獣篇Ⅰ
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7 朝は、もめごとがつきもの。
皆、心配そうに私を見ている。
_なんだ、夢か…。
そして私は、すぐさま口を開く。
_「…うん。ありがとう、みんな。
もう大丈夫よ。」
そう言って、私は起き上がると、神楽ちゃんだけが私のそばに残り、心配そうな顔をして、
こちらを見ていた。
_「…ホントに大丈夫アルか?なんだか、悪夢でも見てるみたいだったネ。
何の夢だったアルか?」
質問が、矢継ぎ早だ。
よほど私を、心配していてくれたらしい。
いい友達だ。
_「うん…。確かに悪夢だったけど、ただの夢だったし、ちゃんと目も覚めたから、大丈夫よ。
心配してくれてありがとう、神楽ちゃん…。」
すると神楽は安心した顔になって、こう言った。
_「みおちゃん、とりあえず落ち着いたら、身支度するヨロシ。
でも、ゆっくりでいいからナ。」
神楽ちゃんの優しさに、感動する。
それと同時に、本当に申し訳ないという気持ちが膨らむ。
…こんな私に…という気持ち。
とりあえず、身支度をせねば。
私が身支度を始めるそぶりを示すと、神楽ちゃんは安心したのか、
「また後でネ」と言って、去っていった。
神楽ちゃんがいなくなってから、早速 昨日銀時たちに買ってもらった、紫の着物を取り出す。
紫といえば…高杉…。
…!
なぜ?なぜこのタイミングで高杉を思い出すのだ?
私は…私は、あれだけ高杉が嫌いだったはずなのに、つい高杉のことを、
思い出してしまう。
…もしや私は、心のどこかで、高杉を愛していたのか…?
そんな考えまで浮かんできた。
…でも、もしかすれば、そうなのかもしれない。
…! だからあの時 あいつは、
_「お前の中の獣が、自分からオレに忠誠を誓ったんだゼ…。」
…それにしても、悔しい。
結局私は、高杉が好きだったのか…。
…認めたくはないが。
まぁ確かに、
*元同級生 で、
*幼馴染 の子と再会してから、
「恋」が始まる話は、たくさんあるが…
特に〇(ピー)ャン〇(ピー)とか…。
…いや、ほとんど名前言ってるようなもんだけどォォォォ!
でもなぁ…。しかも、どの話も、なかなか素敵なお話多いしィ?
ん?待てよ、この話の元ネタも、あの〇(ピー)ャン〇(ピー)の〇〇(ピー)からとってるしィ?
…ってか、「ピー」ばっかじゃァァァァァァァん!
しかも、全てバレバレだしィィィィ!
「ピー」の意味、全然ないじゃァァァァァァん!
まぁ、いい。放っておこう。
誰かが蓋を開けてくれるまで、永遠に!
そうこうするうちに、自分の着替えも終わった。
よし、リビングに行くとするか。
…なんか、そっちの方から、大声が聞こえてくる。
早速、リビングへ向かうと、
新八君が、神楽ちゃんと、モメているところだった。
いったい、何の話でモメているのか、よくよく聞いてみると、
何のことはない、ゆで卵の熟し加減の問題だった。
_「オイ、メガネェェェェェェェェッ!
私、半熟がいいって、さっきから言ってるネ!
さっさとお湯からあげるヨロシ。」
_「いや神楽ちゃんんんん!卵は今さっき入れたばっかでしょーが!
まだまだ煮えてないよォォォォッ!」
_「お前、本当にメガネかけてるアルかァ?
ちゃんと、度のあってるメガネをかけるヨロシ。」
_「なんだとォォォォッ!?
いつもいつも『メガネ、メガネ』って。普段からちゃんと名前で呼べ、コルァァァッ!」
…なんだ、なんだ?途中からケンカの趣旨が、変わったぞ。
ここは、止めに入るべきなのか?
ケンカに入ろうとした時、銀時が眠たそうな目をこすって、ふすまを開け、どなった。
_「お前らァァァァッ!いい加減にしやがれェェェェッ!
人の安眠を、妨害しやがってェェェェッ!」
…いや、そこ?
なんか、ちがくない?
呆気に取られていると、次は神楽ちゃんが、銀時の味方になった。
_「そうアル!お前が大声出すから、銀ちゃんにも迷惑かけたネ!
謝れ、コノヤロー!」
あぁあ、このままいけば、収拾がつかなくなるぞ。
ここは1つ、私の出番かな?
_「あのォ…さぁ、じゃぁさ、私がしようか?
それなら、ケンカにもならないでしょう?」
すると、今までが嘘のように、ケンカが収まった。
_「やっぱ、みおちゃんは、大人ネ。新八も、見習うヨロシ。」
すると新八君、すかさず反論する。
_「そういう神楽ちゃんも、でしょ?
まったく…銀さん、なんとか言ってくださいよォ…。」
とは言っても、当の本人は、相変わらず眠たそうな目をこすって、無言を貫く。
銀時とは、昔からそういう奴だ。
_「まぁまぁ。落ち着いて、2人とも。
とりあえず、ケンカの収拾もついたし、すぐ朝ごはんにしよう。
だから2人とも、私を手伝って。ね?」
10分後、なんとか朝ごはんができた。
そして、いつのまにか、銀時も着替えて、食卓に着いている。
_いつの間に!?
徐々に、メンバーがそろってきた。
全員がそろったところで、掛け声をかける。
_「せーの、
いただぎまーす!」
皆の声が、こだました。
朝ごはんが済むと、神楽ちゃんは定春の散歩、兼公園へ遊びに出かけた。
新八君は、買い物をしに、出かけた。
_言うチャンスは、今しかない。
食器の片づけをしながら、自分の椅子に座って、ジャンプを読んでいる銀時に、
ポツリポツリと、話を切り出す。
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