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ONEPIECE 空の王者が海を征す

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空の王者、遂に空へと昇り往く

「おーい皆~!取り返して来たぞ~!!」
「おいおやっさんルフィとレウスが帰って来たぜ!!」
「……戻ってきたか」

朝の明るみが見え始めて来た夜明け、森の上を飛行する巨大な姿を見た時ウソップは大声を張り上げながら二人が戻ってきたと治療を受けているクリケットに声を掛ける。既に治療が終了しているマシラとショウジョウはもう動けるまでに回復したのか船の強化修復作業に取り掛かっている。見た目通り野生動物のような回復力だ。猿山連合の皆は降りて来たレウスに驚きながらもドラゴンが実在したと大はしゃぎしながらカメラやスケッチをしようと道具を出している。

「ひし形のおっさん!これでいいんだよな、取り返してきた!」
「……手間、掛けさせたな」
「なぁにおっさん達には世話なるんだから当然だ」

笑顔で金塊を切り株のテーブルの上に置くルフィにクリケットは何所か申し訳なさそうにしながらも礼を言う。まさか自分達のために取り返しに行き本当に全てを奪い返してくるとは思ってもみなかった。

「世話、か……俺もお前たちに世話になってる。よし、猿山連合軍!気合入れて強化作業に入れ!!」
『イエッサー!!』
「あの、俺は何時になったら元に戻っていいんだ…?」
「もう暫く頼む~!こんな機会滅多に無いんだ!!」
「そ、そんなぁ……」

その後、ルフィ達も作業を手伝い急ピッチでメリー号の空島へ行く為の強化が行われた。怪我をしているとはいえマシラとショウジョウも猛烈に張りきり作業に取り組み、ベラミーによって大きく損傷した船体は猿山連合軍の船大工及び装備開発チームが中心となって見事に直されていく。その際にもレウスの口角や鱗などが有効活用され予定よりもより強靭なメリー号へと仕上がっていく。そして日も昇り朝日が海から顔を覗かせた時、改修されたメリー号が完成した。

トレードマークの羊のヘッドには赤い甲殻などで作られた兜のような物が被せられ、赤い翼とバランス調整の為の尾のようなパーツが装着させられたメリー号を皆満足そうに見つめている。レウスを除いて。

「うっほっぉ~!!何度見てもカッコいい~!!」
「ゴーイングメリー号フライングモデルver.レウス!!いやぁいい仕事したぜ!!」
「本当!最初は鶏にするって聞いてたから少しって思ったけどこれなら行けそうって気がする!」
「まあ鶏に比べたら遥かに飛べる気がするぜ」

それぞれがやりきった表情をしつつ出来上がったメリー号見つめてこれならきっと空島にだっていけるだろうと言う気持ちになっている。普段から空を羽ばたいているレウスの姿を真似ているメリー号、何処か酷く頼もしく思える。

「レウスさんみたいになって良いじゃないですか!レウスさんもそう思いますよね!?」
「いやその……俺からしたら凄い恥ずかしいんですが……」

唯一デザインを容認し切れていないレウス、折角レウスの甲殻等を使うのならいっその事レウスのようにしてしまおうと言うウソップとビビの思い付きのせいでこうなったしまった現状に頭を抱えながら自分と同じになってしまったメリー号に恥ずかしさを覚える。

「え~尚、このデザインにするに辺り作業をしたのはこのウソップ様と猿山連合軍の船大工及び装備開発チーム。俺たちの力作だ!!」
『うぉっ~レウスの兄貴最高だぜ~!!』
『この写真一生大事にする~!!』
「……もういっそ殺せ……」

そんな事をやっている間に出航時間となりそれぞれの船へと乗り込んでいく一同、マシラとショウジョウは麦わら海賊団を空島に行くまでのサポートとして随伴。クリケットはそれに同伴せずにここで別れるという。

「猿山連合軍!!へまやらかすんじゃねえぞ!!そいつらの為に全力を尽くせ!!」
『おっ~!!!』
「小僧!空島も黄金郷も誰一人それが絶対にないと証明出来た奴はいねえ、馬鹿げた理屈と人は笑うだろうが結構な事じゃねえか!それでこそロマンだ!!」
「ロマンか…ああロマンだ!!」
「さあ行ってこい、落ちてくるんじゃねえぞ!!」

見送るクリケットの力強い言葉と溢れ出るロマンに背中を押されて船は進んで行く、互いにないと言われ続けている物を追い求める者。それに違うはなく同士だ、海賊たちは空の海を目指して行く。

「クリケットさん!!行ってくる!!」
「おう。金をありがとよ」

いざ南へと船は進んで行く、森で捕獲したサウスバードは変わらぬ事のなく南を指し示し続けるコンパス。そのコンパスに従い真っ直ぐ南へと進む三隻の船、偉大なる航路の天候は悪くは無い良い陽気に包まれた空の下を比較的穏やかな海をかき分けて進んで行く。期待に胸を膨らませながら途中数回停止し、海流を探しつつ進んで行くとビクトリー・ハンター号の見張りが大声を張り上げた。

「園長報告します!!南西により夜が来ています、積帝雲です!!」
「本当か、今何時だ!?」
「10時です!!予定よりも早いです!!」
「拙いなショウジョウ、まだか!?」
「待て今やってる!!」

南西の方向より近づいて来ている巨大すぎる雲の塊、気流も生まず雨にも変わらない謎の雲。予測した時間よりも早く現れた雲にマシラとショウジョウは焦りを感じながら調査を続行する。此処で自分達がしっかりとサポートしなければ空島へと辿り着くなど夢のまた夢、落ち着いてうー誕ダイバーズの報告を待つしかない……ショウジョウの声とダイバーズの組み合わせによって行われるソナー調査、それが海流をつかめるかが鍵。

「反射音確認!!12の方角大型の海流を発見!!」
「9時の方角、巨大生物探知海王類と思われます!」
「10時の方角、波に逆らう流れを探知!巨大な渦潮ではないかと!!」
「ッ!マシラァ!!」
「おう、それだぁあ!!爆発の兆候だ、船を10時の方向だ急げ!!」

掴んだと確信した二人の船長の言葉がぶつかり合う、遂に見つけた突き上げる海流の爆発地点!!メリー号の両サイドに付きながら共に船を進めるが急激に波が高くなり船を飲み込まんと荒れ狂い始める、激しくうねり荒れる海に二人は笑みを浮かべながらこれならば絶対にいける!!とそしてマシラはメリー号へとロープを張りそのまま船を渦の流れへと導く。

「ちょ、ちょっとまさかこのまま渦の流れに乗るの!?」
「ああ!!逆らうなよ、なるようになれば行ける!!」
「簡単に言わないでよぉぉ~!?!?」

マシラは大丈夫と語るが渦潮に呑まれると事前に聞かされていなかったメンバーは大騒ぎである。

「大丈夫だナミさんとロビンちゃんとビビちゃんは俺が守る!!」
「こんな大渦始めて見た……!!」
「大渦こえええええ!!!?」
「いやあああああもういや帰らせてぇぇぇっ!!?!」
「勘弁しろウソップ、もう無駄だ」
「いやぁぁぁレウスさぁぁぁぁん!!!!?」
「ちょ、ビビちゃん解ったから落ち着いて!?良い感じに首極まってる!?」
「行くぞ空島ァァァァッ~!!!!」

大騒ぎし、ウソップとナミは今なら間に合うから渦から逃れようとルフィに懇願するが肝心のルフィは夢のまた夢の果てにあるという空島への大冒険、これを逃したら一生後悔すると酷く楽しそうなキラキラとした笑みを浮かべていた。それに唖然としている間に、船は遂に大渦の中心へと飲み込まれようとしている。レウスに竜化して今すぐ船を持ち上げてて交渉するナミだがビビによって首を極められ苦しそうに息をしていてそれ所ではなかった。

「大渦に、呑まれるッ……!!!」

遂に訪れた渦と言うレールの終着点、中心へと飛ぶかのように跳ねたメリー号はそのまま渦の中心点へと落ち粉々に……ならずに平然と水面と着地した。

「何?!消えたァ!?」
「何が起きた!?」
「あの馬鹿でかい大渦が消えたのか!?」
「ゴホゴホ……どうなってんだ……!?」

巨大な海王類であろう容易く飲み込むかのような大渦が瞬間的に消えた、謎の現象に襲われメリー号は軽いパニックに襲われていた。だがナミは僅かに水面に浮かび上がった泡を見た時全てを察した、何故渦が消えたのかその解を得た。

「違う……始まってるのよもう!!渦は海底からかき消されただけ…!!!」

始まろうとしている突き上げる海流、それを理解し身構える皆にそれを止めるかのような声が響いた。遠くから、此方へと迫ってくる黒い帆を掲げながら迫って来る大型の丸太船。それに乗っている一人の男にルフィとゾロ、ナミは見覚えがあった。モックタウンで出会った男だ。

「麦わらのルフィ、てめぇの1億6000万の首を貰いに来た!!観念しやがれ!!」
「俺の首?1億?何の話だ?」
「やはり知らないようだな、お前には1億6000万の懸賞が掛かってるんだよ!!加えて空の王者レウスもてめぇの船に乗ってるって事は知ってる!そいつは1億5000千万!!そして海賊狩りのゾロ、てめぇは9000万だぁ!!」

ルフィの手配額は知っている限りでは初回手配の3000万だった筈のにそれは5倍以上にもなっていることに驚くナミだが加えてレウスやゾロまで手配されている、それはアラバスタのことが引き金になっていると簡単に気付けたがそれでも1億越えが二人に9000万が一人とは、とんでもない事になってしまっている……!!

「うっひょおおおお!!!!聞いたかよ俺1億6000万だってよぉ!?ガハハハハハッ!!!」
「1億5000万だと……ビビちゃんを誘拐したからか……でもこれは照れちまうなぁ……♪」
「ははははっ9000万か不満だぜ♪」
「あんたらなんでそのリアクションなのよ!?喜ぶなぁぁぁっ!!!」

迫って来る丸太船、それによって告げられた事実に一喜一憂している間にも自然は溜め込んだ力を今に開放しようとしていた。メリー号の真下の海面は膨張するかのように膨れ上がっている、まるでこれから巨大な泡が弾けようとしているかのようだ。

「全員船にしがみ付くか船室へ!!!」
「船が、吹き飛ぶぞぉぉぉぉおっ!!!!??」

各々が船にしがみ付くかのようにしながら唸りを上げる海に備える、徐々に大きくなっていく音に身を震わせながらも今か今かとその時を待ち続けた。そして……


                 ズドドォォッッンン!!!!


海を天まで吹き飛ばす大災害、爆発と言う規模では収めきれないほど凄まじさの爆発が巻き起こった。何億という海水を天へと吹き飛ばす大爆発によって巻き起こり空へと続く道となった水柱、それを垂直に走り続けるメリー号。最早理解を超えているような出来事に混乱するしかないが解る事実はこれで空島へといけると言う事!!

「船が水柱を垂直に走ってますよぉ!?」
「これが突き上げる海流(ノックアップストリーム)!!!?想像以上だぁぁ!!!」

垂直に走り続ける船の上で壁に立つようにしながら揺れへと堪えているビビを支えながらレウスはこれが何の悪意も無く自然に出来た現象と言う事に寒気すら覚えていた。未だ遠い積帝雲へと水は上り続けている、このまま行けるのかと思った時サンジが声を上げた。

「船体が浮き始めてる!!!このまま弾き飛ばされちまうぞぉ!!」

水柱から離れ始めている船体、このままでは何れ弾き飛ばされ海面へと叩きつけられてしまう。だが如何すればいいのだ、この船は爆発の勢いで空へと昇っているのにそれを今更自分たちの力で制御しろと言うのか。レウスが飛び出す事も考えたがこの勢いの中で飛び出しても船に付いて行けずに弾かれるだけ、もうどうしようもないと言う時にナミが大声を張り上げた、自分に任せてと。

「帆を張って!!これは海よ、唯の水柱じゃない。立ち昇る海流なの!そして下から吹く風は地熱によって暖めれた上昇気流!相手が風と海なら航海して見せる!この船の航海士は誰っ!?」
「ナミさんです!!おい野郎共、直ぐにナミさんの指示通りに!!」
『おおっ!!!』

その力強い言葉の元、吹き飛ばされないよう細心の注意を払いながらメリー号の帆が張られ海流に合わせるように舵が切られた。完全にメリー号は風と海にその身を任せる事が出来ている、安定し始めてきたというところで船体が遂に水から離れようとしてしまった。大慌てする連中をよそにナミだけは冷静にいけると言う確信があった。そして完全に水から離れ落ちるかと思いきや―――メリー号は風を掴みそのまま羽ばたくように宙へと舞い上がり一直線に上昇し始めた。

「飛んだぁぁぁぁぁっっっ!!!??すげえ船が空を飛んだぁぁぁぁぁッッ!!!」
「マジか!!!!!???」
「おおおおおっっ!!」
「へぇっ!!!」
「素敵!!」
「船が空を……いやっほぉぉぉおおお!!!」
「すげえ、すげえぜナミちゃん!!」
「ナミさん素敵だぁぁぁ!!そして、好きだぁぁぁぁぁっっっ!!!!」


「―――行け。まだ見ぬ夢の果てへ……!!!」
「「―――行けええええぇぇぇぇっっっ!!!!」」



空島への道を開いた3人は高く聳える積帝雲を見上げながら麦わら海賊団への幸運を祈りながら心からの声を上げた、行きたいと願った空島へ。誰もが笑ったそれを逆に笑ってやるかのような大冒険をしてこいと言うかのような言葉はメリー号を後押しし、船は加速しながら雲へと向かっていく。

「積帝雲へ突っ込むぞぉぉぉっ!!!ウオオオオオオオオオッッ!!!!!」


To be continue……!! 
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