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赤い林檎

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第三章

「赤い林檎もね」
「美味しいわよね」
「そうだったわ、味は少し違うけれど」
 同じ林檎でもだ。
「また食べたいわ」
「それならスーパーでね」
「幾らでも買えるのね」
「緑の林檎もあるし」
 そちらもというのだ。
「好きなだけ食べてね」
「どっちの林檎も」
「そう、赤も緑もね」
「信号みたいね」
 その色合いからだ、カレンは笑って言った。
「それじゃあ」
「あっ、そこでそう言う?」
「だって色同じだから」
 それでというのだ。
「そう思ったけれど」
「そうね、赤と青だけれど」
 信号のその色はだ。
「信号の青は緑にも近い青だし」
「英語じゃ緑ってなってるわよね」
「ええ、教科書だとね」
「だからこう言ったの」
「信号みたいて」
「黄色い林檎もあるから余計ね」
 二色ではなく三色のそれだというのだ。
「本当に」
「そうもなるわね」
「そうでしょ、あとね」
 ここでだ、また言ったカレンだった。
「今絵の本読んでるけれど」
「あっ、そうね」
 見ればカレンは実際にそうした本を読んでいた、由実奈は歴史上の偉人についての本で開かれているのはニュートンだった。彼のイラストもある、
「カレンが今読んでるのは」
「ええ、その絵本だけれど」
「どうしたの?」
「林檎が出ていてもね」
 絵本のその絵にだ。
「全部赤いわね」
「日本人が描く林檎は」
「本当に全部赤くて」
 それでというのだ。
「緑の林檎は一つもないわね」
「それはね」
「日本人の中では林檎は赤いのね」
「この絵だって」
 由実奈は自分が開いているニュートンが木から落ちた林檎を見たその場面をカレンに見せたが。
 そのうえでだ、こうカレンに言った。
「赤いわよね、林檎」
「そうよね」
「やっぱり日本ではね」
「林檎は赤いのね」
「そう思われてるの」
「成程ね、そもそもね」 
 ここでだ、カレンはニュートンの絵を見つつ由実奈に話した。 
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