インフィニット・ストラトス~黒衣の創造神~
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第5巻
放課後の出来事
そんで俺ら一組の教室にて、放課後の特別ホームルームをやっている。進行役としてクラス代表である俺がやっているけど、今はクラスごとの出し物を決める為盛り上がっていた。
「えーと、今の所俺ら一組がやる出し物候補は『織斑一夏のホストクラブ』に『織斑一夏とツイスター』に『織斑一夏とポッキー遊び』に『織斑一夏と王様ゲーム』と。・・・・正直言って全て却下」
『えええええー!!』
と言う風に大音量サウンドでブーイングされるが、補佐役としてシャルが隣にいる。
「よく考えてみてよ、僕らのような高校生なら女子を喜ばせる義務だと思うけど一夏は国連軍少将何だよ?大の大人がこう言う事やってたらどうなるか想像出来ると思うんだけど」
「確かにそうよね、同じ歳ならまだしも大人の一夏さんにやらせるのも酷よね」
「冷静に考えると嬉しい人はいると思うけど、大人の一夏さんがやらせると何か圧力が来そうで怖い」
との事で、半分納得していたが半分はまだ納得してないが圧力に関して考えている者らもいた。他のクラスからも言われているが、俺は基本的に忙しいし他ならぬ楯無のお願いの元仕方なく引き受けたようなもんだ。それにここには千冬がいないが、何でも時間が掛かるので先に職員室に戻って結果報告を後程来いと言われている。
「山田先生、教師としての意見を聞かせてもらいたいのだが。こう言う企画を大人にやらせるのはどうなのだ?」
「えっ!?わ、私に振るんですか!?『ここにいる大人は山田先生だけですから』そ、そうですね、普通の男子高校生ならポッキーが良いと思いますが国連軍やら政府から圧力が来る事は予想出来ますね」
「とりあえず、もっと普通の意見を出せ。そうしないと何時まで経っても帰れないぞ」
「メイド喫茶はどうだ」
お、やっとまともな意見を言ってきた者は意外にもラウラだった。俺とセシリアとシャル以外の生徒はポカンとしていたが、あの時行った事のある店で臨時アルバイトした事あるからな。
「客受けはいいだろうが、飲食店は経費の回収が行える。確か、招待券制で外部からも入れるのだろう?それなら休憩場としての需要も少なからずあるはずだ」
「それ良いな、俺は裏方をやるが蒼い翼関連のデザートも作れるしIS学園限定として売り出せば文句ないかもな。・・・・皆はどう思う?」
多数決を取るとするが、まさかラウラがそれ言うのかと思ったさ。シャルも驚いていたけど、補佐役として顔には出していないけどな。だが急に振られた所為なのか、まだ大半の女子全員がキョトンとしていた。
「一夏さんを裏方にやらせる意見は賛成ですわ、実際食べさせた方が早いと思いますが何か作ってありますか?」
「・・・・一応見本として作ってきたパフェがあるんだが、これの威力を知らない者らが食べてから多数決を取るか」
「ま、一夏が作るデザートは間違いなく僕らのプライドを粉々にする破壊力を持ってるから皆覚悟が必要だよ?」
そう言ったセシリアだったので、見本として作ってきたパフェを一人一口で食べてもらってから多数決を取る事にした。ラウラの援護射撃としてはいい塩梅だが、果たして女子の口に合うか心配していた俺がいた。するとしばらく落ち込んでいたが、戻ってきた途端に見事一組女子全員にヒットさせたのだった。
「織斑さんのデザート!めちゃめちゃ美味しい!」
「それでそれで!」
「織斑さんが裏方をやってくれるなら、料理はいいとしてメイド服どうする!?私、演劇部衣装係だから縫えるけど!」
一気に盛り上がりと共に、クラス女子一同の口に合った事で一安心した俺。今の状態を鎮めるような野暮はしないが、蒼い翼公認のメイド喫茶なら客足はこちらが集中して来るだろう。何しろ零CEO兼社長は料理好きと言う噂が全世界に発信しているし、俺も超一流の手腕を持つ者としてここにいる。
「メイド服なら俺の伝手があるが、執事服が似合う男装女子がやれば更に客足が来るだろう。メイドに関しての接客やらはセシリアの専属メイドに連絡を取ってもらいたいが、構わぬか?セシリア」
「構いませんわ、街にあるメイド喫茶みたいなサービスも必要ですわね。確か蒼い翼関連のメイド喫茶にも伝手がありますので、私のよりも宜しいかと思いますわ」
セシリアからの助言でそう言えばあったな、と思い全員一致で一年一組の出し物は蒼い翼公認のメイド喫茶に決定した。俺らの知り合いを呼んで接客に関してを学べばいい事だし、何事も経験させる事も良さそうだと思った。
「・・・・てな訳で、一組は蒼い翼公認のメイド喫茶となった」
職員室で待っていた千冬・・・・織斑先生にクラス会議での報告として来ていた。
「無難なものを選んだと思えば、蒼い翼公認喫茶と言う事か。企みは無さそうだが、どうせ一夏が裏方としてメニューのほとんどを作る気なのだろ」
「企みはないが、それに関しては正解とでも言っておこう。ちなみに立案は田島でもリアーデでもないし、騒ぎたい連中でもないラウラが立案した」
「・・・・それはホントか?」
「えーと、マジです」
一瞬キョトンとした千冬は沈黙後、それから一言告げて来たのでマジだと言ったら二度瞬きしてから盛大に噴き出した。
「ぷっ・・・・ははは!ボーデヴィッヒか!それはそれで意外過ぎるのも程があるが、しかし・・・・くっ、ははっ!アイツがメイド喫茶?アイツが日本に来てから随分と変わったな」
「やはりと言うか意外だよな?」
「それはそうだ、私はアイツの過去を知っている分、可笑しくて仕方がないぞ。ふ、ふふっ、アイツがメイド喫茶・・・・ははっ!」
「一応言っとくけど、織斑先生の笑う姿を見た事がないのかこちらを見てますよ?」
それから更に笑っていたが、千冬は目尻の涙の拭っていたがそんなに可笑しかったのか。千冬の反応は、職員室の先生にとってかなり意外な光景なので、皆目をキョトンとさせて眺めていたので小さな声で注意すると周囲の視線に気付いた千冬。
「ん、んんっ。・・・・さて、報告は以上だな」
「報告は以上ですよ、今更咳払いしても遅い気がするんですが」
「やはりと言うか想像以上に可笑しな現象となれば、私もついここが職員室だと忘れてしまう程だった。ではこの申告書に必要な機材と使用する食材・・・・」
「それに関してはとっくに書いておきましたので、それも確認の為にお願いします」
「報告が早くて助かる・・・・」
必要な機材とメニューに使う食材は全てこちら持ちで、弟から兄に逆転したのか怖さに関してもどうやら逆転してるようだ。昔は怖い印象を持っていた千冬でも、触れれば斬れる刀のようで身内の俺がまだガキの時にはピクピクするような演技をしていた。
『恐らくですが、あの頃は束さんが絡んでいたからだと思います』
『そうだったな、アン』
稀代の天才、篠ノ之束でその隣に肩を並べていたのは千冬と俺である。今では開発者の束と同じぐらい知っているISの知識とコアを作れる程だからな、と言うか創造で創ってしまうのでブラックボックスだと言われているコアでさえ知っている俺でもある。
「織斑は知っていると思うが、学園祭には各国軍事関係者やIS関連企業など多くの人が来場する。一般人の参加は基本的に不可だが、生徒一人につき一枚配布されるチケットで入場できる」
「それなら知ってますが、俺の場合ほとんどが知り合いですよ。夏休みの時にヨーロッパ辺りとアメリカは知り合いの塊ですし、渡す相手は既に決まってるんで大丈夫ですよ」
「国連軍少将として顔が広い織斑だと、ここの生徒会長か同じクラスの者らが護衛としてやるのだろう?だが程々にな、他の女子らも狙っている」
そう言いながら報告を終えたので、一礼してから職員室を出た俺を待っていた者はここの生徒会長である楯無だった。
「もちろん護衛はやらせてもらうよ」
「俺を待っていたのか、そんで何用だ?」
職員室を出ると楯無がいたが、遅刻騒動は軍からの定時連絡で誤魔化したし学園祭騒動は既に許可を出したので問題無し。騒ぎの元凶とも言える楯無であるが、最初の出会いが空港と国連軍日本支部に来た更識家だからな。俺はアリーナに行って、一応コーチとして歩き出すが何故か楯無も同じ方向に歩き出した。
「で、俺に何用だ。俺はこれでもアイツらのコーチをしている」
「それ何だけど、当面は私も一緒で構わないかしら?簪ちゃんの事もあるし」
「ま、IS学園の生徒会長と言うと・・・・何か来るな」
楯無と話していると気配を感じ取ったのか、前方から粉塵を上げる勢いの女子が走り込むと言うより竹刀を片手に襲い掛かってきた。
「覚悟ぉぉぉぉっ!?」
「毎日がこれなのか?楯無」
反射的に俺は竹刀を躱す所か、竹刀ごと握ってから左手の手刀で叩き込む。迷いのない踏み込みまでは良かったが、俺の戦闘狂を目覚めさせるようにしてすぐに倒したと同時に窓ガラスが破裂した。楯無の顔面を狙い、次々と矢が飛んでくるが俺の手にはハンドガンを持っていたので次々と矢を粉砕しながら見ると隣の校舎窓から和弓を持った袴姿の女子が見えた。
「こちとら自然と対処してしまったが、俺としては傍迷惑な事案だな」
「ゴメンね一夏。しかもハンドガンで矢を粉砕する何て、人間業じゃない気がするわ」
そんで素早く転がっていた竹刀を投擲すると、見事に弓女の眉間に当たる事で撃破した楯無。隙が生まれたように見えたのか、廊下の掃除ロッカーの内側から三人目の刺客が現れる。両手にボクシンググローブが装着されていて、軽やかなフットワークと共に体重を乗せたパンチで襲ってくる。
「IS学園は元気で一杯のようだね・・・・こちらとしても少々実験したかったんだ。すぐに終わるなよな?」
「あー、例の剣を擬態させたグローブと言う事ね。IS学園において生徒会長と言う肩書は最強であれ何だけど、国連軍少将である一夏なら私さえも超えてしまう強さを持ってるからね」
ボクシング女の猛ラッシュを紙一重で躱し続けてから、擬態させたグローブとなり右ストレートでグローブ同士が当たって念力で吹っ飛ばして登場したロッカーに逆再生よろしく叩き込んで沈黙した。
「ふう・・・・元気なのはいいが生徒会長が常に狙われているから騎士の一人として見てもらう事は傍迷惑だ」
「ごめんね、最強である生徒会長は何時でも襲ってきて良いと言う事になってるの。勝てばその場で生徒会長になれると言うシステムになっちゃった」
「楯無が就任してから、襲撃はほとんどなかったらしいがやはり原因の一つが俺かもしれん。楯無が俺を景品扱いしたのだから」
「あーそれは有り得るわね、上位を取れ無さそうな運動部とか格闘系が実力行使に出たんで私を失脚させて景品キャンセル。ついでに一夏を手に入れる、はずだったんだけど実力違いなのは状況を見れば分かるわよね」
俺は楯無より強い事を知ってるのは、IS学園だとセシリアとシャルと簪と一部の生徒会だろう。本来だと年上なのかからかってくるが、俺が上なのでそんな事をして来ないので本来と随分違う性格とも言えるかも。
「ま、戦闘を改めて見せてもらったけど一度は生徒会室に来る?」
「最初からそう言え、俺としては準備運動にもならなかったがお茶ぐらいは出してもらおうか」
IS学園では先輩後輩であるが、俺との歳の差は明らかなので互いにタメで話している。軍だと敬語と階級を言わないといけないが、ここは軍ではなく学園だしな。それと地面に倒れている刺客らは放置となって、そのまま簪を呼んでから姉妹仲良く生徒会室に向かうのだった。
ページ上へ戻る