| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

世界をめぐる、銀白の翼

作者:BTOKIJIN
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第二章 Lost Heros
  祭り with 管理者

とある朝。



PiPiPiPi (プツッ)



目覚まし時計が鳴り、それがすぐに止められる。
止め主は、この部屋の主だ。

その人物はすでに起床し、着替え、朝の準備をすべて済ませ終わっていた。
どこかの翼人とは大違いである。


「さて、今日も行きましょうか!」



そう言って"No name"管理者兼「EARTH」後見人・アリスが、この部屋の扉を開けて、出て行った。



------------------------------------------------------------


それから数十分後


蒔風の事務室で、アリスは一人時計を見ながら、カウントダウンを取っていた。


「あと・・・・五、四、三、二、い・・・・・」

バタン!!

「ま、間に合った!?」


と、おそらく決められた時間まで本当にぎりぎりだったのだろう。
蒔風が息を切らして事務室に飛び込んできた。

その顔はドヤ顔だが、アリスのは呆れた顔になっている。


「ギリギリですね。どうしてこう毎日毎日ギリギリなんですか。もう十分は早く来てもらえると・・・・」

「知らないのか?朝起きた後の十分はな、この世界でかなり重要なんだぞ?」

「管理者やってかなりになりますがそんな決まりを決めた覚えはありません」



ま、そういうのを決定するのは私でもないんですけどね。

最後にそう言って、アリスが蒔風に書類を渡す。
毎日なんでこんなに書類があるのか。もはや蒔風は考えるのをやめたが、本当にどこから来たんだろうか?



「こっちは魔化魍討伐組織「猛士」の活動報告です。どうやら、結構な勢いで魔化魍が勢力を広げているようですね」

「魔化魍って、音撃じゃないと倒せないだろ。どうすんだよ。「鬼」ってそんなにいないんだろ?」

「そこは我々が調節しました。まあ向き不向きとか効く効かないは当然ありますがね。普通に倒せますよ」

「だったら各魔化魍の特性を適当に配布しとこうかな。あいつら、そこが厄介だから」

「で、星さんや雪蓮さんが酒を飲みたいと・・・・」

「未成年はいけません」

「それから、神羅カンパニーからの報告で、モンスターたちは比較的温厚。よほどのことがなければ襲い掛かってくることはないそうですね」

「でも警戒はしないとでしょう。モンスターリストを上げてこっちによこしてくれ」

「それと・・・・あの件はやっぱり?」

「ああ・・・・どうやら、やらねばならんことはあるな」

「そうですか・・・・で、次の話ですが」

「まだあんのか・・・・ってか、書類もまだあんですけど!?」

「頑張ってくださいね」

「鬼!!」

「管理者です」








そうして、蒔風が逃げ出さないように見張りながら、アリスも書類をまとめていく。
なにせ、蒔風は仕上げた書類はどんどん机の端にほっぽってしまうし、最悪床に散乱していることもあるのだから、それを分類別にまとめていく必要があるのだ。


そんな作業を、午前中びっしりやる蒔風は、すぐにグロッキーになってしまい、十二時になるころには机にべったりを伏せていた。



「お・・・終わった・・・・」

「ご苦労様です」

「でもよ、また24時間経つと書類溜まるんだよな・・・・」

「そりゃそうです。いくら我々が調節したといってもやはりできたばかりの世界ですから、問題は山積みなんですよ。まあ、それを午前中に終わらせてしまうあなたもすごいと思いますよ?」

「でも多分安定したらしたで問題の量はかわらないんだろうしなぁ・・・・あの野郎、とことん面倒なことしてくれたよな・・・・みんなと会えるのは楽しいけど」






会話を済ませ、アリスが昼食でも取りに行こうとし、机から動かない蒔風に何かいるかと聞いた。
それに蒔風はなんでもいいから飯をくれ、と答え、昼食をアリスに任せることにした。















「さて・・・・津上さんならおいしい料理を作ってくれるでしょうから、楽しみですね」



そういいながら食堂に入るアリス。
が、そこはいつもの食堂とは風景が変わっていた。



「あ、アリスさんじゃないですか」

「なになに?何しに来たの?」

「いえ、少し昼食と・・・何をしてるんですか?」



その場にいたのはこなたたち四人組、ハルヒを始めとしたSOS団、なのは、フェイト、はやてとその同居者たち、リトルバスターズ、雛見沢分校部活メンバー、恋姫たちに、裕理とましろだった。
さらにこの場の提供として津上と、何かを設置しているのか、その手伝いの城戸とそれに引っ張られてきた蓮がいた。




「それ・・・・ひな祭りの雛壇ですか?」

「そそ!!いやぁ、ご飯食べに来た璃々ちゃんとかヴィヴィオちゃんにひなあられ出してあげたら、知らないっていうからねー」

「そこで!すべてのイベントごとをすべからず実行する我がSOS団が、この雛祭りを開催することにしたのよ!!」


こなたとハルヒがアリスに説明して、ちらし寿司やひな人形を用意しに戻り、アリスは何とも大きな雛壇を眺めて呆気にとられていた。


「こんなに大きなものよく用意しましたね・・・・・あれ?でもひな祭りってたしか・・・・」

「そうなんですよね。三月三日はもう過ぎちゃったんですけど、これだけ用意するのに時間かかっちゃって」


と、そこにまだ積むのだろうか。雛壇を担いできた津上と城戸が、それを設置しながら話しかけてきた。


「ヴィヴィオちゃんも璃々ちゃんも、こっちのこういった伝統的な風習を知らないみたいでしてね」

「で、やるなら徹底的がいい!!ってことになったんですよ!いやぁ、やっぱお祭りって楽しいですね!」

「でも・・・・なんでこんなに大きな雛壇を?」


アリスはそういいながらもう一度雛壇を見上げた。
そう、雛壇と言っても、その大きさは普通ではない。

まるでこの大きさは・・・・・



「人が乗れるくらいありませんか?」

「あ、わかりました?」

「津上ー。やっぱこれじゃ天井突っかかっちまうって」

「そうなるかー。棗さん、どうしましょう?」

「だったら、外の広場で派手にパーティーにしましょう。あそこなら気にしなくてもいいですし。おーい理樹!手伝ってくれ!!」




そう、それは人形の大きさが人間大くらいあるような大きさの雛壇だった。
その設置を指揮しているのはどうやら恭介のようだ。



どうしてこうなったのか。
それを恭介に聞くと曰く


「初めてのひな祭り。それは何としても最高の思い出にしてもらいたい。それだけさ」


そういってニヒルに笑う恭介だが、そのあとでの謙吾の話では


「むかし、鈴のひな人形がお内裏様とお雛様しかいなかったからさみしがっていたってここまで派手にするらしい」


とのことだった。


それを聞いて鈴のほうを見ると、大勢に囲まれてどぎまぎしていた。
そんな状況を楽しんでいる鈴を見て、アリスもふふっ、と笑ってしまった。





「では!私も手伝ってあげましょう!」

「か、管理者のアリスさんが?」

「はい。って、なにを驚いてるんですか?もう私はこの世界に関与すると決めてきているのです。今更除け者なんて、止めてくださいね?」



理樹が少し驚くが、その言葉になるほど、とうなづいてしまう。



「ささ!!皆で運ぼうかね!!このままじゃおじさん、寮に戻らないとだよ」

そう言って魅音が手を叩いてさあ行こうと号令を出す。
まあ、一刀、理樹や真人、裕理にライダーが三人、そしてアリスまでいたのだから、運び出すのは簡単だったが。








「いいですね~♪こうして皆といるって。あれ?何か忘れているような・・・・・」

「アリスさん?大丈夫ですか?重かったら代わりますよ?」

「あ、大丈夫です。って、レナさんまだ持てるんですか・・・・?」




------------------------------------------------------------



「庭に出たぞーー!!」

「恭介!!段差設置完了だ!!」

「はいはい!!料理も運んだわよ!!こなた!!」

「ま、待ってよかがみん。料理できなかったからってなんでそんな運ぶの張り切って・・・」

「キョン、古泉君!シートしきなさい!!でっかいの!!」

「さ、そこな幼女と少女たちはこっちに。おねーさんが着付けをしてあげよう(ハァハァ)」

「姐御ー。目付き、目付きやばいっすよー」

「来ケ谷さんだと心配なので、私が見ましょう。能美さん、手伝ってください」

「らじゃーなのですっ」





こうして外に出てきた一同。
もはや雛祭りというよりただの宴になってきているのは、気のせいではないはずだ。

そして、男連中は完成した雛段の飾りつけと同時に、並び順を考えていた。



「雛段完成!!したことだし、さあ、みんな乗るぞ!!」

「おう!!」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・・なあ」

「ん?」

「どういう配置だったっけ?」




「「「「あ」」」」


------------------------------------------------------------



結局、着付けを終わらせて、来ケ谷の暴走も抑えつけられたので、美魚を呼び戻してその順番を聞いた。




「まず、一番下の段に、仕丁(しちょう)という従者が三人並びます」

「よし、ちょうどいいし、俺らライダーで座るか」

「おい!まさか変身してじゃないだろうな!」

「いや蓮、そこは普通にだろう。変身してからじゃ和服着こめないし」

「え?しないんですか?変身」

「津上さん・・・・いいからそのオルタリング(ベルト)ひっこめてください」






「で、次の段に右大臣と左大臣の二人です」

「あれ?二人だけ?」

「間に柏餅と雛あられを置くんですよ」

「じゃあ・・・・謙吾と真人で」

「筋肉大臣じゃねーのか・・・・」

「オレはロマンティック大統領だ」

「そこ、文句言ってるともう遊ばないよ?」


「「全力で承った!」」


「理樹、鬼だな」

「鈴のためなら何にでも」








「それから、次に五人囃子、そしてもう一つ次に三人官女です」

「五人囃子って、楽器だよな?」

「太鼓、大鼓(おおつづみ)小鼓(こづつみ)、笛、(うたい)ですね」

「どうせならできる奴を呼びたいね」

「でもいないだろ。響鬼さんの太鼓くらいしか思い浮かばないし」

「じゃあ、この場にいる五人でいいか」

「と、なると・・・・僕、恭介、裕理にザフィーラと古泉さんだね」


「三人官女は?」

「あそこの三人でいいだろ。おーい!!高町さーん!!」

「え?なにー?」












「さて・・・メインだ」


「お雛様は誰にする?」



そう、そしてこの段階がやってきた。
雛段のトップ。雛祭りの主役。十二単に身を包んだ、頂点に座する者を決める時が来たのだ。



「まあこの風習を知らない子が座るのが当然だよな。今回の趣旨的に」

「だが、それには問題がある・・・・・お雛様は一人しかいないという事だ・・・・ッ!!!」



「僕は鈴を推薦するよ」

「まてって。それじゃヴィヴィオちゃんや璃々ちゃんが可哀そうじゃないか」

「どうです?涼宮さんとあなたが座れば、僕的には非常に面白いのですが」




各々が推薦していく人物は、鈴、ヴィヴィオ、璃々、ハルヒと一気に増えていく。
更にすべての準備が整った女子までも会話に入り、彼女らも座りたいと言いだしたのだからきりがない。




「私もあそこ座りたい!!」

「かがみん、お内裏様は任せたよ!」

「なんであたしがそっちなのよ!!」




「シグナムとか行ったら綺麗そーやなぁ」

「待ってください。その場合、お内裏様は誰が・・・・」

「では僭越ながら私が」

「リィンフォース!?」




「あはは!!だったらあたしとフェイトで座ろっか?」

「え!?ア、アリシア!?」




「ご主人様の・・・隣っ!!」

「あ!!愛紗ずりぃぞ!!!」

「くっ、このッ!!」




「あらあら・・・でも璃々が座ると隣は誰になるんでしょうか・・・やはりここはご主人様に・・・・」

「璃々、あそこ座りたーい!」

「ヴィヴィオもー!」

「ど、どうしようか・・・・・」





誰もがその座をめぐり、かと言って争いもせず。

どーぞどーぞと差し出しながらも、その目は絶対に渡さないとありありと主張していた。





「アリスさんは?どうします?」

「私はいいですよ。というか、もっと雛段増やせばいいじゃないですか」



「え?」




「ほら、こうやって・・・・・・ソォイ!!!」

「その掛け声はダメだと思うの・・・・・」



そうして、問題は解決した。
アリスが同じような雛段をもういくつか出して、そこに各自座って行こうというのだ。

だが、いかんせん人数が足りない。
これでは頂点に一人だけというさみしい雛段になってしまう。



と、言う事で再びアリスの管理者能力が発揮された。

「EARTH」にあるいくつかの扉を、離れたところの扉と空間結合し、一種のワープ空間にしてしまったのだ。
つまりどこでもドアである。



そこを通じて次々とメンバーを呼び、結局全員でパーティーになってしまった。

桜は咲いていなかったが、そこは管理者。咲かせることなど造作もない。
盛大にパーティが始まり、最後にはキャンプファイヤーで締めくくるという、なんとも派手なモノになってしまった。


「EARTH」敷地内の広大な庭にはいくつもの雛段。
そして、いつの間にか設置されたステージ。

野外訓練場ではスポーツが行われていたり模擬選していたり

とりあえず、パーティー開会の乾杯の音頭は、理樹がとっていた。



「みんなー!!三月三日ってね、両津勘吉の誕生日なんだよ!!」

「マンガのキャラ引っ張ってきてそんなこと言うなッ!!」


そして、一刀が突っ込んでいた。





もうこれ雛祭りじゃないよね?





「あー!楽しかった」

「なのはママ!ありがと―!」



「今日はいい日だった。呼んでもらって感謝する」

「いえいえ。だってまた書類仕事であなた呼ぶかもしれませんし・・・・」

「やめてくれ・・・・・」






そう言って片付けに入るメンバー達。
だが、これだけの人数だ。あっという間に終わり、更にはごみの処分まで、各人の能力で終わらせた。

便利な奴らである。




そうして皆が帰路に付き(扉をくぐるだけだが)、それを見送るアリス。
と、最後に理樹がアリスに聞いた。



「そういえば舜は?今日はずっと書類仕事?」

「え?・・・・あ!!!!」





その質問に、ハッ!とするアリス。












その日、銀白の翼人は、自分の事務室で涙を流しながら腹をすかせて、外から聞こえてくる笑い声を聞いていたそうな。











「う・・・うぇっ・・・・うぁあうう・・・・・・・腹減ったよぅ・・・・動けないよぅ・・・・・なんか・・・皆楽しそうだよぅ・・・・ズッ、グズッ・・・ふぇ、うううう・・・・」





to be continued



パーティーの一幕



はやて
「ヴィヴィオ、ほら、桜餅やで」

ヴィヴィオ
「ありがと―はやておねーちゃん!」

はやて
「別名、魔王餅や。ほら見てみぃ。色が・・・やろ?」

ヴィヴィオ
「あの時は死ぬかと思ったよー」

はやて、ヴィヴィオ
「あははははははははははは!!!」

はやて
「ん?なんか後ろでジャキッ、って音が・・・・」






羽入
「秘儀、オヤシロバリアー!!」

梨花
「あっ!!羽入ずるいわよ!!」

魅音
「おお!!羽入がんばるね!!将来的にも絶望な胸と、希望ある胸のテニス対決!!燃えるねー」



『『『『『『『『『OK、貴様は今、死を選択した』』』』』』』』』

魅音
「え?あ?うっそおおおおおおおおおお!!!???」

 
 

 
後書き

と、言うわけでどうでしたでしょうか?
日常アリス編




次週から事件に入ろうか、と考えています。



そんなに長引かせても・・・・ですし。





ではまた次回!! 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧