英雄伝説~光と闇の軌跡~(碧篇)
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第58話
~湖水浴場~
「あら、ロイドじゃない。」
「ふふ、お疲れ様です。」
近づいてきたロイドを見たセシルは声をかけ、リーシャは微笑んだ。
「セシル姉たちは日光浴か。湖にはまだ入ってないみたいだけど、ちゃんと楽しんでるかな?」
「ええ。こんなにゆっくり休めたのは本当に久しぶりよ。」
ロイドの言葉にルファディエルは微笑み
「ええ、ここでゆっくりするだけでも充分楽しませてもらってるわ。エリィさん達とも色々とおしゃべりできるし。」
「あはは、私達もそれは楽しいんですけど……たまにちょっと困っちゃいますよ。セシルさんとルファディエルさんったら、さっきから『ロイドとはもう肉体関係があるの?』とか、そんなことばっかり聞くんですから。」
微笑みながら言ったセシルの言葉を聞いたエリィは苦笑した後疲れた表情で言い
「ちなみに私とリーシャさんは二人に『ロイドとの仲はどう?』って聞かれるんですよね……」
「え、ええ……ちょっとびっくりしちゃいました。」
セティとリーシャは苦笑しながら言い
「フフ……私とエルファティシアさんはセシルさん達の話の聞き役だったけど……とても興味深い話だったわ♪」
「うふっ♪ヴァイスハイトといい勝負をしているじゃない♪」
ルイーネとエルファティシアはからかいの表情でロイドを見つめ
「あ、あのなあセシル姉、ルファ姉……」
エリィ達の話を聞いたロイドは呆れて溜息を吐いた。
「ふふ、だって気になるじゃない?姉たるもの、弟の交友関係は常にチェックしておかないとね。そして誰が将来の正妻になるか、バッチリ当たりをつけておかないと!」
「……まあ、今の所の本命はエリィだけどね。」
セシルは微笑んだ後真剣な表情で言い、ルファディエルは口元に笑みを浮かべてエリィを見つめ
「ル、ルファディエルさん。(…………その本命が”最強”の対抗馬と思っている貴女が言いますか?)」
見つめられたエリィは内心呆れながら顔を赤らめた。
「い、いやいや。そういうのはいいから!ってか、正妻ってどういう意味だよ!?まるで俺が複数の女性と結婚する事が確定しているみたいな言い方じゃないか!」
「ロイド………まさかとは思うけど、ティオに”あれ程の事”をされてまだティオの気持ちに気付いていないのかしら?」
慌てた表情で言ったロイドの言葉を聞いたルファディエルは呆れた表情で尋ね
「う”。」
尋ねられたロイドは唸った後恐る恐るエリィに視線を向け
「あら?どうしてそこで私を見るのかしら?別に怒っていないわよ?将来貴方が”そういう事”になる事は貴方の恋人になった時から覚悟していたし、以前にも言ったでしょう?私を”一番大切”にして、全員責任を取るなら構わないって。それにティオちゃん”達”とは親しいから、別にいいわよ?」
視線を向けられたエリィは威圧を纏った笑顔でロイドに微笑み
(…………だったら、そのどこか恐怖を感じる微笑みを止めて欲しいんだけどな……というか”達”ってどういう意味だよ…………)
微笑まれたロイドは疲れた表情になり
「ふふ、一体何人のお嫁さんができるのかしらね♪……あ、ちなみに私はたくさんのお嫁さんができるのは全然構わないわよ?たくさんのお嫁さんがいる”あの人”の妻の一人である私だって、人の事は言えないし。」
「いや、そんな事を言われても、困るだけなんだけど。」
微笑みながら言ったセシルの言葉を聞いたロイドは疲れた表情で指摘した。
(う~ん、さすがイリアさんの幼馴染の方だけはありますね…………)
一方その様子を見ていたリーシャは感心した様子でセシルを見つめていた。
「そうだ、ロイド。せっかくだしあなたも日光浴していかない?デッキチェアにも空きがあるし、色々とお話ししましょうよ。」
「い、いや~……さすがにこの輪に入るのはちょっと恥ずかしいというか……今回は遠慮させてもらうよ。」
セシルの誘いを聞いたロイドは苦笑しながら言い
「あらあら、ヴァイスさんと違って押しが弱いわね。」
「そうね♪ヴァイスハイトなら喜んで誘いに応じるでしょうね♪」
「それはそれで問題があると思いますが……」
微笑みながら言ったルイーネとルファディエルの言葉を聞いたエリィは呆れた表情で溜息を吐いた。
「あら、そう?」
「ふふ、今更恥ずかしがることなんてないでしょうに。」
「ええ、そうですよ。私も色々お話ししてみたいですし。」
「私達は全然構いませんよ?」
一方断られたセシルは目を丸くし、ルファディエルは微笑みながら言い、リーシャとセティはルファディエルの言葉に頷いて言い
「はは、そう言ってくれるのはありがたいけど……」
二人の言葉を聞いたロイドは苦笑しながら言った。
「………うーん……それじゃあ………その代わりに、私達に日焼け止めを塗ってくれないかしら?」
するとその時セシルがとんでもない事を提案した。
「え…………………ええええええええええっ!?」
セシルの提案を聞いたロイドは呆けた後大声で驚き
「あら………」
「うふっ♪ヴァイスハイトが聞いたら、悔しがるでしょうね♪」
「うーん、ちょっと困ったわねぇ……」
ルファディエルは意外そうな表情をし、エルファティシアは小悪魔な笑みを浮かべ、ルイーネは苦笑し
「ちょ、ちょっとセシルさん!?」
「さ、さすがにそれはちょっと……」
「は、恥ずかしいですよ………」
エリィは驚き、リーシャは言い辛そうな表情になり、セティは恥ずかしそうな表情で頬を赤く染めて言った。
「ふふ、いいじゃない。私は全然問題ないわよ?エリィさん達も、なるべく日焼けは避けたいってさっき言ってたじゃない?それに『今更恥ずかしがることなんてない』ってルファディエルも言ってたし。」
「フフ、言いだした私も全然問題ないわ。貴方には貴方が子供のころから私の肌を触らせているし。」
「そ、それはその……」
そしてセシルとルファディエルの言葉を聞いたエリィは戸惑ったが
(ここでアピールしておかないと、誰かにロイドの”一番の恋人”の座が奪われるかもしれないわよ?)
「(!!!)わ、わかりました!それじゃあ……ロイド、お願いするわ。」
ルファディエルの念話を聞いて目を見開いた後、真剣な表情で言い、そして頬を赤く染めてロイドを見つめ
「エ、エリィ……?」
見つめられたロイドは戸惑った。
「だ、だって他のみんなはそれぞれ自分の遊びに夢中じゃない?なるべく日焼けを避けたいのは本当の話だし……恋人の貴方になら塗られてもいいかと思って。」
エリィの答えを聞いたロイドは冷や汗をかき
「そ、そうですね……イリアさんも、ホテルの部屋で私が日焼け止めを塗りましたし……その、ロイドさんならそこまで抵抗はないかもしれません。」
「私も……ロイドさんなら構いません。」
「リ、リーシャとセティまで!?」
口元に笑みを浮かべて言ったリーシャと頬を赤らめたセティの言葉を聞いたロイドは驚き
「うふっ♪別に私もいいわよ♪いつも男に嫉妬される側のヴァイスハイトが嫉妬する所を見たいし♪」
「あらあらまぁまぁ。この空気だと私も乗らないと駄目ね♪まあ、ギュランドロス様も一目おいている貴方なら肌に触れるくらいなら、ギュランドロス様も許してくれると思うからいいわよ?」
「ええっ!?」
さらにからかいの表情で言ったエルファティシアと微笑みながら言ったルイーネの言葉を聞いたロイドは声を上げた。
「ふふ、ほらロイド。お姉ちゃんたちとこんな可愛い子達がせっかく頼んでるんだから。日焼け止め、塗ってくれるわよね?」
「わ、わかったよ……謹んで、塗らせてもらうから!」
「謹んでって……」
セシルの言葉に真剣な表情で言ったロイドの言葉にエリィは呆れ
「あはは……テンションがなんだか変になってますね。」
「まあ、普通の男性ならこんな状況、発狂するでしょうしね。」
リーシャとセティは苦笑していた。
「ふふ、じゃあさっそくお願いしちゃいましょう。最初は誰に塗ってくれるの?」
「え、えっと……それじゃあ………エリィから塗らせてもらうよ。」
「フフ、やっぱり恋人だけあって一番目ね。」
セシルに尋ねられ、答えたロイドの答えを聞いたルファディエルは微笑み
「わ、私っ!?……い、いいけど……変なところ、触らないでよ?」
指名されたエリィは驚いた後顔を真っ赤にして呟き
「ぜ、善処させていただきます……」
ロイドは目をつぶって答えた。そしてデッキチェアにうつぶせになり、さらに胸を隠している部分を外したエリィの前にロイドは来た後手に日焼け止めクリームを塗り
「そ、それじゃあ失礼して…………」
エリィの背中に手を置いた。
「……ひゃあっ!?」
するとその時エリィは声を上げた!
「ゴ、ゴメン!大丈夫か?」
「う、うん……冷たくてちょっとびっくりしただけ。大丈夫だから、続けてちょうだい。」
「そ、そっか、じゃあ……」
エリィの答えを聞いたロイドはエリィの背や足、首筋に日焼け止めのクリームを塗り続けた。
(はあ、これは予想以上に心臓に悪いな……それにしてもエリィ、本当に綺麗だよな……肌なんて真っ白だし、パールグレイの髪がよく映えてるっていうか……)
「……ちょ、ちょっと。突然黙らないでちょうだい。まさか、いやらしい事を考えているんじゃないでしょうね?」
黙って自分に日焼け止めクリームを塗り続けるロイドにエリィは顔を赤らめて言った後、ジト目になり
「め、滅相もございません!(下手したら、マリアベルさんに本当に湖底に沈められる……!!……心を限りなく無にするんだ。とにかく無の境地に……!)」
エリィの言葉を聞いたロイドは慌てて答えた後、真剣な表情で日焼け止めクリームを塗る行為を再開し
「ロイドさん……なんだか東通りのお地蔵様のような顔になってるみたいですけど。」
リーシャは呆れた表情で呟き
「ふふ、ロイド。エリィさんが終わったら私達のほうもお願いね。」
セシルはロイドに微笑みながら言った。そしてエリィに日焼け止めを塗り終えたロイドは次にルファディエルに日焼け止めを塗ろうとしていた。
「じゃ、じゃあルファ姉。塗るよ。」
「ええ、お願いね。」
そしてロイドはルファディエルに日焼け止めクリームを塗りはじめ
(ルファ姉は子供の頃、背中を洗った事もあるんだ……子供の頃の純粋な気持ちなら落ち着いて塗れるはず…………)
ルファディエルに日焼け止めクリームを塗っているロイドは落ち着いた様子で塗り
(フフ、私に興奮しないように必死になっているわね。あの可愛かった子が随分と成長したわね……)
ルファディエルは苦笑した後昔のロイドの姿を思い浮かべ
(恋人の私を差し置いて、ルファディエルさんだと落ち着いているのが納得いかないわね……やっぱりルファディエルさんが最強の恋敵ね…………絶対に”一番の恋人”の座は渡しませんから…………!)
その様子を見たエリィはジト目でロイドを見つめた後真剣な表情でルファディエルを見つめていた。その後ロイドは全員に日焼け止めを塗り終えた。
(あ、改めて見るとすごい光景だなあ……)
全員に日焼け止めを塗り終えたロイドは胸を覆う水着の部分を外してうつ伏せになっているエリィ達の状況を見て疲れた表情で溜息を吐いた。
「はあ~……ありがとう、ロイド。とってもリラックスできたわ。うふふ、このまま眠っちゃいそう。」
「セ、セシルさん。その格好で寝るのは色々と危険だと思うんですけど……」
「あはは……ちょっと大らかすぎますよね。」
セシルが呟いた言葉を聞いたエリィは疲れた表情になり、リーシャは苦笑した。
「ふふ、だって気持ちがいいんだもん。」
「それじゃあ、目が覚めるように皆に冷たい飲み物でも買ってこようか?」
「あら、いいの?」
「これ程の人数を一人で買って来るなんて、大変ですよ?」
ロイドの申し出を聞いたエリィとセティは驚いた。
(ある意味、夢みたいな体験をさせてもらったからな……正直、これくらいしないと女神から罰が下りそうだよ。……いや、女神の末裔であるエステルからと言った方がいいかな?)
「……ロイドさん?」
黙り込んでいるロイドに気付いたリーシャは首を傾げ
「うふっ♪」
「あらあら♪」
「フフ……」
何かを察したエルファティシアとルイーネは小悪魔な笑みを浮かべ、ルファディエルは微笑んだ。
「あ、ああいや、なんでもないよ。それじゃあ、ノンアルコールのカクテルか何かでいいかな?」
「ええ、それでお願いするわ。ああ、急がなくてもいいからね。ロイドも色々たのしんでいらっしゃい。」
「ああ、ありがとう。それじゃあ後でね。」
その後セシル達から離れたロイドはキーアとシュリと白い石探しをした後、全員分の飲み物を買う為に売店に向かった。
「君達が貸切の時間帯は飲食代が全てサービスになってるんだ。早速なにか注文するかい?」
「ええ、よろしくお願いします。えっと、ベルコーラが8つとノンアルコールカクテルが10個………アイスクリームが3つ、カクテルが5つ、カキ氷が4つ、アップルジュースが3つ……ああ、それとフランクフルトを1つお願いします。」
「一度にそれだけ持ってくつもりなのかい?もしかしてキミ……お人好しすぎで自滅するタイプ?」
ロイドの注文を聞いた店員は表情を引き攣らせて尋ね
「い、いや、はは……そんなことはないと思うんですけど。」
尋ねられたロイドは苦笑しながら答えた。その後ロイドは仲間達に冷たい飲み物や食べ物を買って、配り、仲間達はそれぞれ喉を潤した……………
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