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世界をめぐる、銀白の翼

作者:BTOKIJIN
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第二章 Lost Heros
  わずかな光明




襲撃者の狙いがわかった今、もはや全員を自宅などの各自離れた場所にいさせるのは危険すぎる。
その考えから、全主要メンバーが次々と「EARTH」へと集められ、戦う力のある者のみを選定し、更にチーム分けして調査に動き、移動の際には必ず「EARTH」敷地内はおろか、建物内でも複数人で固まることを義務付けられた。




しかし、ザフィーラとシャマルがいなくなった路地や、今までいなくなった者たちの前日などを、これだけの人数で調査したにもかかわらず、襲撃者の手がかりはまったく出てこなかった。



現場には指紋や足跡どころか、毛髪の一本や唾液の一滴も残っていなかったし、残った傷跡から武器の判定をしても、おそらくは意味がないものと判断された。
ゼロライナー襲撃時に使われたのは催涙ガスの缶に、手榴弾と言った通常火器だったし、通りに残された抉り跡は、剣によるものだということしかわからなかったからだ。


つまり、相手は特徴ある武器を使わない。
どこにでもあるような武器を使って、彼らを追い詰め、連れ去ったのだ。







「・・・・と、これが今のところわかったことだ・・・」

「・・・何一つとしてわかったとは言えないな」

「学園都市にサイコメトラーとかいるでしょ?その人に頼んで、あの場を見てもらえば・・・・・」

「ダメだ。あの裏路地、意外と大通り間の抜け道になっててかなりの人が歩いているから、思念が入り混じってて読みとれないらしい」

「なにか一つでも証拠があれば・・・・・」





「EARTH」ビルの一角。その会議室。
円卓のテーブルに脅威に対抗出来うる最高の力を持った者が集まり、そこで話しあっていた。


蒔風をはじめとした翼人五人。
彼ら五人が、この場に集まって今後のことを話し合っていた。


もちろん、この会議の様子は他のメンバーもモニターで見聞きしており、自由に意見できるようになっている。


「ここに集まってもらったメンバーで、チームを組んで動いてもらいたい。もちろん、ここにいない人間を含めても構わないが、「EARTH」関係者にとどめておくようにしてくれ」

『味方は多い方がいいだろ?なんでだよ』

「今、時空管理局の地上本部の機能は半分ほどしか戻っていない。ほとんどは「EARTH」で見回ってるようなもんだ。そこでこっちの主要メンバーが倒れていってるという情報が流れたら、どう転んだっていいことにはならないからな」

「こうしている間にも、襲撃者はこっちを狙ってきている。絶対に複数人で動くことを心がけてくれ」




これからの行動方針を、今一度改めて伝える蒔風。
そこで一旦彼の話が終わり、次に一刀が次の話を始めた。


「じゃあ・・・・この中にも、すでに友人や知り合いがやられた者も多いと思う、今回の襲撃事件。その犯人だけど、いまだに一切の手がかりはない」

『犯人は複数人かもしれねぇな』

「それに関しては、まだわからない。僕の方でも全部の現場と物件を見たけど、見つかったのはどこにでもあるような武器で付けられて傷と、どこにでもあるようなものしかなかった」

『じゃあ、複数人と見て警戒しましょう。今時の状況じゃ、警戒しすぎていけないという事はないわ』



一刀の言葉に、翔太郎が犯人の人数を聞き、理樹の言葉に、華琳が現状は複数犯と見て行動するように提案した。


そうして又いろいろと話していくのだが、なにぶん情報は穴だらけで、ほとんどの事項がわからない事ばかりで、進めようにも進めないのだ。
とりあえず、この場での情報交換を済ませ、最後に観鈴が各人の前にモニターを出し、今までの証拠品を一つ一つ出していった。



「一度私たちでも見てみたけど、みんなにも見てもらいたいの。なんでもいいから、何か見つけたら教えてくれるかな?」



その言葉に、全員がモニターを見て写真や映像を回していくが、今までだってかなりの人数が鑑定してきた物品だ。
いくら力があったって、ここにいるのはほとんどが元々はただの一般人だった人や、まだ学生だったりする者がほとんど。


今さら新発見などあるはずも無く、皆が首を振ってモニターを消す。




「月並みな言葉だが、皆気をつけてくれ。一体敵がどこから来るのか、今回は本当にわからないから」




最後にもう一度、蒔風が注意を促してから、今回の会議は解散となった。



と、言っても帰る場所は皆同じだ。
現在、すべての者が「EARTH」に身を寄せているのだから。


だが、そこで何もしないわけではない。
数グループが見回りに立ち、警備を強化したり、出入り口を封鎖したりしている。



だがそれと同じくらい、重要なことがたくさんあった。



衣食住の確保である。



「衣」に関しては、問題はさほどない。
アリスがつないだ扉で、各人の部屋に空間を繋いで持ってくればいいのだから。



「住」むところは言わずもがな、ここである。




最大の問題は、「食」だ。

なにしろこんな人数。「EARTH」の食堂は全員が入るように設計はされているものの、いかんせん厨房の食材を扱う料理人の数が足りなくなってくるのだ。
更に、食料も調達しなければならない。

厨房には本来のシェフである津上を筆頭に、天道やアーチャー、士朗を始め、料理ができる者は全員駆り出された。


食材にも、細心の注意を払った。
「EARTH」圏内ともいえるような三キロ地点で、襲撃者は見事ザフィーラとシャマルを狩ったのだ。
ここの施設に忍び込んでいない、と考えるのはあまりにも甘過ぎる。


食材を大冷凍庫から厨房に運ぶ際には必ずチェックが入り、毒物がないかどうかを確認してから運び込まれていった。






「これは・・・大丈夫だな」

「舜さん・・・」

「ん?ハクオロさん?どうしました?」




そうして、食材のチェックをしていると、蒔風にハクオロが話しかけてきた。
どうやら、避難してきてから数日が経って、自国であるトゥスクルのことが心配になってきたのだそうだ。


「確かに・・・・それはまずいな・・・」

「トゥスクルは安定した国だからそんなに心配事は多くないのだが、やはりな・・・・・」

「うーん・・・・代役とか・・・立てられるか?」

「何人か部下は残してきている。だが・・・・」

「今あっちにいるのは?」

「オボロとカミュが残ってくれている。アルルゥも一緒だ」

「出来れば彼らもこっちに呼びたいんだがな・・・・」




そう話しながらも、食品の手分けをしていく。
レトルトやカップ麺などの即席物から、肉、野菜、小麦などの穀物、更には調味料まで見ていく。

結果、一切の問題はなく、食事は用意された。




大テーブルに並べられる料理。
それを前にして、皆席について食事に取り掛かった。




それはもうこの人数の上に、ひとりで何人前も食べるような者もいるのだから、すごい量だ。



最初は重い空気だった者の、この食事中だけは少し軽くなっていた。





「なあ、そういえば襲撃者はどうしてあいつらを狙ったんだ?」

「ん?さあ・・・「奴」のように世界をどうにかしたいのかもよ?」



「いや、そうじゃない。オレが言いたいのはだな・・・・・」



食事中の蒔風に、巧が話しかける。
猫舌の彼は確保した物が食べられるほど冷えるまで時間を置く必要があり、その間に蒔風に話しかけてきたのだ。


「なんだ?なにに気付いた?」

「いや・・・なんで今回の襲撃者はあいつらが主要だったり最主要人物ってのに気付いたんだろうなってことだよ」

「・・・・なんと?」

「だってよ、俺たちはお前に会って言われるまでそんなことわかりもしなかったし、今だって気にしてる事なんかはねえが・・・・」


「そうか。あいつらがそういう人物であることを知ってんのは限られている・・・・デカした巧!!!」



「え?おい!!!」



そう言って、蒔風が食堂を飛び出してモニタールームへと向かう。



その様子を見て、どうしたどうしたと皆が巧に寄っていって話を聞こうとする。



「ま、待て!!」

「なあ!!今なに話してたんだ!?」

「何かわかったんか!?」

「蒔風どこ行ったんだよ!!」


「ちょっと待て!!話すから・・・・」

「ん?おいこれ冷えちゃってんじゃん。あったかいの持って来てやっから」

「おい!!それは・・・・」

「ほい!アッツアツだぜ!!」




一気に大人数に囲まれ、更にはせっかく食べられそうになった食糧まで持っていかれ、巧は一気に落ち込んだ。




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・・・・・・・



これじゃ無理だな。



くっそ、やっぱこうなるよなぁ・・・・
しょうがない。グループ分けされてるから、ひと塊ごとやるか・・・・








ん?待てよ?・・・・


あの手があるなぁ・・・・・








to be continued
 
 

 
後書き

こなた
「今回少しだけわかったね!」

かがみ
「にしても、今回は誰もやられなくってよかったわ・・・・・」



なに言ってんの君達。
次回ではまた何人かいくから。



こなた
「おお、そうでなくっちゃ!!」

かがみ
「不謹慎でしょ・・・・」

こなた
「なにいってんのさかがみん!ここは後書き。あっちの私達とは関係ないのですよ」


その通り
この後書き空間は無限に満ちているのさ!!!



かがみ
「はいはい。次回、襲撃者、その手口」

こなた
「どうやって連れ去ったのかがわかるかもよ!!!」


ではまた次回 
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