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インフィニット・ストラトス~黒衣の創造神~

作者:黒鐡
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第5巻
  生徒会室での談笑×黒鐵改フリーズにより気絶した一夏

「・・・・何時までぼんやりしてるの」

「眠・・・・夜・・・・遅・・・・」

「しゃんとしなさい」

「了解・・・・」

そんな声がドア向こうから聞こえてきた事で、俺と簪は何となくだが予想はしていた。

「どうしたの?」

「何となくだが、予想はしていた。俺もだが、主に簪は分かってるようだし」

「確かにそうだね、本音は私の専属メイドだったような」

「そうね、今は中にあの子がいるからかしら」

そう言って楯無はドアを開けるが、簪は俺の隣にいた。重厚な開き戸は軋みの一つも立てずに開いたので、ここだけはかなり良い材質で出来ているように思えた。

「ただいま」

「お帰りなさい、会長に簪様」

出迎えたのは三年生の女子、眼鏡に三つ編みをしていて如何にもお堅い仕事が出来る人で、片手に持ったファイルが非常に似合っている。そんで後ろにはやはりと言うか本音がいたのだった。

「わー・・・・おりむーだ・・・・」

「やあのほほんさん、それとも本音と呼んだ方がいいかな」

いつも六割増しの眠そうな本音は顔を上げていたが、テーブルに顔を付けながら眠ろうとしていた。俺と簪も来ている事も知っているからなのか、俺と簪は席に着こうとしていた。

「お客様の前よ、しっかりなさい」

「無理・・・・眠・・・・帰宅・・・・いい・・・・?」

「ダメよ」

最後の希望とばかりに単語だらけの会話として続いていたが、本音の姉は無情な回答に崩れ落ちていた。

「本音、一夏の目の前だからちゃんとしないとダメだよ」

「簪の専属メイドだったな、確か更識姉妹と仲がよかったんじゃなかったか。のほほんさん、眠いの?」

「うん・・・・深夜・・・・壁紙・・・・収拾・・・・連日・・・・」

「あれま、あだ名で呼ぶ程仲良しだったのね」

お茶の準備を三年生に任せて、楯無は会長職を務める事で優雅に座席にかけていた。本名も知っているが、あだ名で呼んだ方が本人としても嬉しいのでは?と俺が勝手に思った事だ。

「そう言えば自己紹介がまだだったけど、私は布仏虚でこっちは妹の本音」

「むかーしから、更識家のお手伝いさんで簪ちゃんの専属メイドしてるんだよー。それも代々」

「姉妹で生徒会ね、生徒会長だけ別格なのか?」

「まあね。生徒会長は最強でないといけないけど、他メンバーは定員数になるまで好きに入れていいの。だから私は幼馴染の二人をね、簪ちゃんも入れようとしたんだけど護衛として近くに置いた方が良いと思ったのよ」

楯無が説明してくれるが、代々お手伝いさんとしてなのかもしれん。虚さんが楯無の事をお嬢様にお仕えしてると言うと、お茶の準備が出来たのでカップ一つ一つ注いでいく。楯無はその呼び方を止めるよう言うが、つい癖で言ったらしいな。仕草的には社長秘書やメイド長とも思える雰囲気を持っている。

「織斑さんも、どうぞ」

「どうも・・・・にしても楯無にお嬢様は似合わんぞ」

「あ、何気に酷い事を言うわね」

「そりゃそうだよお姉ちゃん、私も一夏に一票入れる」

お茶を注いでもらってから、本音は冷蔵庫からケーキを取り出した。簪もサラッと酷い事を言ったが、流石に姉妹なのかスルーされた。ゆっくりした動作で眠気が残っている本音は、足取りからして危ないのに一切転んだりしないまま持ってきた。

「おりむー、ここはねー。ここのケーキはねー、ちょおちょおちょおちょお~・・・・美味しいんだよー」

「止めなさい、本音。布仏家の常識が疑われるわ」

「大丈夫、大丈夫っ。うまうま♪」

「・・・・・」

ケーキのフィルターについたクリームを一心不乱に舐める妹に対して、厳格な姉は思いっきりグーパンチで叩いた。涙目で訴えてくるが、姉妹仲はどちらも変わらないようで。だが客の手前なので、楯無は改めて告げてから俺に向き合う。

「こないだ言った通り、一夏が部活動に入らない事で色々と苦情が寄せられているの。生徒会は一夏をどこかに入部させないと不味い事になったのだけど、それは時間で解決する事だわ。何せ国連軍少将をやっている忙しい身なのは、今日発表したしね」

「まあな。学園祭での投票決戦だが、本来だと一位が強制入部のはずが上位入賞者にしたんだろ」

こちらはISと軍の長としているとして、コーチとしての仕事も増えた事で部活動やっている暇がない。それに女子ばかりの部活動と言うか、大人の男性が一人混じった部活動をすると完全に浮く。

「ま、そうだと思って簪ちゃんも呼んだのだから」

「俺の部下として配置したのはいいが、これからは楯無も加わるのだろう?ISと生身で」

「まあね~いつまでも一夏に頼ってばかりいると生徒会長=最強だと疑問に思えるしね」

紅茶を飲んでからケーキを頂いたが、指導に関してはこちらが自由にやらせてもらうつもりだ。本来の主人公は弱すぎて話にならない程だし、専用機持ちよりも弱すぎて話にならない。

「それで?お姉ちゃんも一緒ってどう言う事なの?」

「決まってるでしょ、簪ちゃん」

姉妹同士の話し合いがすぐに終わったのは予想付いたが、一応勝負する事となったので畳道場に来ていた。楯無は日本古来の武芸者スタイルだが、俺はいつもの黒い戦闘服を着ている。簪は近くにいるが、勝負と言っても小手調べとなるけどな。

「一応ルールとしては、俺を床に倒せたら楯無の勝ちとする。逆に楯無が続行不能となれば俺の勝ちとするが」

「いいわよそれで。一見不利に見えるけど、加減をする一夏にとっては肩慣らしにもならないかな」

「どうせ俺が勝つけどな」

俺の安い挑発として手をくいくいとやって、来いと言う風なので構えを取っていた楯無。徒手空拳も得意中の得意で、一見隙だらけに見えても楯無も動けないでいた。基本に充実な足移動をして、俺の腕を取るが一瞬にして返して楯無の体は畳に投げ落とされた。俺の指が頸動脈に触れたのか、楯無はハッとして見てた。

「これで一回死んでるな」

「や、やるわね」

立ち上がってから、しばらく観察していたが来ないのでこちらから行くと目の前を急接近した為かすり足移動か古武術の奥義である『無拍子』でもない事を知らない楯無であった。人間は簡単に言えばリズムで生きていて、心臓の鼓動であり呼吸のタイミングであったりと様々。

息が合うと言う風なのが肯定で、肌が合わないのが否定と取る。律動を意図的にずらす事で相手の攻め手を崩すのが『打拍子』で、律動を合わせる事で自在に場を支配するのが『当て拍子』と言うがそれらの最上段が『無拍子』だ。

「しまっ・・・・」

「そことそこ、あとそこな」

肘に肩と腹に軽く掌打を打ち込むが、楯無は苦しむ事もなく静かに息を吐いていた。

「足元にご注意を」

投げ飛ばす際に貫きをしようと腕を振るう直後、体が全く動かなくなった事で違和感と同時に俺は倒れてしまった。その様子を見ていた簪と床に立っていた楯無も違和感を感じ取った瞬間、一夏が倒れる所を目撃した為にすぐ向かった。目は閉じてないが、自らまるで停止したの如く何が起きたのか理解不能だった。

「一夏!どうしたの?」

「我、黒鐵改は緊急停止を行った事で全外史にいる我を停止させた。これにより、全分身体のコントロールは一時的に意識を落とす・・・・」

「一夏!一夏!・・・・全く起き上がらないけど、これは何かあったのかな?お姉ちゃん」

「恐らく拠点にいる本体か黒鐵改自身が何か起きたのでしょ、私達は記憶共有者だから余りパニックにはならなかったけど。とりあえず一夏を保健室に運びましょう」

すると何時の間に来たであろうブラック・シャーク隊が到着した事で、すぐに保健室を集中治療室となってしばらく観察していた。何でも倒れる前に月中基地本部から黒鐵改が緊急停止した事で、医療班がすぐにIS学園へ来れるよう手配したようだ。空間切断により来た事で、IS学園は少しパニックが発生した事でアリーナにいたシャルとラウラも待機となった。

「シャルロット、この騒ぎは一体何だ?」

「分からないなー・・・・急遽僕が来た事でコーチをする事だったんだけど、アレはどう見てもブラック・シャーク隊が来たようだね」

「お、お前らもここにいたか」

「なっ、何だ!?」

突然声を掛けられた事で、ラウラは驚いて後ろを向くがシャルは声だけで分かったので驚く必要がなかった。

「何を挙動不審な事をしている。デュノアのようにしゃんとしろ」

「きょ、教官・・・・」

ぱしん!と有難い出席簿エクスカリバーが炸裂した事で、今は教官ではなく教師としてここにいる。なので必然的に『織斑先生と呼べ』と、千冬に頭が上がらなかったラウラである。

「織斑先生、この騒ぎは一体?」

「分からんが織斑に何かあったようだ、そちらで何か知っているのか?デュノア」

「ちょっとお待ちを・・・・どうやら一夏、織斑少将が倒れられたようでブラック・シャーク隊の医療班が駆け付けたようです」

「一夏が!何があったのだ『落ち着いて聞いてもらってもいいですか』あ、ああスマン。何があったのかは簡潔で頼む」

詳細は保健室に向かいながら話したが、俺が創造神黒鐵の事については知らんけど黒鐵改については知っているのでそれ関係だと話したシャル。部活棟保健室には、既にブラック・シャーク隊が関係者以外立ち入り禁止区域として設定した事で野次馬を排除していた。その中に桜花がいたので、敬礼してから簡潔に話した桜花であったな。

「織斑少将に一体何があったのですか?」

「シャルロットさん、詳しくは中でお願いしますがそれ以外の者達はここから離れるようお願いします」

「私は織斑一夏の妹ですが『いくら家族でもこれは極秘なのです』そうですか、しばらくここで待ちますが野次馬共は私が押さえておきますので」

そんでセシリアとシャルと更識姉妹は中に入っていると、カーテンを開けたらベッドに横たわっていた俺が静かに眠っていた。関係者以外立ち入り禁止にしたのは、次元パトロール隊と記憶共有者以外には聞いても疑問するからだ。織斑少将が創造神黒鐵だとね。

「月中基地本部からだと、どうやら別外史にてロストした織斑少将が黒鐵神殿内にて再構築中だと言う事です」

「もしかして神殺し系統の武装で消滅してしまったからでしょうか?」

「まさしくそれですが、今回上層部もこの事に関しては箝口令を敷かれました。我らブラック・シャーク隊が独自に動けるのは、この為かと思われます」

「だからここにいる一夏が停止したんだね」

「それに創造神黒鐵だと言う事を知っているのは、現段階で我らだけですからね」

創造神黒鐵は織斑一真が神格した時の名であり、神殺し系統の武装で殺された事で教訓として黒鐵神殿が建てられた。全外史にいる織斑一真をフリーズさせて、やがて再起動するようになっているのであとは目を開けるのみとなった。あちらでは復活した事で、そろそろこちらの織斑一真も目覚める頃には夕方になっていた。目を開けたのは夜だったが、その頃になると生徒や教師は各寮にいた。

「・・・・ん、ここは・・・・」

「隊長、気分はどうですか?」

「俺は『どうやら黒鐵改がフリーズしたらしいですよ』なるほど、あちらの俺がロストして黒鐵神殿内で再構築されたようだな」

「よかった、こちらも慌てましたがここは部活棟保健室ではなく寮の部屋に運びました」

と言う事はあちらで再起動成功したみたいで、俺は眠っていたようだった。一応バイタルチェックをしてから、点滴を外してブラック・シャーク隊は撤収を始める頃にはセシリア達が来た。更識姉妹も来ていたが、改めて見てからしばらく膝枕を楯無がする事となった。更識家当主の名が楯無であり、本名はまだ教えてもらってないが何れ教えてもらえるだろう。

「今回は私の膝枕で勘弁してね?一番心配したの私なんだから」

「分かったが、俺は今までどれ程眠ってたのやら」

「緊急停止したのが放課後だったから、何時間後かな?」

「それは随分と掛かったな、あちら側で起きた事でたまにフリーズするのはもう勘弁したいぜ」

ストッキング越しの膝枕だったが、セシリア達も安心したのか近くにいたり飲み物を用意したりしていた。まだ関係者以外立ち入り禁止にしてあるのか、外がやかましい程になっていた。今回の事で何故倒れたのか、その原因に関して聞きたいらしいが俺は神だ、と言えば一発で精神病院行きだ。悩んだ挙句、セシリア達に真実を話すには早いとの事で千冬らにはドウターが出たと言って倒れた事となった。 
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