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真田十勇士

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巻ノ九十五 天下の傾きその七

「どうにもな」
「ですな、しかしです」
「先のことがわからぬなら」
「それならばですな」
「今は余計にですな」
「修行に励むことじゃ」
 それは続けるべきだとだ、幸村は十勇士達に答えた。
「不安を感じる位ならばじゃ」
「それを振り払いですな」
「忘れるまでにですな」
「修行に励む」
「それがよいのですな」
「そう考えるのは何故か」
 不安を感じるのかというのだ。
「それは心に余裕があるからじゃ」
「そしてよからぬことを考え」
「そうしてですな」
「そうしたことも考えてしまう」
「そうなのですな」
「そうじゃ、ならばじゃ」 
 そう思わない為にもというのだ。
「よいな」
「はい、これまで以上にです」
「修行に励みましょう」
「そしてそうした弱い性根を抑え消して」
「そのうえで」
「備えるのじゃ」
 来ると信じているその時にというのだ。
「わかったな」
「はい、では」
「その様にしていきましょうぞ」
「これからも」
「ではな」
 幸村はここまで話してだ、十勇士達にあらためて告げた。
「これよりじゃ」
「はい、修行ですな」
「それをしますな」
「今より」
「うむ、外は雨じゃが」
 それでもというのだ。
「わかっておるな」
「忍に雨も嵐も雪もありませぬ」
「雨であろうと何であろうとです」
「修行を行う」
「そういうものですからな」
「そうじゃ、雨の中で動ける様になるのもじゃ」
 それもまた、というにだ。
「忍はな」
「だからですな」
「ここは修行ですな」
「それに励みますか」
「その後で風呂に入る」
 雨の中での修行の後でというのだ。
「そのうえで温まるぞ」
「はい、それでは」
「冷えた後は温まりましょう」
「風呂を楽しみにして」
「そうして」
 こう話してだ、そのうえでだった。
 彼等は雨の中で修行を行った、激しい雨であったがそれでもだった。山の中を駆け回り木刀を打ち合わせ手裏剣も投げた。
 十一人で激しい鍛錬を行いだ、それからだった。
 共に風呂に入った、その風呂の中でだ。幸村は言った。 
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