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ヴァンガードG ネクステージジェネレーション Re:start

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Turn:11 デッキに込めた想い

 
前書き
普及協会が支援する保護施設で暮らすチームクロニクルハーツ
U-20に向けて努力する彼女たち
より強くなるため仲間内でファイトすることも多い
この日は治ったばかりのファイトテーブルの調子を見ることになり……… 

 
この日は雲一つない晴天だった
ギアクロニクルのクランマスター、新導クロノが経営している保護施設
年齢も様々な施設に暮らす子供たちは何人かで一つの部屋を使っている
U-20に出場するチームクロニクルハーツの三人は女の子同士ということもあり同じ部屋で暮らしていた
「ん~」
一番の早起きはリーダーのミキ、伸びをするとテーブルに保管してある自身のデッキを手に取り笑みをこぼした
「おはよう、ミキ」
続いて起きてきたのはチームメイトの美浜ユキナ
ここに暮らす子供たちの多くが院長と同じ稲沢姓を名乗るなか彼女だけは違った

Turn:11 デッキに込めた想い

施設の子供たちみんなで朝ご飯を食べる中院長であり彼女たちの父親的存在である稲沢リュウイチがミキ達に声をかけた
「そうだ、ようやく修理に出していたファイトテーブルが直ってね、後で具合を確かめてもらいたいんだけど」
リュウイチの問いかけに三人は笑いあった
「わかりました、後で練習ついでに確かめてみます」
「助かるよ、後でクロノ君も来るそうだから」
クロノの名前を聞いたミキはその場で喜び声を上げた
チームメイトの二人にとっては見慣れた光景だ
ミキは昔からクロノの事が大好きなのだから

「さて、壊れてたテーブルは」
「こっちみたいね、組み合わせはどうする?」
ユキナの問いかけにミキは真っ先に手を上げた
「はいはーい!クロノさんが来るんだったら私がやる」
「こらこら、ミキ、クロノさんに見てもらいたいのは何もあなただけじゃないのよ」
興奮するミキをチグサが宥める
それを見てユキナは小さく笑うとファイカからデッキを取り出した
「じゃ、これで決めましょう、グレードの高い二人がファイトするってことで」
自身のデッキをシャッフルして差し出すユキナ
ミキとチグサは互いに見合うと頷いて一枚ずつ抜き取った
「じゃあ私はこれっと、せーの」
「「「グレードじゃんけん!じゃんけんぽん!」」」
ミキが見せたカードはなんとグレード0の梔子の銃士 アラン
チグサはグレード1の赤薔薇の銃士 アントニオ
そしてユキナはグレード3、白詰草の銃士 ミア・リータだった
「ふふっ、信じてたわ、あなたが来てくれるって」
ミア・リータのカードを笑顔で見つめて呟くユキナ
ユキナにとってミア・リータのカードには特別な思い入れがあった

幼い頃のユキナは両親と共に暮らしていた
この日はユキナの誕生日、両親からプレゼントしてもらったデッキを大事そうに握りしめながら眠っていた、だが………

惑星クレイ、ズーの森の中で二人のファイターが光に包まれていた
「瑠璃唐草の銃士 マイ・レン」
「サーモメーター・エンジェル」

「お、丁度始まるところか」
「クロノさん!」
ファイト出来ずいじけていたミキだったがクロノがやってくるとすぐに表情を輝かせた
いつも通りの様子にクスクスと笑うユキナ
彼女が手にしているこのデッキ、実は二つ目だった

一つ目のデッキ、両親にプレゼントしてもらったデッキをとても大切にしていたユキナ
だが、住んでいたマンションで火災が発生
夜中だったため気づくことが出来ず、ユキナの両親は命を落としてしまった
そして、辛うじて救出されたユキナ、だが、その火事で大事にしていたデッキが焼けてしまった

「ライド!睡蓮の銃士 ルース!更にルースをコール、リアガードのルースで恋の守護者 ノキエルを攻撃」
ルースの剣がノキエルに突き刺さる
「ダメージチェック」
【黒衣の通告 ナキール】トリガーなし
「マイ・レンのブースト!ヴァンガードのルースでアタック!」
【鈴蘭の銃士 カイヴァント】トリガーなし
鋭い刺突による一撃がノキエルに炸裂する
【サニースマイル・エンジェル】ヒールトリガー
「ゲット!ダメージ一枚回復」
サニースマイル・エンジェルが傷ついたノキエルに光を当て治癒を施していた
「ライド!愛天使ノキエル!ヴァンガードにアタック!」
【恋の守護者 ノキエル】トリガーなし
ノキエルの放った矢がルースに炸裂する
【梔子の銃士 アラン】クリティカルトリガー
「ライド!竜胆の銃士 アンテロ!」

火事で大切にしていたデッキを、大好きな両親を失い暗い表情のまま毎日落ち込んで過ごしていた
施設の子供たちがヴァンガードを楽しむ中ユキナは部屋の隅で座り込んだままだ
「あなたも一緒にやりましょうよ」
そんなユキナを気にかけてくれたのがトコハだった
「だって………私のデッキ………お父さんとお母さんがくれたデッキ………あのデッキじゃなきゃ」
ユキナの事情はトコハも知っていた
そして、自分が同じ思いだったらと思うと胸が締め付けられる思いだった
「ねえ、一回だけでもいいからやってみよう、デッキならほら、わたしのを使っていいから」
だからこそトコハは躊躇なく自身の大切なデッキをユキナに差し出した
そして一番上にあった胸焦がすラナンキュラス アーシャのカードを見てユキナは目を見開いた
「ネオネクタール………」
失った自分のデッキと同じネオネクタール
メインのカードは異なるがそれでもユキナは、この偶然がきっかけで一歩踏み出すこととなった

「カイヴァントのスキルでルースを退却、アンテロをコール」
コールされたアンテロの攻撃がノキエルに決まる
【不死鳥 カラミティフレイム】トリガーなし
「マイ・レンのブースト、ヴァンガードのアンテロでアタック」
「っ、ノーガード」
【梔子の銃士 アラン】クリティカルトリガー
アンテロがノキエルに鋭い刺突を浴びせかける
「ダメージチェック」
【黒衣の記録 イスラフィール】トリガーなし
【ハイトレブル・エンジェル】スタンドトリガー
「ゲット!スタンドトリガー」
トリガーの効果でパワーアップしたノキエルが何とか立ち上がる
「カイヴァントでアタック」
「ガード!」
ハイトレブル・エンジェルがノキエルを守るように翼を広げる
「私のスタンドアンドドロー、ライド!愛の狙撃手 ノキエル!」
愛の狙撃手 ノキエルが弓を構えアンテロを見据える
「ノキエルの登場時スキル、手札の恋の守護者 ノキエルをダメージに置き、ダメージゾーンの不死鳥 カラミティフレイムを手札に、更にカウンターブラスト、今ダメージに置いたノキエルを手札に、代わりに山札から一枚ダメージゾーンに」
【サニースマイル・エンジェル】
「ナース・オブ・ブロークンハートを二枚コール」
コールされたブロークンハートはノキエルの左右を固めると一体が翼を広げアンテロに向け飛び出した
「リアナでガード」
蓮の銃士 リアナが両手を広げアンテロを守るように立ちふさがる
「サーモメータ―のブースト、ノキエルでヴァンガードにアタック!」
「ノーガード」
ノキエルの弓に光が宿っていく
「ツインドライブ」
【黒衣の通告 ナキール】トリガーなし
【記録者 アルマロス】トリガーなし
「ダメージチェック」
【鈴蘭の銃士 レベッカ】トリガーなし
「ブロークンハート!」
ブロークンハートの手持ち武器から流れる電流がアンテロに襲い掛かる
「ダメージチェック」
【桜の銃士 アウグスト】トリガーなし

トコハのデッキを借りファイトを繰り返していくうち少しずつヴァンガードに対する意欲を取り戻していく
クロノとトコハが持ってきた新しいカードに子供たちが集まっていく中
「あの………私にももらえますか?」
遠慮がちに問いかけるユキナの手にはトコハに借りているデッキ
「だって、これトコハさんのだし………いつまでも借りたままじゃいられないから………もう一度!どれだけかかるかわからないけど………やっぱり私、あのデッキがいいから、頑張ってカードを集めて、もう一度作ってみたいんです」
そう告げるユキナにクロノとトコハは互いに見合って笑うと彼女にパックを一つ差し出した
「がんばってね」
「あ………はい!」
早速パックを開け中に入っていたカードを確認するユキナ
すると
「あっ………」
パックの一番最後に入っていたカードを見て目を見開き、涙を浮かべた
「また………会えたね」
大事そうに手に取ったそのカード、白詰草の銃士 ミア・リータ
彼女が失ったデッキの中心だったカード

「ライド!白詰草の銃士 ミア・リータ!」
そのカードは今でもユキナの手の中にある
「ストライドジェネレーション!常夏の花乙姫 ベラーノ!」
その名の通り常夏を思わせる明るい衣装に身を包んだGユニット
ベラーノの姿となったユキナにはもうあの頃のような悲しい表情は感じられなかった
「ベラーノのスキル、ソウルブラスト、Gゾーンのベラーノを表に、手札一枚と、ドロップゾーンのルースをデッキに戻し、山札からカイヴァントをコール」
山札から同名のカードを呼べるベラーノのスキル
更にカイヴァントを呼んだことでスキルが繋がっていく
「カイヴァントのスキルでアンテロを退却、山札の上4枚を確認、その中から鈴蘭の銃士 レベッカをコール、レベッカのスキルでカイヴァントを退却、タンポポの銃士 ミルッカをコール、更に手札からアウグストをコール」
銃士たちがベラーノを取り囲むように身構える
「マイ・レンのブースト、ベラーノでアタック!」
手に持った銃をノキエルに向けるベラーノ
ここでクリティカルトリガーが出れば一気に勝負が決まる
「イスラフィールで完全ガード!」
だからこそチグサはこの攻撃を完全ガードで凌いだ
「トリプルドライブ!」
【梔子の銃士 アラン】クリティカルトリガー
【リシアンサスの銃士 ロレイン】トリガーなし
【月下美人の銃士 ダニエル】クリティカルトリガー
「(両サイドのリアガードにクリティカルが乗った状態、ミルッカのスキルでアウグストのパワーは26000、この攻撃を凌ぐには………)」
「アウグストでアタック!」
アウグストが剣を構え真っ直ぐノキエルに向かっていく
「ガード!恋の守護者 ノキエル!」
そのアウグストの前にノキエルが立ちはだかる
だがノキエル1枚ではシールドが足らない
「ノキエルのスキル、手札のアルマロスをダメージゾーンに置き、ダメージゾーンのサニースマイル・エンジェルを手札に、更にクリティカルヒット・エンジェルでガード!」
追加のガーディアンを用意したうえで次に備えたチグサ
「続けてカイヴァントでアタック!」
「ジェネレーションガード!聖霊熾天使 オリフィエル!スキル発動!ダメージ4枚以上でシールド+5000」
カイヴァントのアタックも何とかしのぎ切ったチグサ、だが手札はわずか1枚

「あれはさっき回収したカラミティフレイムだよな」
「ってことはストライドまでは確実に持って行ける、後はドローしたカード次第」
既にチグサの手札に残された最後の1枚はわかっている

「ストライドジェネレーション!聖霊熾天使 ノキエル!」
ストライドしたチグサはすぐさまダメージゾーンに手を伸ばす
「さらにサーモメーター・エンジェルのスキル!山札の上から5枚確認してグレード3のエンジェルフェザーを手札に!」
確認した5枚に目を通すチグサ
「あった!愛の狙撃手 ノキエルを手札に」

「ここでノキエルか、これは大きいな」
「ストライドしたノキエルの効果もありますし、ユキナの手札も4枚中3枚は見えてます」
真剣な様子で見守るクロノとミキ
仲間同士のファイトで
いや、仲間同士だからこそ全力でぶつかり合っていた

「ノキエル!ナキールをコール!」
手札を使い切って勝負出るチグサ
しかも攻撃ラインは確保できている
「ノキエルでアタック!」
「リアナでガード!」
「ナキールのブースト、ブロークンハートでアタック!」
「ダニエルでガード!」
まだダメージ3にも関わらず全力で守りに入るユキナ
もちろんそれには理由があった
「聖霊熾天使 ノキエルでアタック」
ノキエルが指先を軽く回すといくつもの矢がミア・リータを狙う
「さらに聖霊熾天使 ノキエルのスキル、ナキールと狙撃手ノキエルをダメージゾーンに、今置いたノキエル、そしてサニースマイル・エンジェルをダメージゾーンからスペリオルコール!」
ダメージゾーンを経由したことでノキエルとサニースマイルはスタンド状態になった
「この効果でノキエルと名のつくユニットを呼んだことでそのユニットのパワーを+5000、ブロークンハートのスキル、自身とヴァンガードにパワー+2000」
「ノーガード」
ヴァンガードのノキエルをあえてノーガードするユキナ
シールドが足りないのももちろん理由の一つだが
「(チグサのデッキはスタンド優先、クリティカルが出る可能性は低い)」
「トリプルドライブ!」
【ナース・オブ・スマッシュハート】トリガーなし
【恋の守護者 ノキエル】トリガーなし
【ハイトレブル・エンジェル】スタンドトリガー
「スタンドトリガー!ブロークンハートをスタンド!パワー+5000!」
「(やっぱり!)」
ノキエルの放った矢が次々とミア・リータに襲い掛かる
「ダメージチェック」
【梔子の銃士 アラン】クリティカルトリガー
「効果はすべてミア・リータに」
傷だらけになりながらも立ち上がるミア・リータ
ブロークンハートが迫るが
「カイヴァントでインターセプト!」
カイヴァントが飛び出してブロークンハートの攻撃を受け止めた
「ノキエルでアタック!」
「ノーガード、ダメージチェック」
【ハイビスカスの銃士 ハンナ】ヒールトリガー
「ゲット!ダメージ1枚回復」
「ふぅ、ターンエンド、サニースマイルはスキルで山札に戻る」
山札をシャッフルしながらため息をこぼすチグサ
「今日は私の勝ちみたいね」
「なに言ってるのよ、ヒールトリガーを戻したし、まだわからないわ」
「いいえ、決めて見せる、だって………」
そう言ってカードをドローしたユキナはミア・リータにやさしく触れる
「この子を、信じてるから、ストライド………ジェネレーション!」
淡く輝く桃色の花に身を包んだ華麗なユニットが姿を現した
「姫小百合の精華銃士 マイラ!スキル発動、更にミア・リータのストライドスキル、レベッカを退却、レベッカとリシアンサスの銃士 ロレインを山札からスペリオルコール!マイラのスキルでパワー+10000!レベッカのスキルでアウグストを退却、アウグストをスペリオルコール、このアウグストもパワー+10000」
チグサの手札は先ほどドライブチェックでめくった三枚
ノキエルを使えば防げなくはないが………
「(それでも1回か、最悪2回受けなきゃいけない………)」
「行くよ、マイラでヴァンガードにアタック」
「(シールドを無駄にするくらいなら)ノーガード!」
マイラが剣を掲げノキエルへと向かっていく
「トリプルドライブ!」
【白詰草の銃士 ミア・リータ】トリガーなし
【竜胆の銃士 アンテロ】トリガーなし
【月下美人の銃士 ダニエル】クリティカルトリガー
「っ!」
マイラの剣による鋭い一撃がノキエルを直撃
周囲にその白い羽が舞い上がった
【黒衣の記録 イスラフィール】
【幸せの鐘 ノキエル】

「うぅ、負けた………」
ファイトテーブルに突っ伏しながら嘆くチグサ
「二人ともよく頑張ったな、U-20もこの調子でな」
「「はいっ!」」
ねぎらいの言葉をかけるクロノに元気よく答える二人
ユキナはふと手に取ったデッキの一番上、ミア・リータのカードに目をやった
「今日もありがとう」
そう言って再びミア・リータのカードを軽くなでるユキナだった 
 

 
後書き
次回予告
「あー、やっぱり悔しい」
「ねえ、私にもファイトさせてよ、せっかくクロノさんが来てるんだから」
「わかったから、じゃあ、私たちのどっちかがミキとやるってことで」
「よーし、負けないわよ、クロノさんにいいところ見せるんだから」

turn:12 貫く信念

「そういえばミキ、小さい頃将来の夢はクロノさんの………」
「よーし、ユキナやりましょうか」
「なんでわざわざ怒らせるのよ」 
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