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転生とらぶる

作者:青竹
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ペルソナ3
  1822話

「あー……暇だなー……」

 部屋で横になりながら、そう呟く。
 ゆかりと火星に行った日から数日、俺はTVを眺めながらそんな風に呟く。
 現在は昼ちょっと前といった時間。
 俺も今日は特にやるべき事はなく、こうしてゆっくりとした時間を楽しんでいた。
 窓から入ってくる日差しは、日に日に暖かく、柔らかい色になっていく。
 先月は冬の花見を楽しんだが、既に桜もかなり咲きそうになっている。
 恐らく、そう遠くないうちに開花宣言がされるだろう。
 そうなったら、今度は荒垣も連れて花見に行くのもいいかもしれないな。
 荒垣は何だかんだと面倒見がいいから、そういった仕切りは上手そうな気がする。
 ……俺とゆかりだけで行った時は、その辺がグダグダというか、色々と行き当たりばったりだったしな。
 実際、その日にホームセンターでレジャーシートを買ったりとかしてたし。
 これが荒垣なら、前日までに花見で必要な道具は全て揃えて、弁当とかもどこかの店に予約して……といった具合に準備をするだろう。

「うん、今度ゆかりと荒垣に言ってみるか」

 正直なところ、出来ればその花見にも桐条美鶴や真田明彦の2人を招待したい。
 そうしてお互いに協力出来れば、タルタロスの攻略だって進む筈なのだ。
 ……だが、ゆかりがなぁ。
 いっそしっかりとゆかりと話してみた方がいいのかもしれないな。
 このままだと、恐らくゆかりはどうやっても桐条美鶴と打ち解ける事はない。
 それは、タルタロスを攻略する上で大きな障害となる。
 ……原作の方では、どうしたんだろうな。
 何か外的な要因があって、ゆかりと桐条美鶴の仲が友好的になるのか、それとも決定的に仲間割れをしてゆかりは敵に回る……という可能性もある。
 もしくは、以前にも考えたように原作が始まった時には既にゆかりは死んでいた……とか。
 何だか桐条美鶴と喧嘩して、自分だけでタルタロスに突っ込んでいく、と。
 そんな事をしそうに思えてしまうのは、きっと俺の気のせいだけではないはずだ。
 にしても、原作ってのはいつ始まるんだろうな。
 W世界で言えば、オペレーション・メテオのように分かりやすい合図のようなものがあればいいんだが。
 それがなかったりした場合、やっぱりいつの間にか原作が始まっていたという事になりかねない。

「あー……一体、どうしたらいいんだか」

 TVを適当に見ながら、呟く。
 すると、TVでは不意に美味い料理を出す店の特集が始まり、そこでは釜玉うどんを出す店が紹介されていた。
 釜玉うどんか。簡単だけど、美味いんだよな。
 以前千鶴に作って貰った時は、うどんを茹でる時に水菜やエリンギを一緒に茹でていたので、それなりに食べ応えもあったし。
 味付けも千鶴特製の出汁醤油だったし、時間がない時とかは吸い物の素を使ったりとかもしたけど、それも美味い。
 シンプルだからこそ、美味いと言うべきか。
 溶き卵が半熟になっているのが、食欲をそそるんだよな。
 誰だったか……うどんのカルボナーラとか表現した奴がいたけど、今TVで映し出されているは、まさにそんな感じだ。
 あ、やっぱり釜玉うどんが食いたくなったな。
 何気にこれは作ろうと思えば俺でも作れるくらいに簡単なんだが……うん、よし。今日の昼食はいつものようにどこかに食いに行こうかと思ったけど、釜玉うどんを俺が作ろう。
 幸いにも、この部屋には簡単なキッチンはある。……いや、そんな洒落た呼び方は似合わないな。台所といった方がいいか。
 そして釜玉うどんは特に調理技術が必要な物でもない。
 讃岐うどんを茹で、最後の30秒くらいで追加の具材を茹で、溶いた卵にそれを入れてかき混ぜ、卵を半熟にしてから味付けをして、最後に薬味をトッピングすれば出来上がりだ。
 ……そうだな、俺が1人で料理するというのもちょっとな。
 失敗はしないと思うけど、出来れば他にも一緒に食う相手が欲しい。
 もっとも、俺が呼べる相手なんてのはゆかりと荒垣くらいだ。
 そして荒垣はともかく、ゆかりはまだ学校。
 そろそろ年度末だし、早く終わってもいい頃だと思うんだが……残念ながら、まだ普通の授業があるらしい。
 そんな訳で、夕食ならともかく昼にゆかりを呼ぶ事は出来ない。
 一応、携帯にはもう1人、眞宵堂の店主の電話番号も入っているが、まさか釜玉うどんを食べる為に呼び出す訳にもいかないだろう。
 向こうも仕事があるだろうし。
 俺達の事を知っていれば、影のゲートを使うという手段もあるのだが。
 ともあれ、俺は携帯で荒垣を呼び出すのだった。





「ちっ、いいか、アルマー。釜玉うどんってのはシンプルな料理だ。だからこそ、そこには材料の質がそのまま現れる。特に重要なのは、卵だ。生……いや、半熟で食べる以上、そこには卵の質を直接舌で感じる事になる。金に余裕がないのなら安い卵でもいいが、金に余裕があるのなら高くても美味い卵を買え」

 呼び出した荒垣と共に、早速釜玉うどんを作る為の材料を買いにスーパーに来たのだが……そこで荒垣は予想外に細かく口を出す。
 俺は適当に卵とうどん、一緒に茹でる水菜やエリンギ、トッピングの薬味……と適当に買っていくつもりだったのだが、荒垣はそんな俺を見て即座に駄目出しをし、こうして選ぶ素材から指導を受ける事になってしまう。
 荒垣がそう言いながら俺に渡してきたのは、6つで498円というかなり高めの卵。
 普通なら1パック10個で198円の卵を買うところだが……まぁ、金に困ってる訳じゃないしな。
 説明によると自由に動き回らせ、餌も厳選したものを与えている……とある。
 このスーパーにとっては、余程自信のある卵なのだろう。ポップだったか? 卵の説明が書かれた紙が卵を置いてある場所に置かれている。
 それによると、卵の黄身に5本爪楊枝をさしても黄身は崩れたりせず、爪楊枝も倒れたりしないらしい。
 それだけ黄身がしっかりしているって事の証なのだろう。
 また、黄身の色も写真に写っている普通の卵に比べるとかなり濃く、なるほど、この値段でもおかしくないだろうというのは納得出来た。

「分かった、ならこれを買うとしよう。他に必要なのは?」
「当然讃岐うどんだ。……出来れば生の麺がいいんだが、香川県ならまだしもこのスーパーにそんなのは売ってる筈もないしな」
「あら、一応冷凍の讃岐うどんは売ってるわよ?」

 ふと、俺でも荒垣でもない女の声が周囲に響く。
 そちらに視線を向けると、そこにいたのは……俺には全く見覚えのない40代くらいの女。
 もしかして荒垣の知り合いか? と視線を向けるも、こちらもまた同様に戸惑った様子を見せている。
 どうやら荒垣の知り合いでもないらしい。

「ごめんね、急に声を掛けちゃって。けど、私もうどんが好きだからそっちの子の話に、ついつい耳を傾けてね」

 そう言いながら女が見たのは、荒垣の方。
 あー……なるほど。さっきの荒垣の釜玉うどんに関するうんちくを、この女も聞いていたのだろう。

「乾麺の讃岐うどんもいいけど、冷凍の讃岐うどんもなかなかのものよ?」

 どうやら、これが言いたかったらしい。
 まぁ、その気持ちも分からないではない。
 麺のタイプには乾麺や生麺といった風にあるが、冷凍はどちらかと言えば生麺タイプの方だ。
 勿論正確には色々と違うのだろうが、俺から見れば生麺をそのまま冷凍したという印象が強い。
 その為、冷凍タイプの方が美味いと言われれば、納得出来ない訳でもないのだが。

「あー……いや、今回は乾麺タイプの方を買うから」

 強面の荒垣であっても、善意から話し掛けてきた相手に凄むようなことは出来ないのか、そう告げる。
 向こうも、別に自分の意見を押しつける気はなかったのか、特に拘った様子は見せずに口を開く。

「そうかい。でも、冷凍の讃岐うどんも美味しいから、機会があったら食べてみてね」

 そう告げ、去っていく。

「讃岐うどん、恐るべしだな」
「……さて、買い物の続きだ。卵はこれでいいとして、うどんと具、それと薬味だな」

 数秒の沈黙の後、荒垣は先程の一幕はなかった事にしたのか、改めてそう告げてくる。
 まぁ、荒垣がそれでいいのなら、俺は別に構わないけどな。

「具は、水菜とエリンギ、それと……そうだな、豚のロース肉辺りか」
「肉も入れるのか?」
「ん? ああ、味と栄養バランスを考えればな」

 俺にとって、釜玉うどんというのは基本的に水菜やエリンギといった具材を一緒に茹でるという料理であって、肉を入れるということは考えていなかった。
 ……けど、よく考えれば別に豚肉を入れてもいいんだよな。
 そんな訳で俺は荒垣に連れられて豚肉、水菜、エリンギをそれぞれ選び、国産小麦100%の讃岐うどん――当然乾麺――を購入する。
 国産小麦100%の乾麺を選んだのは、先程の冷凍うどん好きの女への対抗心から……だったのだろう。
 味付けとして出汁醤油も忘れない。

「薬味は、普通なら長ネギを買うんだろうが、ちょっと凝ってこっちにする」

 そう言い、荒垣が手にしたのはミョウガ。
 俺も好きな薬味だ。
 ただ、ミョウガというのは基本的には夏が旬の食材であって、3月に並ぶのはビニールハウス等で作っている代物だ。
 勿論それが悪いとは言わないが、それでもやはり風味とかは旬の時季に比べると劣るのは当然だろう。
 ともあれ、料理に詳しい荒垣が言うのであれば俺にとっても特に異論はない。
 そのまま頷いて、他にもある程度の食材やら飲み物やらお菓子やらを買い足していく。
 これは別に、今日食べる代物ではない。
 タルタロスを攻略する時は基本的に俺の部屋を拠点としており、自然とそこで打ち合わせとかをする事が多くなる。
 そんな時に使う為の物だ。
 そうして、何だかんだとカゴに満杯になったところでレジに向かおうとし……ふと、荒垣の動きが止まる。

「なぁ、アルマー。お前の部屋に食器とかはそれなりに揃えられていたけど、鍋はあるか? ああ、この場合の鍋はラーメンとかを作るような鍋じゃなくて、かなり大きめの鍋だ。うどんを茹でるには、やっぱり水は多い方がいいからな」

 その言葉に首を振る。
 荒垣が言ったとおり、ラーメンを作る鍋……片手鍋だったか? その鍋はあるし、もう少し大きめの鍋はあるが、荒垣が言うような巨大な鍋はない。
 結局その鍋もスーパーで買い、そのまま俺の部屋に影の転移魔法を使って戻ってくる。

「ったく、便利極まりねえな」

 感心しながら、それでいて不機嫌。
 そんな様子を見せる荒垣の指示に従って調理の準備をしていく。
 もっとも、釜玉うどんというのは作るのにそこまで手間は掛からない。
 うどんを茹でるたっぷりのお湯を沸騰させ、そこに讃岐うどんを投入する。
 冷凍ならそう時間は掛からないんだろうが、荒垣が選んだ国産小麦100%のこの讃岐うどんは、13分茹でる必要がある。
 その間に器に卵を入れ、溶いておく。ちなみに数は荒垣が2つ、俺は3つ。
 うん、卵売り場にあったポップのように、黄身が盛り上がって色が濃厚だ。
 かなり美味そうだと思う。
 残った1つは、明日にでも目玉焼きにして食べるとしよう。
 そうして俺が卵を割って溶いている間に、荒垣は水菜をざく切りにし、エリンギを薄く切り、ミョウガを縦に千切りに、豚ロースを一口大に切る。
 そうして12分30秒となったら、ミョウガ以外の残りの具材を入れて一気に火を強める。
 具材を投入して30秒茹でたら、そのまま鍋の中身をザルにあけ……荒垣が適当に自分の分と俺の分を溶き卵の入っている丼に取り分ける。
 無言でそれを受け取った俺は、丼の中身をかき混ぜて、卵を絡めていく。
 うどんや具材の熱で半熟になっていく卵。……いや、完熟なのか?
 ともあれ、そうしてかき混ぜた丼に荒垣が出汁醤油を回し入れ、ミョウガの千切りを乗せ、ゴマを振りかけて……釜玉うどんが完成する。

「食え」

 短く告げる荒垣に頷き、俺はそのまま箸を手に取る。
 そうしてうどんをすすると……まず最初に出汁醤油の香りが口の中に広がり、続けてうどんの歯応えと、水菜とエリンギの食感、豚肉の旨みが押し寄せてくる。
 そんな中でミョウガの爽やかな香りと生だからこその食感がアクセントとなる。
 うどんの熱さによって、ゴマの香りも増している。
 ……うん、美味い。
 俺と荒垣は、揃って無言で釜玉うどんを食い進める。
 5束入っているうどんを買ってきて、卵と同じく荒垣が2人前、俺が3人前の割り当てとなったのだが……あっという間に、そのうどんは俺と荒垣の腹の中に消える。
 何だかんだとこの世界に来て色々と忙しい日々が続いたけど……たまにはこういう日があってもいいよな。
 しみじみと、そう思うのだった。 
 

 
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1389 
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