう告げ、ゲートを起動させる。
 コンテナ状態から展開していくその様子は、やはりというか、当然のようにゆかりを驚かせた。

『ちょっ、これ……これがゲート?』
「ああ。システムXNという転移装置が搭載されていて、異なる次元にいても通信出来る筈なんだが……」

 そう言いながら、ホワイトスターと連絡を取ろうとするが、当然のように繋がらない。
 影時間だからってのも、関係あるのか?
 うーん……となると、やっぱりどこか人目につかない場所で地球でもゲートを設置してみたり、それこそ影時間ではない時に火星にやってきてゲートを設置したりと、試してみた方がいいか?
 けど、ニーズヘッグは小型機だが、それでも人型機動兵器だけあってそれなりに大きい。
 ミラージュコロイドやASRSを使えば何とかなるだろうが……難しいところだ。
 それを展開するまでにこの世界の人間に見つからないかと言われれば、間違いなく答えは否なのだから。
 となると、どこぞの山とかそういう場所で木々に紛れて? ……まぁ、どうしようもなくなったら、その方法を考えてみるのもいいか。

『で? 通信は出来ないの?』
「ああ。多分影時間とか、そういうのが関係してるんだろうけどな。残念ながら、今の俺の状況ではどうしようもないらしい」

 この辺りは、悔しい……そう、悔しいと呼ぶのに相応しい気分なのは間違いない。

『ふーん。……そっか。残念だったわね』

 俺に向かってそう告げてくるゆかりだったが、その言葉とは裏腹にどことなく嬉しそうに見えるのは何故だ?
 だが、次の瞬間には既にゆかりの顔からそんな表情は消えていた。
 ……見間違いか? うん、多分見間違いだろうな。

「ま、そんな訳で、現在俺はホワイトスター側からこっちを見つけてくれるまではこの世界にいないといけない訳だ」
『で、影時間の件にちょっかいを出している、と』
「そんなところだな。影時間とか、シャドウとか、ペルソナとか、この世界の魔法とか……色々と、本当に色々とこの世界は興味深いってのもあるけど」

 他にもマジックアイテムとか、この世界で是非とも集めたい物が幾つもある。
 正直なところ、またあのアクセサリー屋に忍び込んでみようかと、そう想ってもいた。
 まぁ、当然のように警備とかは以前と比べて厳しくなっているだろうが。

『アクセル? どうかしたの?』
「いや、何でもない。とにかく、今は影時間をどうにかする為にタルタロスを攻略しないとな」
『そうね。出来ればタルタロスの秘密を……桐条グループが何をしていたのかを知りたいわ』

 桐条グループが関わってくると、やっぱりゆかりも色々と態度が捻くれるんだよな。
 それだけ桐条グループに対して思うところがあるって事なんだろうけど。
 ゲートを閉じ、空間倉庫に戻しながら口を開く。

「まぁ、それはともかくとしてだ。……火星の景色は十分に堪能したか? もしよければ、そろそろ地球に戻るけど」
『えー……』

 少しだけ残念そうに呟くゆかり。
 まぁ、それも当然だろう。普通なら火星の景色を自分の目で見ることなど、到底出来ないのだから。
 この機会を見逃せば、もう一生見られない景色……と思えば、今のゆかりの反応も理解出来ない訳ではない。

「いつまでも、ここにいる訳にはいかないだろ? そのうち影時間は終わるし、そうして影時間が終わってしまえば、地球に戻るのも色々と大変になるんだから」

 影時間だからこそ、堂々とニーズヘッグを使い、システムXNで転移出来ているのだ。
 その影時間が終われば、システムXNを使うのは難しくなる。
 ……何だかんだと衛星写真とか、この世界でも普通にあるしな。
 中途半端に技術が発展しているというのが、俺にしてみれば厄介この上ない。
 ゆかりも俺の言いたい事が分かったのか、やがて渋々といった様子だったが頷きを返す。

『分かった。……じゃあ、地球に戻ろっか』
「ああ。じゃあ、さっきと同じようにニーズヘッグの手に乗ってくれ」
『うん。……けど、ニーズヘッグって凄い名前ね。北欧神話だっけ?』
「へぇ……ゆかりがそっち関係のことを知ってるってのは珍しいな」

 漫画とかゲームとかでは、北欧神話とかそういうのは多く出てくる。
 実際、シャドウミラーでも多く利用してるしな。
 それだけに、ゲームとかに興味を持たないゆかりがニーズヘッグを北欧神話だと知っているというのは、少し驚きだった。
 もっとも、ニーズヘッグ……嘲笑する虐殺者というのは、かなりのネームバリューを持っている。
 それこそ、ニーズヘッグという名前は知っていても、北欧神話に出てくるというのを知らない者も多いだろう。

『あー……ほら、私のペルソナってイオじゃない? で、イオの語源とか由来とかそういうのを調べてみたら、ギリシャ神話に出てくる人らしいのよ。その辺から、ペルソナには神話とかに出てくる神や人の名前がつくんじゃないかと思って、北欧神話にも手を伸ばしたのよ』
「ふーん」

 そう言えば、ギリシャ神話にイオって神が出てきた気がする。
 うん? いや、神じゃなくて人間だったか?
 ともあれ、イオがギリシャ神話の登場人物だというのは間違いない。
 ……もっとも、ゆかりのペルソナのイオがギリシャ神話に出てくる本物かと言われれば、正直微妙なところだが。
 そもそもの話、そう簡単に神話の人物が出てくるというのを知れば、凛辺りなら思い切り叫びそうな気がする。
 まぁ、実際聖杯戦争に参加した身としては、そうなってもおかしくはないが。
 ……ゆかりと凛は、絶対に会わせない方がいいような気がしてきた。

『アクセル? 地球に戻るんじゃないの?』
「ん? ああ。そうだな」

 ゆかりの言葉に頷き、空中を飛んでニーズヘッグのコックピットに収まる。
 念動力のチェックを終わらせると、再び機体が動き出す。
 ニーズヘッグの足跡とか普通に残っているが、火星には大気があって、風もある。
 それらが間違いなく足跡とかを消してくれるだろう。
 ……だからこそ、俺は岩に自分の名前とかを残そうと思ったのだから。

「ゆかり、いいな? 行くぞ?」
『うん、分かった。いつでもいいわよ』

 聞こえてくるゆかりの声は、やはりどこか残念そうな色があった。
 まぁ、それはしょうがないだろうけど。
 そんなゆかりを連れ、俺はシステムXNを起動させていく。
 うん、この世界の火星は、それなりにいい感じではあった。
 既に開拓されて普通に住めるようになったナデシコ世界の火星とも、そこまでいかなくても結構開拓の進んでいるネギま世界の火星とも、BETAによって占領されたマブラヴ世界の火星とも違う……素のままの状態の火星。
 一瞬ペルソナ世界の拠点は火星にして、火星人にでも扮しようかと思いながら……俺達は、火星から姿を消すのだった。 
 

 
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1389 
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