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提督はBarにいる。

作者:ごません
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■焼酎に合う〇〇〇を探せ!

 
前書き

 今回のお話は作者の独断と偏見に基づく物です。必ずしも読者の方々に納得頂ける内容かかなり微妙な線です。ただ、たまには趣向を変えたツマミをチョイスする時の一助になれば、と思います。 

 

 店が暇な時、俺の仕事は大きく分けて3つだ。

・在庫のチェック

・作り置き出来るメニューの仕込み

・新メニュー開発

 の3つだ。1つ目は当然欠かせない。艦隊運営と同じく、店の在庫のチェックは重要だ。2つ目も暇だからこそ出来る作業だな。漬け物や魚の煮付けなんかは、作って冷蔵庫に放り込んで置けば、すぐにパパっと出せる。これも大事だが、3つ目の新メニュー開発。こいつが一番難儀な作業だ。何せウチの店には決まったメニューが無い。客の気分や嗜好に合わせて、ある材料で作る、ってのがウチのスタンスだからな。一応、俺の脳内と秘伝のノートにはメモしておくが、店の壁に貼り出したりはしない。

「うーむ……。」

 その日も俺は、酒瓶とある食材を目の前にしてにらめっこを繰り広げていた。客は無人。いい機会だからと友人に貰った「ある酒」と、お通しの新しいレパートリーの候補である「ある食材」のマッチングを比べていた。

「提督よ、やっているか?」

 扉が開くと同時にそんな声がかかる。そちらを見ると、二人の艦娘が肩を組んでそこに立っていた。

「あぁ、開いてるよ。……てか、CLOSEDの看板出てなけりゃ開いてるのは知ってるだろ?」

「いやいや、一応礼儀としてな。」
 
 どの口が言ってんだ、というツッコミは辛うじて飲み込む。言ったら間違いなく、ブッ飛ばされる。

「まぁ、座れよ。武蔵に霧島。」



 席を勧められた二人はカウンターに腰掛けた。途端に香ってくる酒の匂い。どうやら、ここに来る前に大分エンジンを暖気してきたらしい。

「随分呑んだな?」

「まだまだ、序の口だよ。」

 なんでも、今日は『九州艦娘の会』という集まりの飲み会だったらしい。艦の名前や、軍艦であった頃に九州に縁や所縁のある艦娘達の集まりらしく、定期的に飲みの席を催しているらしい。察するに、メンバーは武蔵、霧島、大淀、日向、望月、鳥海……等々と言った所か。

「ところがですね、私と武蔵さん、そして大淀以外の全員が轟沈しちゃいまして。」

 と、平然とした様子でだらしない、とばかりに語る霧島。どれだけ飲んだ(飲ませた)んだよ、この蟒蛇(うわばみ)共は。大淀も二次会に行こうと誘ったらしいが、「明日も朝早いので」とお断りされたらしい。さすがだ大淀。目の前のアホ二人とはワケが違った。

「それで提督よ。貴様は何をしていたのだ?」

「あぁ、新しい芋焼酎のお通しにな。『チーズの盛り合わせ』を考えているんだが、中々決まらなくてな。」

 そう、先程からの俺の悩みの種はチーズだ。友人から偶然に珍しい芋焼酎を貰ったのだが、折角だから新しいレパートリー開発に使いながら味わおうと考えたのだ。

「ほほぅ。少し酒瓶を改めても良いか?」

 ほれ、と武蔵に瓶を渡す。瞬間、武蔵目がカッと開かれた。

「こ、これは‼紫の赤兎馬じゃないか。よくこんな珍しい酒を……」

 紫の赤兎馬。2008年にネット限定、6000本だけ販売され、即完売した『幻の芋焼酎』。今回運良く、譲って貰えたのだ。

「フ、フフフフフ……。」

 武蔵と霧島が不気味に嗤う。心無しか、眼鏡が光っている気さえする。嫌な予感しかしない。

「提督よ。喜べ‼芋焼酎にはちと五月蝿い私と霧島が、芋に合うチーズを共に選んでくれよう‼」

 フハハハハハハ、とお前はどこの魔王だよとツッコミを入れたくなる位の高笑いを上げる武蔵。あ艦これ、絶対酒飲みたいだけだコレ。 
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