STARDUST∮FLAMEHAZE
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第一部 PHANTOM BLAZE
CHAPTER#3
RED ZONE ~封絶~
【1】
黄昏時の喧噪。
まるで血のように紅い夕焼けに染まる繁華街とざわめく人の流れ。
その中を、無頼の貴公子が銜え煙草で練り歩く。
周囲の人間は洪水のような人混みを掻き分けるのに難儀していたが、
彼にその必要はなかった。
あらゆる要素に誘発されて増大した彼の圧倒的存在感を前に、
気圧された人間が勝手に道を空けるからである。
その人物、空条 承太郎。
日本人離れした長身。
鍛え抜かれ引き絞られた、一流モデル顔負けのスタイル。
中世芸術の黄金比を象った彫像を彷彿とさせる、整った鼻梁の完璧すぎる美貌。
夕焼けの光で琥珀がかり、神秘的な煌めきを点したライトグリーンの瞳。
専用にコーディネートしてある前衛的なデザインの学生服が、
その魅力をより一層際立たせる。
首筋から仄かに立ち上る麝香の残り香、
ソレに合わせるように襟元から垂れ下がった金色の鎖が擦れて澄んだ音を奏でた。
彼とすれ違った女性が皆、年代を問わずに想わず振り返り、
その頬を初恋の少女のように染めていたのは夕日の所為ではないだろう。
切れ切れの雲の彼方に沈みつつある夕日が、その全てを寂寥の紅に染めていた。
そんな、何気のない日常の風景。
それは、唐突に、何の脈絡もなく終わりを告げた。
突然、「炎」 が、空条 承太郎の視界を満たした。
澄みつつも不思議と深い、白の炎が。
「……」
その最初の瞬間、承太郎は銜えていた煙草を口から落とした。
周囲をまるで壁のように取り囲み、その向こうを霞ませる陽炎の歪み。
足下の火の線で描かれる、文字とも図形ともつかない奇怪な紋章。
その中で歩みの途中、不自然な体勢で、瞬き一つせずピタリと静止する人々。
まるで突如世界が裏返ったかのような、異様な体感が身体を包む。
「……どこだ? ここは?」
彼らしくない、あまりにも平凡な言葉がその口から漏れた。
表情にこそ現れないが承太郎は承太郎なりに混乱していた。
「どこか?」と問われれば、今の今まで彼が歩いていた繁華街としか答えようが無い。
何もかもが「不自然」に覆われていたとしても、「場所」は変わっていないのだから。
しかし、承太郎が考えを巡らせる暇もなく、
「不条理」は轟音と共に来訪した。
奇妙な、モノ……が二つ、動きを止めた雑踏の中にそびえていた。
一つ、は、子供向けのマスコットのような三頭身の人形。
そしてもう一つは、有髪無髪のマネキンの首を固めた玉。
何れも、長身を誇る承太郎の倍はあった。
その「怪物」達、「人形」の方が巨体を揺り動かして
はしゃぎながら耳まで裂けるように、
「首玉」がけたたましい声を幾重にも重ねて、
横一線にぱっくりと、各々口を開けた。
「……ッ!」
途端に、止まっていた人々が猛烈な勢いで燃え上がった。
奇妙な事だが、熱も匂いも感じさせない、しかし異常に明るい、炎。
そし、て。
燃え盛る人々の炎の先端が、細い糸のようになって宙へと伸び、
怪物達の口の中へ吸い込まれていく。
(……悪霊ッ! イヤ、ジジイの言ってやがった 『スタンド』 かッッ!?)
フリーズしていた承太郎の思考が迫る危機に際してようやく再起動を始める。
炎渦巻く薄白い空間の中、承太郎は一人取り残されたように立っていた。
そんな彼の存在に、怪物が二人(?)してようやく気付いた。
人形が首だけをぐるりと回し、傾げた。
「ン? ンンン~? なんだい?コイツ?」
可愛いマスコットに相応しい子供っぽい声。
巨大なガラス玉の瞳が自分を睨んでいる。
いつしか首玉も丸ごと向き直っていた。
真中にぱっくりと開いた口から、若い女の声で言う。
「さあ? 御 “徒” では……ないわね」
「でも、 “封絶” の中で動いてるよ。もしかして……『ミステス』?」
「……に、限りなく近い存在だと思うわ。
どうやら 『トーチ』 じゃないみたいだけれど。
でも、人間の「器」の中に途轍もない力が内蔵されてるのを感じる事が出来る。
久しぶりの嬉しいお土産ね。 『ご主人様』 もお喜びになられるわ」
「やったあッ! じゃあ僕達、お手柄だ!」
「首玉」が喜びに充ちてはいるが穏やかな声。
「人形」が子供っぽい開けっぴろげな歓声上げ、
そして、ズシンッ! と粗雑な大足を一歩、承太郎に向けて踏み出した。
ゆっくりと、ゆっくりと。
耳元まで裂けた口で、ニタリと笑いながら地響きを立ててこちらに向かってくる。
「じゃ、さっそく!」
やがて承太郎の目の前で跪いた、巨大な人形の視界を覆うような右手が
承太郎の長身の身体を軽々と掴み、人形のように持ち上げ、
「いッッッただッッッきま―――――――す!!」
耳元まで裂けた口を大きく開けた。
グシャアッッ!!
重苦しい音と共に人形の口が閉じた。
否。
正確には、“閉じさせられた”
突如、その剥き出しになった歯の隙間から白い蒸気が音を立てて吹き出す。
掴まれた承太郎の身体から生えた2本の「腕」
その右拳がボクシングでいうスマッシュの角度で人形の顎に高速で撃ち込まれ、
内部に深々とメリ込んでいた。
逃げ場の無い場所で跳弾の如く暴れ回った余波の為、
顔面に地割れのような亀裂が幾つも走る。
同様に口の中も、相当に悲惨な事になっているだろう。
「いきなり出てきて、ナニ調子コイてやがる……? テメェ?」
自分を「お土産」呼ばわりした相手の片割れを、
承太郎は不良特有の威圧するような視線で睨めつけた。
「ッッッッッぅぎゃああああああああああ―――――――――ッッ!!」
絶叫と共に再び開いた人形の口の中から、バネやゼンマイなどの
クラシックな機械部品が薄白い火花と一緒に吐き出された。
「痛み」を感じるかどうかはしらないが、ともあれ緩んだ巨腕の拘束から
自由になった承太郎は、燃え盛るアスファルトの上に手を付いて着地する。
だが、不思議と熱さは感じなかった。
人形はその土管のような膝を直角に折り曲げて前のめりに倒れる。
ズゥン! と、ダンプが横転したような重低音が白炎空間に鳴り響いた。
砕けた顎をおさえ、道路の上で転がり回る人形の頭を
承太郎はガンッ! と革靴の踵で強烈に踏みつける。
「おい? テメーの 『本体』 は一体ェどこだ? どっかで操ってるヤツがいるはずだ」
「うあぁぁぁぁぁああああぁぁぁぁ! 僕の顔があああ!!
よくも、よくも、よくもををを―――――――――ッッ!!」
まるで話が噛み合わない。
舌打ちと共に苛立った承太郎は頭に乗せた靴の先端を捻り込むように力を込めた。
「ぎゃあああああああ!! 痛い! 痛い! 痛いぃぃぃぃぃ!!」
巨大な外見とは裏腹に、あがる悲鳴は幼い子供の声。
その事に、承太郎の力が意図せず緩む。
それを敏感に感じ取ったのか、いきなり人形が立ち上がった。
「チッ……!」
短い舌打ちと共に、反射的に出たバックステップで承太郎は背後に飛び去る。
だが、その肩を、いきなり「伸びてきた」人形の両腕が掴んだ。
「アハハハハハァァァァァ!! バ――――カッッ!! 死んじゃえぇぇぇぇぇッッ!!」
己の頭上から見上げる形で人形の顔があった。
愛くるしかった顔面は半壊しているので、最早見た目的にも完全なモンスターだ。
やがて軋んだ音を立てて開いた口の中から燃え盛る薄白い炎が顔を出す。
その色彩が、先刻の人形の「行為」を否応なく呼び起こした。
(……こいつはさっき、オレの目の前で“動けなくなった人間を燃やして喰った”)
一際高鳴る、裡なる鼓動。
(“喰いやがった”ッッ!!)
認識した事実に慈悲の心は跡形もなく消し飛んだ。
頭蓋の奥で正気を司るコードが数十本まとめて千切れ飛び、
淡い色彩の碧眼に怒りの炎が燃え上がる。
熱く。激しく。燃え尽きるほどに。
ガッッッジュウウウウウウウゥゥゥッッッッ!!!!
まるで大型火炎放射器のような射出音と共に、
吐き出された白い炎の洪水が掴んだ人形の手ごと承太郎を呑み込んだ。
「アァァァァハハハハハハハハハハハハ!! ざまぁ―みろ!!
キャハハハハハハハハハハハッッッッ!!!!」
炎に呑み込まれた人間の姿に、
人形は開けっぴろげな子供の声で勝利の狂声をあげた。
「……何が……・可笑しい……?」
「!?」
狂声を遮るように、その背後から怒気の籠もった声があがる。
人形は首だけで後ろを振り返った。
いつの間にか、承太郎は人形の背後にいた。
その身体には、火傷は疎か服に焼け焦げ一つすらついていない。
「なッ!? ど、どうして!? 確かに僕の炎で焼かれたはずなのに!!」
先刻、承太郎が炎に呑まれる瞬間、足から伸びたスタンドの「足」が、
軸足を高速で反転させ発生した遠心力が、人形の腕に掴まれた肩を引き剥がすと同時に
その背後へと廻り込ませたのだ。
炎は音速で巻き起こったドーム状の旋風が弾き飛ばした。
「残像」を攻撃していたという事実に、人形だけが気づかない。
「……お前……お前……一……体……ッ!? う、うああッ……!」
承太郎の両眼で渦巻く怒りに、人形でも「恐怖」を感じるのか
作り物である真鍮の歯がカタカタと鳴る。
「 “人間を燃やして喰うのがそんなに可笑しいか”ッッ!!」
「うッ! うわあああああああああああああああああああああああッッ!!」
悲鳴とほぼ同時に、神速で承太郎の身体から延びたスタンドの腕が、
人形の全身に夥しい拳撃のラッシュをゼロコンマ1秒以下で叩き込んだ。
グアッッッッシャアアアアアアアアァァァァァ!!!!!!!
破砕分解され砕け散った人形の部品が薄白い火花と共に路面の上に雨のように降り注ぎ、
バチバチと音を立てて爆ぜる。
「次はテメーだッ!」
承太郎はその精悍な表情を崩さないまま、
尖鋭に構えた逆水平の指先で喋る首玉を指差した。
「何の 「目的」 があるかはしったこっちゃあねーが、
動けなくなったヤツらを女だろうが子供だろうが皆殺し。
テメーさえよけりゃあいいという……
もはやこの地球上に存在してて良い存在じゃあねーな」
そう言って承太郎は無数のマネキンの首が埋まった集合体へ距離をつめた。
その事に危機を感じたのか、突如、開かないはずのマネキンの口が開き、
甲高い叫声があがる。
巨玉に埋め込まれた首の数だけ、全部。
それに合わせるように、承太郎の周囲の空間に突如、
無数の巨大な火の玉が出現した。
そしてその中から、今バラバラにしたものと同じタイプの「人形」が次々と現れる。
その数、目測で約50体以上。
それぞれ色や模様が違い、なかには剣や槍で武装しているものもいた。
「なるほど……一人じゃかなわねーから数にモノをいわせるという事か?
臆病モンが考えそーな事だぜ」
自分を取り巻く怪異に対し、微塵の動揺もなく承太郎は剣呑な瞳でそう言い放つ。
例えどんな状況に陥っても、自分が「絶望」する事は
有り得ないと確信しているかのように。
「フッ、いいだろう……・半端な事じゃあ今のこのムカつきは収まらねー。
まだまだ暴れたりねーぜッッ!!」
【2】
精悍な声で叫び、前方で蠢く巨大な人形の群に向かって承太郎は駆けた。
その長身からは想像出来ない俊敏さ、
人形達はすぐさまに方円を組んで承太郎を取り囲む、
まるで見えない意図で操られているかのように。
そして。
すぐさまに振り上げられた拳や剣が唸りをあげ、
前後左右さらに上下ととあらゆる方向から襲い掛かってきた。
その嵐の中心で。
(来いッッ!!)
承太郎は、己の精神の深奥に存在する『ソレ』に強く呼びかける。
ドク、ン。
蠢く精神の胎動と共に 『ソレ』 は、待ちかねたかのように彼の身体から勢いよく
躍り出てその「姿」を現した。
「星の白金ァァァァァァァァァァァッッッッ!!!!」
承太郎の鋭い呼び声に感応するかのようにそのスタンド、
スタープラチナは襲い掛かる巨大な拳と武器の群に自分の拳を高速と共に向ける。
その、“最初の一つ” がブツかりあった時、
体積比で遙かに上回る筈の人形の拳は軋むように硬められた
スタンドの拳の前に跡形もなく粉砕された。
物理法則を完全に無視した現象だった。
スタンドはそんな事実至極当然だとでもいうように、
視界に映る全ての存在に向けて拳の弾幕の狂嵐を一斉射撃する。
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ
オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ
オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ
オラァァァァァァァァァァァァァ―――――――――!!!!!!!!!!」
猛る承太郎。
スタープラチナの咆吼。
空間がぐにゃりと歪むように全ての人形、
それもありとあらゆる箇所に隙間無く拳型の刻印が穿たれた。
同時に巻き起こる衝撃の余波で、陥没した人形十数体の全身が一瞬で弾け飛ぶ。
ドグッッッッッシャアアアアアァァァァ――――――!!!!!!!!
破壊の轟音は “その後で” ヤってきた。
全ては刹那の間、瞬き一つに満たない時、
無数の人形達の攻撃が承太郎の身体に到達する前の出来事だった。
右手をズボンのポケットに突っ込んで立つ承太郎の前へ、
スクラップにされた人形の残骸が豪雨のように降り注ぐ。
弾けた空気が生み出した気流に学ランの長い裾が靡いた。
「アラストールとかいうジジイに感謝しねーとな。
「名前」があるとスタンドが想い通りによく動くぜ。
さて、残りはあと半分といった所か……」
背後に向き直った承太郎に人形達はたじろく。
右手をポケットに突っ込んだまま悠然と歩を進めてくる承太郎に対し、
あろうことか後退までする始末だった。
そして承太郎が再びスタンドを繰り出そうとした。
その瞬間。
「封・絶ッッ!!」
凛々しい駆け声と共に突如、紅蓮の猛火が視界を充たした。
そして己の眼前の遙か彼方から、深紅の炎の大波が頭上を
滑走していきながら白を紅へと染め変え、ソレと同時に足下の奇怪な紋字が描き変わり
紋章が別の形に組み変わる。
(何だッ!? まさか、新手の 『スタンド使い』 かッッ!?)
承太郎が目の前の状況の変異を認識したその刹那。
輝く白銀の光が、遠間に位置する人形達の群を真一文字に斬り裂いた。
そして。
まるで空間がズレたように人形の上半身が胴体から音もなく滑り落ちる。
その数10体以上。
切断面は鏡のように滑らかだった。
人形達は自分が斬られた事すら認識出来なかったのか、
ガラス玉の瞳は最後まで承太郎を見たままだった。
後に遺された下半身から鮮血の代わりに白い火柱が無数に噴き上がる。
その、ゆらめく陽炎の向こう側、に。
そこに承太郎は、再び見た。
焼けた鉄のような、灼熱を点す両の瞳。
火の粉を撒いて、たなびく長い髪。
可憐な指先に握られた戦慄の美を流す大太刀。
黒寂びたコートの裾が斬撃の余韻に靡いて揺れていた。
交差する碧と紅、二つの双眸。
『星の白金』と”炎髪灼眼の討ち手”
スタンド使いとフレイムヘイズ。
二度目の邂逅だった。
【4】
聞きたい事は山ほどあった。
言いたいことは山ほどあった。
だが二人が同時にとった選択は「言葉」ではなく「行動」だった。
互いに右の方向に向かって素早く疾走を開始する。
合わせ鏡の立ち位置だったので結果として真逆の方向に分かれる事になった。
「前門の虎、後門の狼」
そのロジックが現実のモノとなった為、驚愕でアスファルトと道路の上で
棒立ちになっている数十体の人形達。
それに向けて承太郎はその身に宿るスタンドを。
シャナはその手にした大太刀を同時に繰り出した。
「オラオラオラァァァ―――――――――――――――――――ッッ!!」
「でやぁぁぁぁぁぁ――――――――――――――――――――ッッ!!」
二人の戦闘スタイルもまるで合わせ鏡のように対照的だった。
スタンドのパワーギアをゼロコンマ一秒で限界MAXにまで叩き込み、
音速に達したスタンドが繰り出す拳の弾幕によって、
まるで黄金の旋風の如く全てを巻き込み全てを破壊する承太郎。
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!!!!!!」
その姿、まさに疾風迅雷。
対して、必要最低限の動きで相手の力さえも利用しつつ、
鋭敏な頭脳で緻密にコンビネーションを組み立てながら白銀の刃で
次々と相手を斬り捨てていくシャナ。
一見地味だが完成されたその動きは、刹那の余韻すら残さず人形達を両断し、
物言わぬ骸へと化しめていく。
「ッはあぁぁぁッッ!!」
その姿、まさに鎧袖一触。
戦闘、と呼ぶにはあまりにも一方的過ぎる展開だった。
瞬く間に紅蓮の炎で覆われた空間は、破壊されたスクラップと
切断されたジャンクの山で埋まっていく。
承太郎とシャナ。
たったの二つの存在によって、52体もいた人形は
出現してからたったの3分で「全滅」した。
最後に一つ、道路の真ん中に残っていた人形に向かって承太郎はスタンドを放った。
回る首でしきりにおろおろとしていたが別にどうでもいい。
「ッッッッオラァァァァ――――――――――――ッッッッ!!!!」
承太郎の身体からまるでカタパルトで射出されたように神速で飛び出した
スタープラチナが、その勢いとスピード、全体重を乗せた
オーバーハンド・ブローを人形の左胸に鋭く叩き込む。
と、ほぼ同時に右胸から白銀に輝く刃が飛び出してきた。
まるで榴弾の直撃でも喰らったかのように、人形の胸元がバックリと抉れて
全身が即座に爆散する。
その、開けた視界で。
碧と紅。
二つの瞳が三度交差した。
シャナの戦慄の大太刀、 “贄殿遮那” の切っ先は承太郎の喉元。
承太郎の無双のスタンド、 『星の白金』 の右拳は
シャナの眉間の手前でそれぞれ停止している。
「……なんで、“いるの”……?
確か、『ジョータロー』とか言ったわね? おまえ」
双眸に灼熱の光を灯した紅髪の美少女が、その凛々しい視線を承太郎に向けた。
「やれやれ、そいつァこっちのセリフだぜ。
ウチのジジイと一緒に帰ったんじゃあねーのか?」
「異変を感じたから来たまでだ。よもや貴様が “封絶” に取り込まれているとは
想定していなかったがな…………息災だったのか?」
銀鎖で繋がれたシャナの胸元のペンダント、アラストールがそれに応える。
「まぁ、な……だが敵の「本体」がどこにいるのかわからねー。
さっきから探しちゃあいるが、スタープラチナの「眼」と「耳」でも
みつからねーんだ」
承太郎はシャナではなく胸元のアラストールに向けて言った。
「ウチのジジイの話じゃあスタンドは『一人一体』
それに『遠隔操作』のスタンドは “パワーが弱い” そうだが、
あんなフザけた人形がワラワラ出てくるようじゃあ、
どうやらデタラメだったらしーな。テキトーな事フカシやがって。
とうとう本格的にボケやがったか、あのクソジジイ」
学帽の鍔で目元を覆いながら、承太郎は苦々しく吐き捨てる。
「ジョセフの事悪く言うなッ! それに「本体」なんかどこ探したっているわけない、
第一アレはおまえが考えてるような『幽波紋』じゃない!」
何が気に障ったのか、真っ赤になって叫ぶ少女に対し承太郎は剣呑な瞳で問い返す。
「なんだと? おいクソガキ? そいつァ一体どういうことだ?」
「クッ!?………………おまえッッ!! 言うに事欠いてなんて事いうのよ!!」
シャナはその髪と瞳に加え顔まで真っ赤になって毒づいた。
今まで「敵」に、その容姿の事で皮肉めいた事を言われた事は何度かあるが
こんな風に直接的な言葉で詰られたのは初めてだ。
「ン?」
承太郎は目の前で喚くシャナの怒声よりも、遠くの首玉の妙な動きが気になった。
戦いの熱に浮かされて不覚にも目標から随分離れてしまったらしい。
首玉は振動するように身体を揺すぶらせたと思うと、
自身の張力でいきなり道路からバウンドして大きく後方に跳ねた。
そのままピタリと空中へ固定されたように停止し、
そして例の如く埋め込まれたマネキン達が叫声を響かせる。
しかし今度はバラバラではなく、一部の狂いもなくマネキン全てが一斉に鳴いた。
そし、て。
周囲のビルのガラスが振動するような、奇怪なその叫声に煽られるかのように
バラバラになって路上に散乱していたスクラップとジャンクの山が
カタカタと音を立てて蠢いた。
然る後、分解された夥しい数の機械部品、その中で比較的損傷の少ないモノが
空中に浮かんだ首玉に向かって次々に集まっていく、
ソレが首玉の表面に付着して瞬く間に周囲を覆っていった。
まるで悪趣味なジグソーパズルのように、
在るべき場所にそれぞれ組み込まれみるみるうちにそのサイズを膨張、
人の形を成していく。
最終的に生まれたモノは、一体の「人形」
しかしその大きさは規格外で横の五階建ての雑居ビルを上回った。
ゾンビのような剥き出しの機械部品がそのおぞましさ増長させ、
本来爪が在る指先に武器であった剣や槍が埋め込まれ鈍く光っている。
最早「人形」とは呼べない、完全な【異形】だった。
「……やれやれだぜ。数でも勝てねぇと知ったら今度はデカくなる、か……
芸のねぇヤローだ。しかし、あんだけデカイとブッ壊し甲斐がありそうだぜ」
“アレをブチ壊せば、かなりスッキリ出来そうだ”
再び闘争心に誘発された笑みを口元に浮かべ前に歩み出る承太郎を、
シャナの小さな腕が鋭く制した。
「アレは私の 『獲物』 おまえは引っ込んでて」
そう言って焼き付くような視線を承太郎に向けてくる。
「知ったこっちゃあねーな。あの悪趣味なマネキンには用がある」
「それこそ知ったこっちゃあないわ。フザけた事言わないで」
「テメーに指図される筋合いはねぇ」
「うるさいうるさいうるさい! おまえに選択権はないわ!」
「やめよ。戦いの最中だ」
シャナの胸元でアラストールが、重く低い声で言った。
「空条 承太郎。貴様の心の内はだいたい想像がつく。
『燐子』が人の存在を喰らう所を “見た” のだな?
…………が、とりあえずここは引け。歳長であるならそれが「筋」だ 」
「……」
穏やかな、声だった。
ささくれ立った神経が宥められるような。
そのアラストールの言葉に承太郎は「フッ」と小さく鼻を鳴らす。
「……ジジイ? アラストールとか言ったな?
確かテメーには「借り」があった。いいだろう。
そのガキのお手並み、拝見といかせてもらうぜ」
「うむ」
「……」
「ジジイ」という言葉が侮辱と受け取れたが、
アラストールが何も言わない以上自分も何も言う事が出来なかった。
しかし、何か面白くない。
先刻 『幽波紋』 の名付け親になった事といい、
盟友であるジョセフの「孫」というのもあっての事なのか、
どうやらアラストールはこの 『ジョータロー』 とかいう
(実に) いけ好かない男を随分と買っているようだ。
それがまた、無性に面白くない。
「……来るぞッ」
そのシャナの葛藤は、尊厳なるアラストールの声で中断を余儀なくされた。
【5】
ズァッッッッギャアアアアアアアアアアアアアアアアッッッッッッッ!!!!!!!
いきなり、今まで自分の立っていた道路が裂けた。
砕けたコンクリートの飛沫と、吹き飛ばされた土砂が暴風のように自分に襲い掛かる。
路面に、無数の剣と槍が突き立っていた。
異形が指先に埋め込まれた武器を、
こちらを目掛けてミサイルのように飛ばしてきたのだ。
「フッ……!」
瞬時にサイドステップで左方向に飛び去って廻り込んでいたシャナは左手を一振り、
黒衣の裾を捺し広げて伸ばし自らを守る「盾」とした。
その表面に突き当たったコンクリートの飛沫は、
触れるそばから次々に燃え上がり裏には一点のへこみもつけられない。
「……」
シャナ同様、ズボンのポケットに両手を突っ込んだまま
スタンドのバックステップで「武器」着弾前に大きく後方へと飛び去っていた承太郎は、
端から防御など選択肢にいれず襲い掛かる瓦礫の障害物を
全てスタープラチナの両拳乱打で跡形もなく粉砕した。
着地と同時にシャナのコートの裾がフワリと舞い、一瞬その全身を覆い隠す。
彼女はその間に左手を柄に戻し、柄頭を左脇の奥に引き込んでいた。
右肩をやや前に突き出す、刺突の構え。
だが、シャナが首玉が取り込まれた左胸の部分に突貫するより前に、
異形は軋んだ音を立てながら巨大な両腕を胸の前で交差し防御態勢を執った。
実に単純な構えだが、明け透けすぎるが故に撃てる術がかなり限定される。
巨大過ぎる為、両腕を挟むとシャナの長刀でも異形内部に在る「本体」には届かない。
さらに距離が遠すぎて貫通力が分散されるため、
腕が串刺しになることを「覚悟」で受け止められれば
逆にこっちが捕まる事になる。
その事を認識した異形はその醜い瞳をニヤリと歪め、
巨大な口を耳元まで開いて炎を吐いた。
炎の、瀑布。
誇張でもなんでもなく、本当に路上の全てを覆い尽くすほどの量で
白い炎の濁流がシャナを呑み込もうと襲い掛かった。
シャナは瞬発力で路面に扇形の痕が付くほどの踏み切りを付け、
即座に左斜めに飛び去っていた。
その足痕は駆け抜けた炎の濁流によって蒸発する。
「!」
高速で空間を翔ける、フレイムヘイズの少女。
その視界の隅に、空条 承太郎の姿が眼に入った。
自分と同じように、スタンドで高速移動したビルの路地裏にて
優雅に煙草と洒落込んでいる。
先刻アラストールに言った通り、高みの見物を決め込むという事なのだろう。
だが、その戦闘中に不謹慎な、或いは余裕に満ちた態度に
自分で言い出した事とはいえシャナは何故か無性に「カチンッ」ときた。
少女がそう想う間にも異形は再び、シャナの飛び去った方向に向けて
白炎の大放射の狙いを定める。
しかし、異形の炎が吐き出される前に、シャナは前方のビルの窓枠を
蹴りつけ更に真上へと上昇した。
「!!」
そして異形が眼で追う暇もなく、今度は換気用のダクトを蹴りつけて
獲物を狩る鷹のように前方左斜めに急降下してくる。
着地はせずそのままガードレールが変形するほど強く蹴っとばし、
再びシャナは高速で宙に舞い上がった。
同じ要領でドラッグストアの看板を、BARのネオンを、曲線を描く街灯を、
花屋の庇を、赤い郵便ポストを、およそ視界に存在するありとあらゆるものを全て
「足場」にして、高速でジグザグに飛翔しながら、幻惑すると同時に
異形との距離を詰めていく。
異形が何度か当てずっぽうで炎を吐いたが、無論命中するわけもなく
承太郎にそこへ吸い殻を弾いて捨てられる始末だった。
あっというまにゼロの距離に達し、ワンボックスカーほどもある
異形の足下にシャナは犀利な八字立ちで空間を斬り裂くように着地した。
高速移動で巻き起こった気流に、膝下まである炎髪が舞い上がり
まるで吹雪のように火の粉を撒く。
「……」
だが、射程距離に入ってもシャナはそこですぐ攻撃を仕掛けず、
また残像を残して左斜めに飛び去った。
そして今度は、異形の目の前で先程と同じ動作が繰り返される。
「立体」ではなく「平面」で。
しかし飛行距離が縮まった為、その速度と軌道の複雑さは段違いだった。
炎髪が火の粉を撒くのでそれが軌跡となりまるで赤い陽炎、
もしくは紅の流星が何度も何度も飛来しているようにも視える。
異形はシャナを攻撃しようと唸りをあげてその巨腕を振り回すが、
熊が目の前で飛び回る蜂を叩き落とそうとしているようなもので、
「本体」は疎か火の粉が描く軌跡にすら触れる事が出来ない。
しかも速度はその回転が上がるつれ更に増していった。
ガシュッッ!!
いきなり異形の巨大な右腕が真っ二つに切断された。
高速で飛翔する紅い影に斬撃が混ざり出したのだ。
間を置かず右足が両断され、大きくバランスを崩した異形が
蹌踉めいて路面へ倒れそうになる。
しかし。
異形が突っ伏す前に白銀の光が上半身を、
肩口からバッサリと斬り上げる戦形で斬断した。
そして、宙を舞った異形の首に紅い影が意志を持った糸のように
巻きついて木っ端微塵に引き裂く。
弾けたザクロのように、白い火花に包まれた大量の機械部品が路面に降り注ぐ。
その直後。
突如異形の左胸に、向こう側まで見渡せるような大穴が開き、
背後から刺突の構えで突貫したシャナがその中枢部である首玉を
大刀で串刺しにしたまま勢いよく飛び出してきた。
「ッッシィッッ!!」
すぐさまに貫いた首玉を返す刀で真っ二つに斬り捨てた後、
シャナは靴を滑らせて路面に火線を描きながら派手な音を立ててブレーキングし、
いつの間にかそこにいた承太郎の目の前へ着地する。
「ヒュウッ」
承太郎の端正な口唇が、キレのある音色を奏でた。
「……ッ!」
それを冷やかしと解釈した少女の鋭い眼光を承太郎は黙って受け止める。
(……このガキ、どーやら牢屋の中でヤりあった時は本来の力の半分も
出てなかったみてーだな。狭ぇ場所と今じゃ動きがまるで別人だぜ。
背丈の所為で一発じゃあ両断出来ねーから「速度」を「力」に換えて、
「点」じゃなく「線」の動きで斬りやがった。
しかも一番ヤワそーな部分だけを狙って……
やれやれ、スタープラチナの「眼」でも追うのに苦労したぜ)
一瞬でそこまで分析した承太郎の洞察力もまたただならぬモノではあるが、
ともあれ承太郎は初めてシャナに「妙なガキ」以外の感想を持った。
「やるじゃあねーか。クソガキ」
右手をズボンのポケットに突っ込んだまま、素直に称賛の言葉を贈る承太郎。
しかしその言葉にシャナは。
「……さっきといい……いまといい……!」
額に青筋を浮かべ 怒りで胸元に握った右拳をブルブルと震わせた。
そのふんぞり返った脳天にドバカ、とお仕置きの鉄槌を入れてやろうと刀身を峰に返し、
そして背後へ大きく振りかぶる。
だから次に承太郎が取った行動は、完全に思考の範疇外だった。
「ッッ!?」
承太郎は、開いた左手を無造作に目の前へと差し出した。
自分の背丈に合わせるよう、やや下げて。
完全に虚を突かれたシャナは、その紅い瞳を大刀を振りかぶったままの体勢で丸くする。
どうやら「叩け」という事らしい。
それは解る。
“そんな事” は解る。
問題はそんな事に、今、自分が面食らっているという事実だ。
承太郎は口元に微笑を浮べていた。そこに皮肉や侮蔑を表す色はない。
あるのは、ただ。
ただ……
世間一般の女性なら、その殆どが再起不能に陥るであろうと推察される承太郎の微笑に、
何故かシャナの裡で渦巻いていた怒りは霧のように消え去った。
まるで最初から、存在すらしていなかったかのようだった。
その感情がまるで理解不能な為、シャナは半ば八つ当たり気味に
承太郎の大きな掌中へと自分の小さな手の平を跡がつくほど思いきり強く叩きつける。
渇いた音が、紅く染まった空間に大きく鳴り響いた。
「……」
そのまま黙って数歩前に進んだシャナは、いきなりピタッと立ち止まったかと思うと
素早く背後に振り返って承太郎を睨んだ。
「言っとくけどッ! 私の名前は “シャナ!”
ク……ガキでもチビジャリでもないッ! 二度と間違えるな!!」
胸の中を吹き抜ける爽快感は何かの間違いだと思考の隅に追いやり、
その顔を灼眼より真っ赤にしたシャナは叫ぶ。
自分には今まで「名前」がなかったので、何故かソレを不憫に想った
ジョセフとその妻のスージーが色々試行錯誤の上、
持っている愛刀の銘から付けてくれた「名前」だ。
(何故か二人とも途轍もなく「真剣」で、テーブルの上で山積みとなった
命名に関する書物を前に、議論は夫婦喧嘩寸前にまで白熱した)
でも今では、それなりに気に入っていた。
共に過ごした時間はそんなに長くはない筈だが、
二人とも自分を本当の「孫」のように可愛がってくれたから。
二人の「善意」は非常に解りやすかったので、ジョセフとスージーには
素直に好意を抱く事が出来た。
そう、アラストールと同じように。
だが。
今、目の前にいる、 その二人の 『孫』 は。
睨み返して言った自分の言葉に「やれやれ」とハンドマークのプレートが
付いた学帽の鍔を摘んだだけだった。
影になった顔の口元には、まださっきの余韻が残っている。
その余裕の態度が、さらにシャナを苛立たせた。
(なによ、なによ、なによッ! 一体なんなのよッ! コイツはッ!?)
不分明な感情が余計に火勢を煽る。
(わけわかんない! なんだかしらないけど生意気よ!
本当になんて変な、じゃない! 妙な、違う! 嫌な、そう! イヤな奴ッッ!!)
心中で上がる声には、彼女らしくない愚痴のような響きがあった。
(……)
そんな彼女のいつにない精神の荒れ様、あるいは取り乱しように
アラストールは心中で可笑しそうに苦笑した。
未知の感情の前では、認識よりも拒否反応の方が強く出る事に
この時少女はまだ気付いていない。
今までシャナにあんな事をした「人間」はいなかった。
“してくれた人間はいなかった”
自分が戦った事を認めてくれる、褒めてくれる 「人間」 は。
それは、あまりにも単純で、あっけなさすぎるほど平凡な答え。
嬉しかったのだ、少女は。
←To Be Continued……
後書き
はいどうもこんにちは。
当たり前の話ですが、この「後書きでは」
原作シャナの問題点や不満点、矛盾点、
何をどう考えても絶対間違ってるという部分は
徹底的に指摘しますが
『作品本編』でソレを行うつもりは微塵もありません。
当たり前と云えば当たり前の話で何で原作でムカつく部分を
わざわざ自分で描いて更に不愉快にならねばならないのか?という話で
そんなのいわばマ○ヒ○トの所業で一番大ッ嫌いなあのキャラを
本編に登場させ活躍させるようなモノです。
(仮に出すとしたら死と消滅の恐怖に怯え続け
ツ○デ○だの吉田サンの弁当だの着替えを覗くだのもどうでもよく
最終的に死ぬコトを「覚悟」しますが
『母親のためだけに』最後まで行動するキャラにします。
例え覚えてもらえなくても・・・・
まぁ出しませんがネ・・・・('A`) )
まぁ読んでくれる読者サン達のコトを考えるのは当たり前ですが
「ワタシが面白いと想わないモノ」は
読む読者サンはもっと面白くないと想うので
まず自分が一番楽しまないと読む人の方もちっとも楽しくないのです。
(無論そうでない(自分を犠牲にして描く)方もいますが
ワタシ(空宮)はそーゆータイプの作家です)
故に今回のような展開になります。
大体「男が女に守られる」コトほど情けなくて
薄らみっともない話は無いと想いますし
「戦えない男」ほど(っつーかソレもう『男』じゃねーだろ・・・・('A`) )
哀れで情けないをも通り越した余りにも間抜けな存在も他にないでしょう。
ソレを受け入れてるヤツも諦めてるヤツも悦に浸ってるヤツも、
どいつもこいつも最低です。
だから一緒に戦ってる方がずっと良いのです。
『キングダム』などでも信と羌瘣が共に戦って
一緒に砦から飛び降りてくるから良いのです。
少なくともワタシにとって戦えない者、“戦おうともしない者”の
存在価値は一律に皆無です。
「本気で」戦おうとしてるなら、朝はシャナより早くから、
夜も屋根にいるシャナの眼下で素振りを
繰り返している姿がなければいけません。
とあるギャングの入団試験ではありませんが
『誰も見てない所で』するのが本当の「努力」で
そうでないのは「戦ったフリ」をしているだけなのです。
ソレでは。ノシ
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