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聖闘士星矢 黄金の若き戦士達

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264部分:第三十七話 砂漠においてその四


第三十七話 砂漠においてその四

「しかしだ」
「しかし?」
「何かあるのですか?アルデバラン様」 
 青銅の者達は今のアルデバランの言葉に怪訝な顔になった。そうしてそのうえで彼に問うのだった。
「フセインっていったら完璧に独裁者じゃないですか」
「贅を極めて国民を弾圧してきた」
「しかしそれだけではなかった」
 だがアルデバランはこう言うのだった。
「だからこそ聖域も彼に対しては動かなかったのだ」
「そうだったのですか?」
「それで」
「我々が動く時は完全な災厄、そして悪が動こうとした時」
 その時だというのだ。
「その時なのだ」
「ではフセインは完全な悪ではなかったと?」
「そうなのですか」
「そうだ。フセインといえどだ」
 彼はまた言った。
「完全な悪ではなかった」
「じゃあ何が悪なんですか?」
「それじゃあ」
「己しか考えずその為に手段を選ばぬ者」
 まずはこう言うアルデバランだった。
「そして卑劣を極める者」
「そういうのが悪なんですか」
「まあそうですよね」
「息を吐くように嘘をつく者、他人の善意を逆手に取っても何とも思わぬ者だ」
「そういうのは邪悪って言いますよね」
「たしかに」
 青銅の者達はアルデバランの言葉に納得した顔で頷いていくのだった。
「そういう連中は確かに」
「まさに悪ですよね」
「そういう者達をだ。悪と呼ぶのだ」
「ではフセインはそこまでは至ってなかったと」
「そう仰るのですね」
「そして地球を脅かすような存在でもなかった」
 所詮はその程度と言えばそれまでである。しかしフセインがそこまで邪悪な存在ではなかったのも事実だと。アルデバランは言うのだった。
「邪悪は必ず罰せられる」
「ええ、それは」
「その通りです」
 今度の言葉は青銅の者達も頷くことができた。すぐに。
「その裁きを下すのがアテナであり」
「実行するのが我々です」
「そして世界の平和を守ることもだ」
 そうしたことこそが聖闘士の務めだ。やはりアルデバランはよくわかっていた。
「それをわかっておくことだ」
「はっ、それでは」
「そのように」
 またアルデバランの言葉に対して頷いてみせる青銅の者達だった。
「ではアルデバラン様、これから」
「とりあえずはバグダートに向かいますか」
「そうだな。まずは首都だ」
 首都には最もよく情報が集まる、それを頭に入れての言葉である。
「それでいいな」
「はい、それでは」
「このまま」
「それでアルデバラン様」
 アルデバランと青銅の者達の会話が終わったところでであった。モーゼスが口を開いてきた。
「既に車は用意してあります」
「速いな」
「聖域を発つ前に金牛宮の者達が手配してくれていたものです」
 こうアルデバランに話すのだった。
「実は」
「何っ、そうだったのか」
 これはアルデバランも知らないことだった。話を聞いて驚きの声をあげたのがそれの何よりの証拠であった。やはり彼はこのことを知らなかったのだ。
 
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