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真田十勇士

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巻ノ四十一 石田三成その八

「さすればです」
「真田家に残りですか」
「義も貫いていけます」
「殿ならばです」
 十勇士達もここで言った。
「必ずです」
「義を貫けます」
「関白様のお誘いを受けても」
「それでも」
「うむ、そのつもりじゃ」
 幸村は彼等にも答えた。
「拙者は金銭にも禄にも官位にも宝にもな」
「一切ですな」
「心を寄せず」
「そのうえで」
「義を貫く」
 そう考えているからこそというのだ。
「そうしていくぞ」
「さすれば」
「その様に」
 十勇士達も応える。
「していきましょうぞ」
「我等その殿に何処までもついていきます」
「例え火の中水の中」
「何処までも」
「どうやら」 
 石田は十勇士達も見て言った。
「真田殿は既にです」
「既にといいますと」
「優れた股肱の臣を持たれていますな」
 こう言うのだった。
「それも十人も」
「はい、この者達はです」
 まさにとだ、幸村自身も答える。
「それがしにとってです」
「かけがえのないですな」
「臣であり」
 さらにだった、幸村は石田に話した。
「友であり義兄弟です」
「そこまでですか」
「そうした者達です」
 まさにというのだ。
「死ぬ時は共にです」
「そうですか、それならばです」
「ならばといいますと」
「それがしと同じですな」
「と、いいますと」
「それがしは家臣としては一人ですが」
 こう前置きしてだ、石田は幸村に話した。
「家臣であり友である者がいます」
「島左近殿ですな」
「そうです」
 その通りという返事だった。
「あの者がおります」
「石田殿にとってかけがえのない方ですな」
「それがしは武はどうもです」
 ここでだ、石田は苦笑いになって言った。
「苦手で」
「いやいや、かなりと聞いていますが」
 幸村はすぐにだ、石田に返した。
「石田殿は」
「それがしも思いますが」
 暫く沈黙していた兼続も言って来た。
「ですが」
「それでもですか」
「石田殿はこう仰るのです」
「そうなのですな」
「常にです」
「それがし程度の武では」
 その石田の言葉だ。
「天下に何かあった時関白様をお守り出来ませぬ」
「だからですか」
「それがしは桂松にはそちらでは劣ります」
「大谷吉継殿ですな」
「桂松はいざとなればです」
 その大谷のことをだ、石田は幸村に話した。 
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