とある3人のデート・ア・ライブ
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第6話 手を差し伸べただけなのに
前書き
過去編最終話です!
一人。
彼は研究室で篭って実験をしていた。
アレイ「これで完成だ……これならば才能を無理矢理引き出し、たとえ微弱でも誰にでも特異能力を発現させることができる……!」
『魔術』とは別のもう一つの法則。
二つの法則を持つことは許されず、使おうとするならば身体に拒絶反応が生まれる代物。
『魔術』の才能に恵まれなかった人達が手を出す法則。
『それ』を彼はとうとう完成させてしまった。
それも、『魔術』という立場から。
そう。
『科学』を。
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ーーー
ーー
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一人。
暗い部屋の自室で彼女は『ある物』を完成させようとしていた。
目的はアレイスターと同じく、才能に恵まれ無かった人に救いの手を差し伸べたかったから。
ソフィ「……アレイスター。貴方も完成させしまったようね」
『魔術』を裏切り、『科学』へと走ったアレイスター。
今の彼をこのままにしておけば完全に『科学』の道へ進むだろう。
そして、かつて無い危機が彼女らを襲うだろう。
ソフィ「……ゴメンねアレイスター。私はあくまでこっちの道で人々を救うから」
と言いながら、棚に置かれた一つのビンを取り出す。
中には紫色に鈍く光る正八面体の『ある物』があった。
ソフィ「……これを与えてしまえば色んな魔法式を一気に埋めこんでしまうから、強い意志が無ければ昔の記憶を失ってしまう可能性がある。それでも……」
零から十まで書かれたビンにはそれぞれの正八面体の『ある物』が入っている。
ソフィ「……やっぱり暴走を止める役も必要ね」
そう言って箱からもう一つのビンを取り出し、そこにマジックペンで『十一』と書いて、空のまま棚にしまった。
アレイスターが『科学』に手を出しているのは自分の中では、ほぼほぼ確定している。
それを踏まえた上で。
ソフィ「私が……いや、彼を止めれるのは私しかいないから。全てを均衡にするためにも、この力は必要……だからっ!」
棚に綺麗に並べられてあるビンを見ながら彼女は彼のところへ向かった。
自分が立てた計画をもとに。
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一人。
彼女は右手を握りしめながら少し思っていた。
ソフィから言われ、教わった『霊化』
あれは私たちが狙われた時の最終手段。
ソフィのことを疑うわけではないが……アレイスターが本当に『科学』に手を染めているのかも分からない。
最近彼は家に篭りっぱなしで、会話どころか会ってすらいない。
柑果「……この魔法も、役に立つ日がくるのかな」
全ての魔法を打ち消す魔法。
それは神の奇跡さえも打ち消すだろうとアレイスターには言われ、まさしく最強の魔法となった。
ただ、あくまで『感じ取る』ことで完成した『それ』は、柑果自身もどういう魔法式で構成されているのか理解できていないため、新世代魔法の新たな文章に載せられることは無かった。
柑果「……最悪の場合に備えて、私はこの『魔法』だけでも生かしたい」
そう、彼女が死ねばこの魔法も永遠に解読されずに終わりを迎える。
そのために。
柑果「この『魔法』に……意志を持たせる!」
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ー
その後、私たちはそれぞれの研究のため会う回数がかなり減ってしまった。
元々かなり仲が良かったかと言われればそうでも無いが、それなりには良かったと思っている。
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ー
数年後、アレイスターはソフィと結婚した。
これを聞いた時、私は今まで無い位驚いた。
前まではただの友達のような仲にしか見えなかったのに……という疑問があったのでソフィに聞いてみた。
すると、どうやらアピールし始めたのは彼女からだったらしい。
最初はあくまで彼の傍にいて、自分が何をしているのか気づかせるためだったそうだ。
アレイスターは自分の考えを捻じ曲げる事は滅多にしない。だから最初はかなり苦戦した。
どうやれば彼を正気に戻せればいいのか。
元々の目的が自分と同じ″才能のない人に手を差し伸べる″ということだから、『科学』自体も否定が出来なかった。
それでもソフィは諦めず、何かあった時のために彼女はアレイスターと一緒に住み始めたのだ。
秘策なんてものは無く、ただただ一緒にいて、傍にいてたらいつか自分に耳を傾けてくれるんじゃないかと。
そしてそうしている間にソフィはアレイスターに気づけば惚れていて、アレイスターもソフィに惚れているという事が起きてしまった。
まるでどこかの少女漫画のような展開だが、本当に起こってしまったことなのだ。私はそれを驚きつつも自分のことのように喜んだ。
少ない友達が恵まれたのだ。これで嬉しいわけがない。
この時までは、そう思っていた。
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ーー
ー
さらに数年後。
アレイスターとソフィの間に娘の『リリス』も誕生し、幸せ真っ盛りの時だった。
彼は10万3000冊にも及ぶ『魔道書』を完成させてそれを政府や魔法科学校に論文として提出した。
それはとても好評だったようで、それは直ぐに採用されることになり、名前も改められて『魔術』と名付けられた。
勿論、アレイスターだけでなく手伝ったソフィや私にも表彰されてすごく嬉しかった。
しかし、
その数日後。
アレイスターが『魔術』を裏切り『科学』へと手を染めている事が明らかになった。
キッカケは一人の男が魔道書のことでアレイスターに取材をすべくかれの住むところに向かったことだった。
その男はピンポンを鳴らしても反応が無いことに不審に思い、ドアを触れてみると開いていたのだ。
中に入るとそこには驚くべき光景があった。
実の娘『リリス』を、実験台にしていたのだ。
それも、妻がいない時を計らって。
娘は頭に色々な電極コードが取り付けられ、大きなビーカーの中で苦しそうな悲鳴を上げていた。
アレイスターはそれを当たり前のように……″物″を見るような目で白い紙に目を通していた。
男はこの世で無い物をみたような悲鳴を上げて直ぐに逃げ出し、警察に連絡した。
その後、娘『リリス』は負荷に耐えられず2歳という若さで亡くなってしまった。
そして。
その火の粉はアレイスターだけでなく妻のソフィ、更には親しい友人の私にまで政府に召集がかかった。
理由は『科学』の研究をし出したのが魔道書作成とほぼ同時期だったから。
数日後、政府の上層部の判断が下された。
アレイスターは『科学』に手を出し、実の娘を殺害したとして終身刑。
ソフィはアレイスターが『科学』に染めていると知り、それを妻として止めなかったとして懲役20年。
柑果もソフィとほぼ同じ罪で懲役15年。
ソフィと柑果は正直分かっていたため、それを受け入れた。
だが。
この男だけは。
アレイ「………認めない!」
唇を噛み締め、悔しそうに。
アレイ「………【Beast666】」
魔法名。
自身のそれを呟く。
刹那、地面が大きく揺れた。
それは震度5はあっただろう。それぐらいの大きな揺れが、この街だけでなく、なんと国全体を震わせた。
そしてここにいる政府たちは勿論、私やソフィにも影響を及ぼした。
気づけば、彼の右手には銀の杖が握られていた。
おかしい。
ここに来る際は必ず身体検査をされて、服以外は何も身に纏ってない状態で来るはずなのに。
そして何も持っていないはずなのに。
アレイ「私は……私の計画を完成させる!!」
その揺れは次第に大きくなり、その建物はは地震大国の日本のように頑丈には出来ていないため、崩れるのには容易かった。
「お、おい待て!!」
政府の一人が声を上げるも時既に遅し。
ソフィ「柑果!あの魔法を使うのよ!」
柑果「で、でも!!」
ソフィ「このままじゃ私たちは死んでしまう……それでもいいの!?」
険しい顔で私に訴えかけてくる。
その間にも建物は崩壊が進み、いつ天井が落ちてきてもおかしくない状態まで来ていた。
アレイスターの方を見ると……既に姿は無かった。
柑果「………あぁもう!!」
一瞬の葛藤の末に。
ソフィと柑果は、
ソフィのオリジナル魔法でもあり、魔道書にも載っていない、『霊化』を使った。
それも『部分霊化』では無く、『全身霊化』を。
『全身霊化』は本当のお化けのように全てをすり抜け誰の目にも止められなくなる。
ただし、それをやれば方法を知らない限り元には戻せない。
勿論やり方は知っている。
大量の魔力を消費するが、一日休めばそれ相応の魔力まで回復する。
だから柑果は自分のことを問題視してなかった。
だが。
『霊化』を解除するその魔法は何日経っても使えなかった。
柑果「何で………まさか!?」
私は一つの研究をしていた。
それは自分の魔法を残すためにやったことなのだ。
もし、自分が死んでしまえばこの魔法は永久に無くなってしまう。だから私はこの魔法に『意志』を持たせることで、魔法を永遠のものにしようとした。
その『意志』が。
勝手に。
発動した。
柑果「嘘……」
その『意志』は私の『意志』に逆らって動き出す。
そう、『人の中』に。
恐らく『意志』が芽生えたせいで見たくなったのだろう。
この世界を。
その『意志』は自分の境遇を『不幸』と勘違いしてしまい、『人の中』に入ってから『不幸』を撒き散らすようになっていた。
まあ本当に神の奇跡や幸運も打ち消してしまうのもあるのだが。
私は『人の中』にいる間、ずっと眠っていた。
いや、眠ってしまった。
主導権をその『意志』に握られてしまったのだ。
ーーーー
ーーー
ーー
ー
私の目が覚めたのは″ある子″が私を起こしてくれたからだ。
園神凜祢。
ここからは凜祢に″起こされて″上条当麻の会話から聞き取った話。
アレイスターは全ての魔導師を敵に回し、瀕死の傷を負ってしまったらしい。
その後は………日本に行き、医者に助けられて学園都市を創ったと聞いた。
ソフィは……どうなってるか分からない。
その時には私の身体は既に無かったため……今で言う『幻想殺し』 は私の手を離れていた。
『幻想殺し』の所持者が死ぬたびに移り変わりしていたのに、どうやら私も連れていってたらしい。
多分自分を創造した『神』のような存在だからほっておくのはバチあたりだと思ったのだろう。
私は目を覚まして″もう一つの力″に気づいた。
園神凜祢から切り離された力。
それはとてつもなく強大な力だった。
暴走したらどうなるか……考えただけでも強くなった。
そう考えた凜祢と私は、上条当麻自身が魔力を使えるようになったこともあるので、それを『幻想殺し』と融合させようと考えた。
かなり思いつきだったし、私の魔法の知識をフルに使っても、理解はしてないところが殆どのため調整には苦労した。
結果的には成功した。
咄嗟に使った『楽園殺し(エデンブレイカー)』も魔力の大量消費以外のデメリットが無く、久々に自身の魔法を作りあげた。
そして今。
ソフィを探すために。
彼を、止めるために。
私は、生き返る。
後書き
第9章全ての始まり、いかがだったでしょうか?
アレイスターもソフィも目的は同じなのにやり方が違うだけで世界を変えてしまったんですよね……こんな話しはリアルでも時々あることなので、そんな口論を見てるとなんか辛くなる作者なんです(笑)
ちなみにアレイスターの事は実際の原作の設定に基づいて書いてます。調べれば分かると思いますが、アレイスターって結婚してるんですよ……第8章の時に伏線まで出したのに完全に忘れてまして……突然ソフィと結婚したのはその為です。はい。
少し補足しますと、魔力玉を作る必要性なんですが、昔の柑果なら作らなくても大丈夫だったんですが、『霊化』してしまったことにより人間では無くなったため自身の魔力が無くなってしまったのです。
ほぼ同じ理由で凜祢も魔力ゼロ。上条さんは保持魔力が少ないので足りない。
だから作る発想に至ったというわけです。
ちなみにソフィさんは生きてます。いつか出します!
次話はちょっとした後日談をして、その次の話で短編をやってから或守編(ゲームの或守インストールのことです)に入っていきます!
長かった……ここまで長かった……そしてここからまた長い……でも頑張ります!
最後に。
とある3人のデート・ア・ライブを読んでくださってありがとうございます!!
オリジナル話で混乱してしまったらゴメンなさい!!でも作者が考えている最終回にするにはどうしても必要だったんです!!
あと一回だけオリジナル話をやります。佐天さんが天使化したので……ね?
お気に入り登録してくれた方、本当にありがとうございます!!感謝の気持ちでいっぱいです!!!
これからもこの小説、そして無茶苦茶な作詞をよろしくお願いします!!!
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