魔法少女リリカルなのは -Second Transmigration-
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第4話 孤独をうめる
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第4話です
ではどうぞ~
父さんが恭也さんを呼びに行った後、俺はなのはを見ると、どこか悲しそうな表情をしているのに気付いた。
「なのは?」
「ぁ……なに?悠里くん」
「どうかしたのか?」
「え……なにが?」
「誤魔化さない。……恭也さんの名前が出たとき、様子がおかしかったぞ」
俺が言うと、なのはは少し暗い顔をした。やっぱり気付いてなかったんだな。
「何かあったの?」
「……」
だんまりか……つまり、あまり話したくないってこと。
……まぁ、無理に聞き出す必要は無いし。
「話したくない?」
「……ごめんなさい」
「そっか……なら、いいよ」
「え?」
なのはは驚いた顔をして俺を見た。俺は気にせずに言葉を続ける。
「なのはが話したくないなら、無理には聞かない。なのはもその方がいいだろ?」
「えっと……」
「まぁ、なのはが信頼してないだけなら話は別だけど……」
「そんなことないよ!!」
最後の言葉になのはは強く反応を示した。
俺は柄にもなく突然大きな声を出したなのはに驚く。
……そんなに変な事言ったか?
「悠里くんの事は大切なお友達だし、ずっと一緒だったもん!信頼してないわけないよ!!」
「わ、わかった。……変なこと言ってごめん」
なのはの迫力に俺は思わず体を引いてしまう。
……でも、なんか嬉しい。そういう言葉をちゃんと本人から聞けたんだから。
「……もう絶対にそんな事言わない?」
「言わない。言いません」
「絶対だよ?」
「わかったってば」
なのはの言葉に最後の方は苦笑しながら答える。
……まぁ、言って損はなかったけどな、個人的には。
「さてさて、話はそれくらいにして父さんと恭也さんを待つか」
「……悠里くん」
「ん?」
「……やっぱり、お話聞いて欲しいんだけど……ダメ、かな?」
なのははそう言って俺を見つめてくる。それでも、やはり言いにくいのだろう、少し躊躇いがちに言ってきた。
「いいよ。話してみて」
「うん。あのね……」
そこから俺はなのはの話を聞いていた。
内容はやはり恭也さんの事。どうやら、桃子さんの手伝いが終わってからなのはを迎えに来るまでの間、何かをしているらしい。それが何かは知らないが、なのはにとって今の恭也さんは恐怖しかないようだ。
……でも、たしかにわかる気がする。今の恭也さんって殺気がだだ漏れだしな。あれは流石に怖い。
「なにをやってるのかね、恭也さんは」
「うん……危ないことじゃないといいんだけど……」
「いや、そっちじゃなくて」
「え…?」
なのはは俺の言葉に首を傾げた。俺が言ってるのは、恭也さんが殺気をだだ漏れにしてなのはを怖がらせている事だ。
武人は精神と肉体の両立で初めて武人といえる。恭也さんは強いし武人としてもレベルが高い。その恭也さんが殺気をだだ漏れにしてるってことは、かなり精神的に荒れているってことだ。
どうしたものか……
「それじゃあ、なのはに一つ質問」
「ふぇ?」
「なのははどうしたいんだ?」
「え?」
「一番大事なのはね、そう思ったなのははどうしたいか、だよ。なのはは恭也さんを止めてほしいのか、それとも自分をかまってほしいのか」
「だって……私が我慢すれば、みんなの迷惑にならないし……」
「なのは、俺はなのはが何をしたいのか聞いてるんだ。別にワガママを言うんじゃない。なのはの気持ちを教えてほしいんだ」
なのはは他人を優先してしまい、自身の気持ちを抑圧してしまう傾向がある。それはなのは自身がいい子でありたいという願望であり、嫌われたり、迷惑をかけないように、そういう少女を『演じていた』という部分がある。
だから、この場でなのはの気持ちを知る必要があった。
「私は……家族と一緒にいたい……けど、お父さんが大変なのに、そんなのワガママだよね……」
「そんなことないって」
むしろそれが普通だ。今の年齢で家族と一緒に居たくない人がいるわかなけない。なのはの言ってるのはワガママなんかじゃない。それが当たり前であり、当然なのだから。
「でもね、お父さん達と居られないのはいやだけど、そんなに寂しくはないんだよ」
「…どうして?」
「……悠里くんが、いるから」
「…………え?」
「家族といれないのは寂しいけどね、悠里くんが一緒にいてくれるから寂しくないよ。それに……悠里くんが優しいから、一緒だと楽しいもん」
……なんてセリフを言うんだ、この子は。思わず抱き締めたくなったじゃないか。本当に俺には勿体ないくらいいい子だよ。
「ふふ……」
「どうかしたの?」
「……嬉しかっただけだよ。ありがとう、なのは」
「ううん、本当の事だもん」
俺となのははお互いに笑い合う。なのはも少し元気になったみたいだ。よかったよかった。
「あ、それとねなのは」
「うん?」
「寂しくなったら、いつでもウチに来ていいし、いつでも頼ってほしい」
「でも……悠里くんに迷惑掛けちゃうし……」
「本当に迷惑なら、こんなこと言わないし相談だって乗らないよ。俺は、なのはが困っている時は助けてあげたい。だから、本当に困ったりした時は頼って欲しいな」
「悠里くん……うん、わかった。その時はお願いね」
なのはは少し考えてから頷いた。あとは少しでもこの子の不安を取り除ければいいんだけど……
「じーっ……」
「…?どうし……」
「えいっ♪」
ギュッ
なのははいきなり俺に抱きついてきた。俺は少し体が後ろにいったが、その場に止まった。
「なのは?」
「な~に?」
「えっと……いきなりどうしたんだ?」
「なんとなく♪」
「はぁ…?」
なんとなくで抱きつくのか?……まぁ、いいけどさ。
「ただいま。悪いな2人とも。もう少しで恭也来るからさ、それまで待ってt……」
そこへ父さんが帰ってきて、今の状態が見られた。それを悟ったのか、父さんはニヤニヤと笑いながら見てきた。
「( ̄  ̄)……( ̄ー ̄)ニヤ」
「……なんだよ父さん?」
「いや~、お前も隅には置けないな悠里?なのはちゃんからそんな事されるなんて……」
「あっそう。……なのは、ご飯の準備するから離れてくれない?」
「え~…」
「え~、じゃない。……ほら、さっさとする」
「は~い……」
なのはは渋々と俺から離れる。……というかホント、何故抱きついてきたんだ?どうでもいいけど。
「それにしてもいい雰囲気だったな。なんかあったのか?」
「別に。大したことじゃないし」
「本当か~?どうなんだなのはちゃん?」
「えっと……その……」
「父さん、あんまりしつこいと飯抜くから」
「えっ?ちょっと待てよ、なんか扱い酷くない悠里!?」
後ろで何か言ってる父さんを無視して、俺は料理を温め直した。何はともあれ、今日も平和だ。
後書き
第4話でした。
次回は一波乱あります。
どうぞお楽しみに
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