英雄伝説~光と闇の軌跡~(FC篇)
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第55話
~マノリア村宿酒場前・夜~
エステル達が宿を出ると、既に日が暮れていた。
「わっ、もうこんな時間!?」
「ち……マズイな。これだけ暗いとどこまで調べられるか……」
既に夜になっている事にエステルは驚き、アガットは舌打ちをした。その時、鳥の鳴き声がした。
「ピューイ!」
「なんだ、今の鳴き声は……」
鳥の鳴き声にアガットは首を傾げたその時、ジークが空からやって来てクロ―ゼの肩に止まった。
「まあ、ジーク……。どこに行ってたの?」
「な、なんだコイツは。」
「クローゼのお友達でシロハヤブサのジークよ。」
「はあ……お友達ねぇ……」
エステルの説明にアガットは半信半疑でジークを見た。
「ピューイ!ピュイ、ピュイ!」
「そう……わかったわ。ありがとうね、ジーク。」
「ピュイ♪」
「まったく呑気なもんだぜ。で、お嬢ちゃん。そのお友達はなんだって?」
ジークとクロ―ゼの様子にアガットは溜息をつき、尋ねた。
「先生たちを襲った犯人の行方を教えてくれるそうです。襲われた時にちょうど見ていたらしくて……」
「ははは!面白いジョークだぜ……」
「やった!さすがジーク!」
「うん、お手柄だね。」
「ピューイ♪」
クロ―ゼの言葉をアガットは笑い飛ばして否定したが、エステルやヨシュアは普通に信じたのを見て焦った。
「ちょ、ちょっと待て!お前ら、そんなヨタ話をしんじてるんじゃねえだろうな?」
「僕たちは何度かこの目で確かめていますし。」
「うん。ジーク……だっけ?その子がいっている事は本当だよ。」
「はぁ?なんで会った事もないお前が断言できるんだよ?」
アガットは自信を持って答えたペルルに尋ねた。
「ボクを見てわからない?ボクは鳥翼族。仲間である鳥の言葉は当然聞こえるよ!」
ペルルは両方の翼をアガットにわかるように広げて見せた。
「………………」
ペルルの答えにアガットは呆けて声が出なかった。
「信じないんだったら付いて来なけりゃいいのよ。クローゼ、ジーク、マーリオン、行きましょ!」
「はい!」
「ピューイ!」
「了解……しました……」
そしてジークが飛び立ち、ゆっくりと先導し、アガットを残してエステル達はジークの後を追った。
「…………えーと……………………。こ、こらガキども、待ちやがれ!」
しばらく呆けたアガットだったが、我に帰りエステル達の後を慌てて追った。
先導するジークの後を追ったエステル達はマノリア村の近くの灯台――バレンヌ灯台に辿りついた。
~バレンヌ灯台~
「あの建物って……」
「バレンヌ灯台……。ルーアン市が管理する建物だな。確か、灯台守のオッサンが1人で暮らしていたはずだが……」
灯台を見上げて呟いたエステルの言葉にアガットは灯台を睨みながら答えた。
「でも、間違いありません。先生たちを襲った人たちはあの建物の中にいると思います。」
「となると、犯人に灯台内を占領されている可能性が高そうだね。」
確信を持ったクロ―ゼの答えを聞き、ヨシュアは真剣な表情で灯台を見た。
「見たところ……入口はあそこだけみたい。とにかく入ってみるしかないか。」
「はい……」
エステルの言葉に頷いたクロ―ゼはエステル達と共に進もうとした時、アガットに呼び止められた。
「ちょっと待ちな。嬢ちゃん、あんたは……」
「この目で確かめてみたいんです。」
「なにぃ?」
クロ―ゼを村に帰そうと思ったアガットだったが、クロ―ゼの言葉に首を傾げた。
「誰がどうして、先生たちをあんな酷い目に遭わせたのか……。だから……どうかお願いします。」
「そ、そうは言ってもな……」
「あーもう。ケチなこと言うんじゃないわよ。この場所が判ったのはクローゼたちの手柄なんだから。」
「彼女の腕は保証しますよ。少なくとも、足手まといになる心配はないと思います。」
一般市民であるクロ―ゼがついて来る事に渋るアガットにエステルとヨシュアが援護した。
「エステルさん、ヨシュアさん……」
「ち……勝手にしろ。だがな、相手はカルナを戦闘不能に追いやった連中だ。くれぐれも注意しとけよ。」
押し問答している時間はないと思ったアガットは折れて、クロ―ゼに忠告した。
「はい、肝に銘じます。」
「……そこの2人も大丈夫だろうな?怪我しても知らねぇぞ?」
クロ―ゼの答えを聞いたアガットはペルルやマーリオンにも忠告した。
「大丈夫!こういう事には慣れているから!それにボクはこう見えても、結構戦えるよ?」
「私達の事は……心配……ありません……」
「チッ、どいつもこいつも好きにしやがれ。」
2人の答えにアガットは諦めて舌打ちをした。
「それじゃ、決まりね。」
「うん……。さっそく中に入ろう。」
そしてエステル達は灯台の中へ入った。
~バレンヌ灯台内・1階~
灯台に入るとそこには、レイヴンのメンバーがいた。
「こ、こいつら!?」
「あ、あの時の人たち……」
レイヴンのメンバーを見てエステルとクロ―ゼは驚いた。
「まさかとは思ったが……おい、てめえら……。こんな所で何やってやがる!」
アガットはレイヴンのメンバーに近付き、怒鳴った。
「「「………………」」」
レイヴンのメンバー達は虚ろな目でアガットを見た。
「お、おい……」
様子がおかしいレイヴン達にアガットは近付いた時、メンバーの一人であるディンがいきなりナイフを抜いてアガットに襲いかかった!
「アガットさん、危ない!」
キン!
ヨシュアが叫んだ時、アガットは反射的に重剣を抜いてディンの攻撃を受け止めた。
「こ、この力……!?」
ディンの攻撃を受け止めたアガットは驚愕の表情でディンを見た。
「ディン、てめえ……」
「………………………………」
アガットはディンを睨んだが、ディンは虚ろな目の状態で何も語らなかった。
そして残りの下っ端の2人もナイフを抜いた。
「はっ、上等だ……。なにをラリッてるのかは知らねえが……。キツイのをくれて目を醒まさせてやるぜ!」
そしてエステル達とディン達の戦いが始まった!
「はっ!」
「………」
「ふっ!」
「………」
エステルとヨシュアは同時に下っ端達に攻撃を仕掛けたが、2人の攻撃はナイフで受け止められた。
「嘘!?」
「信じられない力だ……!」
受け止めて押し返そうとしている下っ端達の力にエステルとヨシュアは驚いた。
「行っくよ!……それぇ!」
「「………」」
下っ端達を狙って体全体を回転させて突進したペルルの攻撃に気付いた下っ端達はエステル達に攻撃を押し返すのをやめて素早く後ろに回避した。
「嘘!?避けられちゃった!?」
自分の攻撃が回避された事にペルルは驚いた。
「水よ……アクアブリード!」
「これでどう……ですか……水弾……!」
後方のクロ―ゼとマーリオンはそれぞれアーツや魔術を下っ端達に向けて放った!
「「………!」」
アーツや魔術によってできた水に下っ端達はのけ反った。その隙を逃さず、ヨシュアはクラフトを放った!
「おぉぉぉ!」
「「……!?」」
クラフト――魔眼を受けた下っ端達の動きが鈍った。動きが鈍った下っ端達をエステルとペルルが止めのクラフトを放った!
「はぁぁ、せいっ!!」
「超・ねこ、パ~ンチ!!」
「「…………!………」」
エステルのクラフト――金剛撃とペルルのクラフトを受けた下っ端達は吹っ飛ばされて、壁にぶつかり気絶した。
「ふおらあぁぁぁ!」
一方ディンを相手にしていたアガットは速攻で決めるために豪快な一撃のクラフト――フレイムスマッシュを放った。
「……………」
しかしディンは虚ろな目でアガットのクラフトを後ろに跳んで回避した。それを見たアガットは不敵に笑った。
「へっ……馬鹿が……そこだぁ!ドラグナーエッジ!!」
「………!?………」
後ろに着地したと同時にアガットの放った衝撃波に当たり、ディンは下っ端達と同じように壁に当たって気絶した。
「し、信じられない……。倉庫で戦った時とはケタ違いの強さじゃない!」
「様子も変でしたし……。どういう事なんでしょうか?」
戦闘が終わり、気絶したディン達に近寄り、エステルはディン達の強さに驚き、クロ―ゼは様子がおかしかったことに不安げな表情でディン達を見た。
「ふん……。どうやら何者かに操られていたみたいだな。」
「あ、操られていたって……」
気絶したディン達を睨みながら答えたアガットの言葉にエステルは驚いた。
「うん、間違いない……。薬品と暗示を併用した特殊な催眠誘導みたいだ。肉体的なポテンシャルも限界まで引き出されている。」
「そ、そんな事できるの!?」
ディン達を調べて言ったヨシュアの説明にエステルは驚いて尋ねた。
「もちろん、相当な技術が必要になるのは間違いねえ。こいつはひょっとしたら……」
「心当たりがおありなんですか?」
何かを知っていそうなアガットにクロ―ゼは尋ねた。
「ああ……ちょいとな。とにかく、上の階を目指すぞ。こいつらを操っている真犯人どもがいるはずだ。」
「うん、わかった!……っとそうだ!パズモ!」
アガットの言葉に頷いたエステルはパズモを召喚した。
(何、エステル?)
「お願い、力を貸して!多分上にもレイヴンの奴らがいると思うんだけど、多分こいつらみたいにケタ違いの強さだと思うから、援護してほしいの!」
(わかったわ。じゃあ行こう、エステル。)
エステルの頼みに頷いたパズモはエステルの肩に乗った。
「ん?そいつは以前の小さいのじゃねえか。……そんなんが役に立つのか?」
アガットはパズモを見て、胡散臭そうな表情でパズモを見た。
「ちょっと~!また、パズモをバカにしたわね~!見てなさい、パズモがいればあたし達は無敵なのを見せてあげるわ!頼んだわよ、パズモ!」
(ええ!)
そしてエステル達は途中にいるほかのレイヴンのメンバーをパズモやペルル、マーリオンの援護を受けて順調に倒し、最上階に向かった………
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