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ぶそうぐらし!

作者:かやちゃ
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第26話「おわり」

 
前書き
物語というのは、唐突に終わるものです...。
...という言い訳は置いといて...結構無理矢理な最終回です。
流れを唐突にぶった切る超展開で終わらせます。
あ、バイオハザード(というよりのびハザ?)要素的なものが入ります。
 

 






       =遼side=





「親父が来たって事は...。」

  双眼鏡で他の車も見る。そこから、続々と武装した人物が出てくる。
  多分、親父の同業者だろう。

「...どう足掻いても希望...ってか?」

  ちょっと使い方が違うが、親父とその仲間が来たのならそれほどになる。

「...ここにいる全員。助かるぞ!」

  親父が来たのが俺も嬉しいのか、つい皆にそう言った。



  ...あ、校門近くにいた武闘派の一人があっさり見つかって無力化された。









「....これで全員か?」

  しばらくして、武装した集団に俺たちサークル勢と、武闘派...後図書館に一人と理学棟に籠って奴らの研究をしていた人が全員集められていた。

「隼!」

「香織!やはり皆無事だったか!」

  武装された集団に囲まれて皆が緊張してる中、母さんは親父に抱き着いて再会を喜んでいた。

「皆別に緊張する必要はないぞ。彼らは親父の仲間。まぁ、この状況だと錯乱する可能性もあるからこうして囲まれてるだけだ。」

「...そうは言われても武装されてると嫌でも緊張するぞ。」

  隣にいた胡桃にそう言われて、それもそうかと思う。
  銃なんて一発で致命傷になるからな。そりゃ、怖いだろう。

「...っと、そうだ。一応聞いていいか?」

「なんだ?」

  ふと気になった事があったので親父に聞いてみる。

「親父って外国にいたよな?今までの経緯ってどんなだ?」

「ん?あぁ、まず拠点の確保。拠点をある程度広げたら船で日本に。後は同じ要領で拠点を確保して東京を奪還。で、今に至るな。」

  さすが親父だな。自衛隊でもそんなのできないぞ普通。
  親父は普通じゃないから仕方ないけどさ。

「よっ、久しぶりだな坊主。相変わらず隼には驚かされる。この前もビルの外壁を降りてきたし。」

「親父...。」

「いや、そっちの方が早く降りられたし。」

  以前にも親切にしてくれた親父の同業者がそう言ってきて、つい親父をジト目で見る。
  いくら早く済ませれてもなんで外壁を...。

「まぁ、親父が来たからには助かったも同然だが...。」

「そういうことだ。さ、他にも回らなきゃいけない所は大量にあるんだ。早く行くぞ。」

  そう言って親父は俺たちを車に乗せ、親父は違う車に乗ってどこかへ行ってしまった。
  俺たちは東京の方へ向かうらしい。

「とりあえず生存者の探索をしてから、ここ巡ヶ丘市を調査するらしい。以前までとは行かないが、これから比較的快適な場所に連れて行くから安心しな。」

  俺たちが乗る車の運転手がそう言い、俺たちは親父が用意した拠点へと向かった。







  そこからはトントン拍子に事が進んでいった。
  拠点に連れられた俺たちは、全員が身体検査を受け、安全に暮らしている。
  一度噛まれた事のある俺と先生は、母さん同伴でいろいろと事情を聞かれたが...。
  とりあえず、ワクチンを渡して、安全だという事を証明した。
  予防のための薬はある程度できていたが、感染後の薬はできていなかったらしく、感謝された。
  ...俺としては、既にウイルス(仮定)の解析がそこまで進んでいる事に驚きだが。

「....で、予想はしてたけど早ぇよ親父...。」

  そして、親父は既に生存者の捜索を終わらせていた。
  一般的な施設は粗方探し終わったらしい。ついでに調査もしてたらしいが。

「それで?妙なものを見つけたって?」

「ああ。ランダルコーポレーション近くで、こんな奴がいた。」

  そう言って親父が見せたのは、首か掻き切られたゴリラのような化け物の写真。
  ごつい体で、手にあるその爪は、人の体を簡単に切り裂くだろう。
  ...その爪で仲間割れでもしたのかっていう死体だけど、これは...。

「...親父、一応聞くが...。」

「初見対処余裕だ。」

「やっぱりか。」

  首が掻き切られた傷は、親父によるものだった。
  聞けば、なんか襲ってきたので反射的に切り裂いたらしい。...おかしいだろ。

「他にもいたが、まぁ落ち着いて対処すれば遼でも余裕だな。」

「死傷者は?」

「ゼロ。俺たちがそんな事で死ぬかよ。」

  ですよねー。...親父の仲間も大概人外染みてるし。

「で、結局こいつは?」

「多分、今回のパンデミックに使われたウイルスによる人工生命体みたいなものだろう。なんかバイオハザードっぽいし。」

「ああ。ゲームに出てきた奴みたいだな。」

  解剖して解析したら、何かに類似していたもまったく別物だったらしい。
  ...本当にバイオハザードみたいだな。

「お約束みたいに地下施設でもあるんじゃないだろうな?」

「どうだろうな。さすがに用心してランダルコーポレーションの調査は後回しにしたし。」

「それを今から行いに行く...と。」

  そういいながら、俺は銃の手入れを終わらせる。
  ...そう。今から俺たちは調査に赴くのだ。
  メンバーは工藤家と蘭と親父の仲間たち。...最強部隊かな?

「しかし、お前もあいつらに慕われてるよなー。」

「...ああ、由紀たちの事か。」

  俺と蘭がランダルコーポレーションの調査に行くと決まった時、学園生活部の皆は滅茶苦茶心配してきた。...確かに危険だしな。
  ちなみに、母さんの場合はサークルの人たちと瑠璃に心配されていた。

「....そういや、面子を見た時お前以外全員女子だったが...。」

「...特に何もないぞ。親父。」

「はっはっは!まだ何も言ってないぞ?」

  ...この野郎、完全に面白がってやがる...!

「....さて、と。準備完了だ。」

「俺もだ。弾薬の貯蔵は十分か?」

「ああ。元々節約してたしな。」

  銃OK。ナイフもOK。銃に適したそれぞれの弾薬も十分。
  応急処置のための治療セットもあるし、念のためのワクチンもある。
  他には...手榴弾とかもちゃんと持ってるな。

「ワクチンで奴らの体に近づいたからか、俺は奴らに気づかれにくい。隠密なら任せてくれ。」

「俺でも行けるんだがな...。」

「親父は切り札だ。...なんだよ、俺、これでもワクチンの効果で身体能力上がってるんだぞ?」

  この親父、まさか身体能力の上がった俺でも傷一つ付けれなかった。
  なんでドーピングした人間より強いんだよ...。

「隼、遼。準備できたかしら?」

「今行くところだ。母さん。」

  荷物とアサルトライフルを背負い、ハンドガンとナイフは腰につけたホルダーに入れる。
  弾薬は腰につけたポーチに入れ、取り出しやすくしておく。
  手榴弾もすぐ使えるように来ている服の内側に取り付けておく。

「じゃあ、行くわよ。皆待ってるから。」

「おう。」

  親父も俺と同じ...いや、俺よりも軽装だな。ナイフ重視ってところか。
  母さんはナイフと護身用のハンドガンは持っているが、他は医療セット。
  まぁ、誰かが怪我した時のための要員だ。

「(...行くか。....このパンデミックを終わらせに...!)」

  決意を固め、俺たちはランダルコーポレーションへと向かった。











「...調査する前からもうわかったけどさ...。」

  ランダルコーポレーションに辿り着き、俺は親父やその仲間たちと共に内部を調べる。
  その途中で、俺はつい呟く。

〈シャァアアッ!〉

「っと!...どう考えても、これ黒だよな?」

  現れた緑の化け物を撃ち殺し、そう言う。
  ...そう、ランダルコーポレーションに突入してから何度も遭遇するのだ。

「ところどころにいるゾンビに、緑の化け物。...稀に首の飛んだ死体があるって事は、あれか?あれなのか?」

「....なんらかのミスによる、ウイルスの流出...。」

「違法な事しておきながら不手際かよ!」

  まさかのミスによるパンデミック発生に、頭を抱えたくなる。
  史上最大の迷惑行為だな...!

「...でさぁ...あれって...。」

「...うわっ。」

  急に小声で話し、廊下の角で一度全員止まる。
  蘭は角の先にいるモノを見てつい声を上げる。

「....完全にバイオハザード...。」

  先にいるのは、緑の奴とは違う、黒くていかつい化け物がいた。
  ...他にもいるのかよ。

「...俺が行く。」

「任せた親父。」

  ナイフ片手に、親父が角を曲がる。
  そんな親父に気づいたのか、化け物も声をあげて襲い掛かってくる。

「(...速い。おまけに狭い空間を飛び交いながらか....だが。)」

  普通なら脅威に感じるだろう。だが、親父にはまだ足りない。

「遅い。」

  化け物の腕を躱し、同時に目の辺りを切り裂く。
  親父には、少なくともあれの三倍のスピードはないとな。

〈グギャァアッ!?〉

「...終わりだ。」

  すぐさま親父は銃を構え、頭を撃ち抜く。
  さらに念を入れて関節辺りも撃ち抜いておき、機動力も奪う。

「..........対象、沈黙。さすがに頭を撃ち抜けば死ぬか。」

  しばらく化け物を警戒する親父だが、微動だにしないので死んだと確信する。

「親父、体感としてはどうだ?」

「ふむ...。人によるが、緑の奴より厄介だな。動きが速い、狭い通路を生かして立体的な動きで襲ってくる。だが、俺たちなら対処はできる。」

「なるほど。」

  親父は確かに圧倒的な強さを持っているが、それ以上に強さの見極めが上手い。
  だから、今の言葉通り、俺たちでも対処はできるのだろう。

「よし、さっさと行くぞ。多分、ここから先はこんな奴がうじゃうじゃいるだろう。」

「了解。」

  改めて警戒心を高め、俺たちは先へと進んでいく。







「ここか...。」

「一端休息を取るぞ。今までもそうだったが、ここから先はさらに化け物の巣窟だ。」

  親父の言葉にそれぞれ休息を取る。
  何人かは時間を分けて見張りとして外の様子を見ている。

「化け物が出てきたのはこの先...偶然上に昇ってきたのか?」

「多分な。それか、実験失敗とかで慌てて避難しようとして結果、一緒に連れてきてしまったか...。」

  地下施設に繋がるであろうエレベーターを見ながら、そんな憶測を立てる。

「...外国にはどうやって流出したんだ?」

「さぁな。外国にもランダルコーポレーションの会社はあるから、それが原因じゃないか?」

  ...だとしたら、パンデミックは故意に起きた?
  ミスによるパンデミックなら、世界中に一気にパンデミックが起きるとは思えん。

「...そういえば、外国の状況はどうなってるんだ?」

「大抵の国が日本より武装があるからな。犠牲者も多いが、壊滅的ではなさそうだ。」

  一応、アメリカとかとは連絡が取れるらしい。
  他にも発展している国は連絡が取れる程度には拮抗しているらしい。
  ...一体どこと連絡を取ったかは敢えて突っ込まないが...。
  大統領とかそんな単語が聞こえたけど気のせいだ。うん。

「親父の予想では、パンデミックが収まったとして、被害はどれくらいになると思う?」

「...世界人口の約6割は消えるだろう。それに、経済的被害も甚大だ。」

「...やっぱりか。」

  例えこのパンデミックを乗り越えたとしても、数十億を軽く超えるような被害が出てしまっては復興などにも時間がかかる。
  それに、もしパンデミックがなかなか収まらなければ、核とかも使われるかもしれない。

「まぁ、今は後の事より目の前の事だな。」

「...そうだな。」

  今を乗り越えなくては後の事を考える事すらできない。
  由紀たちのためにも、このパンデミックを終わらせなければな。





「...さて、行くぞ。」

「全員、警戒!」

  親父の言葉に、仲間の一人がそういう。
  エレベーターを開ける訳だが、中に危険があるかもしれないからな。

〈シャアッ!〉

「遅い。」

  中から緑の化け物が衰弱していながらも襲ってきたが、あっさり撃ち抜かれる。
  中には血や散乱した死体などで、無残な有様だった。

「なかなかに広いが...ひどい臭いだ。」

「我慢しろ。...行くぞ。」

  相当広いエレベーターに全員が乗り込み、地下へと向かう。

「...俺が先行する。どうやらあの化け物たちにも気づかれにくいみたいだしな。」

「危険だが...任せた。」

  ライフルなどの準備をしっかり済ませておき、到着するのを待つ。

「じゃ、ちょっくら殲滅してくる!」

  地下に着き、扉が開くと同時に俺は走り出す。
  予想通り、地上よりも多い数の化け物どもが徘徊していた。
  そいつらの中心に俺は走り込み、銃を撃ちまくる。
  もちろん、誤射はしないようにエレベーターから互いに死角になるようにしている。

「っしゃぁっ!!どんどん来いやぁっ!!」

  どんどん乱射して、次々に緑の化け物を仕留める。
  黒い方は頭を撃ち抜かないとなかなか倒れないみたいで、しぶといが。

「(手榴弾が使いたいが...崩れそうだな。)」

  ここは地下なので不用意に手榴弾を使うと生き埋めになりそうだ。
  しょうがないのでライフルやハンドガンで応戦する。
  ...というか、大声や大きな音を出しているのに、遠くにいる奴は振り向くだけかよ。
  まぁ、その方がナイフとかでも殺せて楽なんだけどさ。

「...っし、一掃完了!」

  ある程度綺麗にし、再び親父たちと共に進む。
  途中、虫みたいな化け物が天井から現れたけど、全員咄嗟に回避して撃ち殺した。
  ...常人なら吐き出される酸や爪に要注意な化け物だったな。
  尤も、俺たちにはそんなの通用しないが。

「重要そうな資料は片っ端から集めろ!また、危険なものを見つけたらその場で対処しない事!緊急時の判断は各自に任せる!」

  親父のその指示と共に、何人かで固まって調査する。
  俺も親父たちと共に行動する。







「...ホント、バイオハザードだよなぁ...。」

  しばらくして、俺たちは一つのカプセルの前にいた。
  カプセルの中には、“化け物”としか言い表せないような大男が入っている。
  近くにあった資料を見れば、所謂バイオハザードのタイラントみたいな存在らしい。

「で、こいつは電力がないと暴走する...と。」

  ...どう見ても周りの電気類止まってるんですけど...。
  緊急用電力はあったんだろうけど、もう切れてるっぽいし...。

「親父...。」

「...三人で時間稼ぎしてくれ。動きを見極めたら決めにかかる。」

「了解!」

  カプセルが歪み、中から化け物が突き破ってくる。
  瞬間、俺たちは散開し、俺と母さんと蘭で化け物を引き付ける。

「おらおら!こっちだ!」

〈グゥウウウ...!〉

  唸り声を上げながら、俺たちが放つ銃弾をその身に受ける。
  だが、やはり厳重に封印されていただけあって、あまり効いていない。

「っ!!」

「蘭!」

  化け物は手始めに蘭に襲い掛かる。
  後ろから俺が撃ちまくっているが、そのまま蘭に腕を振り下ろす。
  その手には鋭い爪...というか、一種の剣のような爪がついている。
  当たれば致命傷は避けられないが...。

「っと...!」

「おら、こっちだ!」

  蘭は爪をあっさり避ける。そこへすかさず俺が銃を撃ち込む。
  ちなみに、振り抜かれた腕は近くの机に当たっており、机は完全にぶっ壊された。
  やはり、威力()()は高いな...!

「というか、狙われないってなんか影が薄い感じがして空しいんだけど!?」

「大丈夫!どんなに影が薄くても遼は遼だから!」

「フォローになってねぇ!?」

  って、また蘭の所に...!

「させるか!!」

  駆け出しながら化け物に銃弾を叩き込み、一度ライフルを投げ捨て、ナイフを抜く。
  まずアキレス腱辺りを切り裂き、そのまま飛び上がってうなじを斬る。

「ちっ...まるで効いてねぇな...。」

  切り裂く事はできる。だけど、それでも効いた感じがしない。
  まぁ、気をこちらに逸らす事には成功したが。

「ようやく俺に気を向けたか。...じゃ、プレゼントだ!」

〈グギャァアアアッ!?〉

  化け物の肩を蹴り、間合いを取りつつハンドガンで目玉を狙う。
  上手い事命中し、ようやく化け物はダメージを負ったような声を上げた。

「蘭と母さんは手を出すな!すぐにヘイトがそっち向いてしまう!」

「っ...!」

  俺の言葉に何か言おうとする蘭と母さんだが、それを押し止めて気配を薄くする。
  父さんはこいつの動きを見切るために一時的に俺たちに任せてるんだ。
  なら、動きがわかるように戦わなきゃなぁっ!!

「っと、ほらよ!」

  振りかぶられる爪を躱し、お返しに銃弾を叩き込む。
  常人だと一分持つかわからない動きだが、俺なら躱せる!

「(しっかし...タフだなぁ...。やっぱゾンビみたいなものだから痛覚がないのか?)」

  爪をさらに躱し、投げ捨てていたライフルを拾って撃ち込む。
  確かに銃弾は当たっている。再生している訳でもないし、効いているのは確かだが...。

「...よし、遼!!もういいぞ!」

「っ、わかった!」

  どうやら、もう大体把握したらしく、親父が駆け出す。
  化け物は親父の方に振り向き、爪を振り下ろすが、そんなの当然躱される。

「ほらほら、ほらよっ!!」

  素早く足を切り付け、さらにライフルで撃ちまくる。
  再び爪が振り下ろされるが、既にそこに親父はいない。

「いくら撃っても倒れねぇなら...こうすればいいんだよ!!」

  親父は倒立の要領で飛び上がっており、そのままピンを抜いておいた手榴弾を化け物の口の中に突っ込む。

「皆、伏せとけ!」

「っ!」

  親父の言葉に、全員が一斉に伏せる。
  親父に至っては、足にライフルを撃ち込んで動きを阻害してから伏せた。



     ―――ドォオオオン!!





「...やったか!?」

「遼!それフラグ!?」

  いや、親父だしこの程度のフラグへし折りそうだけど。
  ...というか、マジでこういうの言ってしまうものなんだな。

「...これだけやって、まだ下半身残ってるのか。」

「さすがに動きはしないみたいだがな。」

  爆風が晴れると、そこには下半身だけになった化け物が倒れていた。
  ビクンビクン痙攣してるけど、さすがにもう動かないだろう。

「...念のため、もうちょい爆破していくか。」

「了解。」

  この施設でやるべき事はもう終わらせた。
  よって、もう崩れてしまっても構わない訳で遠慮なく手榴弾を仕掛けてから部屋を出る。

「さて、後は帰還するだけか。」

「他の皆にも連絡しておいた。脱出するぞ。」

  そうして、俺たちは無事に脱出した。













       =由紀side=







  ...遼君たちが旅立ってから一年半が過ぎた。
  あれから、私たちは東京で過ごしている。
  今までのような学校暮らしとはまた違う...避難生活みたいだけど、結構充実している。

「りーさーん、これってどこに置いておくのー?」

「えっとそれは...そこよ。」

  遼君のお父さんの知り合い達が作った安全な環境の中で、私たちは暮らしている。
  話で聞いただけだけど、もう日本はほとんど安全になったんだって。

「よっ...と...ふぅ...。」

「ありがとう、由紀ちゃん。」

  私たちの他にも生存者はそれなりにいて、私たち学園生活部の皆や、サークルの人たちは生存者の中でも小さい子達の相手をしている。
  全てにおいて人手不足だから、学生としての勉強はひとまず置いておくんだって。
  るーちゃんとか小さい子の相手は楽しいから、私としては嬉しいね!

「りーさん、めぐねえはー?」

「先生なら...確か、畑の方にいたからしら?」

「そうなんだ!」

「あ、邪魔しないようにね?」

「はーい!」

  ちなみに、武闘派の人たちは子供の相手じゃなく、街の復興を手伝っている。
  胡桃ちゃんも偶に肉体労働の手伝いに行ってたっけ?
  そしてめぐねえは食料確保のため、菜園とかの世話をしている。
  それと、めぐねえは一度感染してワクチンで治った身だからか、研究員の人や自衛隊の人とか、いろんな人と繋がりを持っているみたい。さすがめぐねえ!

「みーくんと圭ちゃんは太郎丸と命の散歩だっけ?....まぁ、とにかくめぐねえの所にいこっと!」

  皆が皆、それぞれでできる事をしている。
  明日も生きるため。また、いつもの生活を取り戻すため。
  だから、私も頑張らないと!





「あ、いたいた。おーい、めぐねえー!.....って、あれ?」

  畑の方に行ってもいなかっためぐねえを見つけ、大声で呼びかけようとする。
  そこで、何か人だかりができていたみたいで、私も疑問に思った。
  あれは...自衛隊の人?

「どうしたの?」

「あ、由紀ちゃん。えっとね...。」

  その時、めぐねえから聞かされた事は、とても凄い朗報でした。





「おい!由紀!いきなりどこへ!?」

「ゆ、由紀ちゃん、そんなに急がなくても...!」

  少しして、私たちは一つの建物に入る。
  今は色んな建物を生活の際の寝床にしたりしているが、そこは空いている所だ。

「ほら、皆急いで急いで!」

「せ、先輩...急ぎすぎです...!」

「一体何が...?」

  皆を連れて、走る走る。
  皆は何か言ってるけど、今の私には全然耳に入らなかった。
  ちなみに、今連れているのは学園生活部の皆(太郎丸と命含む)と、るーちゃん。
  サークルの皆はまだやる事があって連れてこれなかった。

「っ、めぐねえ!」

「あ、由紀ちゃん...って、そんなに急いで...。」

  そして、ようやくめぐねえの所に辿り着く。

「め、めぐねえ...?どうしてここに...。」

「皆に会わせたい人がいるの。」

「会わせたい人...?」

  そう言ってめぐねえは傍にあるドアを開ける。
  そこには...。

「よっ、皆。久しぶりだな。」

「遼君!蘭ちゃん!!」

  そう、ずっと帰りを待ってた二人がいた。

「遼...蘭....!?帰ってきたのか!?」

「ああ。大体の発生源は潰したからな。復興のために戻ってきた。」

  胡桃ちゃんも、皆も驚いている。

「ちなみに母さんと父さんも帰ってきてるぞ。父さんはまたどこかに行くみたいだが。」

  遼君がそういうが、皆驚きのあまり聞き流しているみたいだ。

「ね、遼。」

「ん?あ、そうだな。」

  そこで、蘭ちゃんが遼君に何かを伝え、遼君は思い出したように私たちに向き直る。

「「...ただいま。」」

  二人合わせたその言葉に、皆はハッとして顔を見合わせる。
  少し笑いあって、示し合わせたかのように私たちも返事を返す。

「「「「「「「おかえり/おかえりなさい!」」」」」」」

  私たちの生活は、まだまだ続く。
  きっと、苦労するだろう。でも、大丈夫。
  遼君や蘭ちゃん....皆がいるから。









   ―――私たち学園生活部は、まだまだ続くよ!











 
 

 
後書き
一応、これにて終わりです。
締まりがない終わり方ですが、ゾンビ物ってこうでもしなければ長引きますし...ねぇ?
ちなみにるーちゃんは最後の場面ではもう喋れるようになってます。 
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