Ｂｌｕｅ　Ｒｏｓｅ

「本当にな」
「しかも学校の先生だから」
「余計にだな」
「そうよね」
「そいつには気をつけてるんだろ」
「うん」
　優花は龍馬にはっきりと答えた。
「そうしてるわ」
「絶対に近寄るなよ」　
　龍馬は忠告した。
「いいな」
「ええ、それこそね」
「近寄ったらな」
「何をされるかわからないわよね」
「男だったら殴られるだけで済むかもな」
「何か何発も、いえ何十発もしつこく殴ったり蹴ったりするそうよ」　
　これもクラスメイト達から聞いた話だ。
「一旦暴力を振るいだしたら」
「歯止めが効かないんだな」
「しかもしょちゅう暴力振るうらしいし」
「完全に頭がおかしいな」
　龍馬にとってはそうとしか思えなかった。
「その教師」
「そうだよね」
「しかも男だったらな」
「そうして殴られるだけね」
「それで済むがな」
「女の子だから、今の私」
「セクハラの話もあるんだよな」　
　優花から聞いた話をだ、龍馬は確認した。
「そうだよな」
「そうよ」
「だったらな」
「何をされるかわからないから」
「注意しろよ」
　こう忠告したのだった。
「いいな」
「わかったわ」
「近寄らないことだな」
　優花が実際にしている様にだ。
「名前も顔も覚えられるなよ」
「絶対に近寄らない様にして」
「目をつけられたらやばいからな」
「それじゃあ」
「ああ、気をつけろ」
　また言った龍馬だった。
「そうしろよ」
「うん、そうするわね」
「絶対にな、後な」
　衝夫の話を聞き終えてからだ、龍馬は優花に対して話題を替えて今度はこう言った。
「俺今度の休みそっち行ける様になったよ」
「あっ、本当！？」
「嘘なんか言うかよ」
　龍馬は優花に笑って返した、実際に彼が嘘を言うことはない。
「部活もなくてな」
「それでなの」
「ハウステンボスに行くな」
「そうするのね」
「お袋がホテルの予約取ってくれたんだよ」
「あそこ八条グループも入ってるからね」
「八条学園の関係者だとホテルにも安く予約出来るだろ」
　同じグループ内でのサービスである。
「だからな」
「それで安くなの」
「予約取ってもらったんだよ」
「それはよかったわ」
「だからな」
「今度の休みは」
「ああ、そっち行くな」
　長崎の方にというのだ。
「ハウステンボス来るよな」
「ええ、行くわ」
　電話の向こうの龍馬にだ、優花は満面の笑顔で応えた。