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真田十勇士

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巻ノ四十七 瀬戸内その三

「よいな」
「九州ですか」
「これまで行ったことはありませぬが」
「果たしてどうした場所か」
「楽しみですな」
 十勇士達は新鮮な刺身を酒と共に楽しみつつ口々に言った。
「瀬戸内を船で夜も昼も進み」
「そして博多に着いて、ですな」
「後は各家の状況を調べる」
「そして関白様にお伝えするのですな」
「そうじゃ」
 まさにという返事だった。
「先陣が九州に辿り着くまでにな」
「既にその先陣の用意にかかっていますな」
「大阪も物々しいです」
「兵も多く武具や兵糧が集まっています」
「どうやら」
「うむ、先陣の後はな」
 幸村はさらに言った。
「関白様ご自身がじゃ」
「九州にですか」
「ご出陣ですか」
「そうなる」
 まさにというのだ。
「間違いなくな」
「そして九州を定める」
「そうされるのですか」
「島津家を九州には完全に渡さずに」
「定められるのですな」
「そうじゃ」
 その通りとだ、幸村はまた答えた。
「九州をそうされるおつもりじゃ」
「ですか、では」
「我等の役は大事ですな」
「島津家をしかと調べる」
「そうせねばなりませぬから」
「御主達一人一人に任せるか」
 こうも言った幸村だった。
「そうするか」
「と、いいますと」
「我等一人で、ですか」
「九州を一国ずつ調べよ」
「その様にですか」
「分けてじゃ」
 そうしてというのだ。
「調べれば速いからのう」
「十一人で九州を回るより」
「それよりもですな」
「一人で一国を見れば」
「その分早いと」
「そうじゃ、九州は九の国があるが」
 しかしというのだ。
「全ての国をそうすればな」
「楽にですな」
「全ての国を見られる」
「では」
「その様にされますか」
「そうしようか」
 また言った幸村だった。
「これは九州に着くまでに決めるが」
「何はともあれ、ですな」
「問題は島津家ですな」
「あの家ですな」
「やはりこのままじゃと」
 ここで目を光らせて言った幸村だった。
「九州は完全にな」
「島津家のものとなる」
「そうした状況ですな」
「最早」
「話を聞くとな」
 どうしてもというのだ。
「数ヶ月じゃ」
「どれだけ遅くとも」
「それだけで、ですな」
「九州は島津家のものとなる」
「そうした状況ですな」
「それでは急がなくてはな」
 それこそというのだ。 
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