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ONEPIECE 空の王者が海を征す

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空の王者、空の海へと至る

「ゲッホ、ゲホ……どうなったんだ……?」

突き上げる海流によって積帝雲へと吹き飛ばされ、遂には空まで飛んだメリー号。風と海に押し上げられて舞い上がった空、雲へと入った瞬間に感じたのは凄まじい圧迫感。ビビとナミを支えるように腕に抱え込んだまま爪を船体に食い込ませていた筈だが身体に感じていた物が消えている。

「ぜ、全員いるか……?吹き飛ばされちゃった奴とかいないよな……?」

苦しげに息を漏らしながらも船にいるメンバーを確認して行く。全員が苦しげにしてはいるが問題なく船の上へといる。あの勢いで誰かが欠けていると言う緊急事態は起きずにいるようだ。

「ゲホッ……レ、レウスさん……何が起きてるんです……?」
「はぁはぁ……空、島に着いたのかしら……?」
「おい皆!回り見てみろよ!!起きろぉ!!」

あんな事があったと言うのに唯一元気なルフィは大声を上げながら皆を叩き起こしていく、まだフラフラする意識が徐々に覚醒していくと視界に広がっているそれに絶句してしまった。広がっている景色の全ては白く染まっておりまるで雲、メリー号も雲の上に浮かんでおり幻想的な世界に迷い込んだかのような感覚になってしまう。

「何よこれ……雲の上!?なんで乗ってるの!?」
「そりゃ乗るだろ、雲だもん」
「「「いや乗れねえよ」」」
「凄い、まるで御伽噺の世界に迷い込んだみたい……」

見渡す限り白い雲の海、船の上も下も雲雲雲。下にあった筈の青い海などは無く純白の雲が広がり周囲には手が届かないほど高い空にある筈の雲が浮かんでいる。確かに御伽噺の世界と言われても違和感が無いしそれが妥当だと思えてしまう。

「つまり此処が空の海……でも…」
「ナミさん?」

見つめる先には記録指針、此処が空の海だと言うのは解るが記録指針はまだ上の方向を示し続けている。つまり空島はまだ上空にあると言う事になる、ここからなんとかしてまだ上に行くしかない。いざとなったらもうレウスに頑張ってもらうしかない。

「おいウソップ泳ぐのはやめとけよ、此処は底が無いんだぞ?」
「……はっそうじゃねえか?!あっぶねえ危うく雲から落ちる所だったぜ!!」
「ったく無闇に泳ごうとしてんじゃねえよ。まだ得体の知れない海だぞ」

軽い気持ちで泳ごうとしていたウソップを引き止めるとチョッパーとビビは双眼鏡を用いての周囲警戒を始める事にした。此処が目的の空島のある雲の島なら絶対上に上がる事が出来る術がある筈だ、それを探そうと双眼鏡を覗き込んでいるとメリー号と同じように空の海に浮かんでいる船を発見した。思わずチョッパーは船を見つけたと声を上げるが同時に見つけた浮かんでいる人のようなを見た時思考が凍った。その人間が船を攻撃したのか、船が爆発したのだから。

「チョッパー船か?」
「レレレレウス大変だ!!ふ、船が見えたんだけどもう船はいなくて!!なんか牛みたいな人間がこっちに向かってて来てて!!?」
「な、何?つまり誰かがこっちに?」

酷く慌てているチョッパーの言葉から何とか情報を引き出したがそれでもやや不明瞭だ。この空の海に人が浮かびそれがこちらに向かっているという事なのか、チョッパーが見ていた方向を見るとこちらに凄い勢いで何者かが迫って来ていた。空の上を滑走するかのように。

「おい誰か来るぞ!?おいお前は何者だ!?」
「排除する」
「おい敵襲だ!!」

海の上を滑る人間はそのまま船の上へとジャンプしそのまま襲いかかる敵を迎撃する為に向かうサンジを脚蹴りするとそのまま跳躍し迫るゾロの剣を容易く避け顎を蹴り飛ばしルフィに踵落としを決めた。あの三人を容易く退けるという事に警戒したレウスは飛び上がりつつ軽い身のこなしで船を上から見下ろしている敵へと向かっていく。

「いきなり何しやがんだてめえ!!」
「排除する、と言った筈だ!」

回し蹴りを放ってくるそれを軽く受け止めつつ左腕の竜頭で殴り付けるかのように噛み砕こうとするが差し出された盾によってそれは阻まれてしまうが敵は竜頭に驚いたのかメインマストの頂点で後退するようにジャンプした。

「能力者か!!」
「だから、どうしたぁ!!」

敵は接近戦では部が悪いと判断したのか持っていたバズーカを構える、それと同時に竜頭を構えるがそれを中断するかのような声と一人の老人が間に入った。鳥に乗った鎧の老人は槍で縦を狙うように突き出し、それをガードした敵はそのまま海へと没していく。新たに現れた存在に軽いパニックを起こすナミだが船の上へと着地した老人は静かに答えた。空の騎士と。

「去ったか…もう心配ない、安心するが良い」
「助けてくれて有難う!」
「いや何これはサービスだ」
「チョッパーの言う通りだ、あんたの気まぐれか知らないが俺達が助かったのは事実だ。礼になるか解らないけどお握りでも如何?」
「ぬっいえこれはすまぬ、丁度小腹が空いておったのだ……これは美味い!」

お礼をチョッパーと同調しお礼のお握りを差し出すレウスとそれを受け取り絶賛する空の騎士、少々シュールな状況だがナミは3人もいて一蹴されてしまって情けないとルフィ達に言う。だがルフィ達もそれは自覚しており妙に体が上手く動かないらしい。

「きっと空気が薄いせいね、あれだけ高く飛ばされたのだから空気が薄くても可笑しくないわ」
「確かに……私も少し辛いかも」
「此処は上空7000メートルの白海、更に上層の白々海においては1万メートルにも達する。通常の青海人では体が持つまい、因みに青海人とは青い海からきた物の総称だ」
「つまり俺達か……よっし段々慣れてきた!」
「そうだな、大分楽になってきた……」

高高度を飛行する事も出来るレウスは薄い空気の環境にも適応出来る身体を持っているがまさかルフィ達がこんなにも直ぐに適応出来るとは思いもしなかった。矢張り常人離れしていると改めて認識させられる。そんなこんなで助けてくれた空の騎士はフリーの傭兵らしくビジネスの話をしたいと言ってきた、1ホイッスル500万エクストルで助けようと言うが、自分たちには意味が解らなかった。如何やらこの海に来る方法は他にもあるらしく其処から来たと思っていたらしい。

「成程、中々の航海者たちと見た……」
「いやぁ……それとエクストルって一体……この先もしかしたら頼むかもしれないけど、ベリーっていうお金も使える?」
「無論。エクストルとはこの空で使用する通貨の事、1ベリーをエクストルに直すと1万エクストルじゃな」
「ってことは……500ベリーで助けてくれるって事か」

それを聞いてナミは嬉しそうな声を上げた、この空の事情を知っている人間の助けが僅か500ベリーという格安である事が凄まじく嬉しいらしい。

「では追加サービスとして1ホイッスル、即ち一度の救援要請を無料でプレゼントじゃ」
「やったぁ!」
「あ、後名前を!!あと白々海ってのはどうやって行けば!?」
「そうじゃな。先程の美味き物の礼もある。我輩は空の騎士、ガンフォール。そして愛棒ピエール」
「ピエー!」
「上へと昇るのであればその滝のような雲を目指すが良い、さすれば上へと行ける。では勇者たちに幸運あれ!」

そう言い残すとガンフォールはピエールの背中に乗り颯爽と空の彼方へと消えて行ってしまった。兎も角情報ともしもの時の保険まで手に入れる事まで出来た、どうやって記録指針が示す上へと行けばいいのかと困っていたときに差し伸べられた助け。これは無駄にするわけにはいけないとナミは張り切る。

「さあ皆船を出すわよ!!いよいよ行くわよ、空島へ!!」
『おおっ!!!』 
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