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Blue Rose

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第二十六話 退所その十二

「小さな。貴女個人のことよ」
「ですから」
「そのささやかなものがね」
「奇麗だったんですか」
「宝石よ、貴女はそれをお姉さんやお友達から授かって」 
 そのうえでというのだ。
「自分出持ち続けているのよ」
「姉さんと龍馬から貰ったものを」
「そうよ」
 まさにというのだ。
「貴女自身も磨いてね」
「それでそれが、ですか」
「貴女は持ち続けているのよ」
「今もですか」
「そして私はそれを見せてもらってね」
「奇麗だと感じられたんですか」
「前から思っていたけれどあらためてわかったわ」
 こうだ、優花に言うのだった。
「人の中にこそ最も醜いもの、最も美しいものがあるってね」
「人の中にこそですか」
「そう、心の中にね」
 人のそこにというのだ。
「芸術作品や社会にはないのよ」
「人の中に」
「あるのよ、どちらもね」
「私からそのことをですか」
「あらためて思ったわ、だから貴女にね」
 優花をじっと見てだ、副所長は彼女に話した。
「感謝しているわ、だからこそ」
「今夜はですか」
「二人で送別会をしましょう」
 この部屋の中でというのだ。
「そして明日ね」
「退所ですね」
「新しい門出を迎えてね」
「そうさせてもらいます」
「貴女は女の子として生きて幸せになるの」
 未来、優花のそれも話した。
「一人の女の子としてね」
「ごく普通のですね」
「そうよ、性別が変わっても」
 それでもというのだ。
「一人の普通の女の子として」
「これからの人生を生きていられるんですね」
「そうなるのよ、いいわね」
「そうさせてもらいます」
「では今夜そ門出を祝うわ」
 退所と共にはじまるそれをというのだ。
「楽しみにしていてね」
「わかりました」
 優花は副所長に微笑んで答えた、そしてだった。
 優花はその夜にまた副所長の部屋に来た、するとソファーとソファーの間のテーブルの上にサンドイッチや唐揚げ、ハンバーグに海老フライにフルーツ達が置かれていた。そしてコーラやオレンジジュースに菓子もあった。
 部屋には副所長もいた、それにだった。
 岡島と看護士もいた、岡島は優花に微笑みを見せて言った。
「僕も来たよ」
「私もね」
 看護士も言ってきた。
「君の門出のお祝いだから」
「お邪魔させてもらったわ」
「人が増えたわ」
 副所長も笑顔でだ、優花に言った。
「四人にね」
「そうなりましたね」
「いいわね、それで」
「はい」
 優しい笑みでだ、優花は副所長に答えた。 
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