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Blue Rose

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第二十二話 心と身体その七

「それと間違っても恋愛感情が冷めて相手を追い出す様な人はね」
「そうした人も好きになってはいけないですね」
「好きだった人に追い出されたり手を切られるとね」
 それこそというのだ、そうしたことも。
「痛いから」
「ですね、それはわかります」
 優花にしてもだった、そうした話を聞くとだ。
「僕そうしたお話を聞いたことがあります」
「実際のお話で」
「はい、その人を好きになってお婿さんに入れた人を」
「追い出したのね」
「そうらしいです」
「女の人がしたのね」
「そう聞いてます」
 優花は看護士に暗い顔になって話した。
「間に色々な人が入って止めようとしたそうですけれど」
「その女の人が聞かなくて」
「男の人に落ち度はなかったそうです」
「それでも好きじゃなくなったから追い出したのね」
「そうらしいです」
「それは絶対にしてはいけないことよ」
 看護士の言葉が強い、いやきついものになった。
「誰もそんなことされて辛くない筈がないでしょ」
「凄く辛いことですね」
「背中から斬られる様なものよ」
 鋭利な刃でというのだ。
「だからね」
「そんなことはですね」
「絶対にしてはいけないわ」
 それこそ何があってもとだ、看護士は優花に言った。
「何があってもね」
「男の人でも女の人でもですね」
「よく愛人が出来て奥さんを追い出す人もいるわね」
「男の人で」
「そうした人を見てどう思うかしら」
「最低です」
 優花にしては珍しい断言だった、これはそう確信しているからだ。
「どう考えても」
「そうね、最低ね」
「人として」
「その通りよ、実際にね」
「最低ですよね」
「そんなことをすれば後で報いがあるわ」 
 それこそという言葉だった。
「絶対にね」
「因果応報ですね」
「この中の絶対の摂理の一つよ」
 司馬遷の史記を読むとわかることだ、友人孫臏を陥れた龐涓は馬陵の戦いで無数の矢を受けて戦死し学友韓非を陥れ死なせた李斯は彼自身も陥れられ腰斬の刑を受け死んだ。
「悪いことをすると報いが返ってくるのよ」
「絶対にですね」
「そう、必ずね」
 そうなるというのだ。
「だからね」
「そうしたことはしない」
「そのこともわかってね」
「そうですよね」
「いい恋愛をして」
「悪いことはしない」
 恋愛においてもだ。
「そうしていってね」
「女の子になってもですね」
「蓮見君は絶対に奇麗になるわ」
 優花の容姿を見ての言葉だ。 
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