真剣で私に恋しなさい!S~それでも世界は回ってる~
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39部分:第三十五話 武士道プラン
第三十五話です
ではどうぞ〜
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第三十五話 武士道プラン
武士道プラン。
九鬼財閥が提唱した教育プログラムの一環で、過去の偉人のクローンと共に学業等に励み、競争意識な向上と共に若者の育成を計るのが目的のようだ。
そのテストケースに選ばれたのが我らが川神学園。九鬼の出資先でもあり、武人を育てる学校にこれ以上適切な学校はないだろうな。
ちなみにこれの提唱者は九鬼家従者部隊序列2位マープル。通称、『星の本棚』。
以前のルーファウスさんの話ってこれか、と思いながら俺はニュースを見ていた。
「九鬼もまたデカいことやるな。義経一行のクローンか」
ニュースを見ながらモモは呟いた。日本の歴史上でも英雄と名高い源義経。武士としてここまで適任はいないだろうな。
「悠里、戦うとしたら誰がいいと思う?」
「どちらでも。義経は義経で武士として名高いし、弁慶も同じくらい有名だからな。興味はある」
「これで退屈せずに済むな。嬉しい限りだ」
そう言ってモモは口の端を釣り上げて笑った。最近のモモは戦闘に対しての意識が危うい。そろそろ何か対策を考えていないといけないな。
「モモ、そろそろ行かないとマズいぞ」
「もうそんな時間か、わかった」
俺とモモは川神院から出て学校に向かうことにした。俺はフェンリルを引いて正面に行く。
「今日はフェンリルで行くのか?」
「鉄爺が持って来いって言ってたからな」
昨日の夜に鉄爺から今日はフェンリルごと持ってくるように言われた。理由はわからないが、何かあるのは確かだな。俺はモモにスペアのヘルメットを投げると、モモはそれを受け取った。モモを後ろに乗せて、俺達は家を出た。
途中、変態橋で他のメンバーを見つけて合流する。
「おーっす」
「あれ、今日はそのまま乗ってきたのかよ?」
「なんか鉄爺が持って来いって言ってたからな」
俺とモモはフェンリルから降りてファミリーの面々と歩き出した。
学校に着くと、やはり臨時の全校集会が行われた。学長ある鉄爺の口からプランの説明の後、
「この学園に転校生が6人入ることなったぞい」
ざわ…ざわ…
鉄爺の言葉に周囲はざわついた。
「武士道プランについては新聞でも見るんじゃ。重要なのは学友が増えるということ。仲良くするんじゃ。……競い相手としては十分じゃぞい、なにせ英雄」
英雄の単語に生徒達は反応していた。転校生の4人は武士道プランの申し子、あとの2人は関係者とのことだ。
「まず3年生、3-Sへ入るぞぃ」
その言葉を聞いて3-Sの人達はワクワクしているようだ。
すると檀の横から1人の少女が歩いてきて、檀に上がる。長く揺れる髪の毛はとても綺麗で、その姿に皆が見惚れていた。
「こんにちは、初めまして。葉桜清楚です。皆さんとお会いするのを楽しみにしてました。これから、よろしくお願いします」
まさに文学少女を体現したかのような清楚な雰囲気は、その場にいる全員を沸き立たせるにさせるには十分だった。
「が、学長、質問がありまーす!」
「全校の前で大胆な奴じゃのう。言うてみぃ」
「是非、3サイズと彼氏の有無を……!」
「全校の前でこの俗物がーっ!」
バシーン!!ドサッ!
小島先生の制裁を受けて、ヨンパチは倒れる
「アホかい!…まぁ、確かに3サイズは気になるが」
アンタもかい!
「総代、真面目にやってくださイ!」
「おお、すまんすまん。ついのぅ。葉桜清楚、という英雄の名を皆聞いたことなかろう」
「それについては私から説明します。実は私は、他の3人と違いまして、誰のクローンだか自分自身ですら教えてもらっていないんです。葉桜清楚というのはイメージで付けた名前です。25歳ぐらいになったら教えて貰えるそうです。それまでは学問に打ち込みなさいと言われています。私は本読むのが趣味なんです……だから清少納言あたりのクローンがいいな、と思っています」
清楚先輩の説明が終わると、男子達はその姿に見惚れているのがわかった。
さて、清楚先輩の紹介が終わると次は2年の生徒の紹介。クラスはもちろんS組。檀に上がって来たのは先日の義経と黒い髪に錫杖を持った女性。
「こんにちは。一応、弁慶らしいです。よろしく」
「結婚してくれーーーーー!!!」
「死に様を知ったときから愛してましたーーー!!」
アホどもが叫ぶ。てか、うるさい。その一方で壇上の義経は緊張した様子で、清楚先輩と弁慶が励ましていた。
「……よし!源義経だ。性別は気にしないでくれ。義経は、武士道プラン関わる人間として恥じない振る舞いをしていこうと思う。よろしく頼む!」
義経の挨拶に男子達が声援が沸く。もう性別は関係ないようだ。壇上では義経がうまく自己紹介出来たことに喜んでおり、それを弁慶が宥めていた。……思ったんだが、本当に義経の従者が弁慶なのだろうか?なんか逆な気がする……それは置いといて、次は那須与一の紹介だ。
「2-S、那須与一!いでませい!」
鉄爺の声に全員は期待の眼差しで与一の登場を待つ。……しかし、本人が現れる気配は一向に無かった。
「照れているのかのぅ。よーいーち!」
「与一さーん!怖がらなくても大丈夫ですよー!」
学長と委員長が呼ぶが、与一は一向に現れる気配は無い。
その様子を見た周りはざわめきだした。
「あわわ…与一は何をしているんだ…皆との和が…」
「あとでアルゼンチンバックブリーカーだな…」
どうやら本当にサボリらしい。というか弁慶、それやったら本当に生きてないから……
「はー美味しい」
その時、弁慶は腰に下げていたひょうたんから酒(?)を飲んでいた。
「おおーーい!ひょうたんが気になっていたが後ろで弁慶が飲んでるぞーーーー!!」
「弁慶、我慢できなかったのか?」
「申し訳も」
「こ、これは…皆も知っている川神水で、酒ではない」
「なんだ、そうか……って、川神水なら飲んでいいわけでもないぞ!」
「なんか理由でもあるんじゃない?」
「えぇ……私とある病気でして、こうして時々飲まないと、手か震えるんです」
「完全にアル中の症状だよな、それ……」
思わず俺は呟いた。どんだけ依存してんのさ。ちなみに、あとの説明で弁慶はその条件として、学年4位以下なら退学という措置があるそうだ。……なるほど、あえて酔っておいて競争心を向上させたんだな。かなりマイペースだが……。案の定、プライドは無駄に高いS組の連中は目に火が灯っていた。
「あとは武士道プラン関係者じゃな。ともに1年生。2人とも1-Sじゃ!さぁ、入ってくるがいい!」
その時、生徒の一部にどよめきが走った。見てみると、後ろの方から何人ものスーツを着た大人達が二列で行進してきた。檀の近くまでくると、お互いの肩に両手を置き体を前にした。丁度、組体操の態勢だ。
その上を1人の少女が歩いてくる。と言っても、ねぇ……あれって……
「我、顕現である」
……どう見ても揚羽さんと英雄の妹だよな。
「我の名は、九鬼紋白。紋様と呼ぶがいい!我は武士道プランの受け皿になっている川神学園を進化先に決めたのだ!そっちの方が護衛どもの数が分散せんからな。我は退屈を良しとせぬ。一度きりの人生、互いに楽しくやろうではないか!フハハハハーーーーーー!!!」
そう言って紋……様は笑った。……うん、やっぱり兄妹だな。そしてもう一人は恐らく、従者部隊の誰か……って、
「げ……」
あの金髪の髭の生えた爺さんは……
「新しく1-Sに入る事になりました。ヒューム・ヘルシングです。皆さんよろしく」
……悪夢だ。よりにもよってヒュームさんとか……
「……あれがヒューム・ヘルシングか」
「知っているで候?」
「あっちの世界では有名人だ。世界最強の男、そして……悠里の師匠だ」
「ふん、打撃屋としての筋力が足りないぞ?川神百代」
「っ!?いつの間に後ろに……」
「ふん、大体わかった。お前もまだ赤子よ」
そう言ってヒュームは百代の背後から消えると、
ヒュン!
パシッ!ビュン!
「……!」
今度は悠里の後ろに現れて拳を放った。悠里は拳を捌くと、ヒュームの顔の直前で蹴りを止めた。
「フ……安心したぞ。腕は鈍っていないようだな」
「……それはどうも。イヤってほど鍛えられたので」
「少し惜しいがお前との相手はとっておこう。ではな、悠里」
そう言ってヒュームさんは俺の前から姿を消すと、再び壇上に戻っていた。壇上ではクラウさんことクラウディオ・ネエロさんが説明をしていた。それを尻目に京は話し掛けてきた。
「悠里、ヒュームって人と知り合いなの?」
「一時期だけ鍛えてもらってたんだよ。さっきのはそん時の名残」
「そうなんだ。なんか意外だね」
「父さんが九鬼の人間だったからな。そっちに対しての人脈広かったみたいだ」
ちなみにヒュームさんと鍛錬した時は廃人寸前まで追い込まれた。いくらエイブラハム・ヴァン・ヘルシングの子孫だからって戦闘凶でプライド高いってどうよ?
ヴァン・ヘルシングってもっとハードボイルドだろ、普通。
「……と、まぁ以上が転入生の紹介じゃ。皆、仲良くするんじゃぞ。……さて、じつはのぅ、転入早々だがここにいる義経がとある人物に決闘を申し込みたいそうじゃ」
決闘、という言葉を聞いて今度は歓声が上がった。しかも義経から直々の指名なのだ。気にならないはずがない。
「2ーF、天城悠里。前に出なさい」
「…………え?(`・ω・´)」
俺の名前が呼ばれて少し呆然としたが、気を取り直して壇上へと向かう。壇上に上がると、鉄爺と義経達が迎えた。
「すまんな悠里。義経たってからの頼みでのぅ。」
「驚かせてしまってすまない。天城くん」
「いや、別に気にしてないし……というか、決闘って話だけど……」
「うむ。義経達の歓迎の意味も込めての……。悠里は今回、剣を使うことを許そうと思う」
「……マジ?」
「マジじゃ。全部使ってよいぞい」
その言葉を聞いて俺は目を輝かせた。合体剣は本数を増やすと合体剣はあまりに強すぎるため鉄爺は勿論、俺も使うのを禁じていたからだ。しかし、相手はかの英雄、源義経。相手としては十分過ぎる相手だ。
「なら……断る理由はないよな」
俺は胸ポケットからワッペンを出す。それを見て義経もワッペンを取り出して地面に置いた。
「その勝負、受けて立つ!」
パァン!と、俺のワッペンは音を立てて義経のワッペンに重なる。周りからは予期せぬ決闘か決まったことに歓声が沸いていた。
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キングダムハーツってHDエディションでリメイクしませんかね?ⅠⅡだけでもかなり人気でると思いますけど……
ちなみに作者が好きなのはロクサスとアクセル。358は泣ける……
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