干物女
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第四章
ファッションやアクセサリーにも気を使う様になった。そのメイクアップした彼女を見てだ、友人であるクラスメイト達はまた言った。
「いや、本当にね」
「変わったわね」
「ただ変わっただけじゃなくて」
「奇麗になったわね」
「可愛くなったわ」
実際にというのだ。
「前よりもね」
「亜衣実元々可愛かったけれどね」
「そう言ってよかったけれどね」
その彼女がというのだ。
「余計によくなったわ」
「今じゃ美少女よ」
「干物女がうって変わってよ」
「恋する美少女になったじゃない」
「だってね」
その亜衣実の言葉である。
「ちゃんとした外見、それに中身じゃないとよ」
「あの人に振り向いてもらえない」
「好きになってもらえない」
「相手にしてもらえない」
「そうよ」
口々に言う友人達に答えた。
「だからね」
「それだけ真剣なのね」
「本気で変わったのね」
「干物から普通の女の子に」
「そうなったのね」
「ぐうたらしていたら」
今までの様にだ。
「振り向いてもらえないでしょ、勇斗さんに」
「その勇斗さんってひょっとして」
「あの人のこと?」
「名前調べたの?」
「そうしたの?」
「別の屋上で勤めている人、女の人にこっそり聞いたの」
そうして調べたというのだ。
「紀里谷勇斗さんっていうのよ」
「名前までえ調べたの」
「そこまでもうしたの」
「これはいよいよ本気ね」
「本気というかストーカー?」
「その域に達してない?」
「そうかしら」
この問いについてはだ、亜衣実は首を傾げさせて返した。その仕草も干物女と呼ばれていた頃とは違い可愛くなっている。
「そこまでいかないでしょ」
「いや、いってるから」
「名前まで調べるとかね」
「相手に聞くんじゃなくて」
「その域に達してる行動力じゃない」
「ついこの間まで干物だったのに」
この指摘まで為された。
「それが急にね」
「そんな行動力まで発揮して」
「やる時はやる?」
「亜衣実ってそうだったの」
「面倒臭いことは嫌いだけれど」
その亜衣実本人の言葉だ。
「けれどやりたいことならね」
「思いきりやる」
「そういう娘だったの」
「そういえば漫画とかゲームには熱心だし」
「それでなの」
「今度はあの人に対してなのね」
「行動してるってことね」
皆そのことがわかった、それでストーカー気味の行動に呆れるものも感じつつだった。亜衣実に対して言った。
「まあとにかくね」
「犯罪じゃない限りで頑張ってね」
「ストーカーにはならないで」
「恋愛成就といってね」
「そうするわね、絶対に交際までいって」
亜衣実はその意気込みも見せた。
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