英雄伝説~灰の軌跡~
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第3話
~オーロックス砦~
「な、何者だ、貴様らは!?」
「そ、その紋章は……まさかメンフィル帝国か!?」
「なっ!?メンフィルだと!?」
「何故メンフィルが宣戦布告もせずにこのオーロックス砦を……いや、クロイツェン州を襲撃した!」
リフィア率いるメンフィル軍が砦内に突入すると貴族連合軍の兵士達や貴族連合軍が登用している軍用魔獣達が現れ、兵士達はリィンやメンフィル軍の兵士達が身に纏っている軍服や鎧の紋章を見て驚き、そしてリフィア達を睨んで問いかけた。
「薄汚い反逆者に堕ちたに飽き足らず、他国にまで襲撃した愚か者達に答える道理はない!」
「ククク、”問答無用”と言う事だ。わかったのならとっとと雑魚共を呼ぶがいい!」
貴族連合軍の兵士達の問いかけに対して全身に覇気を纏ったリフィアが答え、リフィアに続くように答えたディアーネは凶悪な笑みを浮かべて貴族連合軍の兵士達に命令した。
「我等誇り高きクロイツェン領邦軍が反逆者だと!?」
「お、おのれ、言わせておけば……!」
「クッ……!」
二人の答えを聞いた兵士達はそれぞれ武器を構え、更に笛を吹いて援軍を呼び寄せた。
「―――援軍か。」
「援軍と言っても大した数ではないわ。5分以内で終わらせましょう。」
「クク、もっと出てくるがいい!全て我が滅してやろう!」
援軍を見たゼルギウスとシグルーンはそれぞれ冷静な様子で呟き、ディアーネは凶悪な笑みを浮かべた。
「―――総員、戦闘開始!メンフィルの怒り、思い知らせてやれっ!そして余達の道を阻む愚か者共を殲滅せよ!」
「仰せのままに、殿下(イエス・マイロード)!!」
そしてリフィアの号令の元リフィア率いるメンフィル軍は貴族連合軍の兵士達との戦闘を開始した!
「魔神連牙斬!!」
「二の型―――疾風!!」
「ぐあっ!?」
「うおっ!?」
「ガアッ!?」
戦闘開始早々ゼルギウスが繰り出した3連続の高速の衝撃波とリィンが繰り出したカマイタチを纏った電光石火の斬撃を受けた兵士達は怯み
「滅せよ!―――タキオンの爆発!!」
「炸裂せよ、聖なる光よ――――ホーリーバースト!!」
そこにリフィアとセレーネの高火力の魔術が発動し、二人の魔術を受けた兵士達は絶命した!
「グルルルルッ!!」
その時魔獣がリフィアやセレーネに襲い掛かったが
「殿下には指一本触れさせません!―――瞬迅槍!!」
「刃よ、伸びよ!」
「「ガッ!?………」」
シグルーンの槍による一突きとエリゼが放った連接剣の刃を伸長によって急所を突かれて一撃で絶命した。
「二の型―――洸破斬!!」
「え――――」
「あ―――――」
リィンは神速の抜刀による衝撃波の刃を解き放って兵士達の首を刈り取って絶命させ
「邪霊一閃!!」
「ギャアアアアアァァァ―――ッ!?」
「グアアアアアアアア―――ッ!?」
ゼルギウスは全身に甲冑を纏っているとはとても思えない凄まじい速さで飛び込んで次々と兵士達を切り裂いて絶命させ
「闇に呑まれるがいい――――ティルワンの死磔!!クク、まだ終わらんぞ――――漆黒の翼よ、全てを蹂躙しつくせ!ルシフェンウィング !!」
「漆黒の霧よ、暗黒の呪いを我が仇名す者達に与えよ!破滅のヴィクティム!!エニグマ駆動!――――覇王竜よ、余の怒りの炎で焼き尽くせ!ロードインフェルノ!!」
「ギャアアアアアアッ!?」
「ガアアアアアアア――――ッ!?」
リフィアとディアーネは高火力の魔術やアーツを次々と放って多くの兵士達や魔獣を絶命させた!そしてメンフィル兵達はリフィアを護りながら次々と貴族連合軍の兵士達を殺し続けた!
「ハハハハハッ!脆い!脆すぎるぞっ!!」
「グアアアアアアアッ!?」
「ギャアアアアアアッ!?」
ディアーネは凶悪な笑みを浮かべて笑いながら魔槍で闘気を込めた薙ぎ払いを放って貴族連合軍の兵士達の身体を上下にわかれさせて絶命させ
「フン!!」
「うっ!?か、身体が……!?」
目に魔力を込めて兵士を睨んだ。すると兵士は石になったかのように身体が固まり
「クク、死ねぇっ!!」
「ガハッ!?」
その隙を狙ったディアーネは魔槍で自身の魔眼によって動きを封じ込められた兵士の喉元を貫いて絶命させた!
「グルルルルッ!!」
その時魔獣がディアーネに襲い掛かったが
「雑魚が、鬱陶しいわ!宵闇の一撃!!」
「ギャンッ!?」
魔力を込めた魔槍で魔獣の頭を破壊して絶命させ
「クク、塵となるがいい!キル・ディアーネ!!」
「ウアアアアアアアアッ!?」
「ギャアアアアアアッ!?」
続けて魔力によって発生した無数の魔槍を解き放ち、多くの兵士達や魔獣達を絶命させた!その後もリフィア達は圧倒的な戦いを繰り広げて僅か4分で貴族連合軍の兵士達を殲滅した!
「フン、もう終わりか?」
自分達以外全員絶命して血溜まりに倒れている貴族連合軍の兵士達や魔獣達を見回したディアーネは鼻を鳴らして不満げな表情をし
「あまりにもあっけなかったですね……確か話によると貴族連合軍はメンフィルが現れるまでは”大陸最強”の異名を轟かせていた帝国正規軍を圧倒していたとの事でしたよね?」
「正規軍を圧倒したと言ってもそれはあくまで”兵器”同士の戦いだし、内戦当初正規軍が貴族連合軍に圧倒された一番の理由は”機甲兵”の性能が未知であった事が一番の理由だとの事だ。現に今では正規軍も機甲兵相手に互角の戦いを繰り広げているそうだし、白兵戦になると”兵器ではなく軍人自身の強さ”が関係してくるからあっけなかったように感じたんだと思う。」
「それに白兵戦と言ってもエレボニア帝国もそうですがゼムリア大陸の国家の軍隊の白兵戦の主力武装は銃を始めとした近代兵器との事ですから、乱戦や接近戦も得意とする私達メンフィル軍にとっては大した相手ではありませんもの。」
エリゼの疑問に対してリィンとシグルーンはそれぞれの推測を答えた。
「リフィア殿下。先程プリネ皇女殿下率いる別働隊がケルディックに到着。これよりケルディック占領の為に防衛部隊の殲滅を開始するとの事です。」
「うむ。では余達もプリネ達よりも早く終わらせる勢いで電光石火のような早さでこの砦を制圧するぞ!」
「御意。」
(ツーヤお姉様…………いけない!今は戦闘中。気を抜いてはいけませんわ……!)
リフィアへのゼルギウスの報告を聞いていたセレーネは双子の姉であるツーヤを思い浮かべたがすぐに気を取り直し、リフィア達と共にオーロックス砦の攻略を開始した。
~同時刻・”交易町”ケルディック~
一方その頃ケルディックに到着したエリオット達は二手に分かれてケルディックの民達に街道で領邦軍とメンフィル軍の戦闘が始まった為、街道にいる領邦軍を撃破したメンフィル軍がケルディックに到着してケルディックに残っている領邦軍との戦闘に巻き込まれない為に七耀教会に避難するように説明したり、また七耀教会には避難してきた民達の受け入れの要請等をした後街道への出入り口で合流した。
「メンフィルと領邦軍の戦いに巻き込まれる前に早く七耀教会に避難しろ――――ッ!」
「キャアアアアアァァァ――――ッ!」
「ううっ、内戦の次はメンフィル帝国との戦争だなんてエレボニア帝国は一体どうなるんだ………!?」
「領邦軍は何をしているんだよ――――ッ!」
二手に分かれてそれぞれの役割をこなしたエリオット達が合流していた頃にはケルディックの民達にもメンフィル軍と領邦軍の戦闘が伝わっていた為、ケルディックの民達はそれぞれ必死に七耀教会に避難していた。
「何とかメンフィル軍が到着する前にケルディックの住民全員に知らせが行き渡ったみたいね。」
「ええ。避難誘導も元締め達が協力してくれているお陰で予想よりも早く避難が始まっていますから、運が良ければメンフィル軍がケルディックに到着する前に避難が完了――――」
サラの言葉にクレア大尉が頷いたその時
「貴様ら、何をしている!?」
「誰からメンフィルによるケルディック侵攻の話を聞いた!その件は軍事機密だぞ!?」
「りょ、領邦軍……!」
「そこをどいてくれ!俺達は戦闘に巻き込まれて死にたくないんだよ!」
領邦軍の兵士達が現れて避難している民達の行く手を遮った。
「チッ、めんどうなのが現れたわね……!」
「……本来領邦軍が率先して避難誘導するべきなのに、思いっきり邪魔しているね。」
「クッ……これじゃあケルディックの人達の避難が……!」
「ど、どうしよう……!?」
その様子を見ていたサラ教官は舌打ちをして厳しい表情をし、フィーはジト目で呟き、マキアスは唇を噛みしめ、エリオットは不安そうな表情をした。
「仕方ありません。速攻で民達の避難を邪魔している領邦軍を制圧して――――」
そして導力銃を構えたクレア大尉がサラ達に戦闘を促したその時!
「深淵の槍よ、貫け―――死愛の魔槍!!」
「十六夜―――――”突”!!」
「「ガハッ!?………」」
別の街道の出入り口からメンフィル兵達を率いて現れたリウイとペテレーネの娘にしてレンの義姉でもあるメンフィル皇女の一人―――プリネ・カリン・マーシルンが魔術によって発生した暗黒の槍を放ち、プリネに続くようにセレーネの双子の姉にしてプリネの”パートナードラゴン”でもある”ルクセンベール伯爵家”当主にしてプリネの専属侍女長兼親衛隊長―――ツーヤ・ルクセンベールは抜刀によって発生した斬撃波で民達の避難の邪魔をしている兵士達を殺害した!
「キャ、キャアアアアアァァァ――――ッ!?」
「メ、メンフィル軍が来たぞ――――!」
「早く七耀教会に避難しろ――――ッ!」
それを見たケルディックの民達はパニックを起こして我先にと七耀教会へと避難し
「総員、これよりケルディックの制圧並びに領邦軍の殲滅を開始しなさい!」
「作戦前にも伝えましたが民間人への危害は厳禁です!私達の狙いは領邦軍の兵士達のみです!それを絶対に忘れないでください!」
「御意ッ!!」
ツーヤとプリネの号令の元メンフィル軍は領邦軍との市街戦を繰り広げ始めた!
「なっ!?まさかもう街道での戦いを終わらせたのか……!?」
「……違う。状況から考えてあのメンフィル軍は別働隊。」
「恐らく街道での戦いで守備ががら空きになった隙を狙ったのでしょうね……!」
プリネ達の登場を見て驚いたマキアスの推測をフィーは否定した後真剣な表情で推測し、サラはフィーの推測を補足して厳しい表情で領邦軍との戦いを繰り広げ始めたメンフィル軍を睨んでいた。
「あ、あれ……?指揮官らしき人がメンフィル軍の兵士達に民間人に手を出すなみたいな事を言っていた気がするけど僕の気のせいかな……?」
「そ、そう言えば………」
「わたしの耳にもハッキリと聞こえた。――――『民間人への危害は厳禁』って。」
その時号令前のプリネのメンフィル軍への指示を思い出したエリオットは戸惑い、エリオットの話を聞いたマキアスは目を丸くし、フィーは静かな表情で頷き
「……不幸中の幸いなのか、どうやらメンフィル軍は民間人に危害を加えるつもりはないようですね。メンフィルの意向かもしくは別働隊を率いているプリネ皇女殿下の意向のどちらなのかはわかりませんが……」
「―――まあ、それに関しては”どちらの意味”でも否定はしない。」
そしてクレア大尉が静かな表情で呟いたその時何と元結社”身喰らう蛇”の”執行者”にしてプリネの恋人でもあるプリネ皇女親衛隊副長――――”剣帝”レオンハルト=ベルガー――――通称”レーヴェ”が現れてエリオット達の前に立ちはだかった!
「だ、誰……!?」
「!!あんたは……!」
「結社”身喰らう蛇”の”執行者”No.2―――”剣帝”レオンハルト=ベルガー!」
レーヴェの登場に驚いたエリオットは不安そうな表情をし、レーヴェの顔に見覚えがあるサラ教官とクレア大尉はそれぞれ厳しい表情で武器を構えてレーヴェを警戒し
「なっ!?”身喰らう蛇”の”執行者”って帝都で現れたあの”怪盗B”と同じ………!」
「……不味い。よりにもよって相手が”最強の執行者”だなんて、分が悪すぎる。」
クレア大尉が口にしたレーヴェの正体を知ったマキアスは信じられない表情をし、フィーは厳しい表情でレーヴェを睨んで警戒していた。
「その情報は”両方とも”間違っている、”氷の乙女(アイスメイデン”)に”西風の妖精”。”最強の執行者”と呼ばれるべき存在は俺ではないし、今の俺はメンフィル帝国――――メンフィル皇女プリネ・カリン・マーシルン皇女親衛隊副長だ。」
「ええっ!?け、結社の”執行者”がメンフィル帝国のお姫様の親衛隊の副長!?」
「め、滅茶苦茶だ……!」
レーヴェのクレア大尉とフィーへの指摘を聞いたエリオットは驚き、マキアスは疲れた表情で声を上げた。
「そんな細かい事は頭の片隅にでも追いやっておきなさい!それにしてもまさかこんな形であんたと邂逅する事になるとはね……!」
「―――”紫電のバレスタイン”。エレボニアの遊撃士の中でも5本の指に入る元A級正遊撃士にして今は”トールズ士官学院”の武術教官だったか。フッ、随分と俺に対して色々と思う所があるように見えるが、俺の記憶が間違っていなければ”紫電”とやりあった記憶はないのだが?」
サラに睨まれたレーヴェは静かな表情でサラの情報を口にした後興味ありげな表情でサラを見つめて問いかけ
「ええ、あんた自身とやりあった事はないわよ。でも、2年前の”リベールの異変”が起こる半年前くらいに起こったエレボニア帝国の事件――――帝都各地で起こった猟兵達による遊撃士協会支部の襲撃事件と言えばわかるでしょう?」
「そ、それって……」
「以前教官の話にあった……」
「―――なるほど、”ジェスター猟兵団”か。確かに奴等には俺が稽古をつけてやったのだから、遊撃士協会の支部を襲撃した奴等を強化した俺に対して思う所があってもおかしくないな。」
サラの答えを聞いたエリオットとマキアスは目を丸くし、かつての出来事を思い出したレーヴェは納得した様子で頷いてサラを挑発するかのように口元に笑みを浮かべてサラを見つめた。
「言ってくれるわね……!なんなら今ここでやりあって2年前にあんたが育てた連中から受けた”借り”を返してもらってもいいのよ!?」
「落ち着いて下さい、サラさん!―――”剣帝”レオンハルト、先程今の貴方はプリネ皇女の親衛隊の副長と仰いましたが、それならば”エレボニア帝国”として”メンフィル帝国”に聞きたい事があります!」
今にもレーヴェに戦闘を仕掛けそうなサラの様子を見たクレア大尉はサラに冷静になるように指摘した後厳しい表情でレーヴェに問いかけた。
「何が聞きたい。」
「―――何故メンフィル帝国はケルディック―――いえ、エレボニア帝国侵攻を行っているのですか!?やはりユミル襲撃の件ですか!?」
「ほう?内戦でエレボニア全土が混乱しているこの状況で既にユミルの件を掴んでいるとは………―――なるほど、遊撃士協会経由か。”鉄血宰相”によって支部を撤退させられたにも関わらず”鉄血宰相”の忠臣である”鉄血の子供達”にわざわざ教えてやるとは、随分とお人好しな事をしたのだな?まさか同じ遊撃士であるエステル・ブライトのお人好しな部分が移ったのか?」
クレア大尉がユミル襲撃の件を知っている事に僅かに驚いて目を丸くしたレーヴェだったがサラに視線を向けて全てを悟ると口元に笑みを浮かべて問いかけた。
「うっさいわね!それとこれとは別問題だし、あの娘は関係ないわよ!それよりもさっさとメンフィル帝国によるエレボニア帝国侵攻の理由を答えなさい!」
「……まあ、そのくらいなら答えてやってもいいだろう。――――お前達の予想通りだ。メンフィル帝国は”ユミル襲撃”の件に対してリベールの王都グランセルに存在するエレボニア帝国の大使館に厳重に抗議し、更にユミル襲撃に対する謝罪や賠償を求めたが、エレボニアはメンフィルの要請に対して一つも応えなかった。よってメンフィル帝国は”エレボニア帝国侵攻”を決定した。かつて”ハーメルの惨劇”を盾にしてリベールに侵攻をしたエレボニアのようにな。最もユミルの件は”ハーメル”の時と違い、正真正銘エレボニアの仕業によるものの上戦争を回避する猶予も与えていたが。」
「!!やはりですか……!」
「チッ……ただでさえ内戦で国内が混乱しているっていうのに、他国―――それもメンフィル帝国との戦争を回避する事もしないなんて貴族連合は一体何を考えているのよ!?」
「ハ、”ハーメルの惨劇”………?」
「そ、それに”リベールに侵攻をしたエレボニアのように”って、まさか……!」
「……”百日戦役”。」
サラの問いかけに対して答えたレーヴェの答えを聞いたクレア大尉とサラがそれぞれ厳しい表情をしている一方、12年前に起こったエレボニアとリベールの戦争の話が出た事でエリオットは戸惑い、マキアスは信じられない表情をし、フィーは真剣な表情で呟いた。
「………レオンハルト殿。現在ケルディックを占領する為にメンフィル軍を率いている指揮官―――いえ、プリネ皇女殿下への面会を取り次いでもらえないでしょうか?」
「へ……」
「ク、クレア大尉……一体何を……?」
「……………」
一端落ち着いたクレア大尉のレーヴェへの要求を聞いたエリオットは呆け、マキアスは戸惑いの表情をしている中レーヴェは何も答えることなく目を細めてクレア大尉を見つめていた。
「皆さんもご存知のようにエレボニアは内戦の真っ最中で、エレボニア皇族である”アルノール家”の方々に関してはオリヴァルト皇子殿下を除き、ユーゲント皇帝陛下を含めて全員貴族連合によって囚われています。以上の事からエレボニア帝国は現在非常事態の為、メンフィル帝国に謝罪や賠償が遅れてしまった事等の説明をし、せめてエレボニア侵攻を一時的に停止してもらう為の嘆願や交渉をする為です。」
「あ………」
「……………」
「それにエレボニアがメンフィルに降伏するにせよ、和解の為の交渉をするにせよ、エレボニア帝国の皇族――――ユーゲント皇帝陛下、もしくは帝位継承権があるセドリック皇太子殿下かアルフィン皇女殿下が調印の場にいなければメンフィルにとっても色々と都合が悪いのだと思うのだけど?」
クレア大尉の説明を聞いたエリオットは呆け、フィーは黙り込み、サラは真剣な表情でレーヴェに問いかけた。
「―――下らん。それは”エレボニア帝国の事情”だ。”他国”であるメンフィル帝国がわざわざエレボニアの事情に付き合ってやる”義理”はない。」
「そ、そんな……!」
「……ま、そんな事だろうと思っていたよ。」
クレア大尉の要請を悩む事無く断ったレーヴェの答えを聞いたマキアスは不安そうな表情をし、フィーは静かな表情で呟いた。
「それに”氷の乙女”。お前は何様のつもりだ?お前が面会を希望する相手は他国―――それも戦争状態に陥っている国の皇族。たかが軍の将校―――それも”尉官”クラス如きがプリネ皇女に面会を望む等、あまりにも身の程知らずな要請だ。エレボニア皇族が無理なら最低でも”四大名門”の当主か帝都知事を連れて来なければ話にならないな。」
「そんなの絶対無理に決まっているじゃないか!”四大名門”の当主は貴族連合の上層部か親玉だし、帝都知事である父さんは貴族連合に捕まったんだぞ!?」
「マキアス………」
「絶対無理だとわかっている相手が最低条件だなんて、わたし達に”姫君の中の姫君”と面会させるつもりなんて最初からないんでしょ?」
レーヴェの答えに対して反論するマキアスの様子をエリオットは辛そうな表情で見つめ、フィーはジト目でレーヴェを見つめて指摘した。
「……ッ!ならばクレイグ中将閣下はどうですか!?正規軍の中でも上位の官職―――”将官”クラスであるクレイグ中将閣下ならば、プリネ皇女殿下に面会する”資格”はあると思われるのですが!?」
「へ………」
「どうやらそっちはガレリア要塞の演習場に陣をはっている”第四機甲師団”とも既に合流済みみたいだね。」
「あ………」
一方クレア大尉は唇を噛みしめた後レーヴェに問いかけ、クレア大尉の話を聞いたマキアスが呆けている中サラを見つめて呟いたフィーの推測を聞いたエリオットは呆けた声を出した。
「ええ、クレイグ中将は今もご無事で貴族連合とやりあっているわ。」
「よかった……父さんが無事で……」
サラの話を聞いたエリオットは安堵の表情で溜息を吐いた。
「…………まあ、”紅毛のクレイグ”ならば一考の余地はあるが……どの道この場に本人がいなければ話にはなるまい?それとわかっていると思うが辞めたか休職したかは知らないが、”今は士官学院の教官である為遊撃士ではない”お前にもプリネ皇女に面会を望む資格はないぞ、”紫電のバレスタイン”。」
「……ッ!」
レーヴェに図星を突かれたクレア大尉は唇を噛みしめ
「………ッ!だったら、”力づく”でもこっちから会いに行くまでよ!」
クレア大尉のように唇を噛みしめていたサラは自身の得物である強化ブレードと銃を構えた!
「ええっ!?ま、まさか……!」
「ほ、本気ですか、教官!?今ここでメンフィル軍に所属している人とやりあったら、余計に状況が悪化しませんか!?」
サラの行動を見たエリオットとマキアスは驚き
「そんな余計な事は後で考えなさい!それにどの道戦争をしている国―――メンフィル帝国の軍人であるそいつがエレボニア帝国の軍将校や士官学院の関係者であるあたし達をこのまま見逃す訳がないわよ!」
「―――その通りだ、”紫電”。」
二人への指摘に頷いたレーヴェは自身の得物である”魔剣レヴァンテイン”を構えた!
「メンフィル帝国の軍人として……そしてカリンの守護者として今この状況で不確定要素であるお前達をカリンに接触させる事はこの俺が許さん。もし、お前達の覚悟が俺の信念を上回っているのなら……力をもって証明してみるがいい!」
「上等よ!2年前にあんたが育てた連中から受けた”借り”も利子込みで纏めて返してもらうわよ!」
「―――皆さん!最悪プリネ皇女の面会を諦めてケルディックから撤退します!ですから無理に勝ちに行こうとしないでください!」
「サラとクレア大尉もいるけど、多分こちらの勝率はよくて1割―――ま、例え撤退するにしても死ぬ気で頑張って。」
「ほ、ほとんど勝ち目がないじゃないか!?」
「ううっ、何でこんなことに……でも、”Ⅶ組”のみんなとまた会う為にも絶対にここで倒れる訳にはいかない……!」
剣を自分達に突き付けたレーヴェの言葉に対してサラが答え、クレア大尉はエリオット達に忠告し、双銃剣を構えたフィーの推測を聞いた散弾銃を構えたマキアスは表情を引き攣らせて指摘し、エリオットは疲れた表情で呟いた後決意の表情で魔導杖を構え、そしてサラ達はレーヴェとの戦闘を開始した―――――!
後書き
と言う訳でまさかのレーヴェVS閃陣営です!……え?閃陣営の勝ち目はあるのかって?幾らサラとクレアがいるとはいえ、原作の時点でカシウスやアリオスと同等かそれ以上という強さなのに影の国や幻燐陣営によって強さがブーストされたレーヴェ相手に閃陣営に勝ち目があると?(大爆笑)なお、次回の戦闘BGMは空シリーズの名曲、”銀の意志”シリーズのどれかか、閃Ⅱの”Severe Blow”、戦女神ZEROの”鬼神降臨”のどれかだと思ってください♪
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