| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

ぶそうぐらし!

作者:かやちゃ
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第18話「これから」

 
前書き
水着回がアニメだけだったのを忘れてた...。

前回からそれなりに日にちが経っています。 

 




       =遼side=





「....ここもダメ...か。」

  玄関の扉を閉め、一軒家を後にする。

「...今日はここまでだな。」

  今日も大した収穫はなし。あったのは少しの乾パンだけだ。





「ただいまーっと。」

  学校の玄関のバリケードをくぐり、そのまま生徒会室へと向かう。
  すると、反対側から由紀が走ってくるのが見える。
  どうやら、太郎丸を追いかけているらしい。

「あっ、遼君捕まえて!」

「おー?...って、お前らなんでそんな汚れてんだ!?」

  なんか緑に汚れている太郎丸と由紀。
  とりあえず、太郎丸を捕まえよう。

「わん!」

「甘い!俺を回避したければ、二倍速になれ!」

  フェイントで跳びあがらせ、そこを捕まえる。

「さっすが遼君!」

「...で、なんでそんな汚れてんだ?」

「えっと実は....。」

  ...どうやら、太郎丸が首輪を抜けて屋上にあった貯水槽で遊んでいたらしい。
  それを由紀は追いかけてこうなってしまったと...。

「...他の皆は?」

「みーくんと圭ちゃんは部室で読書してたよ。胡桃ちゃんと蘭ちゃんは屋上で発電中。りーさんも部室にいると思うけど....。あ、めぐねえは私と一緒にいたんだけど、屋上でちょっと...。」

  まぁ、いつも通りか。
  発電に関しては、先日言っていた自転車による発電だ。
  素人ながらもなんとか自転車を入手して組み立てる事ができた。

「...どうなったんだ?先生....。」

「太郎丸を捕まえようとして...。」

「あー...俺、先生の所に行ってくるわ。由紀はとりあえずその履きっぱなしの長靴を脱いで、太郎丸を洗っとけ。廊下の汚れは後でなんとかしておく。」

  由紀にそう言っておき、俺は一度屋上へ向かった。





「....ぅぅ....。」

「あー...どうしよう...。」

「とりあえず、下の奴らに伝えてくるかー?」

  屋上に着くと、先生のすすり泣く声と蘭と胡桃の会話が聞こえてきた。

「どうした...って、うわぁ...。」

「あ、遼。...どうしよっか?」

「どうするったってなぁ...。」

  そこには、貯水槽の藻でドロドロに汚れてしまった先生が倒れこむように泣いていた。

「....蘭、俺が運ぶから先生を洗ってやってくれ。」

「え?私が?」

「俺が洗う訳にもいかないだろう。胡桃は美紀とかに説明をしておいてくれ。」

  どうせ俺も汚れてるから、後でシャワーを使うからな。
  だから別にさらに汚れても気にしない。

「まったく、しっかりしてくださいよ....。」

「あぅぅ.....。」

  太郎丸にノックアウトでもされたのか、先生は動きそうになかった。
  ...しゃーない。このまま連れて行くか。







「...ふぅ、さっぱりした。」

  先生を運び、後を蘭に任せ、俺もシャワーを浴びてさっぱりした。
  探索用の服から制服に着替え、生徒会室の扉を開ける。

「...って、おわっ!?すまん!?」

「ふぇ?...っ....!?りょ、遼君エッチだよ!」

「不可抗力だ!」

  生徒会室には下着姿の由紀がいた。

「というか部室で服を乾かすな!俺という男子がいるの忘れるなよ!?」

「ご、ごめーん!」

  一瞬だが、由紀以外にも何人かいた。
  お前ら、気づいてなかったのかよ....。

「あー、ちょっと寝室で時間潰してくる。入っていいようになったら呼んでくれ。」

  まったく、いくら女子が多いからって、油断しすぎだ...。







「...遼君、もう大丈夫よ。」

「やっとか....。」

  校長室で適当に寛いでたら、悠里が呼びに来てくれた。

「はぁ....。」

「あ、先生。」

  ちょうど、そのタイミングで先生も蘭と一緒に戻ってきた。
  ちなみに、先生は服を着替えて生徒のジャージを着ている。
  ...生徒のジャージを普通に着れるって、先生からすればちょっとショックだろうな。
  主に身長とかそこら辺の意味で。

「あ、遼君...。ごめんなさいね。運んでもらっちゃって....。」

「あー、気にしないでください。」

  悠里も蘭も苦笑い。...まぁ、先生が生徒にお世話になっちゃってるからな。

「...そういえば、今回はどうだったの?」

「あー、そういえば背負ったままだったか....。」

  ついバッグを背負ったまま今まで過ごしていた。
  シャワーでも一度置いて着替えた後、また背負ってたし。
  ...ま、バッグを背負って何か作業するってのに慣れてしまったし、癖か。

「...特に収穫はなし。ネイルガンの弾にできる釘を何箱かと、乾パンをいくつかって所。...残念だが、一軒家の所は期待できそうにない。」

「...遼君の家が異常だったものね。」

  自覚はある。...でも、実際目の当たりにすると結構ショックだな。

「ところで遼と悠里はどうして部室前に?」

「あー...ちょっと...な。」

「...中で由紀ちゃんの洗った服を乾かしていて、その時、遼君が部室に入ってきちゃって...。」

「...せめて寝室でやっててほしかったぜ...。」

  俺と悠里がそう言うと、蘭と先生は納得した。

「さて、そろそろ部室に入るか。」

「廊下で話しててもアレだしね。」

  俺たちは生徒会室に入る。
  中に入ると、由紀は既に服を着ており、胡桃と美紀、圭はちょっと申し訳なさそうにしていた。

「....誰か男性の生存者見つからないかな....。」

「あはは...さすがに肩身が狭いね...。」

  由紀に聞こえない程度に俺はそう呟いた。
  蘭も苦笑いしてるし。

「あ、めぐねえ!」

「...太郎丸はしっかり捕まえた?」

「うん!遼君がね!」

  由紀は先生に飛びつき、そう言う。

「まさか首輪を抜けるなんてな....。というか、なんで貯水槽に...。」

「私達もいなくなったのに気付いて探してたらあそこにいたから...。」

「水遊びしたかったのかな?」

  いや、さすがにあの汚れの貯水槽で水遊びは...。

「...まぁ、最近は暑いからなぁ...。」

  今の季節は夏。半袖でいても汗を掻くほどだ。
  ...外出時は、噛まれにくいように長袖じゃないとダメだが。

「さすがに冷房設備を使いまくると電力がなぁ....。」

「屋上で発電しようにも、暑すぎるし...。」

  できるだけ涼しく...風通しがいいように屋上に設置した自家発電機だが、日差しが強いと全然発電する気にならないんだよな...。一応影になる場所にしてるが。

「....プールだよ!」

「....はい?」

  突然そう言った由紀に胡桃が返す。

「こんなに暑いんだったら、プールに入ろうよ!」

「プールって言ったって....学校のプールは工事中で使えないぞ?」

  まだ体育館方面は探索していないので、そういう設定になっている。
  ...そろそろ行っておくか。体育館だからなにもないとは思っていたが、もしかしたら何かあるかもしれないからな。

「うっ、う~ん....。」

「...貯水槽を使うのはどうかしら?」

「それって、太郎丸が入ってたっていう?」

  悠里の言葉に胡桃がそう返す。
  確か、結構広かったな....。

「でも、あそこは相当汚れて...って、それはあっちのプールも同じか。」

「そう、だからまずは掃除ね。」

  なるほどなぁ...。でも、この人数だとさすがに...。

「(...後で個人的に探索して、安全を確保しておくか。)」

  貯水槽よりもプールの方が広いのは確定なので、そっちの方がいいだろう。
  ...まぁ、今回は貯水槽で我慢するが。

「じゃあ、明日掃除しよう!」

「おー!」

  由紀の言葉に胡桃も声を上げる。

「....水とか大丈夫なんですか?」

「厳しいのは電気と食料だからな。夏は雨も多いし、水には困らないだろう。」

「プールって言っても、私達、水着がないんですけど...。」

  ...持っているのは、俺たちだけだったな...。美紀と圭は持ってなかったか...。

「...胡桃か由紀が予備を持ってたらいいんだが...。」

  さすがに購買に水着があるとは思えないし...。

「あ、ちなみに私は持ってるよー。」

「...むしろなぜ持ってる。」

「備えあれば憂いなし!」

「なんの備えだ!?」

  大方、水浴びできたらその時に着ようとでも思ってたんだろう。
  ...普通の備えだと思えるが、こいつは非常事態にそんな事を考えたんだよな。

「ん?予備なら私持ってるぞ?」

「あ、私も持ってるよー。」

「...さすが女子。服関連にはこだわるなぁ...。」

  俺なんかその場で使える服が一着か二着で十分だからなぁ...。
  水着ならなおさら一着でいいし。

「....さて、今日はさすがにもう遅いから夕食取って寝るか。」

「そうね。準備するわ。」

「あ、手伝います。」

  悠里が準備するのを、圭が手伝う。

「(明日は探索はお休みだな。)」

  そんな事を考えつつ、俺は夕食を待った。







「(....さて、ふと思ったけど、このままでいいのか?)」

  夜になり、俺は寝室である校長室でそんな事を考える。

「(食料もいずれ尽きるし、生存者はもう近辺にはいない。...なら、他の場所へ移動した方がいい。)」

  車もガソリンはまだあるし、武器もだいぶ充実したからな。

「(...奴らを全滅させてこのままここで暮らしていくって言う手もあるが....。)」

  その考えはあまりにも厳しい。
  奴らは多分、世界中...少なくとも日本中に溢れかえっているだろうし、俺たちも万能じゃない。
  一時凌ぎはできるだろうが、いずれ生活しづらくなる。

「(何かしらの組織が大きな拠点を作っていればいいんだが...。)」

  この学校は確かに設備が揃っているが、拠点としては小さすぎる。
  せめて大学程の広さがあればいいんだが...。

「(...父さんに期待するしかないか....。)」

  父さんならまず噛まれないだろうから、感染もしていないだろう。
  おまけに、素手でコンクリくらいなら割れるから武器も必要ない。

「(...ああもう、考えるのはまた後だ。寝よう。)」

  どの道、行動するとしたらもう少し後になるだろうしな。
  そう考えて、俺は寝るのだった。







 
 

 
後書き
アニメだとあるのがはっきり分かるけど、一切使われない体育館とプール...。
この小説でも探索はするけどあまり使いません。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧