ガンダムビルドファイターズ ~orbit~
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バトルロワイヤル 前編
「なぜ勝てない……」
休憩中、椅子に座りながら小さく呟く。
「ボウヤだからだよ」
そう茶化してくるのは、さっきまでバトルをしていたコムカイ ユウトだ。
「黙れ。すぐに貴様を倒してみせる」
「ハッハッ!そりゃ無理だな。猫に負けるほど落ちぶれてねぇよ」
「誰が猫だ」
「お前だよ。山猫って方が正しいな。中途半端な猫で獣だし」
「コムカイ君。それ明らかに偏見ですよ? 」
紙パックのジュースを飲みながら、アマミヤ アカネは注意する。コイツは基本バトルをせず、私達を見ているのみ。時々バトルをするといった感じだった。
「うるせーよ。それよりクズリュウ」
「クズリュウと呼ぶなと何度言えば分かるのだ………! 」
「いいから連絡だ。明後日にある大会に、お前も参加しろ」
「大会……? 」
「ああ。大会はシンプルにバトルロワイヤル。沢山の猛者がいるらしいし、そこで勝ってこい。ハルカゼから渡された課題にも書いてあったしな」
「課題…………そういえば、私の課題とはなんだ?何も言われず、ただバトルをしていただけだが? 」
「言えねーんだよなそれが。けど、俺なりに考えたヒントをやる。
山猫が厳しい自然の中、獣の中を生きるには、何を身につければいい?もちらん、生き残るための術とか、そう言うもんじゃねーからな」
山猫が厳しい自然の中を生きるには、何を身につければいい、だと?
「ふむ。馬鹿が考えた問題にしか聞こえんな。それに、なぜ山猫だ? 」
「あー、確かにコムカイ君は馬鹿ですね。テストの点数も低かったですし」
「誰が馬鹿だ!?いいから、この事を忘れんなよ!いいな!? 」
ーーー--
その夜、休んでいるとグループ通話の着信が入った。通話に出てみると、どうやらまたセシリアちゃんのようだ。
光速のスピードに通話に出て、スマホを耳に当てる。
「どうしたセシリアちゃん? 」
『あっ、サクラ………ちょっとみんなのこえがききたくて』
「そうか。いつでも通話をかけてもいい。無論、私個人にもだ」
『ありがとう…………そっちのちょうしはどう? 』
「問題無い。セシリアちゃんの方は大丈夫か?無理はしてないか?」
『わたしは…………だいじょうぶ。すこしつよくなれた』
「そうか。それはよか──」
『なんだまたセシリアか。どうしたんだ? 』
言葉を遮り、カグラ レイが通話に参加してきた。
『あっ、レイ………』
『それにサクラもいんのか。珍しいな』
「貴様は即刻通話から出るがいい。邪魔をするな」
『ざけんなロリコン。下心丸出しで通話してんなよ』
「知らんな。私はいつだって自分に忠実だ」
『あーそうかよ。で、セシリアとサクラの方はどうだ?特訓の方とか順調か? 』
「それは先程話したばかりだ。私達は問題無い」
『レイはどう? 』
『俺は相変わらずだな。けど、次会った時楽しみにしてろ。かなり強くなってるからな』
「ふん。貴様が強くなったところで、1mm程度にしか変わらないがな」
『うるせぇな。そういうお前は、強くなってんのかよ?どうせ負けっぱなんだろ? 』
「ふん。なんのことだ? 」
『負けっぱなのかよ…………まあ俺もだけどよ』
『わたしも……』
「私の担当がふざけた奴なのだが、腕は確かな人物だ。おそらくハルカゼ達と同クラスだろう」
『たいへんそう……』
『けど、ハルカゼの人選だろ?何か掴めるはずだ。頑張れよ』
「何か掴める……か。二人共。実は担当からこういうことを言われたのだが、意味が分かるか? 」
コムカイ ユウトから言われたヒントを二人に説明する。
『なんで山猫なんだよ? 』
「それは私も聞いた。だが、答えることはしなかった」
『きびしーしぜん、けもののなかをいきのびるのに、なにをみにつける………なんだろう? 』
「二人だったら、なんて答える? 」
『俺か…………俺だったら、生きる為に強くなろうとすんな。要はアフリカとかサバンナとか、そんな感じの所だろ?
だったら、それに耐えれるように強くなろうとすんな』
カグラ レイの答えは強さか。では、セシリアちゃんはなんだ?
『わたしは…………わからない。けど、やまねこだといきられないとおもう』
『?どういうことだ? 』
『わたしもよくわからないけど、そうおもった』
「ふむ…………参考にさせてもらった。感謝するセシリアちゃん」
『おい。俺にはどうした? 』
カグラ レイの言葉を無視し、思考する。
ふむ…………他にも意見が欲しいものだが、このグループではこれが限界だろう。
通話に参加していない残りのメンバーを浮かべ、論外だとすぐに結論付ける。
『サクラ……どうしたの? 』
「なんでもない。少し考え事をしていただけだ」
『あんまり難しく考え過ぎんなよ?下手にはまると抜け出せなくなっちまうからな』
「ふん。貴様と一緒にするな」
『このやろう………』
その後、軽い雑談をして通話を切る。大会は明後日。それに備えなければならない。
ーーー――
そして大会翌日。結局答えという答えは出ず、大会を迎えてしまった。
「よーし、じゃあ健闘を祈るぜ」
「頑張ってくださいね」
二人から見送られ、単独で店の中へと入る。店内には既に多くの人に溢れ、見ただけでも三十四十人以上はいるだろう。
「随分と大きな大会のようだな。この人数でバトルロワイヤルとなると、長期戦を覚悟した方がいいだろう」
「あれ?あなたは確か、天之川学園の人だよね? 」
「む?貴様は…………天山学園のアモウ カズヤか」
G-セルフ パーフェクトパックで私達を追い詰めた人物だったため、よく覚えている。まさかコイツが参加しているとはな。
「やっぱり。え~と……名前はなにかな? 」
「サクラだ」
「サクラさんも、この大会に参加するんだ」
「無論だ。だからここにいる。それより、敵同士になるというのだ。馴れ合っている場合ではないだろう」
「別にいいでしょ?それに、バトルロワイヤルっていうこともあるし、一つ提案があるんだ」
「提案? 」
「少しの間、手を組まないかって思ってね。これって明らかに長期戦だし、仲間がいた方が有利だからね。どう? 」
「なるほどな。一理ある…………だが、断る」
「ええっ!?なんで!? 」
「そもそも、私は馴れ合うのは好まない。それに、貴様からいつ撃たれるか警戒していは、逆に疲れる。
以上の理由から、貴様とは組まん」
「えー…………サクラさんがそう言うなら別にいいけど、いつでも歓迎するよ。お互い生き残れるように頑張ろう」
アモウ カズヤはそう言って背を向け、この場を離れていった。
さて、私は大会に備えるとしよう。そして、コムカイ ユウトから出された問題の答えを、考えるとしよう。
ーーー――
「コムカイ君ってこういう大会が好きなのに、参加しないんですね」
観戦できる場所にいち早く移動し、近くの椅子に座っていると、アマミヤが不思議そうに聞いてきた。
「ハルカゼに止められたからな。飯奢る約束で」
「そうなんですか……………って、あれ?コムカイ君。あそこにいるのってもしかして…………」
「ん? 」
指差された方向へと視線を向けると、見知った人物がそこにいた。
「なんでここにアイツがいんだよ…………!?てか、まずくね? 」
「大会が荒らされますね、絶対」
「ああ、荒らされんな」
こりゃあ厳しい事になったぜ、サクラ?今のお前じゃ、生き残れる確率がほぼゼロだぞ?
ーーー――
大会が始まり、まさに戦場と化した地上でバトルが行われる。司会から言われた人数では四十八人いるらしい。
「モードビャッコは控えた方がよさそうだな。アモウ カズヤクラスの敵が来たら、使うしかないだろうが」
そう決め、目の前の敵を撃破していく。確かに一人一人手強いが、倒せないほどではない。
「コムカイ ユウトとバトルをし過ぎたせいか、実力の低さが分かるな」
それと同時に、自分の実力も上がっているが感じる。強者とのバトルは、やはり自分を強くしてくれるようだ。
「あれ?その機体は…………」
「貴様か…………アモウカズヤ」
「途中から見てたけど、以前よりも強くなってる」
「無論だ。それで、私とバトルしにきたのか? 」
「いや、ちょっと近くにいたから来ただけだ」
「そうか。では私は次の相手を倒しにいく」
「ちょっと。少しは話を…………っ! 」
話の途中でお互い攻撃を察知し、シールドで防いでは回避する。
「これは……」
「囲まれてるな」
敵機の姿はまだ見えないが、レーダーを確認すると八機の機体に囲まれているのが分かる。
「やっぱり、他の人も組んでいるようだ。どうする?今からでも組む? 」
「いらん。私一人で充分だ」
「なら、勝手にさせてもらう! 」
お互い同時に飛び出し、二手に分かれる。相手はこちらが接近しているのに気づき、四機で取り囲んできた。
「四対一か…………まだやったことのない組み合わせだな」
取り囲むような攻撃を回避し、ドッズライフルで反撃する。だが、先程の敵よりも実力が高い相手であるため、防がれてしまう。
「ちっ! 」
そのまましばらくバトルを繰り広げるが、一機も倒せずにいる。
「…………なるほどな」
守りが固い機体が二機、狙撃機体、機動力が高い機体。それぞれ自分の役割をこなしている。だが、もう慣れた。
「そこだ! 」
機動力の高い機体の動きを先読みし、ドッズライフルで機体を撃ち抜く。遠距離狙撃を回避し、MA形態に変形して接近する。
その際、迎撃のため弾幕が張られるが、ビーム突撃砲やドッズライフルで破壊し、守りが固い機体の内の一機の前に飛ぶ。
ビームサーベルを振るわれたが、直前でMS形態に変形し、ビームサーベルで機体を真っ二つにする。
そのままビームサーベルを振るい、残りの一機も切断。守りが手薄になったところで、狙撃機体も撃破する。
「ふぅ…………」
ギリギリのバトルだったため、ため息を一つ吐く。すると、後ろからもう一機近づいている事に気づき、急いでビームサーベルを振るう。
「うわっ!?危ないな! 」
G-セルフ パーフェクトパックがコピペシールドでビームサーベルを防ぎ、少し距離を取る。
「こっちも終わったから援護に来たけど、ちょうど終わったっぽいか」
「余計なお世話だ。私に付きまとってくるな」
「まあいいじゃないか。残り二人になって、そこで決着をつけよう。それまで別にいいでしょ」
「勝手にするがいい」
MA形態に変形し、次の場所へと移動する。G-セルフ パーフェクトパックは隣に追従してついてきた。
「む?あれは確か…………」
遠くを見ると、どこか既視感を感じる機体がバトルしていた。
「見たことがあるの? 」
「おそらく、知っている顔だ。一度バトルしたことがある。実力は貴様以上だろう」
「なるほど。それは楽しみだ」
それだけ言い、会話は終了した。流れ弾がこちらを襲い、二手に分かれて戦域へと入る。
『ん?なんかどっかで見たことあんな………』
『クオン、天之川学園の後輩だよ。ほら、前に練習試合を頼まれた時の』
『ああ、あん時か! 』
『お前は記憶力がねーなー! 』
『うるせえ! 』
練習試合の時の機体が三機揃い、武器を構えて備えていた。
『共闘…………って様子じゃなさそうだね』
『じゃあ、早速やらせてもらうぜ!行くぞジュンイチ! 』
『おーけー! 』
ダブルオークアンタフルセイバーとガンダムAGE-2ダークハウンドが接近してきた。
『僕は別の敵と戦ってるから、またあとで合流しよう』
『おう! 』
『手加減はしねーぞ、後輩! 』
「望むところだ」
MS形態に変形し、ドッズライフル二丁で二機を迎撃する。だが軽々と回避され、反撃に GNソードⅥフルセイバーをGNランチャーモードで砲撃してきた。
辛うじて回避し、再びドッズライフルを構える。しかし、構えた直後にドッズランサーのドッズガンで破壊されてしまう。
「ちっ! 」
左手にビームサーベルを構え、迎撃の体勢を取る。すると、ティグリスガンダムと二機の間に一本のビームが介入し、距離を取られる。
「確かに、これは強い」
ビームが放たれた方向からG-セルフ パーフェクトパックが現れ、隣に移動してきた。
「これで二対二だ。文句は言わせない」
『別にかまわねーよ。なあジュンイチ』
『ああ。問題ねーよ』
「いや、サクラさんに対してだけどね」
「余計なお世話だ………! 」
「さて、じゃあ行こうか! 」
G-セルフ パーフェクトパックが先行し、ビームライフルで攻撃しながら接近する。
ティグリスガンダムはMA形態に変形し、ビーム突撃砲とドッズライフルで攻撃しながらあとに続く。
相手の二機は攻撃を回避し、GNロングライフルとドッズガンで迎撃してくる。
それに対し、G-セルフ パーフェクトパックがコピペシールドからビームプレーンを発生し、ビームを吸収する。
『やっべっ!? 』
「アサルトモード! 」
機体色が赤色になると、バックパックの二つのユニットとトラックフィン、そしてビームライフルで砲撃する。
二機はすぐさま回避したが、その先を読んでドッズライフルでダブルオークアンタフルセイバーを攻撃する。
しかし、フルセイバーで防がれ、そのまま距離を詰めてフルセイバーを斬り下ろす。これをギリギリで回避するが、シールドが失われてしまった。
「ぐっ! 」
G-セルフ パーフェクトパックもガンダムAGE-2ダークハウンドのドッズランサーによりコピペシールドを破壊され、そのまま蹴りを入れられてしまう。
「くそ! 」
ティグリスガンダムとG-セルフ パーフェクトパックは相手から距離を取ろうとするが、それを拒絶するように距離を詰めてきた。
ダブルオークアンタフルセイバーはGNバスターソードとフルセイバーを両手に構え、ガンダムAGE-2ダークハウンドは右手にドッズランサーに、左手にビームサーベルを構えて攻撃してきた。
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