| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

ヴァンガードG ネクステージジェネレーション Re:start

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
< 前ページ 目次
 

turn:1 秘めた力

 
前書き
ヴァンガードを愛する一人の少女、新導ミライ
かつての仲間と離れ一人ヴァンガードと向き合う日々を送っていた
大会に出ることも出来ず孤独な毎日
そんな彼女に転機が訪れる
ある出会いがきっかけで彼女の運命の歯車は再び回ろうとしていた 

 
わたしにとって、決して忘れることのない、運命の一年間
あれから数ヶ月がたって、私は………
晴海中学校の教室で窓の外を眺める赤い髪の少女、ミライの姿
その眼にはどこか力の抜けた感じがしていた

Turn:1 秘めた力

お昼休みにミライはクラスメイトの緒川セイジ、東海林タツミと共にお弁当を食べていた
「そう言えばさ」
そんな中セイジが彼女の方に目を向ける
「新導はチャンピオンシップ、今年出てなかったけど」
そう言って彼が見せたのは現在行われている夏のヴァンガードチャンピオンシップの特集記事
「あっ、それがね、チームメイトと都合があわなくて、出られなかったんだ」
「そっか………クレストロードは今年もすごいみたいだぜ」
「うん………そうだね………」
特集の一番目立つ箇所に写るのは本城タイガ率いるチームクレストロードの姿
「ねえ、あっちは出れないの?ほら、二大タイトルの………」
「U-20?どうだろう………予定はともかくチームを組めるかどうか、東海林さんは出るのよね」
ミライの問いかけにタツミが頷く
「うん、ようやくチームが組めて、みんなで頑張っているところなんだ」

放課後、ミライはカードキャピタル2号店を訪れていた
「こんにちは~」
「あ、ミライちゃん、いらっしゃい」
店内を掃除していた店長の新田シンが彼女に声をかける
「マコト………今日も来ていないんですね」
「ええ、大学受験で忙しいそうですから」
チームメイトの先導マコトは大学受験、もう一人の櫂ユウカは父を追って海外に行ってしまった
かつて全国優勝を成し遂げたこともあるミライとチームを組もうという人もなかなかいないためミライは今年のチャンピオンシップ出場を見送ることとなった
「ミライちゃん、あまり落ち込まないでくださいね、クロノ君もトコハちゃんも心配しますから」
シンの言葉でハッとなり慌てるミライ
「や、やですよシンさん、私そんなに落ち込んでるように見えます?あっ!そうだ!今日はお母さんいないし忙しいようなら手伝いますけど?」
「ミライちゃん………」
慌てて明るく振舞うミライ
だがシンは彼女が無理をしていることに気が付いていた

「ふぅ、結局手伝ってもらっちゃいましたけど、そんなでもなかったですね」
「ですね、結局シンさん一人で何とかなってたかも」
店の赤いエプロンを身に付けながら苦笑するミライ
「すいませ~ん」
「あっ、ハイ………あっ」
店内でミライに声をかけてきた赤味がかった髪の少年
「あの………何か」
「ヴァンガード、教えてほしいんだけど」

ファイトテーブルでデッキをシャッフルしながら事情を聞くミライ
「へぇ、お姉さんがU-20に………」
「ああ、家族はみんなやってんだ、俺別にやる気なかったんだけどさ、姉貴気合入ってるし、練習相手ぐらいにはなってやろうと思って」
「ふふっ、お姉さん思いなんだね、私ひとりっ子だから、なんだか羨ましいな」
「………べっ!べつにそんなんじゃねえよ!」
「(うわっ、気づくの遅っ………)」
ミライの言葉に赤くなる少年だったが気づくまでに随分間があった
口は悪いがどこか抜けてるところがあるようだ
「私と同じくらいかな?名前は?学年は?」
「………東海林タツマ、小6」
「ああ、じゃあ私の一つ下だね」
「じゃああんた中1?姉貴と同い年だな」
「ってあれ?今東海林って言った?」
「………それが何か?」
「お姉さんの名前ってもしかしてタツミ?」
「そうだけど………知ってんの?」
「知ってるも何も、同じクラスだもの」
「ふーん」
ミライの言葉に興味なさげに視線を泳がせるタツマ
そのまましばらく沈黙が続いた
「あのさ、もう初めていい?」
「あっ、悪い、忘れてた」
「目の前にいるのに忘れるって………」
ちょっと凹んだミライだったが気を取り直して説明を続ける
「私たちの戦いの舞台は地球によく似た惑星、クレイ、私たちはこの世界では何の力も持たない霊体、だけど、そんな私たちに力を貸してくれるのが、ユニットたち」
そう言って自身のデッキから一枚抜き取ってフィールドの中心に置くミライ
「ヴァンガード、導くものとして、私たちはクレイに降り立ち、ユニットたちを勝利へと導く」
「そう言うのあんま興味ないから別にいいんだけど………面倒だから聞いてるふりしとくか」
「声に出てるわよ~」
ちょっとカチンと来つつ説明を続けるミライ
「えっと、デッキの中からカードの左上の数字、グレードが一番低い0のカードを一枚選んで同じように裏向きで置いて」
「確かそれ用のカードがあるんだよな………っと、これか?」
タツマもミライを真似て取り出した自身のデッキから一枚抜き取っておく
「ファーストヴァンガード、最初に力を貸してくれるユニットよ、ここからどんどんユニットを成長させていって勝利を目指す、それがヴァンガード」
ゲーム開始のために必要な手札5枚
まずは互いのデッキを一度交換してシャッフル
そして山札の上からその5枚を引いて先攻後攻の決定
「本当はじゃんけんで決めるんだけど、説明する都合があるから私が先にやるわね」
「ああ、構わないぜ」
「じゃ、まずはゲーム開始前の引き直しから」
「引き直し?」
ミライの言葉にタツマは首を傾げる
「そう、さっきも言ったようにこのゲームは少しずつレベルアップしていくゲーム、だから必要なカードを手札にそろえるんだけど、毎回きれいにそろうとは限らない、だからゲーム開始前に、こうして、一度だけ引き直して、必要なカードをそろえる準備をするの、手札にグレード1から3が一枚ずつそろうようにするのがコツよ」
「ふーん、ま、俺はこのままでいっか、揃ってるみたいだしな」
手札のカードのグレードを指先でなぞりながらそう告げるタツマ
「準備が出来たら、いよいよゲーム開始」
「そいつはわかるぜ、姉貴たちがやってんの見てたからな」
ミライがファーストヴァンガードに手を伸ばすとタツマも同じように手を伸ばす
「「スタンドアップ!ヴァンガード!」」
両者がファーストヴァンガードを表に返す

二人が降り立ったのは惑星クレイ、ユナイテッドサンクチュアリの影の宮殿
覚悟を胸に秘めた誇り高き戦士たちの世界
「クロノ・ドラン・G」
「秘められし才気 ルート」

「私のスタンドアンドドロー」
「あ?なんだそれ」
ミライが山札からカードを一枚引く
「ターンの最初はまずドローフェイズ、追加のカードを山札に引くことから始まる、そして次がライドフェイズ、手札から一つ上のグレードのカードにライドすることで、ヴァンガードをレベルアップさせていく、ライド!クロノエトス・ジャッカル!」
クロノ・ドランが杖を持った人型の犬のようなユニットに姿を変える
「そして、この時にスキルが使えることもある、クロノ・ドラン・Gは先駆という能力を持っていて、新しいユニットにライドされると、リアガードとして違うサークルに移動できる」
「この周りのやつか?」
ヴァンガードサークルの周りには少し雰囲気の違うサークルが5つ
「リアガード、ヴァンガード共に戦ってくれる仲間たちよ、彼らの中心となって導くのが、私たちヴァンガードの役目」
「ふーん、なるほどね、サル山の大将みたいなもんか」
「その例えはどうにかならないのかな………」
困ったように肩を落とすミライを無視するタツマ
ため息をこぼしながらもクロノ・ドラン・Gをジャッカルの真後ろに置くミライ
「で、次はメインフェイズ、リアガードとして新たな仲間を呼ぶことが出来る、これがコール、但し、ヴァンガードと同じか、それ以下のユニットでないとだめだけどね、クロノダッシュ・ペッカリーをコール」
コールされたクロノダッシュ・ペッカリーがイメージの中で気合十分に足を鳴らす
「そして、ユニットたちはグレードに会った特殊能力がある、グレード0とグレード1は自分の前にいるユニットにパワーを分け与えるブーストが使えるわ、カードを横向きにするレストがその合図、そして前列のユニットをレストする」
クロノ・ドラン・G、クロノエトス・ジャッカルの順にレストするミライ
「ヴァンガードをアタック、互いのパワーを比べて、攻撃側のパワーが防御側のパワーと同じかそれ以上になっていれば攻撃成功よ」
飛び上がってルートに向けて杖を振り上げるジャッカル
だがルートにあたる直前でその杖は止まった
「なんて、先行はアタックできないの、だから私のターンはこれで終了」
レストしたカードを戻しながら悪戯っぽく笑うミライ
「ったく脅かすなよ、じゃあ俺の、えっと、スタンドアンドドロー、だったか?」
「そう、最初のターンは関係ないけど、このタイミングでレストしていたユニットを元の状態、スタンド状態に戻すのよ」
「ふーん、それでスタンドアンドドローね」
納得しながら一枚のカードを手に取るタツマ
「ライド!竜刻魔導士 ニーズ、えっと、先駆ってのは何も真後ろじゃなくてもいいんだよな」
「ええ、リアガードサークルの好きな位置に移動できるわ、ただ、一度コールしたユニットは、例外もあるけど前後にしか移動できないから注意して」
「なら、ルートは斜め後ろだ、で、その前に竜刻守護者 エスラスをコール」
「(なるほど、エスラスだけじゃパワーが届かない、だからニーズを斜めに下げて攻撃回数を増やしているのね)」
エスラスのパワーは6000、パワー7000のクロノエトス・ジャッカルには攻撃を通すことが出来ない
先程のミライの説明をきちんと理解できている証拠だ
「(やる気のないように見えて………きちんと考えてるのね)」
「ニーズでクロノエトス・ジャッカルにアタック!」
「ヴァンガードの攻撃の時、ドライブチェックが発生するわ、山札の一番上のカードを確認するの」
「山札の上?こうか?」
タツマが試しにめくったカードはデスフェザー・イーグル
「クリティカルトリガーね」
「あ?クリ……なんだって」
ミライの言葉に戸惑うタツマ
「デスフェザー・イーグルはトリガーのカードよ、ドライブチェックの時に追加効果を得ることが出来るカード、共通効果として好きなユニットにパワー+5000、クリティカルトリガーは追加ダメージを与えるクリティカル効果を得ることが出来るわ」
「なら、そのクリティカル効果ってのをニーズに付ければいいんだな、パワーは………」
「パワーとクリティカルは別々でも構わない、だからこの場合はまだ攻撃していないエスラスに付けるのがベストね」
「へっ、ならそうするぜ」
ニーズの放った攻撃がジャッカルに襲い掛かる
「そして次に行うのはダメージチェック、ヴァンガードが攻撃を受けたことで山札の上からダメージゾーンにカードを置く、本来は1枚ずつだけど、ニーズにはクリティカルが乗っていたから2枚」
そう言って山札の上をめくるミライ
【クロノダッシュ・ペッカリー】
そのしぐさを見てタツマはハッとなる
「気づいたようね、このタイミングでトリガーが出た場合、ドライブチェックと同様に効果を発揮できる」
そう言って2枚目のカードをめくるミライ
【クロノドーズ・シープ】
「ゲット、ドロートリガー」
クロノドーズのカードには先ほどとは別のアイコンがあった
「ドロートリガーのカードは文字通り、山札の上からカードを引く、ドロー効果を得ることが出来る、そして共通効果のパワー+5000をジャッカルに」
「くそっ、ヴァンガードのパワーを上げられた、けど、パワーはまだこっちの方が上なんだ、エスラスでヴァンガードにアタック!」
エスラスが武器を構えジャッカルに向けて攻撃を放つが
「ガード、クロノボレー・ラビット」
ウサギのようなユニット、クロノボレー・ラビットがその攻撃を鋭いけりで弾き返した
「が、ガード!?」
戸惑うタツマ
そんな彼の目の前にはファイトテーブル中央にクロノボレーのカードを置くミライの姿があった
「ファイトテーブル中央のこの場所はガーディアンサークル、ヴァンガードのグレードと同じかそれ以下のグレードのカードをこの場所にコールすることで相手の攻撃をガードできる、攻撃されたユニットに、カードに刻まれたシールドのパワーを与えることでね」
そう言ってデッキの後ろの空いたスペースにクロノボレーのカードを置く
「あ?」
「バトルの処理がすべて終わったらガーディアンはドロップゾーンに置かれ、もう使うことは出来ない」
「なるほどな、いくらでもガードできるわけでもないんだな、俺のターン終了だ」
そう言ってミライのダメージゾーンに置かれたカードを見る
本来ならエスラスの攻撃でもう1点与えることも出来るはずだった
だがガードによってそれが阻まれてしまったのだ
「なんか、単純そうに見えて意外と考えなきゃなんねえんだな、これ」
「そうね、シンプルだけどとても奥が深い、だから楽しいのよ、スタンドアンドドロー」
タツマの言葉を聞き心なしかうれしそうなミライ
「ライド!クロノビート・バッファロー、ペッカリーを後ろへ、クロノクロウ・モンキーをコール」
細身の猿のようなユニット、クロノクロウ・モンキーが現れたことでペッカリーは後ろに下がった
「ペッカリーのブースト、クロノクロウでエスラスにアタック」
「あ!?リアガードに?」
「アタックを受けたリアガードはガーディアンと同様にドロップゾーンに置かれ、戦場を離れる」
それを聞いてタツマは手札を確認する、だが
「(くそ、ガードしても16000、向こうの攻撃が通っちまう)」
タツマはガードすることが出来ずクロノクロウ・モンキーの鋭い爪による攻撃がエスラスを切り裂いた
「続いてクロノビート・バッファローで攻撃、ドライブチェック」
【クロノタイマー・レグホン】
「ゲット、スタンドトリガー」
「またトリガー………」
「スタンドトリガーの効果で、リアガードを一体スタンド状態に戻せる、だから私はクロノクロウをスタンド」
「スタンドしたっつーことは………」
タツマの言葉に頷くミライ
「この効果でスタンドしたユニットはもう一度攻撃できる」
バッファローがニーズに拳を振るう
【アビサル・オウル】トリガーなし
「クロノクロウでアタック」
「ガード!」
クロノクロウの鋭い攻撃でデスフェザー・イーグルが切り裂かれた
ガードに成功し安堵したのか大きく息を吐くタツマ
「こうして交互に攻撃して、相手のダメージを6点にすることで勝利することが出来るわ、さ、私のターンは終了、あなたの番よ」
「スタンドアンドドロー、1つ上のグレードだから………竜刻魔導士 リア・ファルにライド!その後ろにもう一度エスラスをコール!エスラスのブーストでヴァンガードにアタック!」
リア・ファルの攻撃だけでは先ほど引かれたクロノタイマー・レグホンで容易くガードされてしまう
ダメージも2対1でリードされている以上、ミライは確実に防ぎに来る
「クロノタイマーでガード」
「(あとは俺がトリガーを引けるかどうか………)」
「さらに、クロノクロウでインターセプト」
「なっ!?インターセプト!?つか、ガーディアンって一枚じゃなくていいのかよ」
「一枚だけじゃ防げない攻撃もあるから、インターセプトはグレード2が持つ特殊能力、前衛からガーディアンサークルに移動することができるわ」
シールド15000、トリガーを引いたとしても攻撃は通らない
「ドライブチェック」
【デススプレイ・ドラゴン】トリガーなし
「ライド!クロノジェット・ドラゴン・G!」
マフラーの様な装備を靡かせるクロノジェット・ドラゴン・G、ドランが背中に手を添えると構えて一気にリア・ファルに向かっていく
「くそ、ノーガードだ」
「ドライブチェック………ツインドライブ」
「ツイン!?」
再び驚くタツマにミライが頷く
「ヴァンガードがグレード3になるとドライブチェックが2枚になる、その分トリガーを獲得できるチャンスも増えるわ」
「なるほど、そういえばデッキのカードのグレードは3までしかなかったな、そこまで到達したご褒美ってところか」
「まあ、そんなところね」
【クロノスピン・サーペント】トリガーなし
【クロノエトス・ジャッカル】トリガーなし
クロノジェットに頬を殴られ後ろに飛ぶリア・ファル
「なんのっ、負けてられるかよ」
【ハウルオウル】ドロートリガー
「ドロートリガーの効果で1枚ドロー、そして俺のスタンドアンドドロー」
迷わず手札から1枚のカードを手に取るタツマ
「ライド!覚醒を待つ竜 ルアード!」
左手に闘気を宿した魔法使いのようなユニットが姿を現す
鋭い瞳でクロノジェットを見据えていた
「お互いのヴァンガードがグレード3になったから、これでストライドが使えるわ」
「ストライド?」
首を傾げるタツマに頷くとミライはダメージゾーンのそばに積まれた銀のカードを見た
「新たな可能性………その扉を開く力であるストライドはより強い力を持つGユニットをジェネレーションゾーンから呼び出すことが出来る、手札から合計でグレードが3以上になるように捨てることでGユニットをヴァンガードに重ねて出せるの」
「なるほど、要はこういうことだろ」
手札のデススプレイ・ドラゴン(グレード3)をドロップゾーンに置いたタツマはGゾーンの1枚を手に取った
「ストライドジェネレーション!暗黒竜 カーニバル・ドラゴン!」
黒いドラゴンが咆哮を上げた
「ストライドされると、元のヴァンガードはハーツと呼ばれる状態になって、Gユニットに自らの名前とパワーを加える、そしてルアードにはストライドスキルがあるわ」
「ストライドスキル?」
「そうよ、覚醒を待つ竜 ルアードはストライドが発動した時に発動できる効果を持っている、発動のためのコストを支払うことでね」
「コストか………なんかアイコンみてぇの書いてあるけど………」
「ファイトを有利に進めるためのアクションの一つよ、それはダメージゾーンのカードを裏向きにするカウンターブラスト」
「じゃあ、こうするんだな、後は………リアガードの退却か、エスラスを退却させる、そんで、デッキからアビサル・オウルと黒翼のソードブレイカーをコール」
「自らのユニットを退却させることでさらなる力の糧とする、それがあなたのクラン、シャドウパラディンの特徴よ」
「クラン?」
「その説明がまだだったわね、クランはユニットたちが所属するグループみたいなもの、大抵のファイターは自分に合ったクランを探して、そのクランのカードでデッキを組むの」
「ふーん、あんたのは………ギアクロニクル?まあいいや、続けようぜ、えっとカーニバル・ドラゴン………あ?こっちになんか書いてあるな」
ストライドしたカーニバル・ドラゴンの能力を見ようとしたタツマだが効果で呼んだソードブレイカーに何か書かれていることに気付いた
「黒翼のソードブレイカーは山札からコールされたとき、ヴァンガードの下に積まれたカード、ソウルをドロップゾーンに送るソウルブラストを行えばカードをドロー出来るわ」
「じゃ、そうするぜ、えっと、こうか、で、他に似たような効果を持ってるやつは………いねえな、じゃあカーニバル・ドラゴンは………よし、ルートを退却してスキル発動、お前のリアガードを2枚退却させる」
クロノ・ドランとクロノダッシュ・ペッカリーが退却する
「この時退却したルートの効果、ソウルに移動して、ソードブレイカーのパワーを+5000」
「(ルートの効果はジェネレーションブレイク………ジェネレーションゾーンが開かれて初めて使える効果)」
手札を確認するミライだがどうも旗色が良くない
シールドはある程度あるがリアガードを退却されたうえでこの攻撃力
先程から気になっていた、このファイト、思っていた以上に苦しい展開が続いている
「(確かに彼は才能がある、でも………この展開、なにかおかしい)」
「リア・ファルと竜刻魔導士 モルフェッサをコール!アビサル・オウルのブーストでヴァンガードをアタック!」
モルフェッサの杖から竜を象った闘気が放たれクロノジェットに向かう
「ガード!」
クロノボレー・ラビットがその身を呈してそれを止める
「次はカーニバル・ドラゴンだ」
ミライの手札ではカーニバル・ドラゴンの攻撃を止められない
「ノーガード、Gユニットはトリプルドライブの能力を持っているから、ドライブチェックを三回できるわ」
「そう言うことなら、トリプルドライブ!」
【黒翼のソードブレイカー】トリガーなし
【竜刻魔導士 モルフェッサ】トリガーなし
【グリム・リーパー】クリティカルトリガー
「おっしゃ!カーニバル・ドラゴンのクリティカル+1、パワーはまだ攻撃していないリア・ファルに」
カーニバル・ドラゴンの放ったブレスがクロノジェットを飲み込んだ
【クロノファング・タイガー・G】トリガーなし
【クロノセラピー・ハムスター】
「ヒールトリガー発動!共通効果のパワー+5000をヴァンガード!更にトリガーの効果で、ダメージの数が相手と同じか、それ以上なら回復できる!」
クロノダッシュ・ペッカリーをダメージゾーンからドロップゾーンに送るミライ
今のトリガーで完全に旗色が悪くなり焦っていた
「リア・ファルでアタック」
今のミライの手札でこれを止めることは出来ない、止めようとすると手札を使い切ってしまうことになるからだ
【クロノジェット・ドラゴン・G】トリガーなし
「ターン終了、へへっ、なんか調子出てきたぜ」
タツマ自身も自分が押していることに気付いたようだ、だが
「ストライドが発動するのはこのターンだけ、ターンが終わると、Gユニットは表でGゾーンに置かれることになるわ」
「っと、そうなのか」
ミライの指摘で慌ててカーニバル・ドラゴンをGゾーンに戻すタツマ
「今度はこっちの番よ、今こそ示せ!我が真に望む世界!ストライドジェネレーション!」
翼を広げて姿を現すミライのGユニット
「超刻獣 スプリット・ペガサス!クロノジェット・Gのストライドスキル!手札のクロノエトス・ジャッカルをコールして、タイムリープ!」
タイムリープはギアクロニクルの持つ特殊能力
リアガード一体を一時的にバインドゾーンに送り、一つ上のグレードのユニットをそのターンの間だけ山札から呼ぶことが出来る
「(このターンで私に流れを持っていく!)クロノビート・バッファローをスペリオルコール!クロノスピン・サーペントをコール!」
ティーチングファイトだということも忘れ熱くなるミライ
その事に気付かないほど彼女は焦っていた
「スプリット・ペガサスのスキル、クロノスピン・サーペントをデッキに戻して、一つ下のグレードを持つクロノエトス・ジャッカル2枚をデッキからコール!更に、コストとして表にしたスプリット・ペガサスのスキル!Gゾーンに表でこのユニットが置かれているとき、十二支刻獣の前列のユニットをパワー+1000!ジャッカルでルアードにアタック!スキルでパワー+4000」
ジャッカルがルアードに向け杖を振り上げるが
「モルフェッサでインターセプト!」
この攻撃はモルフェッサに阻まれた
「スプリット・ペガサスでアタック!」
「ノーガードだ、ったく、27000とか止める方法あんのかよ」
「トリプルドライブ」
【刻獣使い ルガル・ウレ】トリガーなし
【刻獣使い ルガル・ウレ】トリガーなし
【クロノファング・タイガー・G】トリガーなし
「(トリガーが出ない!確かに彼は強い………でも、それだけじゃない)」
「ダメージチェック」
【デスフェザー・イーグル】クリティカルトリガー
「効果はすべてルアードに」
「(私が………)」
クロノビート・バッファローの攻撃がハウルオウルに容易く止められてしまう
「俺のスタンドアンドドロー!」
「(私が………)」
「喰らいつけ!求める世界を掴むまで!天空を舞う竜 ルアード!」
ルアードに似たGユニットが力強く構える
「ストライドスキルでニーズとアビサル・オウルをコール!更に天空を舞う竜 ルアードの効果でソウルブラスト!ニーズをコールしてドロップゾーンのグレード1の枚数分パワーアップ!」
「(私が………弱くなっている)」
ニーズは自身の効果でパワー+2000、リア・ファルも条件は違うが効果でパワー+2000
合計で4000のパワーアップだが
「ガード!」
クロノタイマー・レグホンがその攻撃を受け止めた
「天空を舞う竜 ルアードでアタック!」
「ジェネレーションガード!遡る時乙女 ウルル!スキルでクロノボレー・ラビットとクロノ・ドラン・Gをデッキの下に!そしてルガル・ウレでガード」
ヒールトリガーを手札からドロップすることで使えるジェネレーションガード
天空を舞う竜の攻撃を全力で止めに来た
「(あとはトリガーさえ出なければ)」
「トリプルドライブ!」
【黒翼のソードブレイカー】トリガーなし
【竜刻魔導士 モルフェッサ】トリガーなし
【グリム・リーパー】クリティカルトリガー
「あっ!」
「効果はすべてニーズに!アビサル・オウルのブースト!ニーズでアタックだ」
最後に残った手札を見るミライ
クロノファング・タイガー・G、グレード3のカードはシールドを持たない
「ガード………出来ない」
ニーズの攻撃がクロノジェット・ドラゴン・Gを直撃する
【クロノダッシュ・ペッカリー】
【クロノジェット・ドラゴン・G】

「俺の勝ち………だよな」
初めてのファイトで勝利したことで戸惑うタツマ
ミライは小さく頷くとデッキを手に取ってその場を飛び出してしまった
「あっ!おい!」
涙を流しながら去っていったミライに手を伸ばすタツマだったが既にミライの姿はなく戸惑ってしまった
「んだよあいつ、負けたぐらいでなにも泣くことはねーだろ」
そこへ通りがかったシンが段ボールを抱えたままミライの去っていった方を見つめた

ミライはカードキャピタル2号店を飛び出し当てもなく走り続けた
ギアクロニクルのデッキ、ずっと一緒だった大切な仲間たち
その仲間たちの期待に応えることのできない今の自分が何より許せなかった
誰もいない河原で、ミライは一人泣き続けた 
 

 
後書き
次回予告
「はぁ~」
「どうしたのミライ、ため息なんかついちゃって」
「うん、ちょっと情けないファイトしちゃって」
「らしくないじゃない」
「そう………だよね、らしくないよね」

turn:2 新たなる誓い

「このままじゃだめだよね」 
< 前ページ 目次
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧