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真田十勇士

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巻ノ四十七 瀬戸内その二

「知っておったが」
「それでもですな」
「遂に来たとな」
「楽しみなのですな」
「うむ」
 実際にだ、秀吉は楽しそうな笑みで答えた。
「早く会いたいのう」
「真田家の次男に」
「そうじゃ、わしはあの者が好きじゃ」
「だからこそですな」
「是非家臣にとも思った」
 先日のことも言うのだった。
「それじゃ、しかしな」
「この度はですな」
「九州に行ってもらう」
「そしてそのうえで」
「九州の状況を見てもらう」
「そうしてもらいますな」
「忍としてな」
 こう秀長に述べた。
「そうしてもらう」
「ではすぐにでも」
「既に船は用意してある」
 その手配はというのだ。
「もうな」
「では」
「すぐにじゃ」
「あの者達を行かせますか」
「そうする、よいな」
「さすれば」
「少し休んでもらいたいとも思うが」 
 秀吉はこの感情も出した、だがだった。
「九州の状況を聞くとな」
「はい、最早です」
「一刻の猶予もならんな」
「島津家の勢いは止まりませぬ」
 全く、とだ。秀長は兄に答えた。
「大友、龍造寺もです」
「今にも滅ぶな」
「まずは大友家を攻めそうです」
「そうか、ではな」
「あの者達を」
「すぐに行かせる」
 その九州にというのだ。
「そうする」
「さすれば」
「明日の朝に船に乗ってもらう」
「そして昼も夜も進ませ」
「博多に向かわせる」
 秀吉は弟に自身の考えを述べていく。
「その様に」
「それでは」
「船は昼も夜も進める」
 川や海のその上をだ、秀吉はその利点も理解していた。そのうえでの考えを秀長に対して述べたのである。
「馬よりもずっと速いわ」
「休まずに進めますからな」
「だからよい、それではな」
「すぐに船で行かせましょう」
 こうしたことを話してだ、そのうえで。
 秀吉は幸村主従をすぐに九州に行かせることにした、このことは幸村達にも告げられ。
 すぐにだ、波止場の近くに案内された。そして。
 この夜はその波止場の宿に泊まった、そこであった。
 主従は酒を飲み刺身を楽しんだ、そのうえで話をした。
「では、ですな」
「明日は日の出と共に起き」
「船に乗り」
「そこからですな」
「海路で行く」
 九州までとだ、幸村は十勇士に述べた。
「正式にそう告げられた」
「関白様からですな」
「そうなりましたな」
「そうじゃ、ではすぐに行くぞ」
 その九州までというのだ。 
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