Blue Rose
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第五十話 入試テストその七
「そうしような」
「そうね、ただ気をつけてね」
「冬の長崎はか」
「九州の中では寒い方だから」
だからだというのだ。
「坂道が多いせいか」
「あっ、そうなんだな」
「鹿児島とは違ってね」
同じ九州でも場所によって気候が違う、鹿児島特に鹿屋辺りは南国と言ってよく日本のハワイを宣伝文句していた市もあった。
「寒い方かもだから」
「じゃあ坂道凍るとかか?」
「朝に?」
「そんなことあるか?」
「それはないけれれど」
少なくとも優花の知っている限りではだ。
「けれどね」
「寒いか」
「そう、だからね」
「そこは気をつけてか」
「来てね」
こう言うのだった。
「冬も」
「ああ、そうするな」
「大学合格したらもうね」
「進路も決まってな」
「気持ちもすっきりするから」
だからだというのだ。
「心置きなく遊べるわね」
「ああ、そうだよな」
「卒業旅行にもなるし」
「それだな、そういえば御前もな」
龍馬は自分からも言った。
「卒業旅行は」
「そうね、それはね」
「何処に行くつもりなんだ?行くとしたら」
「福岡かしら」
少し考えてだ、優花は龍馬に言った。
「あそこに行ってみようかしら」
「長崎と近いな」
「同じ九州だからね。合格したら」
その時はというのだ。
「姉さんと一緒にね」
「福岡に卒業旅行か」
「行こうかしら」
「いいんじゃないか?合格したら優子さんに言ってみろよ」
龍馬は明るい笑顔で優花に言った。
「そうしたらな」
「ええ、合格してたらね」
「そうしろよ、あとな」
「あと?」
「福岡に行ったらやっぱりラーメンだろ」
「ああ、名物の」
「食って来いよ、鶏肉もな」
福岡のもう一つの名物のそちらもというのだ。
「鍋なり焼き鳥なりでな」
「そうね、若し合格したら」
「行って来いよ、俺はそっちに行くから」
「待ってるわね」
「合格したらな、ただな」
「合格したらよね」
「その場合だな、とはいっても入試は終わったしな」
これでとだ、今しがた。
「後は合格発表までな」
「もう何もないわね」
「受験勉強はしておくさ」
そちらはというのだ。
「やっぱりな」
「まだね」
「ああ、合格しているかもわからないし」
「第二志望とかあるから」
「まだ勉強するさ、けれどな」
「けれど?」
「八条大学に合格していたらな」
それならとだ、龍馬は自分の希望を話した。
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