転生とらぶる
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
1369話
気絶した笠の男が床に崩れ落ちる音でようやく俺の姿に気が付いたのか、高杉は大きく目を見開く。
「ア、アクセル代表!? いつの間にそこに!」
「さて、いつの間にだろうな」
「そんな……あの状況で……」
驚いてるのはいいんだが、それは俺が無事だった事よりも気配遮断を使った事に対しての驚きのように思える。
いやまぁ、この笠の男と同じように気配を感じないようにしているのは同じだが、向こうは純粋な技術なのに対して、こっちはオカルトとか魔術とかそっち系等のスキルだからな。
どうしても高杉達にしてみれば、信じられないのだろう。
「一応、似たような真似ならシャドウミラーの実働班なら誰でも出来るんだが」
「おい、アクセル。俺にはお前みたいに敵の見てる前で気配を消して気が付かれないようにするような真似は出来ないぞ」
イザークの場合、隠密系の技術はあまりないからな。
その辺は仕方ない。だが……
「瞬動を使えば、結局同じような真似は出来るだろ?」
「それは……」
そう、この世界の住人にしてみれば、殆ど瞬間移動と表現してもいいような、瞬動という移動方法。
これを使えば、離れた場所にいた人物が移動したと思った瞬間には自分のすぐ側にいるという事になる。
気や魔力を使えて初めて使えるスキルである以上、この世界にいる人間で瞬動術に反応出来る者はいないだろう。
その上、更に上級スキルの空中を蹴って移動する虚空瞬動とかになれば、更に話は別だ。
「瞬動、ですか? それはどのような? 自分も木連式柔術という武術についてはそれなりに自信があるのですが」
「木連式柔術? そういえば秋山がそんなことを言ってたな」
名前から考えれば、木連流にアレンジされた柔道……いや、柔術なのか。
柔道と柔術というのは、名前は似ているようだが実際には随分と違う。
簡単に言えば、柔道+打撃が柔術と言ってもいい。
より実戦的な武術と言えるだろう。
「ええ。それとアクセル代表が倒したその男は、恐らく木連式抜刀術の使い手だと思われます」
「抜刀術、ね」
抜刀術というのは、いわゆる居合い斬りだ。
ただ勘違いしている者が多いんだが、抜刀術というのは一回鞘から抜いて攻撃したら、次にまた刀を鞘に戻したりといった真似はしない。
一度居合いを放ったら、そのまま続けて攻撃していくものだ。
……まぁ、このナデシコ世界も原作がある以上、もしかしたらこのナデシコ世界の抜刀術というのは一度攻撃したら再び鞘に戻すのが一般的なのかもしれないが。
「取りあえず、抜刀術の使い手だって言うのなら、この刀は没収しておくか」
呟き、地面に落ちている刀へと触れ、空間倉庫に収納する。
それを見ていた高杉や他の奴等がいきなり目の前で消えた刀に驚きの表情を浮かべていたが、それについては特に気にしない。
刀は……まぁ、業物かどうかって目利きは俺に出来ない以上、ホワイトスターに戻ったらムラタにでもやればいいだろう。
多分喜ぶ……と思うんだが。
「アクセル、それでこの男はどうするつもりだ?」
こちらもまた、俺が刀を空間倉庫に収納したのに全く驚いていないイザークの言葉に、視線を笠の男の方へと向ける。
何を目的にしてここに待ち伏せしていたのかは分からない。分からないが……それでも俺達に対して害意を持っているのは明らかだった。
である以上、こっちで確保してもいいんだが、そうすると今回の件の真相究明が遅れるという可能性もある。
何より、シャドウミラーとしてはこの男を引き取っても苦労の方が多い。
情報を引き出せれば裏家業っぽいし、色々と有益な情報を持っていそうではあるのだが……大抵こういう奴は拷問に耐える訓練とかを受けている。
迂闊に情報を引き出そうとすれば、切腹って訳じゃないけど自殺してしまいそうな感じがヒシヒシとするんだよな。
だとすれば、こっちで処分するよりは木連に渡してしまった方がいい。
それにこの男の身柄を引き渡すという事は、木連に対して貸しを作ることにもなるし。
エザリアが交渉を行っている現状、木連に対するカードは多ければ多い程いいのだから。
「高杉」
「はい、何ですか?」
「この男、お前達に預けてもいいか?」
「……いいんですか?」
一瞬驚きの表情を浮かべた高杉だったが、すぐに我に返ると俺の方へと視線を向けて尋ねてくる。
倒したのが俺である以上、この笠の男の身柄は俺が貰い受けると思っていたんだろう。
「ああ。ただ、当然ながらこの件はシャドウミラーから木連への貸しという事になる。それは理解しているよな?」
「はい。……客人のアクセル代表達を危険な目に遭わせてしまったのは事実ですし、その危険をもたらした男を倒したのもアクセル代表ですから。こちらが何を主張しても無駄だというのは理解しているつもりです」
「分かってるのなら、それでいい。後はそれを秋山の方に……そして草壁にきちんと知らせておいてくれればな」
ここ何日か木連の連中と付き合ってみて分かった事がある。
それは、現在の木連の実質的な指導者が草壁だという事だ。
勿論草壁は中将という立場で、純粋な軍組織として考えればかなり上位の地位にいる人物ではあるが、それでも上には大将、元帥……組織によっては他にも中将よりも上の地位は存在する。
木連でも中将よりも上の地位の人間はいるのだろうが、現在実質的に木連という組織を動かしているのは草壁だ。
つまり、草壁が実質的な木連の指導者という認識で構わないらしい。
草壁本人がそう口にした訳ではないし、高杉のような木連の人間が直接口にした訳でもない。
だがそれでも、これまでのやり取りから何となくその辺は理解出来てしまっていた。
そんな草壁に対して貸しを作るという事は、シャドウミラーにとって大きな利益となるのは間違いない。
……踏み倒そうとするのであれば、それはそれでその程度の男だったという事になるだろうし。
「分かりました。この件に関しては必ず草壁中将に報告させて貰います」
「そうか、ならいい。そいつは任せたぞ」
「はい」
俺達がこの笠の男を確保しない理由の1つとして、気絶した大人1人を持ち運ぶのが大変だというのがある。
特に俺やイザークの場合は、生身で銃器を持った相手に対しての戦闘を可能としている。
だが、大人の男……見た感じ結構がたいがいいし、100kgを超えてるくらいか? そのくらいの重量を持って反応するとなれば、色々と面倒な事になるし……何より、この笠の男が死んでしまう可能性も高い。
そんな風に気を使って戦うのであれば、高杉達に任せてしまった方がいいと判断したのだが……
「シロガネが見えたな」
俺の呟きに、高杉を含めた木連の兵士達が微かにだが喜びの声を上げる。
イザークは俺の隣で、複雑そうな表情を浮かべて木連の兵士が背負っている笠の男へと視線を向けていた。
そう、結局あの後は笠の男を捕らえてから特に敵に遭遇する事もないままシロガネへと到着したのだ。
てっきり他にももっと敵と遭遇するものだとばかり思っていたんだが……完全にこちらの予想を外された形だ。
この辺、どうなってるんだろうな? 考えられる中で最も可能性が高いのは、笠の男の腕がそれだけ信用されていたという事か。
襲撃は絶対に成功すると判断されており、後続の襲撃者を用意していなかった。
……だとすれば、あの笠の男は今回の件の首謀者の中でも随分と腕の立つ部類に入るという事になる。
まぁ、それが本当かどうかというのは、高杉達が尋問してそのうち情報を聞き出せるかもしれないが。
「では、アクセル代表。早いところ行きましょう。もしこの男の仲間が襲ってくれば、こちらとしても被害が出かねません」
高杉の視線が、両脇から抱えられている笠の男へと向けられる。
笠はそのままだが、服に幾つも隠してあった隠し武器の類は既に没収してある。
高杉は銃を持っていたので、木連の兵士達がそれぞれ隠し武器を持っていた。
……クナイのような短剣とか、かなり心許ない気がするけど、無手よりはマシだろう。
「そうだな、じゃあ行くか。まぁ、ここまで来れば襲撃の心配をする必要はないだろうが」
「え? どういう意味ですか?」
「ほら、向こうを見ろ」
視線の先では、シロガネの甲板上に待機しているメギロートの姿が見えていた。
まぁ、この非常警報だ。当然シロガネでも周囲を警戒しているのはおかしくない。
寧ろメギロートが展開しているのがシロガネの甲板上だけであり、軍港に出ていないというのは配慮していると言えるだろう。
そしてメギロートのAIは、当然俺達の姿を見つければ上位者である俺やイザークを守る為に行動する訳で……
今ここで笠の男の仲間が姿を現しても、問答無用でメギロートのサークル・レーザーを食らって消滅してしまうだろう。
「あれは……シャドウミラーの虫型戦闘機械」
「メギロートな。いや、虫型だけど。それよりここまで来ればもう安全だから、さっさと行くぞ」
そう告げ、俺達はメギロートに守られながら堂々とシロガネへと向かう。
当然のように新たな襲撃者の類は現れず、そのままシロガネへと入る事が出来た。
「それで……お前達はこれからどうするんだ? 一応秋山に命じられたのは、俺達がシロガネに戻るまでの護衛だろ? このままここで俺達を守るのか、それとも秋山達の応援に行くのか……」
「それは……」
悩む様子の高杉だが、その気持ちは分からないでもない。
高杉の純粋な気持ちとしては、当然秋山の応援に行きたいのだろう。
だがそんな真似をすればシロガネが手薄になるし、何より今回の件を深く知っているだろう笠の男についても放り出して行く必要がある。
その辺を考えれば、高杉の立場としてはシロガネを守る必要がある訳だ。
それに、自分達の軍港でシロガネが反抗勢力によって被害を受けようものなら、木連の面子はこれ以上ない程に潰れることになるしな。
「暫くここで護衛を継続したいと思いますが、構いませんか?」
結局そういう事になったらしい。
「ああ、構わない。銃火器の類はもっとあった方がいいだろ。イザーク、準備してやってくれ」
「……ふん、少し待っていろ。すぐに武器を持ってくる」
そう言い、去って行くイザーク。
武器があった方がいいのは事実だが、持ってくる武器は恐らくこの時代にとってそれ程オーパーツにならない物を持ってくるだろう。
この世界の武器というのは、火星古代文明とかの特別な例を除いてそれ程特筆すべき物はない。
それは、連合軍だけではなく木連も同様だった。
キノコがナデシコで俺に撃った銃を見てもその辺は明らかだ。
……意外と、火星古代文明の遺産が残っていて、人間が使う拳銃サイズの重力波砲とか撃つ兵器とかあったりしないだろうな?
あればあったで、入手したいところだが。
「すいません、アクセル代表。色々とご迷惑をお掛けして」
「気にするな。お前達との関係は大事にしたいからな。……それより、秋山の方に連絡を取った方がいいんじゃないか?」
「あ、そうですね。少し待って下さい」
緊張で連絡を取るという事を忘れていたのか、通信機を取り出し……
「アクセル君、無事? いえ、聞くまでもないでしょうけど」
ざわり、と。
その声の持ち主に木連の兵士達がざわめく。
穏やかな笑みを浮かべながら俺の方へ近づいてきているのは、千鶴。
相変わらずの大人びたその姿は、木連の兵士達にとって眩しいものがあるんだろう。
木連の兵士が好むのは、ゲキガンガーに登場するナナコとかいうキャラだ。
淑やかな性格の中にも芯の強い場所があり、やるべき時はやるといった性格な訳で……そういう意味では、千鶴は木連にとって理想の女なのだろう。
他にも、マリューとかなら木連にとっての受けは良さそうだが。
「何だ、心配はしてくれないのか?」
「ふふっ、アクセル君がこの程度でどうにかなるようなら、今頃ここにこうしてはいないでしょ」
そっと俺に寄り添う千鶴の様子に、木連の兵士達が色々と騒ぎ出す。
女が少ないという事もあって、恋愛関係とかを実際に間近で見る機会は少ないだろうから無理もない。
「それで、シロガネの現状は?」
「特に何もないわね。いっそ、攻めてくればこちらも色々と対応出来るんだけど……」
「どうだろうな。実際、俺やイザークを狙ってきたんだから、もしかしたら来るかもな」
「ふんっ、狙われたのはどう考えても俺じゃなくてお前だろう」
銃を手に持ったイザークが、相変わらず不機嫌そうな様子でそう告げながら近づいてくる。
「高杉」
「はい、はい。ではそちらも御無事で。……アクセル代表、向こうの方は順調に反乱を起こした者達を制圧していっているようです」
「そうか、それは何よりだ。それより武器を」
「あ、はい。……お前達、並んで武器を受け取れ!」
高杉の言葉に、木連の兵士達はそれぞれ綺麗に並ぶ。
この素早さは木連の兵士らしいな。
ともあれ、こうして迎撃の準備を整える俺達だったが……結局これから暫くして、反乱を起こした者達は無事全員確保したと秋山からの連絡があるのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:405
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1188
ページ上へ戻る