転生とらぶる
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機動戦艦ナデシコ
1368話
取りあえず、部屋に突然押し入ってきた男達は全員捕らえた。
であれば、これ以上ここにいる必要はないのだが……さて、これからどうするべきか。
「秋山、お前達はこれからどうするんだ? 俺達もそれに合わせて行動したいと思うんだが」
正直なところを言わせて貰えば、今回の件は俺達だけで解決出来るだろう事案だ。
だが、事が起きたのが木連の……しかも軍港である以上、俺達が勝手に動いたりするのは、木連に対する借りとなりかねない。
まぁ、本当の意味でこっちが危ない目に遭うのであれば話は別なのだが、そんな状況でもない以上、出来れば俺達が動くのは秋山や木連の軍人達と一緒なのが最善だった。
それを向こうも分かっているのだろう。秋山は少し考える様子を見せる。
今回の件で木連が俺達を……上層部が交渉している相手を危険な目に遭わせたのは間違いない。
事実としては俺の場合は全く脅威でも何でもなかったんだが、それはあくまでも俺から見た場合だ。
客観的に見た場合、俺は木連の兵士に襲われた訳で……木連としてはこの失態を何とかする必要がある訳だ。
でなければ、間違いなく交渉に響いてくる。
それは絶対に避けたい筈だ。
かといって、ここで俺を放っておいて自分達でこの件を収めようとするというのも問題になる。
つまり、秋山が選べる選択肢は俺と共に事態を解決するか、俺と共に避難するか……はたまた、ここにいる木連の兵士達を分けて俺達を避難させつつ、事態を解決するかになる訳だ。
どんな行動を取るのかと促す俺の言葉に、秋山は口を開く。
「高杉、お主は何人か連れてアクセル代表達をシロガネまで送り、その後はシロガネの護衛に徹しろ」
「艦長!?」
その言葉は意外だったのか、高杉の表情が驚愕に歪む。
これまでの関係を見ていると、高杉は秋山の副官といったところだったから、てっきり自分も秋山と共に行動するものだとばかり思っていたのだろう。
俺もそうなるものだとばかり思ってたんだが……どうやら違ったらしい。
「落ち着け。お前も分かってるだろうが、アクセル代表達は木連にとっても重要な客人だ。その客人を鉄火場に連れ込むわけにはいかねえ。それは分かるな」
「それは分かります。ですが、それなら他の……小盛とかでもいいのでは?」
小盛というのが誰なのかは分からなかったが、1人の男が何か言いたそうにしていたのを思うと、その男が小盛なんだろう。
だが、高杉の言葉を秋山は一蹴する。
「馬鹿もんが。高杉、お前が俺の一番信用出来る部下だからこそ、アクセル代表の事を頼むんだ」
「艦長……」
何がどうなったのかは分からなかったが、取りあえず高杉も納得……いや、感動? したらしく、大人しく秋山の言う事を聞くつもりになったらしい。
いっそ影のゲートを使えば、あっさりと安全な場所に移動出来るんだが。
まぁ、その辺に関しては秘密にしている以上、余程のピンチにでもならないとやらないんだが。
「あー、それで、そろそろいいか? 向こうもいつまでも動きを見せないって訳にはいかないだろうし」
その言葉で我に返ったのか、高杉が真面目な表情で口を開く。
「任せて下さい。俺が必ずアクセル代表達をシロガネまで無事に連れていってみせます!」
「……そうか、頼んだ」
真面目な顔で俺を守ると言っている以上、ここで何かをいうのも意味がないだろう。
どうせなら、高杉に思う存分働いて貰うとしよう。
「イザーク」
「分かっている!」
俺の言葉にイザークが答え、こちらの方へとやってくる。
「では、アクセル代表。暫しの別れですが、お気を付けて。出来ればメギロートと虫型戦闘機械に関する話をまたしましょう」
「ああ。そっちこそ気をつけろよ」
往々にして身内同士の戦いというのは、親しい関係だった相手だけに憎悪がエスカレートしやすい。
だからこそ、より残虐な手段で攻撃される可能性もあった。
……いや、でも木連にいるのがヤマダモドキとかなら、その辺はそんなに心配しなくてもいいのか? あー、でも、ヤマダモドキだからこそ、信念の為に! とか言って無茶を言いそうな気がするな。
「ふふっ、この秋山。腐っても木連軍人。優人部隊の心意気というものをお見せしよう。高杉にはそっちの5人が一緒についていけ。アクセル代表の安全を最優先にして行動しろよ。それ以外は俺に続け! アクセル代表達をシロガネに無事戻す為にも、派手に暴れて奴等の……反逆者共の目をこっちに引き付けるぞ!」
『おおおおおお!』
秋山にはどうやら部下をその気にさせるという能力に関しては十分過ぎる程の演説の能力があったらしい。
捕らえられて気絶した男達から銃を奪い、その銃を1つ高杉に渡すと、俺達に軽く手を振って部屋を出て行く。
そのまま秋山達を見送り、高杉の方へと視線を向ける。
「それで、具体的にはどうやってシロガネに戻るんだ? この軍港についてはあまり詳しくないからな。道案内はそっちに任せる事になるぞ?」
「はい、任せて下さい。先程も言いましたが、必ずアクセル代表達を無事にシロガネまで連れていってみせますから」
自信に満ちた表情は、多少自信を持ち過ぎな気もするが……まぁ、自分に自信のない軍人よりは大分マシだろう。
「分かった、ちょっと待ってくれ」
高杉にそう断り、シロガネへと通信を送る。
『アクセルか? この騒ぎは何だ?』
映像モニタに映し出されたのは、ナタル。
俺の心配を全くしていないのは、この程度で俺がどうにかなるとは思っていない為か。
「木連内部で騒動らしい。取りあえず俺はイザークと一緒にシロガネに戻る」
『こちらから迎えは?』
「いると思うか?」
『念の為だ。……分かった。こっちは一応シロガネの守りを固めておく』
ナタルとの通信を切り、高杉に案内されて部屋を出る。
遠くからは銃声が聞こえてくるのを考えると、秋山が早速敵の目を引き付ける為に頑張っているのだろう。
そのおかげで、こうして俺達も特に敵に見つからないままにシロガネへと向かえる訳で……
「いや、思ったよりも今回の騒動を起こした奴等の数が少ないのか?」
考えてみれば当然だが、元々木連というのは人数がそれ程多くはない。
いや、移動型コロニーのような艦を持っているのだから、100人、1000人といった人数より遙かに多いのは確かだろう。
だが、木連の人間全てが軍人では、到底この木連という組織はやっていけない。
そう考えると、軍人の割合そのものは多くても、全体に8割、9割といった者達が軍人という訳ではない……と思う。
断言出来ないのは、やはり木連という組織の人間の多くがヤマダモドキだからだろう。
ヤマダモドキのような性格の奴等に、大人しく社会の一員として軍人以外の道を……それこそ事務職や営業のような真似をやれと言われて、はいそうですかと言えるだろうか。
とてもではないが無理な気がする。
技術者辺りなら可能性もあるが……
「そうでしょうね。我々木連にこのような反逆行為を行う者が多数いるとは、とてもではないが思えません」
俺の言葉の何かを誤解したのか、高杉がそんな事を呟く。
いや、それをわざわざ誤解だとは言わないけどな。
向こうが勝手にこっちにいいように誤解……理解してくれるのであれば、こちらとしては寧ろ助かるし。
「そうか」
故に、それだけを答えて高杉と共にシロガネへと向かって通路を進む。
秋山が暴れている場所からは、それなりに離れたのだろう。銃声や爆発の音が大分小さくなってきていた。
……にしても、爆発か。ここは地球じゃなくて、小惑星をくり抜いて作った軍港なんだがな。
もしこの中で起きた爆発により、小惑星の外側の部分が壊れたりしたら、それこそ中にいる者の殆どは全滅しそうなんだが。
その辺、この騒ぎを起こした奴はどう考えているのやら。
そんな風に思いながら通路を進み……
「待て」
ふと、通路の途中で俺の口から言葉が漏れる。
その言葉を聞いた高杉やそれ以外の木連のメンバーも不思議そうな表情を俺の方へと向けているが、イザークだけは疑う様子もなくその足を止め、周囲を警戒する。
この辺は、俺の能力に対してどれだけ知っているのかどうかの差だろうな。
周囲を警戒しているイザークも少し遅れて潜んでいる気配に気が付いたのだろう。視線を通路の先へと向けていつでも動けるようにしている。
メギロートとバッタの模擬戦を見るにあたって、当然のように俺とイザークも部屋に武器を持ち込んでいなかった。
だが、シャドウミラーの実働班には、武器を持たなければ戦えないないって奴は基本的にいない。
エヴァとの訓練により、それこそ並大抵の相手であればどうとでも出来るだけの実力は持っている。
そもそも、瞬動や虚空瞬動を使える時点で普通の人間がどうこう出来はしないしな。
「アクセル代表? どうしたんです?」
「……どうやら秋山が陽動をする為に動いたのは、寧ろ今回の件を企んだ奴の狙い通りだったみたいだな」
「は? どういう意味ですか?」
納得出来ないといった表情の高杉。
まぁ、あれだけ秋山に懐いていたのを考えると、俺の言葉を素直に納得出来なくても仕方ないか。
「詳しい事は、そこにいる奴に聞けばいい。そこにいるんだろう? 出てこいよ」
その言葉に、イザーク以外の者達……高杉や他の木連兵士達は一斉に俺の視線を追う。
すると向こうでもこれ以上はもう隠れていても意味がないと理解したのか、やがて姿を現す。
「よく、見破ったな」
そう言いながら姿を現したのは、何故か軍港内であるにも関わらず笠を頭に被っている男。
傘ではなく、笠。時代劇とかで頭に直接被り、顎の下で紐を使って結んでいる奴だ。編み笠とでも言うべき笠。
腰には刀が入っているだろう鞘といい、本当に木連って日系の人間が多いよな。
笠は……簡易な覆面代わりでもあるのか? まぁ、何にしろ……
「見破る? あそこまで気配を露わにしておいてか?」
「……何?」
その男は俺の言葉を理解出来なかったのか、一瞬だけ動きが止まる。
今は動揺している高杉達を落ち着かせる意味も含めて時間を稼ぐ事が必要、か。
そう判断すると、敢えて目の前の男との会話に乗る。
「この世界の住人にしては、気配を消すのが上手いと言えるかもしれないな。けど所詮それはこの世界の人間の中では、だ。シャドウミラーから見れば、それこそ新人でももう少し上手く気配を消すぞ?」
「貴様」
侮辱されたと感じたのか、笠の男の俺を見る目が鋭くなる。
だが、その言葉は決して間違っている訳ではない。
シャドウミラーの新人……エルフの者達でも、笠の男よりも上手く気配を殺すだろう。
いやまぁ、門世界というファンタジー世界で生きていたエルフ達と一緒にするのは色々と不味いんだろうが、それでも事実は事実だ。
笠の男の様子を確認しながら視線を一瞬だけ高杉達の方へと向けると、先程に比べて多少は落ち着いたように見える。
問題はこれからどうするか、か。
正直なところ、笠の男はこのナデシコ世界の住人として考えれば、かなり腕が立つ。
高杉もこの世界の人間として考えればかなり腕が立つが、それでも笠の男の方が技量的に上のように思える。
一応高杉は部屋を襲ってきた男が持っていた拳銃を持っているが、それでも笠の男を相手にしてどうにか出来るかと言われれば……微妙だ。
高杉以外には拳銃を持っていないが、全員で掛かれば笠の男を取り押さえるのは可能だろう。
ただし、その場合はこちら側にも多くの被害が出るのは間違いない。
刀というのは、ムラタが使っているのを見れば分かる通り、使いこなせる者が使えば強大な戦闘力を発揮するのだから。
仕方がない、か。
「いいか? 気配を殺すというのは……こうするんだ」
その言葉と共に、俺は自分の持つスキルの1つ、気配遮断A+を使用する。
瞬間、笠の男が動揺したのが分かった。
当然だろう。つい一瞬前まで目の前にいた俺が、ふと気が付けばどこにも見えなくなっていたのだから。
カメラのような機械を使えば全くスキルの効果はなく、ファンタジー世界ならともかく、科学技術全盛のこのナデシコ世界であれば使い道は殆どない。
だが……それでも、こうして使い所を考えれば有効に使う事が出来る。
「アクセル代表!?」
俺の姿が見えなくなったというのは、高杉も同様だった。
焦って叫ぶ声が聞こえてくるが、まさかそれに反応を返す訳にもいかない。
そのまま気配遮断を使用したまま歩き、笠の男の方へと近づいていく。
「どこだ、どこにいった!」
この場で最も焦っているのは、当然のように笠の男だ。
である以上、こうして手にした刀をいつでも抜けるようにしながら周囲に鋭い視線を向けているのも当然だった。
まぁ、このまま刀で斬られても全く問題はないのだが、それでも混沌精霊としての力はなるべく秘密にしておきたい。
笠の男の背後へと回り込み……
「ここだ」
「っ!?」
そっと声を出すと同時に、手を伸ばして笠の男の首の後ろを鷲掴みにする。
攻撃の態勢を取った事で気配遮断の効果は消えたが、この状態になってしまえば全く問題はない。
「くっ、この、離せ!」
叫ぶ笠の男。
背後から首の後ろを鷲掴みにされては、動きようがないのだろう。
そのまま、一瞬だけ首の後ろから手を離し、笠の男が何か反応をする前に手刀を叩きつける。
瞬間、笠の男は意識を失って地面へと倒れ込むのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:405
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1188
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