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ぶそうぐらし!

作者:かやちゃ
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第17話「たんさく」

 
前書き
蛇足回です。対して展開は進みません。(武器はグレードアップする。)
 

 




       =遼side=



「...うし、準備完了っと。」

「...本当に大丈夫よね?」

  出来る限り荷物を減らした大きい鞄を背負い、模造刀とショットガン、拳銃、後防犯ベルを背負ったり腰に付けておく。
  すると、悠里がまた心配してきた。

「大丈夫だって。俺、蘭より警戒心はあるから。」

「それどういう意味!?」

  蘭が思わず俺に突っ込んでくる。
  蘭と祠堂...圭が来てから少し経った。
  圭はまだぎこちないが、蘭は既にここに馴染んだようで、由紀とも仲良くしている。
  ...波長が合うからか?

「ま、風邪を引いてる訳でもないし、無茶さえしなければ大丈夫だ。」

「そうだといいのだけれど...。」

  これから行くのは生存者の捜索と、何かと役立ちそうな物、食料の探索だ。
  しかし、学校も疎かにできないので、俺一人で行くことになっている。

「まぁ、安心しろ。最初はあまり遠くに行かんよ。」

  その場合は生存者も絶望的だけどな。

「...色々と不安だけど、任せたわよ。」

「おう。そっちも頑張れよな。」

「まっかせて!」

  うん、(お前)には聞いてない。

「じゃ、行ってくる。」

「気を付けてね。」

  悠里が玄関まで見送ってくれる。
  ...さて、張り切っていきますか!









「....とは言ったものの...。」

〈グギッ!?〉

  そこらへんにあったコンクリートの破片で頭を叩き潰す。

「あまり成果が出ないな。」

  今の所民家にも入ったりしているが、奴らの数を減らせる以外成果がない。
  一応、包丁とかはよさそうなのを拝借しているが。後、保存食。

「早い事思い切って遠くに行った方がいいよな...。」

  時間が経てば立つほど、生存者の数は減るだろう。
  ましてや、学校のように保存食が多くなければ、どうあがいても生き残れない。

「...っと、次はここだ。....道場か...。そう言えばそんなのあったな。」

  視界に映るのは大きな和風建築で、剣術の道場もしていた家だ。
  ...親父の方が強くなれるから行くことなかったな。

「...さて、道場を経営してるぐらいだから少しは希望してもいいかな。」

  そう言って、俺は道場内を探索しに入った。



「....だろう、な。」

  やはり、誰も居なかった。いたのは奴らだけ。
  しかも、傍らに木刀などが落ちている事が多い。

「交戦しようとしたんだろうな。」

  だが、殺す覚悟が足りなかったのか、力が及ばなかったのか、死んでしまった...と。

「木刀...模造刀よりも扱いやすいかもな。」

  模造刀は斬る事も、打撃として使うのにもあまり向いていない。
  なら、まだ木刀の方がましだ。数もあるし。

「あまり気は進まないが...。」

  緊急事態。そう言う事にして役立つ武器が他にないか探した。





「後は、この倉庫だけ...と。」

  結局、あったのは木刀と模造刀ぐらいだった。
  他には一応程度の保存食だけで、後は奴らだけだった。

「砥石...これで研げば模造刀でも斬れるか?」

  一応持っておこうと、砥石を鞄に入れておく。

「...む、なんか仰々しい箱...。」

  ご丁寧に高級そうな雰囲気を醸し出す木箱がそこにあった。

「....刀?」

  シンプルな黒塗りの鞘に入った刀がその中に入っていた。

「本物か?」

  わざわざこんな箱に入れる事だ。
  一応、鞘から抜いて確かめてみる。

「....本物だな。」

  本物だった。まさか、道場にこんなものがあるとは...。

「砥石が置いてあったのはこれのためか。」

  それなら一式の道具は持って行っておいた方がいいな。

「...他には...お、短刀もあるのか。」

  さっきのは太刀、今度は短刀だった。...ふむ、他にもあるのか?

「...って、ないか。」

  短刀と太刀だけか。まぁ、本物な分、儲け物だな。

「緊急事態故、貰っていきますよ。」

  さて、街の探索に戻るか。





「....結局明確な収穫は刀だけか。」

  あれから日が傾いてくるまで探索したが、見つかったのはまだ使える非常食と、一部の警官ゾンビから奪った拳銃(with弾薬)ぐらいだ。
  後は度々見かける奴らの殲滅をしたぐらいだな。

「...帰るか。」

  これ以上、探し続けても見つからなさそうなので、続きは明日にする。







「帰ったぞー。」

「おお、お帰り。」

  学校に帰り、生徒会室の扉を開ける。
  中には胡桃だけがいた。

「あれ?他の奴は?」

「りーさんは屋上。他は太郎丸と遊んでるな。...実際には、美紀は太郎丸と仲直りしようとして失敗していじけて、めぐねえは皆をまとめようと奮闘してるがな。」

  美紀...強く生きろよ...。...そして先生はお疲れ様です。

「...胡桃はいかなかったのか?」

「私はその時見回りに行こうとしてたからな。帰ってきて暇になったら行こうと思ってたが、そこへ遼が帰ってきたって訳だ。」

「なるほど。」

  また絶妙なタイミングで帰って来たな。

「...収穫は?」

「残念と言うべきか、当然と言うべきか...生存者は一人も見当たらなかった。ただ、これだけ持ち帰って来たぞ。」

「おお、乾パンだらけ...。」

  ...うん、無事な非常食それぐらいだったし。
  缶詰はそこまで見つからなかった。

「...ん?これは?」

「ああ、近所の剣術の道場にあった太刀と短刀。それと手入れ道具一式だ。」

  手入れの仕方?わからん!
  ...まぁ、なんとかなるだろう。サバイバルナイフと同じやり方で。
  説明書っぽい物もあったし。

「ほ、本物...?」

「ああ。まぁ、扱うのは難しいから木刀も持ってきたぞ。」

「武器が多いな。」

「そういうな。食料さえ少なかったんだから。」

  乾パンすら用意していない家って結構あるんだなって思ったよ。

「刀と短刀はいざと言うときは悠里とか先生でも奴らを倒せるからな。俺たちはこれで十分だろ。」

「木刀...確かにこれでも案外倒せそうだよな...。」

  胡桃のシャベルよりも扱いやすいかもな。

「一応、使えるのを持てるだけ持ってきた。」

「修学旅行のお土産かよ...。」

  あぁ、なんかそんなイメージあるな。木刀って。

「銃や刃物は結構貴重だからな。明日からは木刀で行ってくるわ。」

「明日も行くのか?...とりあえず、これらを隣に片づけようぜ。」

「...そうだな。」

  武器は隣に入れておかないとな。移動させておくか。



「...と、次からはちょっと娯楽用品も探してみるか。」

「娯楽....ゲームか?」

「ああ。携帯ゲーム機なら遊べるだろう。」

  できればテレビも見たいが...ちょっときついな。ラジオも繋がらないからな。

「ただ、電気関連が問題だな。もしゲームとかをするなら、相当な電気を使う事になる。そうなると今ある太陽光の電気だけでは足りないな。」

「...そうだな。ただでさえ、最近は不足気味だしな。」

  人数も増えたことにより、節約するようにはなっているが、それでもきつい。

「...あ、それなら遼の家の発電機持って来れば?」

「うおっ!?いつの間に!?」

「蘭か。...って、俺の家にそんな物あったのか?」

  いつの間にか戻ってきていた蘭に胡桃が驚く。
  ...それにしても、発電機なんて家にあったんだな。

「まぁね。私と圭ちゃんが泊まった時に見つけてね。あれがあれば少しはマシになるよ。」

「...うーん、できればそれは生活に使いたいよな...。」

  娯楽は娯楽で重要だけど、それにかまけて生きるための電気が足りないままだったら意味がないからな。

「...あ、そうだ!よくある自転車とかで発電すればいいんじゃないか?」

「なるほど!....で、どうやってそれをするんだ?」

「あ....。」

  ...生憎、作り方は知らないんだよな...。

「まず自転車は必要だろ?...で、発電するための機器と蓄電もできるようにしないとな...。」

「...この学校のどこかに作り方とかの資料ってないかな?」

  そんな都合のいい物なんて....待てよ?

「図書室ならあるかもしれないぞ?それに、いざとなれば近場の図書館に行けばいい。」

「そっか!その手があったね!」

「ははは...状況が状況だからすっかり忘れてたぜ...。」

  最近はネットとかで調べるからなぁ..。
  こういう、ローカルな調べ方は忘れがちだよな。

「....っと、ところで、どうして蘭だけが戻ってきたんだ?」

「あっ、忘れてた!」

  おいこら。

「胡桃も誘おうって事になって戻ってきたんだった!もう見回りも終わってるだろうしって。」

「...で、あっさり会話に流されてたと。」

  まぁ、俺も帰ってきてたしな。

「と言う訳で行くよ!」

「...先生も大変だろうし、行くか。」

「...そうだな。」

  そうして、俺たちは皆の所へ向かった。





「まーてー!太郎丸ー!」

「わん!」

  屋上へ行くと、由紀が太郎丸を追いかけていた。

「太郎丸....。」

「美紀...きっと仲直りできるって。」

  するとドアの傍で美紀がいじけており、それを圭が慰めていた。

「皆いつの間に屋上に移動してたんだ?」

「私が呼びに行く時に行くことになってたよ。」

  ...悠里は屋上で遊ばれていいのか?幸い、菜園から離れた場所だけど。

「あらあら....。」

  ...あ、別に大丈夫そう。まぁ、菜園が荒らされてないなら大丈夫か。

「...先生、もう諦めたんすか...。」

「....ええ、もう、悠里さんの手伝いをしてる方がマシかなって...。」

  先生は悠里の手伝いをしていた。
  まとめるの諦めちゃってたか...。

「私...先生なのに....。」

  あぁ...だいぶショックを受けてる...。

「...ねぇ、ふと思ったんだけど...。」

「ん?なんだ蘭?」

  なにか思い当たったのか、俺に話しかけてくる蘭。

「遼って、傍から見ればハーレム状態だよね?」

「っ...!」

「あいたぁっ!?」

  とりあえずそれなりの力で引っ叩く。

「ひどい!女の子叩くなんて!」

「うっせぇ!なに訳わからん事言ってんだ!ほら、聞いてた悠里と先生が恥ずかしがってるだろ!!」

  ちなみに由紀は太郎丸と遊ぶのに夢中、胡桃は既に想い人がいるから動揺していない。
  美紀と圭も俺との付き合いはまだ長くないから蘭の戯言だと聞き流している。
  先生と悠里はまぁ...そういう所が初心な所あるから...。今も顔赤くしてるし..。

「えー、だってそう見えたんだもーん。」

「あのなぁ...こんな緊急事態にそんな悠長な事...。」

  ていうかハーレムってなんだハーレムって。俺にそんな甲斐性ないと思うぞ。

「緊急事態だからこそ吊り橋効果であいたぁっ!?」

「ダメだこいつ、碌な事言わねぇ...。」

  もう一度引っ叩き、黙らせる。

「.....ま、男女の比率はその通りだけどさ。」

  7:1だもんな...。...なんか、肩身が狭い...。

「わうっ!」

「おおっと。...そうだな、お前もいたか。悪いな。」

  太郎丸はオスだからな。数に入れておかないとな。

「..さて、そろそろ戻るぞ。夕方にもなってきたし。」

「はーい!」

  太郎丸も俺の所に来たので、これで遊びは終わりだ。
  全員、生徒会室に戻って行った。







「...遼君、何してるの?」

「あ、先生。いや、ちょっと...。」

  生徒指導室である物を弄っていると、先生が話しかけてきた。

「それは...釘打ち機?」

「はい。ちょっと安全装置を外していて....っと、できた。」

  親父から身近にある物を武器にするための知識を叩き込まれていたから、釘打ち機...ネイルガンに付けられている安全装置を外す事に成功した。

「...銃の音はでかく、弾薬も限りある中で、遠距離武器として役立ちますよ。」

「もしかして...これで釘を?」

「はい。釘なら普通の家にもあったりしますからね。」

  日曜大工とかやってる家だと余計にあるだろう。

「アメリカ製のネイルガンなら安全装置は元からないんですけど、ここは日本ですからね。わざわざ外す必要がありました。」

「...これほどの数、全部今日の探索で?」

「案外、あるものなんですよね。結構家も回りましたし。」

  ネイルガンの数は10個以上。学校にもあったからな。

「釘もそこらじゅうで手に入れてきました。弾薬よりもかさばらないので。」

  これも全部安全を保つためだ。

「これならいざと言う時、先生や悠里...はたまた由紀だって戦う事ができます。」

「.......。」

  ...さっきから先生は無言だ。

「...どうしました?」

「.....先生って、そんなに頼りにならない?」

「えっ?」

  いきなり、先生はそう言った。
  さすがに意図が汲めず、俺は首を傾げる。

「あ、いや、あのね?いつもいつも遼君は皆を護るために戦ってくれてるから....なのに、私はなんにもできなくて...。」

「.......。」

  無力感を感じているって事か...。

「確かに、遼君は頼りになるし、今まで何度も私達の助けになってきた。...けど、偶には私達を頼って、ゆっくりしてほしいの...。」

「先生....。」

「遼君、寝てる時以外、ほとんど休んでいないでしょう?」

  ...確かに、起きている時は大抵なにかの作業をしている。
  由紀みたいにお気楽で過ごしてる訳じゃないし、他の皆のように生徒会室でゆっくりする事も少ない。...確かに休んでないな。

「....心配してくれてありがとうございます。」

「決して、無理だけはしないでね...。」

  俺の肩に手を置き、諭すように先生はそう言ってくる。

「分かっています。...ところで、あの、少し近いです...。」

「あっ、ごっ、ごめんなさい。」

  石鹸の香り..ではないけど、女性特有の香りが鼻をくすぐる。
  ...俺、こういうのだけはあまり慣れてないんだよな...。

「...大丈夫ですよ。先生は...皆は優しい。それだけで、俺の心の支えに...助けになっていますから。」

「っ.....!」

  安心させるように、俺は微笑みながら先生にそう言う。

「....もう。.....ありがとう。」

「...あれ?体調悪くありませんか?顔が赤いですけど...。」

  よく見ると先生の顔が少し赤くなっていた。

「な、なんでもないわ。...もう、夜も遅いから早く寝るようにね?」

「あ、はい。」

  言ってなかったが、今は夜だ。
  音もあまり立てない方がいいし、俺も寝るか。







「.....見っけ。」

「遼が減らしすぎたから、少し外出する羽目になっちゃった。」

  翌日、ネイルガンが実際に使えるか、蘭と共に実験しにいった。
  学校内の奴らは全滅させて、学校周りの奴らもほとんどいないせいで、見つけるのに少し時間がかかってしまったが。

「こうやって...こう、か。」

     ―――パン!

「...おお、使えるな。」

「じゃあ私も!」

  蘭も撃ち、簡単に二体が倒せた。
  反動も少ないし、これなら皆扱えるだろう。

「じゃ、戻るか。」

「そうだね。」

  先生にも休むように言われたからな。今日はゆっくりしようか。











       ~おまけ・その頃の...~





「...これとこれで一週間、後はこれと....。」

  入手した食料を見て、どれを食べ、節約していくかを決める。

「....まずいわね。このままだと...。」

  持って後二ヶ月ぐらい。

「...探索しに行って、もう少し入手するしか....。」

  けど、その分瑠璃ちゃんを危険に晒す事になる。

「危険...だけど、どの道このままだと餓死してしまう...。」

  想像以上に厳しい状況。それを私達は乗り越えなければいけない。

「...近い内に、拠点を変えた方がいいかしら?」

  ここから一番近い場所で、拠点にできそうなのは...。

「聖イシドロス大学....。」

  あそこなら、相当広いし、食料もあるだろう。

「問題は広い分、噛まれた人も....。」

  どこもメリットの分、リスクが伴う。

「とにかく、武器を整えて向かうしかないわね。」

  期間は約一ヶ月。その間に荷物と装備を整えておきましょう。

「......。」

「...大丈夫よ。...貴女は私が守るから。」

  せめて瑠璃ちゃんだけでも助けたい。私は、そう心から願っていた。









 
 

 
後書き
あれ...?本当に書くネタがない...?

...もうすぐこの小説も終了ですね。(おい 
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