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アメリカン忍者

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第六章

「探偵業を息子さんに譲ってからな」
「それでか」
「こっちに移って娘さんと一緒に暮らして」
「忍術の道場もか」
「開いてやってるらしいな」
「じゃあ完全に日本人でか」
「国籍はこの前取ったらしいんだ」
 アメリカ人のそれをというのだ。
「だから日系人になるな」
「そうか」
「ああ、それで本当の忍術はな」
「地味か」
「影に生きて影に死ぬ」
「そんなものか」
「実際隠れたり逃げたりすることが殆どだ」
 忍術のそれもというのだ。
「だからな」
「そのことをわかってやってるんだな」
「そうさ、俺はな」
「そうか」
「お師匠さん実際にこっちでも探偵やってるしな」
 アメリカ、この国でもというのだ。
「身のこなしとかが尋常じゃないし」
「それでか」
「ああ、こっちでも探偵が本業さ」
「スパイだったら探偵も出来るか」
 スパイ小説は広い範囲で推理ものになる、チャーリーはこのことから話した。
「それでか」
「そうだよ、だからな」
「探偵が本業か」
「そうやってるんだよ」
「本物の忍者、忍術はそうか」
 ここでだ、チャーリーはしみじみとして言った。
「意外だな」
「そう思うだろ、けれどこれがまた面白いんだよ」
「隠れて逃げるばかりでもか」
「色々な道具を使うのは事実でな」
 アメリカで広く思われている様なものではないにしてもだ。
「道場は忍者屋敷なんだけれどな」
「どんな屋敷なんだ?」
「色々なからくりがあって逃げたり隠れたり出来る」
「そうした場所か」
「それが忍者屋敷なんだよ」
 そうだというのだ。
「そこでも楽しく出来るからな」
「いいんだな」
「ああ、御前も行ってみるか?」
「入門か」
「そうしてみるか?」
「いや、俺はいい」
「そうか」
「フットボールがあるからな」 
 そちらに集中しているからだというのだ。 
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