提督はBarにいる。
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ここぞとばかりに高級な奴選んだ。後悔はしていない。
「さて、まずは私達にも一杯ずつ貰おうか。」
早くしろ、と急かす様に手を伸ばして来る武蔵。どうやら、本気で飲む気らしい。はぁ。俺も諦めがついたので、ロックグラスに注いでやる。氷は入れずに冷やだ。
「おっ、これは中々……。」
「えぇ、スッキリとした味わいですね。」
流石に解っているな、と二人の舌に感心する。俺も常温で飲んだ時は随分クセが強いと思ったが、十分に冷やしてやるとクセが全く感じられず、寧ろ芋のナイーブな香りが良いアクセントだ。これなら、芋焼酎初心者でも飲みやすいかもしれんな。
「さて、おかわりを……」
節操なく伸ばされた武蔵の手を、ピシャリと叩いて止める俺。
「アホゥ、主目的忘れんなよ。チーズとの相性見るんだろうが。」
そう言いながら俺はチーズの盛られた大皿を二人に出してやる。
俺が今回選んだのは、次の6種類だ。
・ミモレット
・ベルエトワール
・ペコリーノロマーノ
・パルミジャーノ・レッジャーノ
・ロックフォール
・スモークチーズ(手製)
だ。味見をしたレビューを更に載せておこうと思う。
・ミモレット……フランス原産の牛乳から作られるハードタイプ(歯応えが強い)のチーズだ。発酵にダニを使う事でも有名だな。その独特の味わいから「西洋のからすみ」とも称される。
・ベルエトワール……これもフランス原産の牛乳チーズだ。周囲に白カビを吹き付けてあり、カマンベールチーズをイメージしてもらうと解りやすいだろうか。
・ペコリーノロマーノ……イタリア原産のハードタイプチーズ。ペコリーノとは羊の事で、一般的な牛乳が原料のチーズとはまた違った味わい。しかし何と言っても、特徴は『塩』だ。塩気が凄く際立ったチーズだ。サラダなんかにもいいかもな。好みがかなり別れそうな一品。
・パルミジャーノ・レッジャーノ……イタリア原産のハードタイプチーズ。牛乳原料。この中では割りと有名な部類のチーズだろう。知り合いのバーのマスター(本職)に聞いた所、「最も焼酎に合う」とのお墨付き(?)を頂いた。断面をみると黄色いチーズの中にポツポツと白い塊が見える。これは旨味成分のアミノ酸の結晶で、口に入れて咀嚼すればジャリジャリとアミノ酸が砕けて混じり、更に旨味が増す。そのまま食べても絶品。
・ロックフォール……個人的にはダークホースだと思っている一品。「ブルーチーズの王様」と称される青カビチーズの最高級品。特定の洞窟にしか居ない青カビを使用しなければこの名前は冠されない。好きな人には堪らない絶品チーズ。
・スモークチーズ……これは一応俺の手製だ。スモーク(燻煙)しても溶けないチーズを見つける迄は苦労したが、それを買ってきて桜のチップでスモークしただけ。この中では一番安価。
「うわぁ、高級なチーズばっかり。成金趣味ですか?提督。」
眼鏡をスチャッと上げながら、此方に辛辣な言葉を投げ掛けて来る霧島。まぁ、確かにこれだけ揃えるのに数万飛んだが良いじゃないか、たまの贅沢くらい。
「……ほう?なら霧島は食べたくないんだな?」
そう言って意地の悪い笑みを浮かべて皿を回収する俺。
「ちょっ、食べないなんて言ってないじゃないですかっ‼」
「なら文句言うな。」
さて、長くなったので合わせた感想は次回としようか。
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