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ガンダムビルドファイターズ ~orbit~

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バトルロワイヤル 後編


「「ぐっ…………! 」」

お互いビームサーベルを両手に構え、相手からの攻撃を受ける。その際衝撃を殺そうとバックステップをするも、勢いは殺せず吹っ飛ばされてしまう。

「ちぃ…………! 」

体勢を立て直し、ビームサーベル二刀を構えて対峙する。

どうする?一度戦ったことがあるとはいえ、前回はここまで苦戦などしなかった。手を抜かれていたのか、それともまた別の何かなのか…………?



『山猫が厳しい自然の中、獣の中を生きるには、何を身につければいい?もちらん、生き残るための術とか、そう言うもんじゃねーからな』



ふと、コムカイ ユウトから言われた、意味の分からないヒントを思い出す。
なぜ今この事を思い出すのだ…………?

「アモウ カズヤ…………山猫が厳しい自然の中、獣の中を生きるには、何を身につければいいと思う? 」

「はぁっ?この状況で聞くこと? 」

「いいから答えろ」

「え~と…………僕、というか、サカキさんなら、こう答えるかもしれない。
へ?山猫じゃ普通無理だろ?俺ならもっと強い動物を選ぶぜ!ライオンとか虎とかな!まあ、それでも無理なら仲間を頼るぜ!遠慮なくな!…………ってね」

「っ────!? 」

なるほどな…………そう言うことか。
カグラ レイは、耐えれるように強くなる。
セシリアちゃんは山猫じゃ生きられないと思うと言った。
そして、アモウ カズヤ…………もとい、サカキという男の答え。

「なるほどな…………馬鹿同士、考えと答えが合うということか」

「え?いや確かに、お世辞にもサカキさんは頭いいとかではないけど…………もしかして、僕も馬鹿にされてる? 」

「違う。だが、感謝する」

至極簡単な事だった。コムカイ ユウトが山猫に例えた理由は、癪だが私の事を言っているのだろう。
私はそれを頑なに認めなかった。だから迷走したのだろう。

山猫で無理なら、より野生的な、虎になればいい。この機体は白虎だ。それで無理なら、仲間を頼ればいい。生きるためにも。

「よし、アモウ カズヤ。私に協力しろ」

「へ?今さらだけど、いいよ。で、何かあったの? 」

「馬鹿から出された問題が解決しただけだ。それより、貴様のその機体には特殊システムがあるだろう?あれで一気に畳み掛ける」

「了解」

「それで、順応無人に私が駆け回って錯乱する。貴様はその中から連携できるポイントを探りつつ、攻撃しろ」

「ずいぶん難しい事を言う……けど、任せて! 」

「よし、モードビャッコ! 」

「スコードォっ! 」

ティグリスガンダムは白い光を纏い、G-セルフ パーフェクトパックは黄色い光に包まれる。

『作戦会議は終わったようだな! 』

『なら、こっちも行くぜ!トランザムっ!! 』

ダブルオークアンタフルセイバーも特殊システムを発動し、機体が深紅に染まっていく。

「任せたぞ!アモウ カズヤ! 」

MA形態に変形し、ダブルオークアンタフルセイバーとガンダムAGE-2ダークハウンドの四方八方を駆け回る。
その間、G-セルフ パーフェクトパックはダブルオークアンタフルセイバーの相手をしながらも高速移動をしている。

『くそっ!動きが読めなくなった! 』

『こっちもだ! 』

二人して動きに統一性が無い動きに戸惑う。少なくともダブルオークアンタフルセイバーは、G-セルフ パーフェクトパックを相手にするのに意識を割いているため、細かいところまで目が届かなかった。

「っそこだ! 」

「───了解! 」

瞬間的に重なった連携ポイントを逃さず、二機はすぐにガンダムAGE-2ダークハウンドをビームサーベルで斬りつける。

『ぐっ! 』

ドッズランサーで攻撃を防ぎつつ回避しようとされるが、それでも左腕を切断。右足に切り傷をつけることに成功した。

「浅い…………! 」

「ならもう一度やればいい話だ!行くぞサクラさん! 」

再び戦場を高速移動し、二機を撹乱する。再び連携ポイントへと到達し、再びビームサーベルを構える。
位置的にはガンダムAGE-2ダークハウンドを狙うだろうが、お互い意図が分かっているのかダブルオークアンタフルセイバーへと向かっていった。

『っ!? 』

「いっ……! 」

「けぇぇぇぇぇっ!! 」

ダブルオークアンタフルセイバーは予想外の行動に反応が遅れ、防御に間に合わなかった。そのため左腕を失い、フルセイバーも切断される。

『ちっ!やるな後輩! 』

あっちから距離を取ってきたため、再び対峙する。

「中々言い感じに戦えてるんじゃない? 」

「だが、致命傷とまではいかん。このまま押しきり──」

と、言いかけたところで第三者が四機の間に降ってきた。その際の衝撃で土煙が立ち姿が見えないが、次第に晴れていく。

「なんだ? 」

機体はアストレイレッドフレーム改で、バックパックはエールストライカー。カラーリングも赤に白ではなく紫に白だった。
レッドフレームというよりは、パープルフレームか、マゼンタフレームといったところか?

アストレイはガーベラストレートを抜刀し、右手に構える。

『面白そうなバトルをしてるね。悪いけど、混ぜてもらうよ!四対一でもいいよ? 』

『なめやがって…………行くぜ!クオン! 』

『おお! 』

「…………サクラさん。どうする? 」

「無論、倒すまでだ。一時的にあちらと共闘だろうが…………」

「?どうしたの? 」

「あの機体からは、殺気どころか実力が何も感じられない…………ただ者ではない」

そう言いながらも、二機に続いてアストレイへと接近する。ダブルオークアンタフルセイバーはGNソードⅤを。ガンダムAGE-2ダークハウンドはドッズランサーを構える。

そして、アストレイが間合いに入ったところで武器を振るった。

『さて…………行くよ! 』

アストレイはガーベラストレートで、まずGNソードⅤを受け流し、そのまま右肩の関節から切断する。

『なっ!? 』

流れるようにガーベラストレートを水平に斬り払い、ダブルオークアンタフルセイバーの胴体を真っ二つにする。
続くガンダムAGE-2ダークハウンドも同じ要領で撃破。一瞬にして二機を撃墜した。

「トランザム中のクアンタフルセイバーをっ!? 」

「───っ全力で行く! 」

苦戦していた相手が一瞬にして倒されたのを目の当たりにし、意識を完全に集中させる。

二機同時でビームサーベル二刀で攻撃していくと、アストレイは回避と防御に専念している。しかし、それはガーベラストレート一刀でだ。

『筋は悪くないっと。あとは君達と皆次第かな? 』

何かを呟いているようだったか、小さかったためよく聞き取れなかった。というより、聞き取る余裕が無かった。

さっきまで回避と防御に専念していたが、今度は反撃も交えてきた。しかも、回避も防御も出来ないような攻撃だ。

「このままじゃ…………! 」

「馬鹿者!諦めるなっ!まだ終わりではない! 」

『いいね。大事だよ、その心の強さ。
今はまだ無理だけど、諦めなければいつかきっと、君達の刃が届く日が来るよ』

そう言うとアストレイの姿が消え、気づいたら私達の機体は真っ二つに切断されていた。





ーーー――





「まあ、なんだ。今回はしょうがねぇな」

「しょうがないですね」

大会が終わったあと、私はアモウ カズヤは分かれ、コムカイ ユウトとアマミヤ アカネの元にいる。

「なんだ?余計な慰めはいらんぞ? 」

「慰めじゃねぇよ。言っとくが、お前がさっき戦ったアストレイの使い手…………アイツ、俺らの世代で全国トップクラスの奴だ。
正直、俺でも勝てるかわかんねぇぞ」

コムカイ ユウトですら、勝てるか分からない人物か…………。

「なぜそれほどの人物が、ここにいるのだ…………」

「分かりませんね…………声をかけようにも、すぐにどっか行っちゃいましたからね。表彰式も出てませんでしたし」

「まあ、大丈夫だろ。それよりクズリュウ」

「クズリュウと呼ぶなと言っているのだろう?貴様はやはり馬鹿だな」

「テメェ…………一応年上だぞコラ? 」

「どうでもいいだろう。それよりもなんだ? 」

「で、色々と予定外な事が起きちまったが、答えが分かったようだな? 」

「馬鹿が考えたようなヒントがなければ、もっと早く気づけたがな」

「確かに、私でも分かりづらいですからね」

「テメェら…………」

「だが、確かに自分に足りないものは分かった。コムカイ ユウト。アマミヤ アカネ。明日からも指導を頼む」

二人に頭を下げ、改めてお願いする。そのせいか、コムカイ ユウトは心底驚いた表情になる。

「!…………へっ。ようやくやる気になったか。任せろ! 」

「微力ながら、力になりますよ」

「感謝する」

頭を上げ、感謝を述べる。

仲間を頼る…………か。私には、少し足りなかったようだな。それに、私自身の力も。

「ふっ…………」

軽く笑みを浮かべ、天之川学園があるであろう方向へと顔を向けるのであった。





ーーー――





「さて、と」

スマホを取り出し、ある人物に電話を入れる。数回コールが鳴ったところで、電話が繋がった。

「もしもし?トウイー?………うん。そうだよ。少なくとも、被害はあっちまであった。…………うん。多分そうだと思うよ。まあ、報告は以上かな。

…………えっ!?う~ん、どうしようかな?行ってもいいんだったら行くよ!え?いいの?じゃああとで行くね!バイバイ! 」

電話を切り、スマホをポケットに入れる。そしてさっきまでの報告を気にせず、早足で目的地へと向かったのであった。

 
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