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Blue Rose

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第二十三話 完全にその五

「なれそうな位可愛いわ」
「そんな、僕は」
「なれると思うわ、顔も声も可愛いから」
 そのどちらもというのだ。
「特に声優さんには向いていそうね」
「声優さんにですか」
「そう思ったわ」
「何かそれは」
「意外かしら」
「はい、僕が声優さんとか」
「実は声優さんは声が可愛いだけじゃなくて」
 声の仕事だ、だからこのことが絶対条件だ。
 しかしだ、副所長は優花にこうも言った。
「昔から外見も注目されてるの」
「そういえば」
 副署長の今の言葉にだ、優花もはっとなって言った。
「声優さんって可愛かったり奇麗だったり」
「そうした人ばかりね
「アイドルや女優さんに負けない位」
「そうなのよ、舞台やイベントに出たりすることもあるから」
「ただ声のお仕事をするだけじゃないんですね」
「だから外見も大事なのよ」
「普通の女優さんと同じで」
 ここで優花も気付いた。
「そういうことになるんですね」
「ええ、あと歌を歌うこともあるから」
「歌が上手だとですね」
「余計にいいのよ」
「色々求められるお仕事なんですね」
「そうなの、貴女は確か合唱も得意だったわね」
「好きです」
 得意かどうかはともかくとだ、優花は答えた。
「一人で歌うことも」
「声優さんに向いてるかもね、ただ」
「ただ?」
「貴女は目立ちたくないわね」
「男の子だったことがばれると思うと」
 この危険を考えてとだ、優花は副所長に答えた。
「やっぱり」
「そうね、声優さんも人気が出るとね」
「注目されますよね」
「アイドルや女優さんと一緒でね」
 この三つの職業の違いも曖昧と言えば曖昧であろうか。
「雑誌にも出たりネットで話題にもなるわ」
「ネットだと」
「ええ、ネットが一番厄介よ」 
 こうした場合はというのだ。
「だからね」
「それで、ですね」
「貴女のことを思うと」
「人に注目される立場はですね」
「若しもよ」 
 副所長は前置きしてから語った。
「貴女が自分のことが表に出てもよくて」
「それを受け入れられるのなら」
「目立っても、公表してもいいけれど」
「そうでないのなら」
「隠すべきよ」
 絶対にというのだ。
「それだけの気持ちがないならね」
「軽い気持ちでは出来ないことですね」
「相当に強くないとね」
 心、それがというのだ。
「してはいけないことよ」
「そうですか」
「私は勧められないわ」
 副所長ははっきりと、強い声で優花に言った。 
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