| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

英雄伝説~光と闇の軌跡~(碧篇)

作者:sorano
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第57話

~湖水浴場~



「主、どうですか?」

ロイドがセリカ達に近づくと、仰向けに寝転がったセリカにリタが砂をかけて尋ね

「……まだまだ足りんな。」

セリカは静かな表情で呟き

「もっと砂をかけるぞ、リタ。」

「うん。」

セリカの言葉を聞いたレシェンテの言葉にリタは頷いた後セリカに砂をかけ続けていた。

「え、えっと……リタちゃん達は何の遊びをしているんだい?」

その様子を見たロイドは冷や汗をかいた後苦笑しながら尋ねた。

「あ、ロイドさん。」

ロイドに話しかけられたリタは振り向き

「……砂風呂だ。健康にいいと、ガイドに書いてあったから、実行している。……戦う必要もない日ぐらいはゆっくりしていたいしな……」

「ハ、ハア……(なんだか年寄りくさいな……というか”神”の身体は病気にかかるのか??)……もしよかったら、手伝おうか?」

自分に視線を向けて言ったセリカの言葉を聞いたロイドは冷や汗をかいて苦笑した後、リタ達に申し出

「わあ、ありがとうございます。」

「協力してセリカを埋めるぞ!」

申し出を聞いたリタは明るい表情をし、レシェンテは口元に笑みを浮かべて言った。その後ロイドはリタとレシェンテと共にセリカの頭だけを残して、セリカの身体を砂に埋めた。

「フウ………こんなもんかな。」

セリカを砂に埋めたロイドは呟き

(あ、ロイドさん。あまり声を出さないでください。)

(セリカが眠っているのじゃ。)

目を閉じて眠っているセリカを見たリタとレシェンテは小声でロイドに言った。

(っと、ごめん。それにしても穏やかに眠っているよな……)

(ええ………主にとってはこの穏やかな時こそが一番求めていた時なのですから……)

(”神殺し”が生きる道は修羅の道じゃからな……)

ロイドの言葉にリタは微笑んだ後セリカを見つめ、レシェンテは重々しい様子を纏って呟いた。

(前にエリィ達からリタちゃん達の世界では”神殺し”がどんな存在なのか聞いたけど……セリカさんって、そんなに危険な存在なのか?とてもそうには見えないが……)

(……………そうですね。主は決して自ら戦を求めているわけではありません。”世界”自身が問答無用で主を忌み嫌っているのです。)

(全てはセリカを”神殺し”、そして”古神”を”邪神”として忌み嫌う一部の宗教を除いた宗教者達全員と神達が原因じゃ。)

ロイドに尋ねられたリタは静かな表情で答え、レシェンテは忌々しそうな表情で答えた。

(そうか……………(わずかな仲間達と共に世界中の人達を相手に孤独な戦いを永遠に続ける……一体何を理由にして今まで戦い続けているんだろうな………?)……………だからこそ、セリカさんは自分に味方してくれる仲間を大切にしているのかな?セリカさんとレシェンテさんがクロスベルに来て、今もリタちゃんと共に滞在しているのもエステルのお蔭なんだろう?)

二人の答えを聞いたロイドは重々しい様子を纏ってセリカを見つめた後二人を見つめて尋ね                               

(フフ……主が仲間思いである事は否定しませんが………エステルはその中でも特別ですね。)

(うむ。何と言っても自分がずっと求めていた愛する者――――アストライア……いや、サティアとの再会を実現させ、さらに全ての記憶を取り戻すきっかけを作り、生まれ変わったサティア自身を産む身じゃからな、エステルは…………どんな暗闇にも光を差すあの娘はまさに太陽のような存在だな。)

(そうだね。きっと”光の三太陽神”すらも越えているだろうね。エステルのおかげで主はこんなにも多くの人達と触れ合って、穏やかな時を過ごせるのだから。)

尋ねられたリタとレシェンテは微笑みながら答え、レシェンテの言葉にリタは笑顔で頷いた。

(確かに言われてみればそうだな……)

レシェンテの言葉を聞いたロイドは口元に笑みを浮かべ

(フフ、さすがはフィーナさん達の子孫……いや、”空の女神(エイドス)”の末裔と言った所かな?)

(そうか?あの性格はエステルのみとわらわは思うぞ?アドルやフィーナ、エレナはエステルと全然似ていなかったしな。)

(……”空の女神(エイドス)”の両親……一体どんな人達だったんだろう?)

微笑みながら言ったリタの言葉を聞いたレシェンテは不思議そうな表情をし、二人の会話を聞いていたロイドは真剣な表情で考え込んでいた。

「サ……ティ……ア……約……束…………」

するとその時セリカは寝言を呟き

(あ……見て、主が……)

セリカの寝言を聞いたリタは口元に笑みを浮かべているセリカを見つめて優しげな微笑みを浮かべ

(笑っておるな………もしかしたら夢の中でサティアと出会っているのかもしれんな。)

同じようにセリカを見つめたレシェンテは口元に笑みを浮かべた。

(…………さてと。俺はそろそろ行くけど……良かったら売店で何か買ってこようか?)

そしてロイドは静かな笑みを浮かべた後二人を見つめて尋ね

(あ、じゃあお願いします。私は甘いジュース―――――アップルジュースをお願いします。)

(わらわも同じで頼む。)

(わかった。セリカさんの分はどうする?)

(そうですね………一応、私達と同じ飲み物をお願いします。お昼御飯になった時は起こそうと思っていますから、その時に渡すつもりですので。)

(了解。)

そしてロイドはセリカ達から離れ、水際で砂で何かを作っているティオとフラン、シャマーラとエリナに近づいた。



「さくさく……」

「ペタペタ……」

「シャマーラ、そっちにも水を。ただし、慎重にですよ。」

「うん。」

ロイドがフラン達に近づくとフラン達は真剣な表情で砂で何かを作っていた。

(な、なんだか集中してるなあ……)

「……グルル……ウォン。」

その様子を見たロイドは驚き、ロイドに気付いたツァイトは吠えた。

「……ああ、ロイドさん。」

「どうかしたんですか~?」

ツァイトの一吠えを聞いたティオとフランはシャマーラ達と共に振り向いてロイドに尋ね

「はは、邪魔しちゃったかな。いや、そんな一生懸命に何を作ってるのかと思ってさ。」

尋ねられたロイドは苦笑しながら答えた。

「いえいえ、とんでもないです。一応、砂でお城を作っていたところなんですよ~。」

「いわゆる、『サンドクラフト』ですね。ただ、なかなか上手くいかなくて……先程から作っては壊しの繰り返しです。」

ロイドの疑問にフランとティオが答え

「『何でも作る』が謳い文句の工匠として恥ずかしいです……」

「そうだよね~。こうなったら絶対に完成させないと!」

エリナは悔しそうな表情をし、シャマーラは頷いた後真剣な表情で言った。

「う~ん、なかなか難しそうだな。」

「そうだ、せっかくですし、ロイドさんも手伝ってみませんか~?」

「えっ……俺が?」

フランの誘いを聞いたロイドは不思議そうな表情をした。

「ええ、そうですね。作業が進展するかもしれませんし。」

「それに人が増えれば作業効率も増えますしね。」

「一緒にやろうよ!」

「ああ、わかった。俺でよければ手伝わせてもらうよ。」

その後ロイドはティオ達と共に試行錯誤を繰り返しながら砂の城を完成させた。

「ふう……こんな所かな。」

完成した砂の城を見たロイドは溜息を吐き

「ついに……ついに完成したんですね~!!キャ~!!やった、やった~!」

「わーい!!」

フランとシャマーラははしゃぎ

「……感無量です。ロイドさん、お疲れ様でした。」

「ロイドさんの助言のおかげで完成できました。」

ティオとエリナは静かな表情でロイドに感謝の言葉を言った。

「はは……そんな。4人が頑張ったおかげさ。」

「いえいえ、ロイドさんのおかげですよ~!本当にありがとうございます!!」

「ツァイトもお疲れ様でした。終盤は、不足した砂や水の補給を手伝ってくれましたし。」

「グルル……ウォン。」

「はは、さすがはツァイトだよな。そうだ、そういえば……この城って名前はあるのか?」

「名前……ですか~?」

ロイドの疑問を聞いたフランは意外そうな表情で砂の城を見つめて言った。

「いや、せっかく苦労して作ったんだし、そういうものがあれば、思い出になるんじゃないかと思ってさ。

「一理ありますね。ふむ、それなら……『みっしぃキャッスル』、というのはいかがでしょう。」

「え~、ティオちゃんズルい!だったらあたしは『バンバンキャッスル』がいいな~!」

「じゃあ、あたしは『リリスキャッスル』♪」

「この砂の城のどこに睡魔の要素があるのですか…………ここは無難に『クロスベルキャッスル』あたりでいいかと思います。」

ロイドの話を聞いたティオ達はそれぞれ違う意見を出した。

「みっしいはおなじみだけど……バンバンっていうのは、フランのお気に入りのぬいぐるみだったっけ。はは……エリナ以外はどれもかなり趣味が入ってるなあ。」

「……ですが、同じ城に4つの名前はつけられません。この際ですし、ロイドさんがどれがいいか決めてくれませんか?」

「あっ、それはいいかも~!ロイドさんが決めるなら文句はないですし、ビシッと選んじゃってください!」

「(な、なにげに責任重大だなあ。)うーん、そうだなあ…………せっかくミシュラムに来たことだし……今回は『みっしいキャッスル』でいいんじゃないか?」

「なるほど……」

「む~、言われてみればそうですね~。」

「そうだね~。しかたない、今回はティオにゆずってあげる!」

ロイドの意見を聞いたエリナは頷き、フランは頬を膨らませて呟き、シャマーラは頷いた後ティオに視線を向け

「ふふ……ありがとうございます。」

視線を向けられたティオは静かな笑みを浮かべた。

「はは、丸く収まったみたいだな。そうだ……4人共。ずっと砂浜にいて、喉が渇かないか?良かったら、後で冷たいものでも持ってくるけど。」

「そうですね……わたしは、売店にあったカキ氷を食べてみたいです。」

「あっ、あたしも食べたい~!」

「あたしも!」

「……私も同じ物をお願いします。ロイドさん、お願いしてもいいですか?」

「ああ、任せてくれ。ツァイトは……フランクフルトでいいかな?」

「グルルル……ウォン。」

「『頼んだ』だそうです。……ああ、でも急がなくても全然結構ですから。せっかく来てるんですし、ロイドさんも楽しんでください。」

「はは、了解。」

そしてロイドはティオ達から離れ、パラソルの下にあるデッキチェアに座っているエリィ、セシル、リーシャ、ルファディエル、セティ、エルファティシア、ルイーネに近づいた……… 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧