和-Ai-の碁 チート人工知能がネット碁で無双する
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第一部 桐嶋和ENDルート
第18話 会遇 (vs 奈瀬明日美)
奈瀬明日美は気負わず対局に望む。
私の黒番でスタート。人間相手の指導碁じゃないから手は抜かない。
やっぱりコンピュータは、強い人間に比べて大したことないかな?
序盤で明らかにコンピュータらしい囲碁に詳しい人間が打たないような手が続く。
はい。いただきます。白の常識はずれのアテコミ。
これは悪手ね。なぜ悪手かって?だって今打つ必要がないからよ。
利くからってすぐに打つのはアマチュアの手。
はい。いただきます。
愚形の見本と言われる空き三角。
こんな手を院生研修で打ったら怒られちゃう。
ほら。もうダメが詰まって苦しいでしょ?
こうなったらノビるしかない。
空き三角さえ作って無ければ押さえれたのに残念。
よかった。なんだかノビノビと打ててる気がする。
うん!よし!いつもの私。
もしかする院生研修のときより調子がいいかも?
相手の意図がよくわかる気がする。
中央が大きくて好きなのは分かります。
黒を攻めてるのも分かります。
上辺の白がヤバイのでは?
弱い石から動くという棋理を知ってるのかな?
私が急所を狙っちゃうよ。
ふーん。ここまで来てもまだ中央にこだわるんだ。
上辺の愚形から逃げ出した沢山の白石が取られても知らないわよ。
ほら。私の黒が取りにきたわ。どうするのかな?
もしかして捨てて下辺一体を全部白地にするつもり?
院生の私を相手にそんなことできたら貴女は名人よ。
あっさりと右辺で渡れるのね。
私の手をひらりとかわす妙手。意外とやるわね。
これはまた目ん玉の中に指を突っ込むような強引な手。
えげつないとさえ思うような一手。
碁は棋道と教わったから女の子らしい品の良さも大切かな?
目ん玉の中に指が2つめ。もうだめかも。
白に中央をぶった切られて146手で私の黒は投了。
いつの前か白が布石で技ありをとってて完璧な勝利を演出された。
こうなってみると上辺の愚形の空き三角から仕方なく3線をノビノビた白石が、いつの間にか厚みとなって黒を包囲してる……なにこれすごい。
対局を終えると胸がドキドキしてきた♡
私も院生だからプロの人と打ったことだって何度かあるよ。
憧れの高段棋士との対局だって少しはある。
けど、こんな気持ちになったのは初めてで……胸の高鳴りが止まらない。
私の目指す碁とは全く違う。
ううん。私の知っている碁とは全く違う。
今の私なんかじゃ到底辿り着けないような未知の世界の碁。
そこには私の知らない碁の世界が広がっていた。
とても眩しくて煌めくような手の数々に……憧れが膨らんで……
もう一度打ちたい!と強く願った。
「もう一度良いですか!?」
私の興奮した声が静かな店内に響き渡り周囲の客からの視線が突き刺さった。
どうしても対局を続けたかった私は見知らぬ男性に頼み込み日が沈むまで夢中になって対局を続けた。
この囲碁ゲームの持ち主である彼のアパートにお邪魔して――
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