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困った王子様

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第二章

「光速の進化だの光栄に思えだの」
「本当に変なことばかり言われる」
「せめて普通にして欲しいが」
「ご幼少の時からそれが出来ない方だ」
 普通の王子として振舞うことがというのだ。
「一日に幾つ奇行を重ねられ」
「しかも妙な本も読まれる」
「外国の言葉や文献はしきりに集められ」
「そして熱心に読まれ」
「新しいものには何でも興味を持たれる」
「そしてご自身でもやってみられる」
 その興味を持ったことをだ。
「王子としてされぬことすら」
「帝国の政治だけでなく他国の政治、民百姓のことまで調べられ」
「どうでもいいことまで聞かれる」
「東洋の、遥か彼方の国のことまでな」
「ああ、東の帝国はおろかその先の島国のことも」
「西の海の大陸の国々のことまでだ」
 とかくあらゆる国のというのだ。
「作物や田畑まで調べられ」
「そして熱心に読まれる」
「まさにどうでもいいことばかりされる」
「昨日は大砲を撃っておられた」
「馬に乗ったまま銃を使われてもいた」
「全く以ておかしな方だ」
「実にな」
 家臣達も言う、しかし。
 王子の父である王は我が子を見てだ、皇帝にこう言った。
「我が王子ですが」
「噂は聞いている」
 皇帝は玉座から彼の下に控える王に応えた、王は王子がそのまま歳を経た様な容姿で髭はない。皇帝は見事な服を着た白髪の初老の男で髭が濃い。
「かなり、だな」
「変わり者です、ですが」
 王は皇帝にその目を鋭くさせて語った。
「必ずやです」
「そなたの国を変えるな」
「そしてです」
 皇帝にさらに話すのだった。
「帝国もです」
「変えるか」
「それが出来る者です」
「世の者達はそなたの子を色々言うな」
「変わり者と」
 王はまたこの言葉を出した。
「愚か者だの言う者もいます」
「そうだな、しかしだな」
「それが誤りということがです」
「やがてわかるか」
「むしろです」
 王は皇帝にこうも言った。
「世の者達はわかっていません」
「そなたの子のことをだな」
「何故か私にはわかるのです」
 これが王の言葉だった。
「不思議と」
「それがそなたが父だからだな」
「だからですね」
「そうだ、父だからわかるのだ」
「親子といえどわからぬことも多いですが」
「そなたがよき父だからだ」
 それ故にというのだ。
「我が子のこともわかるのだ」
「そうなのですか」
「そうだ、しかしそなたの子は東西の様々なことを学んでいるな」
「鉄砲や大砲、そして田畑のことまで」
「そうなのだな」
「自身の成長は光の速さだと言って」
 そうしてというのだ。
「書を読み武芸も行っています」
「学問と鍛錬は怠っていないか」
「ただその内容が他の者と違うだけで」
 無論弟や妹達ともだ。
「そうなのです」
「そうか、ではだ」
「はい、王子をですね」
「私からも言う、次の王とせよ」
 彼の国のというのだ。
「わかったな」
「御意」
 これが王の返事だった。
「私もそう考えていました」
「ならばな」
「その様に」
 こう言うのだった、そしてだった。
 王は王子を見守り続けた、時に何も言わず。
 だが国の貴族達も民達もその王子を見て言い続けた、だが。
 王子の弟や妹、即ち第二以降の王子や王女達もだ。至極落ち着いてそのうえでこうしたことを言うのだった。 
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