ガンダムビルドファイターズ ~try hope~ 外伝
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
最終話 『卒業式』Ⅴ
次第に光が収まっていくと、二機の姿が現れた。すれ違ったかのような位置に二機はおり、お互い攻撃をした体勢でいた。
「…………やっぱり、そんな定番なことは起きないものだね」
フリーダムガンダムセレナFWは攻撃の体勢からまっすぐ胸はり、トウイはそう言った。
フリーダムガンダムセレナFWは、腰から上の左半分が無くなっており、ブレイドトンファーの刃も砕け散っていく。そしてぎこちない動きで後ろを振り返り、ガンダムトライエクシアⅡを見る。
ガンダムトライエクシアⅡの手にはフィーディスクリーザーは無く、地面に膝をついていた。
フリーダムガンダムセレナFW程ではないが、少しでも衝撃を加えれば砕けそうなほど、機体がボロボロになっていた。
「あと一発入れれば僕の勝ちだけど…………」
すると、フリーダムガンダムセレナFWから光が失っていき、地面へと倒れる。
「僕の負け…………かな」
「…………ああ。そして、俺の勝ちだ」
なんとかガンダムトライエクシアⅡを動かし、地面へと立たせる。そして右腕を頭上に掲げると同時に、バトル終了のアナウンスが鳴ったのであった。
『BATTLE ENDED』
ーーー--
「あー、負けた~」
「だったらもっと悔しがれよ」
「鈍感ツンデレリア充メガネ君に負けた~」
「…………殺すぞ? 」
てかお前もリア充だろうがバーロー。
「アハハハハ、気にしない気にしない」
「まあいい。それはさておき殺すか」
「殺意がこれっぽっちも収まってない!? 」
「はいはい。二人共そのへんにしときなさい」
トウイに襲いかかろうとするが、途中でシノが仲介に入り、俺はやむなく止めるしかなかった。
くそっ、覚えてろよこのゴミめ。
「はっはっー!負けてやんのクソ兄貴! 」
「大丈夫。お前には絶っっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっ対に負けないから」
「どんだけ間を開けて言うんだよ!?なめてんのか!? 」
「僕が舐めるのは飴だけだよ」
「そういう意味じゃねーよ! 」
「はいはい。クオンもそのへんにしときなよ」
「そーだって。お前じゃ絶対トウイ先輩には勝てねーんだからよ」
「なんだと!? 」
こっちはリンヤとジュンイチが仲介に入るも、今度はジュンイチと言い合いを始め、リンヤは溜め息を吐きながら止めに行く。
「とりあえず、今のバトルは映像に撮ってたから、グループに送るわよ? 」
「おう、頼んだ」
「えー?僕負けてるから嫌だなー」
「モチヅキに慰めて貰ってろよ」
「男としてそれはどうかと思うんだけど………」
「大丈夫だ。お前はそこまで男じゃない」
「ちゃんとした男ですけど!? 」
「知らん」
「酷いっ!? 」
「トウイ、もう送ったからね」
「仕事が早いよシノさん! 」
「あら?もう返信が来てる」
シノがスマホをこちらに見せてくると、次のようなやり取りがされていた。
『皆ー!動画を見る前に、どっちが勝つか予想しないかな?僕はヒロヤに賭けるよー! 』
『いいだろう!俺はサオトメ ヒロヤに賭けるぞ! 』
『俺は素人臭いサオトメが負けると予想し、ハルカゼ』
『俺はトウイで』
『……トウイ君で』
『そうだな…………ハルカゼとしとこう』
『私はサオトメ君に賭けよう』
『じゃあヨシナとは逆のハルカゼにしとくぜ!ヨシナ、外した方は昼飯奢りな! 』
『オイラはハルカゼにしとくッス! 』
『じゃあ俺もだ』
『わたくしも』
『僕はサオトメかな? 』
『では私もだ』
『んじゃ俺もー』
『私もサオトメはんにしとくわー』
『私もサオトメ君にしますねー』
「…………皆、なに俺達で遊んでだよ」
てかちゃっかり昼飯賭けてんなよ。
「別にいいんじゃないかしら?それにしても、結構人数が均衡してるわね」
「ヒロヤ君が八、僕が七か。ちなみに、君達はどっちが勝つと予想してたの? 」
「ヒロヤ先輩に決まってんだろーが」
「失礼ですけど、僕もです」
「え?トウイ先輩って予想してたのは俺だけ? 」
「ありがとうジュンイチ君、普通に嬉しいよ」
「ねえ、私には聞かないのかしら? 」
「え?だってなんて答えるか分かってるから、聞くまでもないからかな? 」
「それでも聞きなさいよ。仲間外れされてるみたいじゃない」
「じゃあシノ。お前はどっちだと予想してたんだ? 」
「もちろんヒロヤよ」
「「うん、知ってる」」
「「言うと思いました」」
トウイ、リンヤ、クオン、ジュンイチが声を合わせて即答する。まあ、俺もなんとなく分かってたけど。
「いいじゃない。モチヅキさんだってトウイって予想してるんだし」
「…………今日は空が青いな~」
「お前が見上げてんのは天井だバーロー」
「…………今日は───」
「言わせないからな? 」
「………君と違ってのろけるのは苦手なんだよい」
「俺がいつのろけたって? 」
「例えばバトルが始まる直前」
「………知らん」
「逃げたっ! 」
「うるさい黙れ死ね」
「アハハハハ」
ピロン
「ん?メッセージだ。誰からだろう」
トウイがスマホを取り出して内容を確認すると、急にガッツポーズを取った。
…………馬鹿がいる。いや、元々馬鹿か。
「黙りなさいメガネ君。今の僕は阿修羅すらも凌駕するよ」
「いや、お前またテンションがおかしくなってるぞ? 」
「モチヅキさんからなんて送られたの? 」
「え?僕まだ連絡相手を言ってないんだけど?シノさん読心術でも身に付けた? 」
「だって、このタイミングでトウイにコチャを送るのって一人しかいないわよ」
「あー、それで変なテンションになったのか。んで、なんて送られたんだ? 」
「…………秘密」
「クオン、ソイツからスマホを奪え」
「了解! 」
「やらせるかーーー!! 」
クオンが飛びかかった瞬間に、トウイは自分の弟の鳩尾目掛けて飛び蹴りを放った。クオンはそのまま壁へと打ち付けられ、腹を押さえて悶絶している。
だが、その隙に俺はトウイのスマホを奪うことに成功した。
「し、しまった! 」
「さて、じゃあ内容を確認させてもらうぞ」
トウイのスマホを見ると、モチヅキからこんな内容が送られてきていた。
『慰めと卒業祝いと会いたいを兼ねて、今度は私が遊びに行くね』
その文を読むと、俺はなんとも言えない微笑ましい笑みを浮かべ、トウイを見る。
「よかったなトウイ」
「なにその目は!?いいから返しなさい! 」
自分のスマホだと言うのに、手を伸ばして下からスマホを上空へと打ち上げ、スマホをキャッチする。
「この話題はもう終了!最終話なのにどんだけ引き伸ばすの!? 」
「それ俺のツッコミな」
「もう前編、中編、後編で分けれる文字数じゃないよ! 」
「それも俺のツッコミな」
「オマケに、バトルシーンだけでかなりの文字数を使ってるし! 」
「それも俺のツッコミな」
「二人共、本当にその辺しときなさい」
「いやなんで俺もなんだよ……」
「ツッコミにツッコミを入れてるからよ。ムウさんから連絡が来たんだけど、写真を撮る人がもうすぐ来るから準備をしろって」
「了解。やっと来たか」
「他の部活動とかも撮ってたからね~」
「それじゃあ、私達も準備をしましょう」
ーーー――
「ヒロヤ君、もう少しシノさんとくっついて」
「は?なんでだよ?」
右にシノ、左にトウイ、その更に左にムウさんが立っている。トウイの右手には全国優勝した時のトロフィーが握られており、俺の左手には賞状が握られている。そして、目の前のテーブルには今までの愛機が並べられている。
「え?嫌なのかい? 」
「嫌って訳じゃないが、今は別にくっつく必要とかないだろ」
「あらら………じゃあしょうがない」
「はい。準備いいですかー? 」
「あっ、いいですよ」
「おし、お前ら。ちゃんと笑顔で写るようにしろよ」
「「「はーい」」」
「じゃあいきますよー。三………」
「シノさん、ちょっとこっち向いて」
「え?何よ急に」
「今だよ、リンヤ君」
「へっ? 」
「え? 」
パシャッ
写真に写ったのは、抱きつくかのように頬にキスをしているシノ。そして、突然のことで驚いている俺。それを笑って見ているトウイ。ムウさんは半分呆れ、半分は微笑ましい感じの表情で俺達三人を見ていた。
ーーー--
あれから八年。俺達はそれぞれの道に進み、会うことも少なかった。お互い忙しいというものもあったが、連絡はちょくちょく入れ合っていた。そして今、役目を終えた筈の俺達は、この部室にまた集まった。
「……………」
ショーケースの中にある物を、無言で見つめる。全国優勝した時のトロフィーや写真。他の皆とも撮ったものや、卒業式の日に撮った例の写真もある。くそ。今すぐ回収したいが、ご丁寧にケースに鍵がかけられている。
「何やってるのよヒロヤ? 」
「!いや、ケースの中を見てただけだ」
「そう?それにしてはガタガタと物音が聞こえたわよ?それで、何やってたのよ? 」
「…………ケースを開けて写真を回収しようとしてました」
「写真?なんの写真よ…………っ!! 」
「回収した方がいいよな?てかなんでこんな所にあるんだよ………」
「絶っっっ対トウイの仕業ね」
「はーい。呼ばれて来ました~」
「おい、お前だろ。この中にあの写真を入れたの」
「いや違うよ?入れたのはムウさんだよ。頼んだのは僕だけどね」
「結局お前が犯人だろーが! 」
「ぐほぉっ!? 」
側頭部に回し蹴りを入れると、見事に回転しながら吹っ飛んでいった。
「いいか!アイツらに見られる前に回収しろよ! 」
「そ、そうよ!分かった!? 」
「シノさんは八年経っても純情だな~。ねえヒロヤ君? 」
「話をすり替えんなっ! 」
てか復活はえーよ。
「まあまあ。多分だけど、彼らはこれを見ることはそうそうないよ。僕のサイドエフェクトが───」
「言わせねーよ? 」
「はあ…………もういいわ。こうなったらバレない事を祈るしかないわね」
シノはもう諦めたようで、大きく溜め息を吐いた。まあ、俺ももう諦めてるけど。コイツは絶対に写真を回収しないからな。
「ハルカゼ!休憩終わりだ!次やんぞっ! 」
「カグラ。俺もうちょい休みてーんだけど」
「だらしないわね本当」
「ワタシはもうダイジョウブ……」
「う~ん。けど、もう少し対策を考えた方がいいかもよ」
「ふむ。アキザワの言う通り、もう少し対策を練った方がいいかもしれん」
バトルシステムのある隣の部屋から声が聞こえ、思わず笑みをこぼす。
「アイツらはあんなにボロボロに負けてんのにやる気満々だな」
「前向きって事じゃないかしら? 」
「どちらにしろ、いいことじゃないかな?じゃあ行こっか」
「ああ」
そうだ。まだ役目は終わっていない。今度は、俺達の希望を、想いをアイツらに託すんだ。今はまだ無理かも知れないが、きっといつか、アイツらなら…………。
それまでは、俺達が支えないとな。
ガンダムビルドファイターズ ~try hope~・・・・完
後書き
…………終わった。『ガンダムビルドファイターズ ~try hope~』を書き始めて、約一年半が経ちましたね。まさか作者の妄想がここまでなるとは思っていませんでした。もはや感動の域です。
書き始めた当初は、元々低い文章力や誤字脱字も酷く、大丈夫かなこれ…………っと少し不安になりました。オマケに他サイトでは強制非公開をくらいましたよ。それでも妄想が溢れ続け、非公開ながらも書き続け、ひょんのことから春風のサイトに移ってきました。
春風のサイトでは様々な機能があり、最初は戸惑いましたが、アドバイスをくださった人達のおかげでなんとか慣れました。
機体案もいくつか提案され、感無量です。その中でも一番気に入ったのは、ミヤモト ユウの『ガンダムアルカナム』です。当初はケルサスガンダムの改良機という設定でしたが、ベースがアストレイ。そして侍。ケルサスはビルドバーニングがベース。そして剣士。…………こりゃあヤバいッスね。戦わせるしかないって思いました(笑)。
余談ですが、ガンダムブレイカー3の愛機は『アルカナムトライドラゴンverガンブレ3』です。小説の中でも一番再現度が高かったので。欲を言えば、ブルーフレームDや斬撃系ドラグーンのビルダーズパーツが欲しいですね。ひょっとしたら、バウンティハンターモードで遭遇するかも知れません。その時は相手をしてやってください。
長編は、作者が唐突に書きたくなったのと、伝えたい事があったというのもあり書きました。ちゃんと伝わっていればいいのですが、伝わってないなら言葉をぶつけるしかありませんね…………。
長くなりましたが、後書きもここまでしたいと思います。皆さん、今まで『ガンダムビルドファイターズ ~try hope~』を読んでいただき、本当にありがとうございました。これからは『orbit』の方にも力を入れていきたいと思います。しかし、リアルが忙しいので早くても更新は10月になると思います。もちろん、今までの遅れを取り戻すためかなりの話数を更新します。
それでは皆さん、何度でも繰り返します。今まで読んでいただき、本当の本当にありがとうございました!
ページ上へ戻る