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Blue Rose

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第四十一話 確信された事実その十三

「誰も怪しい人は入って来られないわ」
「そうですよね」
「この部屋の場所もね」
 優花が今いるそこのこともというのだ。
「療養所の人でないとね」
「知らないですよね」
「そう、どうしてもね」
「それじゃあ」
「安心してね」
「わかりました、じゃあ安心して暮らさせてもらいます」
「そうしてね、難を逃れきるまでは」 
 まさにそれまではというのだ。
「ここにいてね」
「静かに」
「そうしてね」
 副所長は優花に優しい声で話した、優花はその言葉を受けてから再び療養所での生活をはじめた。だが彼女が療養所に入る時もだ。
 車の中にいたがそのかをだ、鍛冶元は見ていて。
 その話を衝夫に話した、すると衝夫はすぐに鍛冶元に言った。
「もうそれはですね」
「間違いないだろ」
「はい、俺も調べてみました」
 学校の生徒達の個人情報の中から優花のものを漁ってだ。
「そうしたらです」
「怪しいか」
「いえ、校長しか知らない情報なんですが」
「その情報をか」
「昨日当直の時にこっそり調べたんですよ」 
 校内に自分の他に誰もいない時を利用してだ。
「校長室に忍び込んで」
「それであの娘の個人情報を見たらか」
「はい、神戸にいたんですよ」
 前にいた場所はというのだ。
「神戸の八条学園」
「あの旧財閥のか」
 鍛冶元はここで顔を顰めさせた、左翼と言うかサヨクの特徴の一つとして企業を忌み嫌い財閥もまた然りだ。これはマルクス主義からきている。このマルクス主義から皇室も所謂地主と呼ばれる大土地所有者も嫌っているのだ。
「あの学校か」
「はい、ブルジョワですね」
 衝夫もサヨク用語を出す。
「あの学校にいまして」
「それでやっぱりだったんだな」
「その時は男でした」
「そうか、俺の思った通りだな」
「はい、あいつは元男でした」
「じゃあ間違いないな」
「その情報はメモしました」
 自分の手でというのだ。
「そうしました」
「そうか、じゃあな」
「はい、その情報を蓮見に見せれば」
「後は間違いなくだな」
「言うことを聞きますね」
「確実にな」 
 そうなるというのだ。
「出来る」
「じゃあすぐに脅しをかけますか」
「いや、もっとだ」
「もっとですか」
「あの娘の情報を掴むんだ」
 こう衝夫に言った、二人はまた飲みながら話をしている。やはり高級バーでどうして手に入れたか怪しい金で上等の酒をだ。
「いいな」
「はい、じゃあ」
「そして脅すんだ」
「わかりました、ただ」
 ここで衝夫は鍛冶元にこんなことを言った。
「あいつ最近学校には」
「来ないか?」
「そうなんですよ」 
 実際にというのだ。
「これが」
「そうなのか」
「はい、病気みたいですね」
「ああ、それは多分な」
「多分?」
「療養所に匿われてるな」
「そうなんですか」
「ああ、だからな」
 それでというのだ。
「学校にも来てないんだよ」
「ひょっとして」
「ああ、気付かれたのかもな」
 こう言うのだった。
「それでだよ」
「療養所にですか」
「匿われてるんだろうな」
「そうですか」
「ああ、だからな」
 それでというのだ。 
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