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Blue Rose

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第二十六話 退所その八

「君達は似ているよ」
「そうですか」
「うん、その性格ならね」
「敵も出来ないですか」
「嫌われないからね、嫌われる奴はね」 
 そうした人間についてもだ、岡島は話した。
「そこに理由がある場合が多いからね」
「嫌われるだけのものがあるんですね」
「性格や行いにね」
「そうなんですね」
「うん、何処でも嫌われ者はいるけれど」
 そうした輩の性格はというと。
「嫌な奴だったりするからね」
「だから嫌われるんですね」
「極端なエゴイストだったり卑怯だったり弱い者いじめが好きだったり底意地が悪かったりね」
 そうした負の要素を持っているからだというのだ。
「嫌われるんだよね」
「自分が迷惑したり嫌な目を見てですね」
「それでその相手を嫌いになる」
「だから嫌われるんですね」
「そうだよ、本当にね」
 さらに言う岡島だった。
「顔も見たくない奴とかには君も会ったことがあるね」
「はい、そうした人は」 
 優花も心当たりがあった、生きていればどうしてもそうした輩とも会う。そうした輩と会うことは少ないに越したことはないが。
「会ったことがあります」
「そうした奴じゃないから」
「私は、ですか」
「このことは安心していいよ」
 嫌われることはというのだ。
「くれぐれもね、ただ」
「ただ?」
「世の中変な奴もいて理由もなく相手を嫌う奴もいるからね」
 異常者もいる、それもまた世の中というのものだ。
「そうした奴には注意するんだ、そしてね」
「そして?」
「生きながら餓鬼道に堕ちた奴もいるからね」
「餓鬼道ですか」
「マスコミとか学校の先生の世界に多いかもね」
 人間でありながら生きながらにして人間であることを止めた、性根がそこまで腐りきった輩がというのである。
「そうした奴は自分と全く関係のない相手を喰いものにしても平気だよ」
「私ずっとマスコミに注意しろって言われてます」
「そう、そうした餓鬼が多い世界だから」
「私の身体のこともですね」
「知ればネタにしてくるから」
 彼等の雑誌なり番組なりの媒体にしてだ。
「注意するんだ」
「そうします」
「九州じゃ一つ嫌な話があってね」
「この九州で」
「実は何十年も前に球界で騒動があってね」
 岡島は優花はおろか彼もまだ生まれる前の話をした。
「ある野球選手が永久追放になってね」
「あっ、確か」
 その話を聞いてだ、優花も言った。
「あの」
「君も知ってるんだね」
「あの人ですよね」
「うん、あの人は冤罪だったと思うよ」
 岡島は苦々しい、忌むべき現実を語る顔になって話した。
「僕もね、多くの人がそうだったって言ってるけれど」
「無理に永久追放にされたんですよね」
「ある偉いさんが酷く強く主張してね」
 その主張した者が後に江川事件でコミッショナーとなり恥を日本中に晒した、この頃から日本のプロ野球のコミッショナーは何も出来ない様な害毒だけ撒き散らす能無しでも務まる存在だったのだろうか。傀儡と言えば悪い様に聞こえるが傀儡は少なくとも自分が傀儡だと認識してその座に座りあえて何もしないでいることに納得出来るだけの、それなりの能力がないと務まらないものであるので傀儡ではない。只の極端な無能となるのだ。
「そうなったけれど」
「その人についてです」
「事件の時に連日連夜マスコミが自宅まで押し寄せてね」
「大変だったんですね」
「そうだったんだ」
「九州じゃ有名な話ですか」
「辛かったと思うよ」
 その選手にとってだ。 
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