提督はBarにいる。
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料理回のつもりがお酒回になってしまった。
「さてと、まずは食前酒でも如何かな?お嬢さん方。」
イタリアンは多少本格的に作りたい。せっかくキッチンもそれ用に改装したんだ、少し調理にも手間をかけていくので、その時間繋ぎにも飲んでおいて貰おう。
「イタリアのお酒は何があるんです?」
「有名な銘柄は一通りあるぞ。イタリアワインが7種類、後はアペロール、アマレット、ガリアーノ、カンパリ、グラッパ、サンブーカ、ストレガ、チナール、ディロサンノ・アマレット、ナストロ・アズーロ、ノチェロ、フランジェリコ、ベルモット、ペローニ、マラスキーノ、リモンチェッロ……位か?」
「ず、随分取り揃えてるのね。」
「まぁな。仮にもBarを語るにゃ、この位は揃えてないとな。」
イタリア産の酒はカクテルの原料になる物が多い。そのままでもカクテルでも飲みやすいので、多種多様な種類を揃えている。
「では……、私はグラッパを。」
「いきなりグラッパかよ。キツいけど大丈夫か?」
苦笑いしつつ、イタリアの注文を受ける。グラッパとは大きく分けるとブランデーの仲間で、その大きな特徴はワインではなくポマースと呼ばれるブドウの搾りカスを発酵させたアルコールを蒸留して作るのが大きな特徴だ。また、ブランデーの特徴である樽熟成をしないため、ブドウの香りが強く残っている。アルコール度数は30°~60°。主に食後酒として飲まれる事が多い一杯だ。また、観光客向けのグラッパの瓶は美しく、インテリアにも向いている。
「なら……私は『ゴッド・ファーザー』を。」
「お、中々マニアックなカクテル知ってるな。」
「……まぁね。ホラ、早くちょうだい。」
俺、嫌われるような事したんだろうか。まぁ、気を取り直して作り始める。
ウィスキー7割、アマレットが3割。これを四角く角張ったオールド・ファッションド・グラスに氷を入れて注ぎ、軽くステア。ウィスキーの香りとアマレットのアーモンドのような香ばしい香りが芳しい一杯だ。因みにアマレットのアーモンドのような香りは、アーモンドを使っている訳ではなく、杏仁豆腐の原料でもある杏仁(杏子の種子の中身)を使っている。アルコール度数は34°~36°と高めなので、ゆっくりチビチビと飲むロングカクテルだ。
「リベはねぇ~、う~んとねぇ……。リモンチェッロ!ちょっとキツいから炭酸割り‼」
「ははは、リモンチェッロとはリベッチオぽいな。」
リモンチェッロはレモン・リキュールの中では中々有名な1本だ。ウォッカなどのホワイトスピリッツにレモンの皮を一定期間漬け込み、それを取り出した後に砂糖水(又はシュガー・シロップ)を加え、一週間~一ヶ月熟成。鮮やかな黄色とレモンの風味、そして砂糖の甘味で飲みやすいが、アルコール度数30°と少し高め。割らずに飲むのが一般的だが、炭酸割りにするとレモネードのような爽やかな口当たりになる。
「さぁさぁ、作ってる間は飲んで待っててくれ。」
「では……乾杯♪」
さて、作りますかね。そう俺は心の中で呟くと、手早く調理を始めた。
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