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遊戯王GX-音速の機械戦士-

作者:蓮夜
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-限界バトル-

「始まったか……」

 デュエルアカデミアのスタジアム、その轟く歓声は、中でデュエルが始まったことを示していた。それは同時に、こちらからのダークネスへの攻撃が始まったことを意味していた。

「…………」

 その歓声をスタジアムの外から聞いていた万丈目は、一枚のカードを眺めていた。そのカードには何の絵柄も入っておらず、漆黒で塗りつぶされたような姿をしており、元来の万丈目のカードではない。

「ナンバーズカードか……」

 それは預かっていた《ナンバーズ》のカード。デュエル中に使い手の心に従って現れるというそれは、まだ何の効果も絵柄も現れてはおらず。三沢が異世界から命がけで手に入れてきた、というこのカードを、万丈目は仲間たちから託されていた。

『頼むぜ、万丈目』

「万丈目、さんだ」

 遊矢にナンバーズを託された時のことを思い出しながら、万丈目はニヤリと笑ってカードをエクストラデッキに送る。そしてデュエルディスクをセットすると、スタジアムの前に現れたもう1人の人物に対し構えた。

「悪いがここは、この万丈目サンダーが通さん!」

「…………」

 ミスターT。ダークネスの尖兵として聞いていたソレは、万丈目に向かって見たことのないデュエルディスクを構え、すぐさまデュエルの準備を完了させた。

『万丈目のアニキぃ……あんなおっかない奴に本当に勝てるのぉ……?』

「ええい、いい加減覚悟を決めろ! これがオレたちの、この学園でのラストデュエルだ!」

 未だに泣き言を言ってのける三兄弟たちに活を入れ、万丈目もデュエルの準備を完了させる。万丈目が背後にしたスタジアムでは、ダークネスの世界に攻め込む為の準備が着々と進んでおり、そこを通しては作戦の失敗を意味していた。

「そしてそれと同時に、これから世界にその名を轟かす、万丈目サンダーの初陣だ! さあ――」

『デュエル!』

万丈目LP4000
ミスターTLP4000

 自分以外にも、スタジアムの入口を守る仲間たちが、攻めてきた敵に戦いを始めただろう。そんな中で自分が真っ先に負けるわけにいくかと、万丈目は気迫をもって先攻を呼び込んだ。

「オレはモンスターをセット! カードを二枚伏せ、ターンを終了する!」

「私のターン、ドロー」

 この日のために、万丈目は最強のデッキを組み上げてきたつもりだ。だが敵となるミスターTは、《ナンバーズ》を主軸とする共通点を除けば、そのデッキは変幻自在だと聞いている。一挙手一投足を見逃すまいと、まずは万丈目は守備を固めていた。

「私は《セイバー・シャーク》を召喚。さらに魚族モンスターが召喚したターン、《シャーク・サッカー》は特殊召喚出来る」

 そしてあっという間に、エクシーズ召喚の条件たる二体のモンスターを並べてみせたが、そのレベルは4と3。とはいえ、そんな初歩的なミスをするような相手ではなく。

「《セイバー・シャーク》の効果。フィールドの魚族モンスターのレベルを1上げる。《シャーク・サッカー》のレベルを1上げ、オーバーレイ!」

 魚族のレベルを変更する効果を持つ《セイバー・シャーク》を利用し、レベル4の魚族モンスター二体で、早速にエクシーズ召喚の準備を整えてみせる、そして二体の魚族モンスターが光球に生まれ変わり、新たなモンスターとなって生まれ変わる。

「エクシーズ召喚! 《No.4 猛毒刺胞ステルス・クラーゲン》!」

 そしてエクシーズ召喚されたモンスターは巨大なクラゲと、普段の万丈目ならば一笑にふすような外見のモンスター。ただしその威圧感は、万丈目にどうしようもなく警戒心を与えていた。

「バトル。ステルス・クラーゲンでセットモンスターに攻撃!」

「破壊されたモンスターは《仮面竜》! よってデッキから、《アームド・ドラゴンLV3》を特殊召喚する!」

 万丈目がセットしていた守備モンスターは、ステルス・クラーゲンの触手に捕縛され、そのまま飲み込まれてしまったものの。破壊された《仮面竜》はリクルーターであり、万丈目の主力モンスターの一つ、《アームド・ドラゴンLV3》が特殊召喚される。

「私はカードを一枚伏せ、ターンエンド」

「オレのターン、ドロー! そしてこの瞬間、アームド・ドラゴンは、LV5に進化する!」

 スタンバイフェイズとなり、先のターンに特殊召喚されていた《アームド・ドラゴンLV3》は、自身の効果により《アームド・ドラゴンLV5》へと進化する。これによって攻撃力1900の《No.4 猛毒刺胞ステルス・クラーゲン》の攻撃力を超え、レベルアップの条件たる戦闘破壊も可能となる。

「……オレは《アームド・ドラゴンLV5》の効果を発動! 手札を一枚捨てることで、相手モンスターを破壊する! デストロイド・パイル!」

 しかし万丈目は相手モンスターの効果破壊を優先し、《アームド・ドラゴンLV5》から撃ち出された弾丸は、容赦なく《No.4 猛毒刺胞ステルス・クラーゲン》を破壊してみせた。

「続いて、《アームド・ドラゴンLV5》でダイレクトアタック!」

「おっと。先に《No.4 猛毒刺胞ステルス・クラーゲン》の効果発動。このカードが破壊された時、エクシーズ素材の数だけ、墓地とエクストラデッキから同名モンスターを特殊召喚出来る!」

 しかし破壊したと思ったのも束の間、破壊されたはずの《No.4 猛毒刺胞ステルス・クラーゲン》は増殖し、二体のモンスターとなって万丈目の前に立ちはだかった。アームド・ドラゴンLV5の効果は、ただ《No.4 猛毒刺胞ステルス・クラーゲン》を二体に増やすのみに終わったのだ。

「そして破壊された《No.4 猛毒刺胞ステルス・クラーゲン》のエクシーズ素材は、増殖したステルス・クラーゲンに分割配置される」

「くっ……小賢しい! アームド・ドラゴンLV5、アームド・バスター!」

「だが……再生する」

 アームド・ドラゴンの咆哮とともに放たれた一撃に、またもや《No.4 猛毒刺胞ステルス・クラーゲン》はあっけなく破壊されてしまう。ただし、その特異な効果によってエクシーズ素材は失っておらず、再びミスターTのフィールドに《No.4 猛毒刺胞ステルス・クラーゲン》は再生する。

「そして破壊された《No.4 猛毒刺胞ステルス・クラーゲン》のエクシーズ素材は、特殊召喚された《No.4 猛毒刺胞ステルス・クラーゲン》のエクシーズ素材となる」

「だがターン終了時、モンスターを戦闘破壊したことにより、アームド・ドラゴンは進化する! 現れろ、《アームド・ドラゴンLV7》!」

 そして一度《アームド・ドラゴンLV5》の効果によって破壊された際、守備表示で特殊召喚された為に、戦闘破壊されようとミスターTにダメージはない。ただし、相手モンスターを戦闘破壊したことにより、万丈目のアームド・ドラゴンもレベル7へと進化を果たしていた。

「私のターン、ドロー」

 戦況は五分五分――と見せかけて、万丈目には不穏な感情がどうしても拭えなかった。万丈目のフィールドには、主力モンスターの一角たる《アームド・ドラゴンLV7》に、リバースカードが二枚。対するミスターTのフィールドには、不死の特性を持った《No.4 猛毒刺胞ステルス・クラーゲン》が二体に、リバースカードが一枚。

「私は《アームズ・ホール》を発動。通常召喚権とデッキトップを対価に、装備魔法をサーチし《アームド・ドラゴンLV7》に装備させて貰おう」

「何?」

 《アームズ・ホール》の効果に関しては、万丈目はかの【機械戦士】使いを通して、憎たらしいほど分かっていた。そしてミスターTのデッキから、《アームド・ドラゴンLV7》に装備された魔法カードは――

「この装備魔法《幻惑の巻物》は、装備モンスターの属性を変更出来る」

 《アームド・ドラゴンLV7》に装備された魔法カードは、装備モンスターの属性を変更させる《幻惑の巻物》。それ単体では何の意味もなさないカードだが、組み合わせることで一撃必殺の威力を誇るカードとなる。

「そして《No.4 猛毒刺胞ステルス・クラーゲン》は、エクシーズ素材を墓地に送ることで、水属性モンスターを破壊し、その攻撃力分のダメージを与える!」

 もちろん選択されるのは水属性――そして《No.4 猛毒刺胞ステルス・クラーゲン》は、相手の水属性モンスターを破壊し、その攻撃力分のダメージを与える効果がある。進化したアームド・ドラゴンの攻撃力は、2800――と万丈目が戦慄する間にも、《No.4 猛毒刺胞ステルス・クラーゲン》の一撃が《アームド・ドラゴンLV7》を貫いた。

「では2800ポイントのダメージを……ん?」

「甘いな。オレはリバースカード、《レベル・ソウル》を発動していた! このカードは自分フィールドのモンスターをリリースすることで、墓地のモンスターをレベルアップさせる!」

 《No.4 猛毒刺胞ステルス・クラーゲン》の一撃が、《アームド・ドラゴンLV7》を殺し尽くすより前に。万丈目のリバースカード、《レベル・ソウル》によって《幻惑の巻物》ごとリリースされ、辛うじて《No.4 猛毒刺胞ステルス・クラーゲン》の効果から逃れていた。

「現れろ、伝説の頂点! 《アームド・ドラゴンLV10》!」

 《アームド・ドラゴンLV5》の効果によって、墓地に送られていた《アームド・ドラゴンLV7》。罠カード《レベル・ソウル》により、墓地でのレベルアップを果たし、早くも最強のアームド・ドラゴンが降臨する。もちろん属性は水属性ではなく、《幻惑の巻物》もない今、《No.4 猛毒刺胞ステルス・クラーゲン》の効果も通用しない。

「ふむ……ならばリバースカードを発動しよう。発動した《バブル・ブリンガー》はこのカードを墓地に送ることで、墓地からレベル3以下の水属性・同名モンスターを二体、特殊召喚出来る」

 ミスターTのフィールドに伏せられていたのは、レベル4以上のモンスターの直接攻撃を封じる永続罠《バブル・ブリンガー》。そして第二の効果として、《バブル・ブリンガー》自身を墓地に送ることで、墓地のレベル3以下かつ水属性の同名モンスターを、二体まで特殊召喚する効果を持つ。

「さらに水属性モンスターが特殊召喚されたことで、手札から《シャーク・サッカー》を特殊召喚する」

 そしてミスターTのフィールドには、あっという間に三体の《シャーク・サッカー》が並んでいた。《No.4 猛毒刺胞ステルス・クラーゲン》のエクシーズ素材となった一体目と、《アームズ・ホール》のコストで墓地に送られていた二体目に、今し方手札から特殊召喚された三体目。

「三体の《シャーク・サッカー》でオーバーレイ!」

 《アームズ・ホール》のデメリット効果により、通常召喚が封じられているにもかかわらず、ミスターTはここまで自由自在にフィールドを操ってみせる。さらにそこまでで終わりではなく、三体の《シャーク・サッカー》を使い、エクシーズ召喚として新たなナンバーズを呼びだす土壌とした。

「エクシーズ召喚。《No.3 地獄蝉王ローカスト・キング》!」

 新たに特殊召喚されたのは、巨大な蝉のような姿をしたナンバーズ。とはいえ《アームド・ドラゴンLV10》に適う効果や攻撃力は持っていないのか、守備表示での降臨となった。

「《No.4 猛毒刺胞ステルス・クラーゲン》も守備表示のまま。カードを一枚伏せ、ターン終了」

「オレのターン、ドロー!」

 三体の守備表示のナンバーズと、一枚のリバースカード。明らかに守備を固めてきたミスターTに対し、《アームド・ドラゴンLV10》を擁する万丈目の戦術は、ドローするまでもなく決定していた。

「《アームド・ドラゴンLV10》の効果を発動! 手札を一枚捨てることで、相手モンスターを全て破壊する! デストロイド・パニッシャー!」

 最終進化を果たした《アームド・ドラゴンLV10》の前には、ミスターTのフィールドのモンスターは全て破壊されるも同然だった。万丈目の手札コストによって、《アームド・ドラゴンLV10》は動き出す――

「《No.3 地獄蝉王ローカスト・キング》の効果を発動」

 ――ことはなかった。ミスターTのフィールドに新たに現れていたナンバーズ、《No.3 地獄蝉王ローカスト・キング》の超音波のような鳴き声が放たれると、《アームド・ドラゴンLV10》はその動きを止めてしまう。

「《No.3 地獄蝉王ローカスト・キング》は、エクシーズ素材を一つ取り除くことで、相手モンスターの効果を無効にし、守備力を500ポイントアップさせる」

 相手モンスターの効果が発動した際に、エクシーズ素材を一つ代償にその効果を無効にする、という効果を持った《No.3 地獄蝉王ローカスト・キング》。その効果により《アームド・ドラゴンLV10》の効果は封じられてしまい、さらに守備力も3000と攻撃による突破も不可能となった。

「……だが、墓地に送られた《おジャマジック》の効果は発動する! このカードが墓地に送られた時、デッキからおジャマ三兄弟を手札に加える!」


 しかし万丈目とてタダでは転ばず、手札コストを利用して《おジャマジック》を墓地に送ることで、手札におジャマ三兄弟を加えてみせる。《アームド・ドラゴンLV10》での現状の突破は不可能だが、万丈目は手札に加えたおジャマ三兄弟を一瞥する。

「さらに《おジャマ・ゲットライド》を発動! 手札からおジャマ三兄弟を墓地に送ることで、デッキから機械族・光属性モンスターを、三体まで特殊召喚!」

 そして強力なサポートカードに繋ぎ、万丈目のフィールドには三体の機械族モンスターが特殊召喚される。攻撃と効果の発動こそ封じられているものの、その三体のモンスターのみにしか出来ない手段があった。

「オレは三体のモンスターを融合! 合体せよ、《XYZ-ドラゴン・キャノン》!」

 X、Y、Z。三体の機械族モンスターが合体し、《XYZ-ドラゴン・キャノン》として万丈目のフィールドに降臨する。本来なら【アームド・ドラゴン】と【VWXYZ】、それらのデッキを万丈目は使い分けていたが、このダークネスとの決戦において同時に扱えるように構築した。

「《XYZ-ドラゴン・キャノン》の効果! 手札を一枚捨て、《No.3 地獄蝉王ローカスト・キング》を破壊する! ハイパー・デストラクション!」

「おっと……《No.3 地獄蝉王ローカスト・キング》の効果を発動!」

 そしてその甲斐あって二体の主力モンスターは並び立ち、《XYZ-ドラゴン・キャノン》は、《No.3 地獄蝉王ローカスト・キング》にその砲塔を向けた。しかし再びローカスト・キングが超音波を発し、《XYZ-ドラゴン・キャノン》もまた、その動きを止めてしまう。

「言い忘れていたが、一ターンに一度などという誓約はなくてね。ローカスト・キングは、さらに守備力をアップさせる」

「……オレは魔法カード《アドバンスドロー》を発動! レベル8モンスター、つまり《XYZ-ドラゴン・キャノン》を墓地に送り、二枚ドローする!」

 《No.3 地獄蝉王ローカスト・キング》の守備力は3500に到達し、さらにエクシーズ素材をまだもう一つ残している。まさか一ターンに二度まで、という効果ではあるまい――と、万丈目は毒づきながら、レベル8モンスターをコストに二枚のカードをドローする《アドバンスドロー》により、《XYZ-ドラゴン・キャノン》を代償に二枚のカードをドローする。

「ならばそのエクシーズ素材、使い切らせてやるわ! 永続魔法《異次元格納庫》を発動し、《X-ヘッド・キャノン》を召喚する!」

 《アドバンスドロー》によって得た手札で、万丈目は二枚のカードを展開する。一枚目は永続魔法《異次元格納庫》と、このカードは発動時の処理で、デッキから三枚のユニオンモンスターを除外する効果を持つ。

「そして《X-ヘッド・キャノン》が召喚されたことにより、《異次元格納庫》の効果を発動! 対応するユニオンモンスターを、除外ゾーンから特殊召喚する!」

 除外ゾーンに送られるだけでは意味をなさないが、ここからが《異次元格納庫》の本領だ。フィールドに《X-ヘッド・キャノン》が召喚されたことで、除外ゾーンに送っていた対応するユニオンモンスター――すなわち、《X-ヘッド・キャノン》と合体できる、《Y-ドラゴン・ヘッド》と《Z-メタル・キャタピラー》が除外ゾーンから特殊召喚され、三体のXYZモンスターが再びフィールドに並ぶ。

「合体だ、《XYZ-ドラゴン・キャノン》!」

 つい先程《アドバンスドロー》でリリースされたのも束の間、二体目の《XYZ-ドラゴン・キャノン》が万丈目のフィールドに現れる。合体能力を持つマグネットモンスターの本領を見せ、もう一度《No.3 地獄蝉王ローカスト・キング》に砲塔を向ける。

「《XYZ-ドラゴン・キャノン》の効果! 手札を一枚捨て、《No.3 地獄蝉王ローカスト・キング》を破壊する!」

「ローカスト・キングはエクシーズ素材を一つ取り除き、相手モンスターの効果を無効にし、守備力を500ポイントアップさせる!」

「だが、これでエクシーズ素材は使い切った! 伏せてあった《リビングデッドの呼び声》を発動!」

 もちろん《XYZ-ドラゴン・キャノン》の効果の発動は、《No.3 地獄蝉王ローカスト・キング》の効果無効効果に阻まれ、ローカスト・キングの守備力は4000と太刀打ち出来る数字ではなくなった。しかし万丈目の攻撃はまだ終わらず、伏せてあった《リビングデッドの呼び声》を発動し、まだまだミスターTを攻め立てていく。

「墓地から蘇生するのは《V-タイガー・ジェット》! よって《異次元格納庫》の効果により、除外ゾーンから《W-ウィング・カタパルト》を特殊召喚する!」

 効果を無効にされると分かっていながら発動し、コストとして墓地に送っていた《V-タイガー・ジェット》が蘇生し、《異次元格納庫》により《W-ウィング・カタパルト》が特殊召喚される。これで《異次元格納庫》によって除外したモンスターはなくなったが、充分すぎるほどに効果を発動した。そして新たに現れた、VとWの名を冠した二体のマグネットモンスターもまた、その能力を活かして合体していく。

「《V-タイガー・ジェット》と《W-ウィング・カタパルト》で合体! 《VW-タイガー・カタパルト》!」

 合体する二体のマグネットモンスター。戦闘機のようにも見えるそのモンスターの効果は、手札を一枚捨てることで、相手モンスターの表示形式を変更するカードだが――その効果を発動する必要はない。

「さらに《XYZ-ドラゴン・キャノン》と、《VW-タイガー・カタパルト》を合体! 《VWXYZ-ドラゴン・カタパルト・キャノン》!」

 そして降臨する、五体合体の《VWXYZ-ドラゴン・カタパルト・キャノン》。先にフィールドにいた《アームド・ドラゴンLV10》と並び、二体の切り札が万丈目のフィールドに並び立った。その威圧感はミスターTのフィールドのナンバーズにも負けておらず、圧倒的な攻撃を加え始める。

「まずは《VWXYZ-ドラゴン・カタパルト・キャノン》の効果! 一ターンに一度、相手のカードを除外する! その邪魔なクラゲには消えてもらおう!」

 まず標的となったのは、エクシーズ素材を持った《No.4 猛毒刺胞ステルス・クラーゲン》。エクシーズ素材を持っている場合、不死の特性を持ったナンバーズだったが、除外の前には何の意味も成さなかった。

「バトル! VWXYZ-ドラゴン・カタパルト・キャノンで、《No.3 地獄蝉王ローカスト・キング》に攻撃する!」

「だがローカスト・キングの守備力は4000」

 そしてエクシーズ素材を使い切った《No.3 地獄蝉王ローカスト・キング》に攻撃を仕掛けるが、ローカスト・キングはその効果によって守備力を4000にまで増しており、さしもの《VWXYZ-ドラゴン・カタパルト・キャノン》でも突破出来ない。

「守備力がいくらあろうが無駄だ! 《VWXYZ-ドラゴン・カタパルト・キャノン》と戦闘するモンスターは、その表示形式を強制的に変更される! VWXYZ-アルティメット・デストラクション!」

「ぐっ……!?」

ミスターT LP4000→2200

 戦闘する相手モンスターの表示形式を変更する、という《VWXYZ-ドラゴン・カタパルト・キャノン》の効果により、《No.3 地獄蝉王ローカスト・キング》は破壊され、ミスターTに初のダメージが入る。初期ライフの半分を削る爆発に加え、さらに万丈目にはまだ攻撃するモンスターが残っている。

「さらに《アームド・ドラゴンLV10》で、《No.4 猛毒刺胞ステルス・クラーゲン》に攻撃! アームド・ビッグ・パニッシャー!」

 守備表示であるためにダメージはないが、《No.4 猛毒刺胞ステルス・クラーゲン》もエクシーズ素材がないため、墓地からの蘇生効果を使うことは出来ない。万丈目の攻勢により、ミスターTのフィールドはリバースカードを一枚残すのみとなった。

「オレはこれでターンエンド」

「私のターン、ドロー」

 そして万丈目のフィールドには《アームド・ドラゴンLV10》と《VWXYZ-ドラゴン・カタパルト・キャノン》という、二種類の切り札クラスのモンスターを残したまま、ミスターTのターンへと移る。しかしそんな状況だろうと、ミスターTにはまるで慌てる様子はなく。

「私は伏せてあった《エクシーズ・リボーン+》を発動。このカードをエクシーズ素材にすることで、墓地のエクシーズモンスターを特殊召喚する。蘇れ、《No.4 猛毒刺胞ステルス・クラーゲン》!」

 ミスターTのフィールドに伏せられていた、最後のリバースカード《エクシーズ・リボーン+》により、《No.4 猛毒刺胞ステルス・クラーゲン》がエクシーズ素材を持ったまま蘇生される。とはいえ、その効果は水属性モンスターを相手にしか使えず、不死の効果を使って壁モンスターにしようにも、《VWXYZ-ドラゴン・カタパルト・キャノン》の前には無力だ。

「そして《エクシーズ・リボーン+》は、エクシーズ素材となったこのカードを墓地に送る代わりに、カードを二枚ドロー出来る……そして私は《スター・ブラスト》を発動」

 ミスターTも《No.4 猛毒刺胞ステルス・クラーゲン》を主軸に攻め込む気は毛頭なかったらしく、蘇生カード《エクシーズ・リボーン+》の効果により、エクシーズ素材をコストに二枚のカードをドローする。そして発動された魔法カードは、上級モンスターをサポートする魔法《スター・ブラスト》。

「ライフポイントを500ポイント払い、私は手札のモンスターのレベルを1下げる。そして《No.4 猛毒刺胞ステルス・クラーゲン》をリリースし、レベル6となった《超古深海王シーラカンス》をアドバンス召喚させてもらう」

ミスターT LP2200→1700

 《スター・ブラスト》の発動コストにより、万丈目とのライフポイントの差がさらに開いていく。しかしてその代償に等しく、一体のリリースで魚族の切り札クラスのモンスターである、《超古深海王シーラカンス》のアドバンス召喚に成功する。攻撃力こそ万丈目の二体のモンスターに及ばないものの、その効果は万丈目のモンスターに勝るとも劣らない。

「《超古深海王シーラカンス》の効果。手札を一枚捨てることで、デッキから下級魚族モンスターを可能な限り特殊召喚する」

 既にフィールドは一つ《超古深海王シーラカンス》で埋まっているため、四体の魚族モンスターを手札一枚をコストにデッキから特殊召喚する、という効果とほぼ同義。まるで最初から《超古深海王シーラカンス》の巨大な影に隠れていたように、レベル4の《セイバー・シャーク》が二体、《ツーヘッド・シャーク》が二体特殊召喚される。

「私はそれぞれ二体のモンスターでオーバーレイ!」

 奇しくも万丈目が使った《おジャマ・ゲットライド》の効果で特殊召喚された、《XYZ-ドラゴン・キャノン》の融合素材のマグネットモンスターのように。ミスターTの《超古深海王シーラカンス》の効果で特殊召喚された魚族は、攻撃宣言も効果の発動も出来ないが――エクシーズ素材に使うことは可能だ。それぞれ二体ずつが光球に生まれ変わっていき、新たなナンバーズとなって生まれ変わる。

「エクシーズ召喚。《No.37 希望織竜スパイダー・シャーク》!」

 二体のサメ型ナンバーズ。エクシーズ素材となった魚族を正しく強力にしたようなその二種が、《超古深海王シーラカンス》とともに万丈目と対峙する。

「希望織竜か……笑わせる!」

「ならば望み通りにしてあげよう。スパイダー・シャークで、《VWXYZ-ドラゴン・カタパルト・キャノン》に攻撃する。スパイダー・トルネード!」

 攻撃力の劣るスパイダー・シャークによる攻撃に、名前を皮肉る余裕のあった万丈目も身構える。ヒレから起こした旋風がスパイダー・シャークから放たれると、《VWXYZ-ドラゴン・カタパルト・キャノン》の鋼の身体が錆びついていく。

「スパイダー・シャークの効果。自分のモンスターが攻撃する時にエクシーズ素材を取り除き、相手モンスター全ての攻撃力を1000ポイントダウンさせる!」

「なに!?」

 いや、《VWXYZ-ドラゴン・カタパルト・キャノン》だけではなく。同じ攻撃力3000を誇っていた、《アームド・ドラゴンLV10》も同様だった。どちらの攻撃力も1000ポイントダウンし、《No.37 希望織竜スパイダー・シャーク》の攻撃力以下の数値となり、まずは《VWXYZ-ドラゴン・カタパルト・キャノン》の方から破壊されてしまう。

「くっ……!」

万丈目LP4000→3400

 かすり傷程度ではあるものの、万丈目にも初めてのダメージが与えられる。さらにミスターTのフィールドには、未だにモンスターが残っているのだ。

「さらにもう一体の《No.37 希望織竜スパイダー・シャーク》で、《アームド・ドラゴンLV10》に攻撃!」

「ぐあっ!」

万丈目LP3400→2800

 さらにただライフポイントを削られた、という訳ではなく。二体の切り札をまとめて破壊された、という覆せない事実は、万丈目の精神的に重くのしかかった――しかし、今は精神的なことを考えるより。

「さて……終わりかな?」

 万丈目のフィールドはがら空き――無意味にフィールドに残り続ける《リビングデッドの呼び声》はあるが――という状況で、狙ったかのように万丈目のライフポイントと、ミスターTのフィールドに残る攻撃モンスター《超古深海王シーラカンス》の攻撃力は同じ。万丈目に打つ手はなく、あとは《超古深海王シーラカンス》のダイレクトアタックで決着がつく――筈だったが。

「…………?」

 ミスターTは、そこにはいないはずのモンスターの姿を見た。

「オレは墓地から《おジャマーキング》の効果を発動していた! このカードを墓地から除外することで、フィールドのモンスターが破壊された時、墓地からおジャマモンスターを特殊召喚できる!」

『おいら、ふっか――えぇぇ!? なに!? この状況なに!?』

 先のターンで《XYZ-ドラゴン・キャノン》の効果で墓地に送られていた、墓地から除外することで効果を発揮する罠カード《おジャマーキング》の効果により、墓地から《おジャマ・イエロー》が守備表示で特殊召喚される。絶体絶命の危機を救いに駆けつけてくれたエースに、万丈目は全幅の信頼を持って微笑んだ。

「壁だ!」

「……《超古深海王シーラカンス》で、《おジャマ・イエロー》に攻撃」

 そして《超古深海王シーラカンス》の起こす濁流に巻き込まれ、何を言う暇もなく《おジャマ・イエロー》は破壊された。しかし万丈目にダメージはなく、ミスターTもメインフェイズ2に移行する。

「私は魔法カード《スリー・スライス》の効果を発動。フィールドのモンスターをリリースし、そのレベルの数になるよう、デッキからモンスターを特殊召喚出来る」

 対象を《超古深海王シーラカンス》に定めて、魔法カード《スリー・スライス》が発動される。対象のモンスターのレベルが9なら、レベル3のモンスターを三体。レベル4なら、レベル2のモンスターを二体――割り切れるようにデッキからモンスターを特殊召喚する、という効果を持つ魔法カード《スリー・スライス》。そして《超古深海王シーラカンス》は、魔法カード《スター・ブラスト》の効果により、現在のレベルは6――よって、レベル2のモンスターが三体がデッキから特殊召喚される。

「レベル2の《ホワイト・ドルフィン》を素材に、オーバーレイ!」

 そして《超古深海王シーラカンス》をコストに特殊召喚されたのは、何でもない通常モンスターである《ホワイト・ドルフィン》。レベル2ということもあって、ステータスもまるで戦闘には耐えられないが、それが三体並べばエクシーズ素材となる。

「エクシーズ召喚。《No.2 蚊学忍者シャドー・モスキート》!」

 守備表示で現れる新たなナンバーズに、万丈目は警戒を強めておく。これでミスターTのフィールドには、またもや三体のナンバーズがあっという間に並び、《VWXYZ-ドラゴン・カタパルト・キャノン》に《アームド・ドラゴンLV10》に破壊された分は、簡単に建て直したと言っても過言ではないだろう。

「さらに《エクシーズ・ギフト》を発動し、カードを二枚ドローし、ターンエンド」

 最後に自分フィールドのエクシーズ素材をコストに、カードを二枚ドローする魔法カード《エクシーズ・ギフト》により、ミスターTは手札を補充しながらターンを終了する。

「オレのターン、ドロー! ……《マジック・プランター》を発動し、カードを二枚ドローする!」

 そして万丈目のターンに移るや否や、ミスターTへの意趣返しのように、《マジック・プランター》によってカードを二枚ドローしてみせた。コストは無意味にフィールドに残り続けていた、永続罠である《リビングデッドの呼び声》でだ。

「ふん……貴様がどんなナンバーズをいくら特殊召喚しようと、オレ様のエースの前には無意味だ! 《トライワイトゾーン》を発動! 蘇れ、おジャマ三兄弟!」

 墓地のレベル2の通常モンスターを三体特殊召喚する、というもはや専用サポートにも等しい魔法カード《トライワイトゾーン》により、《おジャマ・ゲットライド》の効果で墓地に送られていた、おジャマ三兄弟が今度は三体とも一斉に特殊召喚される。そしてこの三兄弟が揃った時、万丈目が発動する魔法カードは決まっていた。

「《おジャマ・デルタ・ハリケーン》を発動! さぁ、お前たちの力を見せてやれ、おジャマ三兄弟!」

『おジャマ・デルタ・ハリケーン!』

 おジャマ三兄弟が肩を組んで高速回転しながら、ミスターTのフィールドの上空に飛翔する。するといつしか、空中で高速回転していたおジャマ三兄弟は、光の輪のようなものとなっていた。

 そしてそこから放たれた衝撃波は、ナンバーズであろうと何であろうと、問答無用で全てを破壊する。幸か不幸か、ミスターTのフィールドには何も伏せられていなかったが、それは魔法・罠カードも例外ではない。

「さらに――ん?」
 しかしフィールドに残ったおジャマ三兄弟に、更なる行動を命じようとしていた万丈目は、ミスターTのフィールドに残る一体のモンスターを見た。《No.37 希望織竜スパイダー・シャーク》――全て破壊され尽くしたフィールドに、そのナンバーズのみ残っていた。

「《No.37 希望織竜スパイダー・シャーク》は破壊された時、一度だけ墓地のモンスターを特殊召喚できる」

「……ならば魔法カード《置換融合》を発動! フィールドのおジャマ三兄弟を融合し、《おジャマ・キング》を融合召喚する!」

『おジャマ究極合体!』

 またもや万丈目の前に立ちはだかる、破壊された際に墓地から特殊召喚されるナンバーズに、万丈目は発動する魔法カードを変える。フィールドのモンスターを融合する魔法カード《置換融合》によって、おジャマ三兄弟が時空の渦に吸い込まれていく。

『おジャマ・キ~ング!』

「《おジャマ・キング》がフィールドにいる時、相手のフィールドを三つまで使用不能にする!」

 そしてフィールドに舞い戻った《おジャマ・キング》が、ミスターTのフィールドに判子を押していくと、そのフィールドは《おジャマ・キング》がいる限り使用不能となった。

「これで貴様の新たなナンバーズの召喚は封じられた! ターンエンドだ!」

「私のターン、ドロー」

 万丈目が言ったことはあながち間違いではない。二体の同レベルモンスターを揃えなくてはいけないエクシーズ召喚だったが、ミスターTのフィールドは三つが《おジャマ・キング》の効果で塞がれ、残る一つはレベルの持たない《No.37 希望織竜スパイダー・シャーク》で埋められている。

「どうかな。私はリバースカードを一枚伏せ、魔法カード《浮上》を発動する」

「何だと……?」

 そして《おジャマ・キング》を処理しようにも、《No.37 希望織竜スパイダー・シャーク》の攻撃力では、守備表示の《おジャマ・キング》には及ばない。だがミスターTは不敵な笑みを浮かべてカードをセットしながら、下級水属性専用蘇生カード《浮上》によって、墓地から《シャーク・サッカー》を特殊召喚する。これでミスターTのフィールドは埋まり、エクシーズ召喚どころか通常の召喚さえままならない――

「私は二体のモンスターをリリースし、《破壊竜ガンドラ》をアトバンス召喚する!」

 ――アトバンス召喚を除いては。ミスターTがエクシーズ召喚を主軸としていたため、まるでアトバンス召喚の可能性を考えていなかった万丈目の前に、全身に鏡を張り付けた凶悪な風貌の竜がアトバンス召喚された。

「私はライフの半分を糧に、《破壊竜ガンドラ》の効果を発動。フィールドの全てのカードを、ゲームから取り除く。デストロイ・ギガ・レイズ!」

ミスターT LP1700→850

 万丈目のフィールドの《おジャマ・キング》、永続魔法《異次元格納庫》。そしてミスターTのフィールドに伏せられた、一枚のリバースカードが《破壊竜ガンドラ》の全身から放たれた光線に射抜かれ、その身は墓地どころか除外されてしまう。

「さらに除外ゾーンから罠カード《エクシーズ・ディメンション・スプラッシュ》を発動する」

「除外ゾーンから罠カードだと!?」

 その特異な発動条件に、流石の万丈目も驚きを露わにする。わざわざ自らのカードを《破壊竜ガンドラ》の効果に巻き込んだのは、罠カード《エクシーズ・ディメンション・スプラッシュ》の発動条件を満たすためだったのだ。

「この罠カードが除外された時、デッキからレベル8の水属性モンスターを二体、特殊召喚できる。現れろ、《エンシェント・シャーク ハイパー・メガロドン》!」

 そして発動された効果は、デッキからレベル8の水属性モンスターを二体特殊召喚する、という派手な効果。その効果の通り、最上級モンスターが二体、ミスターTのフィールドに現れるものの、巨大な身体はピクリとも動くことはなかった。

「《エクシーズ・ディメンション・スプラッシュ》で特殊召喚したモンスターは、攻撃に効果の発動、リリースが封じられる、が……」

 ――エクシーズ素材となることを封じ手はおらず、これでミスターTのフィールドには、三体のレベル8モンスターが揃っていた。

「私はレベル8の《破壊竜ガンドラ》と、《エンシェント・シャーク ハイパー・メガロドン》二体でオーバーレイ!」

 エースモンスターの代名詞とも言えるレベル8モンスター、それはそのレベル8モンスターを素材とする、ランク8モンスターも同様だった。それが三体ものモンスターを素材とし、闇とともにミスターTのフィールドに舞い降りた。

「エクシーズ召喚。《No.1 インフェクション・バアル・ゼブル》!」

 ――その外見は悪魔そのものだった。神話に記された蠅の悪魔、その姿のままに、万丈目の前に降臨した。

「《No.1 インフェクション・バアル・ゼブル》がエクシーズ召喚に成功した時、相手のエクストラデッキのモンスターを一体、墓地に送ることが出来る」

「貴様……!」

 バアル・ゼブブの眷属たる巨大な蠅が万丈目のデュエルディスクに殺到し、屈辱的な表情を隠さない万丈目に構わず、そのエクストラデッキのカードを空中に勢いよくバラまいていく。万丈目のエクストラデッキは、主におジャマとVWXYZの融合モンスターが占めていたが――一枚だけ、ミスターTの目に留まるカードがあった。

「ほう……ナンバーズ……」

 万丈目のエクストラデッキの中にある、唯一の漆黒のカード。そのカードにはまだ絵柄も名前もなく、ただ使用者の心を映す鏡となっていた。

「私はナンバーズ・カードを選択」

 だがナンバーズ・カードは力を発揮する前に、ミスターTがバアル・ゼブブの効果に選択したことにより、万丈目の墓地に送られてしまう。それ以外のエクストラデッキのモンスターは、デュエルディスクに戻っていくものの――まだミスターTが狙いは終わりではなかった。

「そしてバアル・ゼブブは、1ターンに一度、相手の墓地のナンバーズを、自身のエクシーズ素材として吸収する」

「なに!?」

 墓地に送られていたナンバーズ・カードだったが、それだけでは済まずに。墓地から発生した蠅とともに、バアル・ゼブブのエクシーズ素材として吸収されてしまい、墓地と違って再利用はほぼ絶望的となってしまう。

「くそっ……!」

 このデュエルを迎えるにあたって、万丈目は託されたナンバーズ・カードを当てにしていなかった、と言えば嘘になる。しかして万丈目が毒づく理由は、ナンバーズ・カードを使えなくなってしまったことではなく。

 自分を信じてあのナンバーズ・カードを託してくれた仲間に、この体たらくでは申し訳がたたないからだった。

「さて……決着といこうか」

 そして万丈目の屈辱はよそに。切り札クラスのナンバーズが特殊召喚されたミスターTとは違い、万丈目のフィールドは《破壊竜ガンドラ》の効果によって、その全てを除外されてしまっている。しかし万丈目に、屈辱心はあれども、恐れる心など――一片たりとも存在しなかった。

「《No.1 インフェクション・バアル・ゼブル》で攻撃。ゾディアコ・ヴィテ!」

「オレは手札から《速攻のかかし》を捨て、バトルフェイズを終了させる!」

 そのモンスターは、かつて遊矢とトレードしていたモンスター。彼が自在に扱ってみせるように、《速攻のかかし》は《No.1 インフェクション・バアル・ゼブル》からの一撃を防いでみせ、万丈目はフィールドはがら空きながら何とか耐え抜いた。

「ほう……私はカードを一枚伏せ、ターンエンド」

「オレのターン、ドロー!」

 とはいえ、危機的な状況が維持されていることに変わりはない。万丈目は覚悟を決めてカードを引くものの、もはやアームド・ドラゴンもVWXYZもおジャマ三兄弟も墓地。望んだ手札を得ることは出来ない。

「墓地から《置換融合》の効果。このカードを除外することで、融合モンスターをエクストラデッキに戻し、カードを一枚ドロー出来る!」

 しかしまだ万丈目に諦めの心はない。墓地から一枚ドローさせる《置換融合》により、墓地の融合モンスターをエクストラデッキに戻しながら、カードを一枚ドローする。このカードで融合召喚した《おジャマ・キング》は除外されてしまっているが、まだ万丈目の墓地にはVWXYZ融合モンスターが存在していたからだ。

「……オレは三枚のカードをセット! そして魔法カード《地獄宝札》を発動! 手札がこのカードのみの場合、カードを三枚ドロー出来る!」

 そして万丈目は賭けに出る。手札を一枚残したのみでカードを全て伏せ、さらなるドロー加速カード《地獄宝札》を発動する。ただし三枚のカードをドローするカードの条件が、手札にこのカードだけという条件のみで済むわけがなく。特定のモンスターを召喚出来なければ、自身に3000ポイントのダメージを与える、という強烈なデメリット効果。

 その特定のモンスターとは――

「来い! 《地獄戦士》!」

 ――かつて万丈目が使用していた、地獄モンスターに他ならない。アームド・ドラゴンやVWXYZ、おジャマ三兄弟が、このアカデミアでの日々で手に入れた力ならば、この【地獄】デッキは万丈目そのものの力。

「……オレはこれで、ターンエンド」

 それが今、最強の敵を前にして、万丈目を守るように立ちはだかっていた。フィールドを制圧している《No.1 インフェクション・バアル・ゼブル》を破壊する力はないものの、《地獄戦士》はその特性で持ってミスターTの首元に食らいついていた。


「私のターン……ドロー……」

 万丈目のフィールドには攻撃表示の《地獄戦士》に、リバースカードが三枚、残るライフポイントは2800ポイント。対するミスターTは、フィールドには切り札クラスのナンバーズこと《No.1 インフェクション・バアル・ゼブル》のみ。リバースカードは一枚で、残るライフポイントは850。

 デュエルは最終局面を迎えていた。

「…………」

 ナンバーズを擁して絶対的に有利な筈のミスターTも、今回ばかりは慎重そうな様子を見せていた。不利な筈の相手が、下級モンスターを攻撃表示のまま召喚し、その後ろには三枚のリバースカードも控えている、という状況もそうだが。

「どうした? 攻撃してこないのか?」

 何よりも万丈目が頼りにしていたのは、攻撃表示で召喚された《地獄戦士》の効果。その効果は攻撃された際に、受けた戦闘ダメージを相手プレイヤーにも与えるという効果。もしも《No.1 インフェクション・バアル・ゼブル》で《地獄戦士》を攻撃すれば、残りのライフポイントの関係で、ライフポイントの少ないミスターTの敗北が決定する。

「《No.1 インフェクション・バアル・ゼブル》の効果。エクシーズ素材を一つ取り除くことで、相手モンスターを破壊し、その攻撃力分のダメージを与える!」

「――――!」

 ただし、それは戦闘ダメージに限った話だ。《No.1 インフェクション・バアル・ゼブル》は、相手モンスターを破壊し、そのモンスターの攻撃力分のダメージを相手に与える効果を発動し、《地獄戦士》に波動の一撃を放つ。

「――かかったな!」

「……?」

万丈目LP2800→1600

 《地獄戦士》はその効果の前に破壊されてしまい、万丈目にその攻撃力分のダメージが与えられるとともに、フィールドはがら空きになってしまうが――万丈目は笑っていた。むしろ、目論見通りだと言わんばかりに。

「リバースカード、オープン! 《ヘル・ブラスト》!」

 万丈目の三枚のリバースカードのうち一枚が発動し、バアル・ゼブブが《地獄戦士》を破壊した波動が、その発動したカードの中に吸い込まれていく。

「《ヘル・ブラスト》の効果。自分のモンスターが破壊された時、フィールドの攻撃力が最も低いモンスターを破壊し、お互いにその攻撃力分のダメージを受ける!」

 フィールドにいるのはミスターTの《No.1 インフェクション・バアル・ゼブル》のみ。よって《ヘル・ブラスト》の対象となる、フィールドで最も攻撃力の低いモンスターは――攻撃力3000を誇る《No.1 インフェクション・バアル・ゼブル》。その攻撃力の半分、よって1500ポイントのバーンダメージがお互いに与えられる。

「――終わりだ!」

 《ヘル・ブラスト》のカードに封じられていたバアル・ゼブブの一撃が、万丈目とミスターT、二つに別れてそれぞれに放たれた。万丈目のライフは1600、ミスターTのライフポイントは850――

「ぐっ!」

万丈目LP1600→100

 奇跡のように万丈目のライフポイントは100ポイントだけ残り、万丈目に襲いかかる《ヘル・ブラスト》の処理は終了する。そしてミスターTにも、バアル・ゼブブの一撃が返っていく――

「墓地から《ダメージ・ダイエット》の効果を発動!」

ミスターT LP850→100

 ――だが、奇跡は万丈目にのみ起こるものではない。墓地から除外することで効果ダメージを半減する罠カード《ダメージ・ダイエット》により、ミスターTのライフポイントもまた、謀ったように100ポイントのみ残っていた。墓地に送ることの出来たタイミングは、《超古深海王シーラカンス》の手札コスト。

「さらに速攻魔法《エクシーズ・ダブル・バック》を発動。エクシーズモンスターが破壊された時、墓地からそのエクシーズモンスターと、そのエクシーズモンスターより攻撃力の低いモンスターを特殊召喚できる」

 そしてミスターTの手札から発動された、新たな速攻魔法《エクシーズ・ダブル・バック》の効果により、フィールドに《No.1 インフェクション・バアル・ゼブル》はフィールドに舞い戻る。さらに《エクシーズ・ダブル・バック》の効果により、バアル・ゼブブより攻撃力が低い、《No.37 希望織竜スパイダー・シャーク》も共に。

「残念だったようだね。バトル。《No.37 希望織竜スパイダー・シャーク》で攻撃」

「……いや。オレは《ヘル・ブラスト》の効果ダメージを受けた時、《ダメージ・メイジ》の効果を発動していた! 受けたバーンダメージの数値だけライフを回復し、このモンスターを守備表示で特殊召喚する!」

万丈目LP100→1600

 《ヘル・ブラスト》による奇襲は失敗に終わり、あくまでフィールドにのみこだわるのならば、ただ万丈目の状況が悪くなっただけだった。しかして万丈目も諦めずに、手札から《ダメージ・メイジ》を特殊召喚してライフを回復してみせるが、すぐさま《No.37 希望織竜スパイダー・シャーク》に破壊された。

「さらに《No.1 インフェクション・バアル・ゼブル》でダイレクトアタック!」

「リバースカード、《体力増強剤スーパーZ》! 2000ポイント以上のダメージを受ける時、4000ポイントのライフを回復す……ぐあああっ!」

万丈目LP1600→5600→2600

 《No.1 インフェクション・バアル・ゼブル》の直接攻撃が炸裂してしまうが、《体力増強剤スーパーZ》の効果により、万丈目のライフポイントは何とか守られ、ミスターTはメインフェイズ2に移行する。バアル・ゼブブの一撃から万丈目が起きあがるとともに、ミスターTは新たな魔法カードを発動した。

「私は《サルベージ》を発動。墓地から二体のレベル3以下の魚族モンスターを手札に加え、伏せてあった《ナンバーズ・オーバーレイ・ブースト》を発動する」

 魔法カード《サルベージ》により、手札に二体の魚族モンスターが加えられるとともに、伏せてあった《ナンバーズ・オーバーレイ・ブースト》が発動される。その罠カードの効果によって加えられた二枚のモンスターは、《No.1 インフェクション・バアル・ゼブル》のエクシーズ素材となった。

「さらに《No.1 インフェクション・バアル・ゼブル》の効果。相手の墓地のナンバーズを、このモンスターのエクシーズ素材とする」

「……素材ばかり集めて、どうする気だ」

 さらに自身の効果も合わせて、《No.1 インフェクション・バアル・ゼブル》は、破壊される前のエクシーズ素材の数を取り戻す。ただし万丈目が懐疑的に問いかけたように、ただエクシーズ素材を回収しても、万丈目のフィールドにバアル・ゼブブの効果を発動する相手はもういない。

 さらに《No.1 インフェクション・バアル・ゼブル》と《No.37 希望織竜スパイダー・シャーク》を蘇生した速攻魔法《エクシーズ・ダブル・バック》は、その効力はエンドフェイズという誓約があるため、次の万丈目のターンには墓地に送られてしまう。

 
「エクストラデッキに眠るこのカードは、エクシーズ素材を二つ以上持つランク8闇属性エクシーズを素材に、エクシーズ召喚出来る。現れろ、《No.84 ペイン・ゲイナー》!」

 そして万丈目の問いかけに対しての答えのように、特異なエクシーズ召喚条件を持つナンバーズ《No.84 ペイン・ゲイナー》をエクシーズ召喚してみせた。バアル・ゼブブすらも前座だったということか――と身構える万丈目の目の前で、《No.84 ペイン・ゲイナー》すらも光球となっといく。

「そしてこのナンバーズもまた、闇属性のランク10モンスターを素材に、エクシーズ召喚出来る」

 奇しくも、万丈目の考えていたことは当たっていた。先のターンで万丈目を苦しめた《No.1 インフェクション・バアル・ゼブル》どころか、今まさに現れた《No.84 ペイン・ゲイナー》すらもだ。

「化天を司る糸よ。儚き無幻となりて、我が滅び行く魂を導け。エクシーズ召喚! 現れろ! 《No.77 ザ・セブン・シンズ》!」

 四体のモンスターを素材にエクシーズ召喚される、七つの大罪をモチーフとしたミスターTの切り札。不幸中の幸いとして、ミスターTのバトルフェイズは終了しているため、その真髄を発揮するのは次なるターンからだ。

「オレのターン、ドロー!」

 そしてミスターTのフィールドには攻撃力4000を誇る《No.77 ザ・セブン・シンズ》のみで、残るライフポイントは100。だが万丈目の直感は告げていた――あの《No.77 ザ・セブン・シンズ》を破壊しなくては、このデュエルに勝利はないと。

「魔法カード《おジャマンダラ》! 1000ポイントのライフを払い、墓地からおジャマ三兄弟を特殊召喚する!」

万丈目LP2600→1600

 そして万丈目がラストターンだと決心すると、最後に特殊召喚されるはやはりこのモンスターたち。専用蘇生カードを使うことによって、再び万丈目のフィールドに現れた。

「さらにリバースカード、オープン! 《おジャマ・デルタ・ハリケーン》! 相手のカードを全て破壊する! いけ、お前ら!」

 もはやおジャマ三兄弟も泣き言を言うこともなく。最後まで残していた、必殺のリバースカードが開かれた。

「おジャマ・デルタ――」

『――ハリケーン!』

 全てを破壊するおジャマ三兄弟による決死の一撃が、再びミスターTのフィールドを襲い、万丈目は――

「な……」

 ――まるで何事もなかったかのように立つ、《No.77 ザ・セブン・シンズ》の姿を見た。

「《No.77 ザ・セブン・シンズ》は、エクシーズ素材を一つ取り除き、あらゆる破壊を無効にする」

 いくつものナンバーズを経由して現れた《No.77 ザ・セブン・シンズ》には、まだエクシーズ素材が三つ残っている。つまりあと三回までは、《おジャマ・デルタ・ハリケーン》すら意にも返さない破壊耐性効果を発動することが出来ると、残る手札は一枚の万丈目に突破することは不可能だった。

「オレは……」

 ターンエンド。万丈目の脳裏にその一言が刻み込まれる。ミスターTのフィールドにはセブン・シンズが一体のみに対して、万丈目のフィールドは守備表示のおジャマ三兄弟。次のターンくらいは壁として耐えられる可能性もある……

『……万丈目のアニキ?』

「……バカかオレは! 攻め込まないで勝てるデュエルがあるものか!」

 そんな弱気な思考を、おジャマ三兄弟から向けられた視線に気づいて振り切ると、万丈目は一枚の魔法カードをデュエルディスクにセットした。

「オレは魔法カード《馬の骨の対価》を発動! フィールドの通常モンスターをリリースすることで、カードを二枚……ドローする!」

 通常モンスターである《おジャマ・ブラック》をリリースし、万丈目はデッキからカードを二枚ドローする。自らを守ってくれるモンスターを捨て、デッキの中から可能性を掴む行動に出た万丈目が掴んだ、二枚のカードは――

「通常魔法《強制解放》を発動! フィールドのエクシーズモンスターの素材を、全て持ち主の墓地に送る!」

「何?」

 まずはエクシーズ素材を取り除く魔法カード《強制解放》により、ミスターTの《No.77 ザ・セブン・シンズ》のエクシーズ素材は全て墓地に置かれた。元々、エクシーズ素材がなければバニラ同然であるエクシーズモンスター――ナンバーズ対策に投入されたカードだったが、目論見通りの活躍となった。

「そしてオレは最後の手札! 《死の床からの目覚め》を発動する!」

 万丈目の最後の手札――魔法カード《死の床からの目覚め》は、墓地のモンスターを手札に戻すという、《死者転生》と同様の効果。ただし手札コストの代わりに、相手プレイヤーに二枚カードをドローさせる、という相互互換的なカードであり、ミスターTにはカードを二枚ドローさせてしまう。

「……何を手札に加えようと、セブン・シンズに勝てるモンスターはいたかな?」

「オレが手札に加えるモンスターは――」

 しかし、どうせ万丈目の手札は0。このターンで決着をつける気ならば、相手に二枚ドローさせるのもさしたるデメリットではない。万丈目の墓地には確かに、セブン・シンズを破壊できる可能性を持ったモンスターが眠ってはいるが、その多くは召喚に条件を持つ。手札に加えただけで召喚することは出来ず、その状況下で万丈目が選ぶカードは。

「こいつだ!」

 万丈目が高々と掲げる一枚のカードには――何の絵柄も書かれていなかった。

「ナンバーズ――!」

「返して貰ったぞ! このオレに託された力をな!」

 すなわち、白紙のナンバーズ・カード。先の《強制解放》の効果は、セブン・シンズの破壊耐性効果を無効化するだけではなく、このナンバーズ・カードを取り戻すためでもあった。

「行くぞ! 《おジャマ・イエロー》と《おジャマ・グリーン》で、オーバーレイ・ネットワークを構築!」

 仲間に託された力を取り戻し、フィールドに残った二体のモンスターで、オーバーレイ・ネットワークを構築。魔法陣とともに溢れんばかりの力がフィールドを支配し、雷光がフィールドに轟いていく。

「黒き雷光よ! 今こそ迷宮を突き破り、世界にその響きを轟かせ! エクシーズ召喚!」

 そして万丈目の手の内にあったナンバーズ・カードに、デュエルモンスターズらしいカードの体裁が整っていく。万丈目はそれを一瞥してニヤリと笑い、それをデュエルディスクに設置しながら、その名を声高く轟かせた。

「――《No.64 古狸三太夫》!」

 茶釜の姿から薙刀を持った鎧武者に変形していき、遂にその姿をフィールドに現した。しかして鎧を着込んでいるのは狸のようであり、そのサイズは明らかに小さく、まるでセブン・シンズには及ばない。

「古狸三太夫の効果発動! エクシーズ素材を一つ取り除き、影武者狸トークンを特殊召喚する!」

 その効果はトークン生成効果。まるで増殖したかのように、本体と瓜二つの影武者狸トークンが特殊召喚された。

「そして影武者狸トークンは、フィールドの最も高い攻撃力を持ったモンスターと、同じ攻撃力を持つ!」

「な――――」

 ミスターTの驚愕の声も束の間、今の今まで小さな狸だった影武者狸トークンが、まるで今までが幻だったように変化していく。全身に悪魔のような意匠を施した、幾つもの眼を持った銀色の悪魔――《No.77 ザ・セブン・シンズ》、そのものの姿へと。

「バトル! 影武者狸トークンで、《No.77 ザ・セブン・シンズ》に攻撃!」

「……迎え撃てセブン・シンズ! ジェノサイドスパイダーシルク!」

 ミスターTの攻撃命令とともに、お互いのフィールドのセブン・シンズが破壊し合う。悪魔のような破壊の爪跡がお互いのフィールドに刻まれていき、いつしか二体のセブン・シンズは、どちらからともなく消えていた。

「トドメだ……」

 ――そして残るは、万丈目のフィールドの《No.64 古狸三太夫》のみ。

「古狸三太夫で、ダイレクトアタックだ!」

「――――」

ミスターTLP100→0


「万丈目、サンダー!」

 観客がいないことと身体全体に襲いかかる疲労から、自らの異名を叫ぶだけの簡易的な勝利宣言。たまらずデュエルスタジアムの壁によりかかった万丈目は、信じられない者を見た。

「…………」

 今し方倒して、ライフポイントを0にしてみせたミスターT。それらが何人もに分身して、万丈目をニヤリと笑いながら睨みつけていたからだ。

「……いいだろう」

 再びデュエルスタジアムを守るように立った万丈目は、再びデュエルディスクを展開させる。対するミスターTたち全てに向け、万丈目は負けじとニヤリと笑って言ってのけた。

「何人でも相手にしてやる! この万丈目サンダーがな!」

『デュエル!』

 
 

 
後書き
【アームド・ドラゴンVWXYZおジャマ地獄】デッキ。略して【万丈目サンダー】

万丈目のデュエルは、どれも書いていて楽しかった覚えがあります。アニメの万丈目の描写も入れる予定でしたが、長いのでカット 
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