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英雄伝説~光と闇の軌跡~(FC篇)

作者:sorano
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第25話

~廃坑・奥~



「まぶし……………ん、あれって……」

廃坑を進み開けた所に出て、そこから太陽の光が差し込み、暗い廃坑を歩いていたエステルは太陽の眩しさに一瞬目を閉じた後、奥にある飛行船を2隻見つけた。

(静かに、エステル……)

声を出したにエステルにヨシュアは囁いた。

(これは、大ビンゴね……)

シェラザードは2隻の飛行船を見て確信した。その2隻は行方不明の定期船『リンデ号』とロレントで見た空賊艇であり、さらに空賊がいた!



「重い資材は放っておいて、食料品と貴重品を優先するんだ。できるだけ急げよ。グズグズしてると連中が来る。」

「「「「「がってんだ、キール兄貴。」」」」」

以前エステル達がロレントで戦った空賊の少女の2番目の兄、キールが部下達に指示をしていた。



(こ、こんな所に定期船が……あの子の話はやっぱり夢じゃなかったんだ………)

エステルは前に見える光景を見て驚き小さな声で呟いた。

(ここは……露天掘りをしていた谷間ね……うまい隠し場所もあったもんだわ。)

シェラザードは周囲の状況を見て納得した。

(あれ?パズモ、さっき飛行艇は一隻って言ってなかった?)

(ええ、私が見た時はあの大きな飛行艇だけで、あの小さな飛行艇はなかったわ。)

(………ってことは、あいつら今来たとこってとこね……)

エステルは先行したパズモの情報が微妙に違うことに気付きパズモに念話で聞き、情報が違う理由を考えた。

(あれは、定期船の積荷を空賊艇に運び込んでいるのかな?)

ヨシュアは空賊達の行動を見て呟いた。

(そんなことよりまた逃げられる前に、なんとか捕まえなくちゃ!)

ヨシュアの疑問を置いておくことをエステルは小声で言った後、武器を構え空賊達に近付いた。



「はあ、これで三往復目かよ……。まったく兄貴ときたら弟使いが荒くてたまらないぜ。まあいいや、これが終わったらゆっくりと身代金の交渉を……」

一通りの作業が終わり空賊達が集合しているところでキールは一人嘆いた。

「そこまでよっ!」

そこにエステル達が乱入した。

「なにっ!?」

キールと空賊たちは驚きながら振り向いた。

「この世に悪が栄える限り、真っ赤に燃える正義は消えず……ブレイサーズ、ただいま参上!」

驚いているキール達に向かってエステルは高らかに叫んだ。

「………………………………」

しかし、エステル以外は全員静まり返った。

「あり?」

様子がおかしいと思ったエステルは周りを見た。

「なんなの、ブレイサーズって……」

「まったくもう。すーぐ調子に乗るんだから。」

(エステル、もうちょっとマシな名前はなかったの……)

「な、なによう……ちょっと外しちゃっただけじゃない」

ヨシュアとシェラザード、パズモの呆れている様子にエステルは恥ずかしくなり顔が赤くなった。



「お前たちは……ジョゼットがやり合った連中!?は、話が違うじゃないか!どうしてこんな早く来るんだよ?」

キールはエステル達を見て焦って口を滑らした。

「話が違う?早く来る?なにワケ判んないことを……」

キールの発言にエステルは首を傾げた。

「遊撃士協会の規定に基づき、定期船強奪、乗客拉致の疑いであなたたちを緊急逮捕するわ。覚悟はいいかしら?」

一方シェラザードはキール達に警告した。

「ちょ、ちょっと待て。ひょっとしてお前ら……3人だけで捕まえに来たのか?」

「何よ、見ればわかるでしょ?」

キールの発言が理解できずエステルは答えた。

「ふーん、なるほどね。あの連中とは関係ないわけか。だったら話は早い……しばらく眠っていてもらおうか!」

エステルの答えを聞いたキールは安堵の溜息をついた後、武器を構え部下達と共にエステル達に襲いかかろうとしたが

(……光よ、集え!光霞!)



「ウっ!?」

「「「「ギャぁッ!?」」」」

パズモが牽制代わりに空賊達の手前に放った光の魔術は空賊達の目が眩ませ、衝撃を受けてのけ反らせた。

「ナイスよ、パズモ!よーし、あたしも………闇よ我が仇名す者を吹き飛ばせ!黒の衝撃!」

「「「「「グハッ!?」」」」」

そこをすかさずエステルは暗黒魔術を使って空賊達を吹き飛ばした。さらにエステル達に続くようにシェラザードも詠唱し魔術を放った!

「これだけ広いとアレが使えるわね……ロレントの借りを返させてもらうわよ!………集いし怒りの風よ、吹きあがれ!!大竜巻!!」

「「「「「ウワァァァァァッ!!!!????」」」」」

シェラザードが放った魔術はエステルの魔術で吹き飛ばされ、呻いている空賊達の地面から竜巻ができ、その中にいた空賊達に悲鳴をあげさせながら空へ舞い上がらせた。

「グッ!?」

「「「「グギャッ!?」」」」

竜巻がなくなり、空へ舞い上がっていた空賊達は地面に落ち、その衝撃に呻いた。

「クソ、やられっぱなしでいると………」

部下達が呻いている中キールはよろよろと立ちあがろうとしたが

「そこまでです。」

「!!」

ヨシュアに首筋に武器をつきつけられ、固まった。



「ふふ~ん、勝負ありね!」

自分達の勝利にエステルは得意げな表情をした。

「ク……なかなかやるじゃないか。まさか、魔術を使って来るとはな……ジョゼットを負かしただけはある。」

「おだてても何も出ないもんね。ほら、とっとと降参して乗客たちを解放しなさいよっ!」

痛さに顔を顰めているキールにエステルは乗客の解放を要求した。

「ははは!本当に何も知らないらしい。まったくおめでたい連中だぜ。」

しかし、キールは絶対的不利な中笑いだした。

「あ、あんですってー!?」

キールの笑いにエステルは怒って叫んだ。

「これでもくらいな!」

「!!」

キールは隠し持っていた何かを地面に叩きつけた。すると突然煙が出て、エステル達の視界を覆った。



「な、なにこれ……」

「しまった、煙幕!?」

「エステル!!」

エステルは煙に混乱し、シェラザードはしてやられた表情をした。また、ヨシュアはエステルを心配して煙幕が出た瞬間エステルの元に行って、無事を確かめた。

「あーっはははははっ!積荷を残したのは残念だが、そのくらいは我慢してやるさ!あばよ、ブレイサーの諸君!」

エステル達が煙幕で混乱している中、キールの高らかな声が響いた。そして視界が開けたときには、空賊艇は空を飛んでいた。



「ごほっ、ゲホゲホ……。ちょっと目にしみた~……」

「大丈夫、毒性はない……普通の発煙筒だったみたいだね。」

エステルは咳き込んでいる中、ヨシュアは冷静に煙幕の正体を確かめて安心した。

「……見えなくなったわね。やれやれ、一度ならず二度までも取り逃がしたか。こりゃあ、あたしの方は降格されても文句言えないわね。」

シェラザードは逃げた空賊達の方向を見て溜息をついた。

「もう、シェラ姉ってば……。そんな風に、自分一人が悪いような言い方やめてよね」

「僕たちにだって逃げられた責任はあります。悔やんでいる暇があったら、今できる事をしておかないと……」

「フフ、まったく……これじゃあ立場が逆だわね。幸い、定期船は取り戻せたし、さっそく調べてみるとしますか。中に乗客がいるかもしれないわ。」

2人の慰めの言葉にシェラザードは苦笑して言った。

「……うん!っとそうだ、パズモ!ありがとう!今は戻って!」

(ええ!)

そしてエステルたちは定期船の中を調べ始めが、人や手掛かりもないのを見て肩を落としたが、空賊達のアジトをある程度予想できたのでアジトを見つけために軍に協力を仰ぐため、一端ギルドに戻ってそれらのことをルグランに相談するために定期船から出ると王国軍兵士が定期船を取り囲んでいた。



「え、ええ~っ!?こ、これってどういうコト!?」

「ハハ、これはさすがに予想外だね。」

「うーん、連絡する手間が省けたと喜ぶべきかしら……」

いつの間にか現れた軍にエステルは叫び、ヨシュアとシェラザードは苦笑した。

「武器を所持した不審なグループを発見!」

「お前たち!大人しく手を上げろ!」

兵士達は銃を構えエステル達に警告した。

「まったく世も末だぜ。こんな女子供が空賊とは……」

「だ、誰が空賊ですってぇ!?この紋章が目に入らないの!?」

兵士の一人が呟いた言葉にエステルは怒り、遊撃士の紋章を見せた。



「フン、遊撃士の紋章か……。そのようなものが身の潔白の証になるものか。」

「モ、モルガン将軍!?」

「どうしてここに……」

しかしモルガンが現れエステルの言葉を否定し、エステルとヨシュアは現れたモルガンに驚いた。

「各部隊の報告に目を通して調査が不十分と思われる場所を確かめに来たのだが……。まさか、おぬしらが空賊団と結託していたとは思わなんだぞ。」

「言いがかりをつけるのは止めていただけないかしら?我々は、そちらより一足先にこの場所を捜し当てただけだわ。」

モルガンの言葉を聞いたシェラザードはモルガンを睨み反論した。



「空賊には後一歩のところで逃げられてしまいました……。人質の乗客もここにはいません。」

「フ、語るに落ちたな……。大方、我々がやって来ることをおぬしらが空賊に知らせたのだろう。」

ヨシュアは自分達は空賊でないと説明したが、それにモルガンは嘲笑して否定した。

「ちょ、ちょっとぉ!いいかげんにしてよねっ!」

モルガンの発言にエステルは叫んだ。

「それはこちらの台詞だ!者ども!こやつらを引っ捕らえい!」

しかしモルガンは聞く耳を持たず兵士達に命令してエステル達を拘束し、ハーケン門へ連行してしまった。



谷の上からそれらの出来事を見つめる存在がいて、その存在にはモルガンも気付かず去って行った。

「…………………………………」

その存在はラヴィンヌ山道でエステル達を見つめいていた狐らしき存在で、エステル達が王国軍に連行され、その場からいなくなったのを見ると踵を返してその場を去った……… 
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