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真田十勇士

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巻ノ四十六 婚礼その三

「娘殿を送る行列だからな」
「だからですか」
「あそこまでみらびやかにですか」
「飾られているのですか」
「その豊かさと姫様への想い」
「その二つ故に」
「そうであろう、大谷殿はやはり」 
 その大谷のことも思うのだった。
「かなり素晴らしい方じゃな」
「政にも秀でてられ」
「娘様への想いもお強い」
「そうした方ですな」
「資質とお心を併せ持った」
「素晴らしき方ですか」
「そう思った、ではな」
 幸村はまた言った。
「その大谷殿の娘殿をじゃ」
「はい、これより」
「殿は奥方にですな」
「迎え入れられますな」
「そうする」
 こう言うのだった、そしてだった。
 彼は夫として妻を迎える場に来た、その彼女のところにだった。
 その姫が来た、姫は。
 白無垢を着ていた、それは既にだった。
「もうですか」
「はい」
 姫は角隠しで顔を隠したまま幸村に応えた。
「先程着替えてきました」
「そうでしたか」
「そうなのです、それでは」
「はい、それがしがです」
 生真面目な声でだ、幸村は姫に応えた。
「真田源次郎幸村といいます」
「竹と申します」
 姫も名乗った。
「以後宜しくお願いします」
「それでは」
「共に生きていきましょう」
「二人で」
「これより何があろうとも」
「当家には家訓があります」
 幸村は微笑み姫に答えた。
「一度夫婦となったなら最後までです」
「離れることはですか」
「あってはならないとです」
「そうした家訓があるのですか」
「どちらかが旅立つまでは」
「決してですか」
「そうなっております」
 このことを妻に話したのだった。
「ですから」
「だからですか」
「はい、それでです」
「ここで、ですね」
「そのことを誓います」
 こう言うのだった。
「あなたに」
「では」
「これより式がはじまります」
「そしてそれが終わり」
「一生です」
「二人で、ですね」
「生きていきましょう」
 こう話してだった、二人は式を挙げた。式は華やかなまま進み。
 それが終わってからだ、幸村は妻と二人だけになった。妻はここでようやく角隠しを取った。するとだった。
 そこからだ。白く整った美麗な顔立ちの女が出た。小柄で幸村よりも頭一つ小さい。
 その妻がだ、幸村に言った。 
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